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殺人カメラ |
ピエール・シニアック著 |
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〔初版〕 1985年
フルーヴ・ノワール社 (パリ)
叢書アングルナージュ 126番
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L'Affreux joujou / Pierre Siniac
-Paris: Editions Fleuve Noir.
-(Engrenages; 126).
-18 × 11cm. -1985. |
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偶然手に入れた中古の写真機。レンズは16mmだった。 |
古い機種だが使い勝手は悪くない。幼稚園の子供でも撮ってみるようか。風船で遊んでいる子供を撮ってみた。良い気分で帰宅、さっそく現像に出して女に自慢する。撮った覚えのない写真が数枚混ざっていた。軍服を着た男の写真。何て怠慢、現像屋がフィルムを間違えたか? |
似たような出来事は何度も続いていく。薄々秘密が解けはじめていた。謎を解くために実験をしてみる。裁判所を訪れてみた。ナチスの戦争犯罪人を撮ってみたのだ。普通に撮った写真の他にも犠牲者の姿が何百枚も現像されてきた… |
写真には呪われた思い出が埋めこまれていた。このカメラは罪ある者の心の最奥を撮ってしまうのだった。 |
「クスクス。こんな写真機があったら面白かろう」の調子で無謀な話が延々続いていきます。そんな馬鹿な、と思いつつ楽しそうな書きっぷりに乗せられてしまいます。『ウサギ料理は殺しの味』とほぼ同時期の作品、この時期のシニアックは「アイデア一発勝負」路線をまっしぐらに驀進していました。 |
80年代の作品にしては描写がとても丁寧、リアリズム寄り。作品のトーンがやや暗め。ですが終わり方は相変わらずでお茶目なエンディングが3ヴァージョン付いてきます。 |
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