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裏返しの男 |
フレッド・ヴァルガス著 |
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〔初版〕 1999年
ヴィヴィアヌ・アミィ社 (パリ)
叢書「薄暗い小道」 |
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L'Homme à l'envers / Fred Vargas
-Paris: Editions Viviane Hamy.
-(Chemines nocturnes).
-301p. -20cm × 13cm. -1999. |
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尋問が終わったのは深夜11時だった。 |
帰宅したアダムスベルグは遅い晩飯をつつきながらTVのニュースに目をやった。国立自然公園で目撃された「桁外れな大きさのオオカミ」が話題になっていた。子供の頃、父にピレネーまで連れて行ってもらった時のことを思い出す。 |
現地の映像が映し出された一瞬、女の姿が見えた。シルエットに見え覚えがあった。「…カミーユ?」 |
カミーユはカナダ出身の狼研究者ジョンストンと共にメルカントゥール自然公園に滞在中だった。シベリウス、ポルクス、クラッスス…一頭一頭に名前のついたオオカミを観察中。数頭を捕獲して歯形を取っている男。「巨大オオカミ」と呼べそうなサンプルは見つからなかった。 |
地元では人狼伝説が囁かれていた。不吉な予感を裏付けるように喉を噛まれた死体が発見。「狼は人を襲わない」、確信したアダムスベルグが調査を開始する… |
人狼伝説+ロードムーヴィーの発想でテンポの良い物語を繰り出してきます。この時期、ヴァルガスは一作ごとに作品が長くなっていくのですが、300ページ程度にまとまった本作ぐらいが適度かなと思います。脇役の設定も面白く個人的にはヴァルガスで一番好きな作品です。 |
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