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聖なる乳の名において |
ギョーム・ニクル著 |
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〔初版〕 1996年
バレンヌ社(パリ)
叢書ル・プルプ 21番 |
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Le Saint des seins / Guillaume Nicloux
-Paris: Editions Baleine.
-(Le Poulpe; 21).
-152p. -18 × 11cm. -1996. |
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三月の運河。真っ白な頭部が見えた。汚れた水に女が一人浮いていた。 |
溺死体はAV女優でセックスショップ勤務のミュリエル。左胸に蹄鉄の入墨を入れている。新聞でで事件を知ったガブリエルは調査にとりかかっていく。 |
ミュリエルが勤めていた「クラブ33」。店内にはビデオテープ、雑誌、淫具が整然と並んでいた。ガブリエルは店員に罵られながら被害者の友人関係を洗い出していく。店の壁に飾ってあった写真、女の顔に見覚えがあった。80年に付き合っていた女だった。三人の男に囲まれ、左胸に蹄鉄の刺青があった。 |
「蹄鉄は動物が野生から奴隷へと移った意味になる」 |
SMと殺人の口実にそう呟いている者たちがいる。犠牲者は一人では済まなかった。かつての恋人を救おうとガブリエルは敵地に乗りこんでいく… |
会話、細部の描写に張りめぐらされた緊張感。ル・プルプ史を振り返った時に最も硬質で重量感のある一作がこれでした。明快な「型」を持つ叢書でパターンをなぞるのは簡単なのでしょうが、型破りの作家にそれは通じません。ル・プルプAV女優捜索編、ただし遊び心が欠けているのです。 |
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