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人を喰らふ |
エマニュエル・メナール著 |
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〔初版〕 1997年
ジュルマ社 (カデイラン)
叢書 カトル・ビ 5番 |
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Cannibales / Emmanuel Ménard
-Cadeilhan: Editions Zulma.
-(Quatre bis; 5).
-313p. -18 × 11cm. -1997. |
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「今週末?」
「あぁ。週末をポーランドの城で過ごそうかと思っている。一緒に来ないか?静かにビジネスの話もいいだろう…」 |
テレテック社社長マルデルの提案は魅力的だった。ラルシエはスキー道具を詰め、コールガールのデルフィーヌを連れて空港に向かう。部下フェルドマンの一家が同行した。飛行機からヘリコプターに乗り継いで古城に向かう。途中でマルデルから連絡が入った。「至急の用事で到着が遅れる」とのこと。マルデルの仕掛けた罠だとは気付かなかった。 |
城の部屋にはブリューゲルの模写が飾ってあった。 |
ラルシエたちはスキーをしながらマルデルの到着を待つ。姦計を最初に見破ったのはデルフィーヌだった。マルデルはパリで隠密にドイツ・テレコム社との契約を進めていた。パリに戻らなくてはならなかった。車を使って城を離れたラルシエたち。何かがおかしかった。4WDを下りる。町へと抜ける唯一の木橋が壊されていた… |
橋を架けなおそうとしたが火をつけられる。崖を下りていこうとして怪我人が出た。脱出は不可能だった。使用人のコンラッドは「数日経てば救援が来る」と嘲笑っていたが…救援は来なかった。交通事故にあったマルデルは意識不明の重態。ラルシェたちが古城に閉じこめられたと知っている者はいなかった。食料が尽きていく。耐え難いほどの飢えが全員を襲い始めた… |
92年にコニャック市推理小説大賞を受賞した作家の犯罪小説復帰作。洗練された語り口で「人肉食」まで駆り立てられる人々の狂気を描きだしていきます。圧倒的な構築力、繊細な感性の両立は97年度作品で目を引くものがあったのですが…ノワール系から見過ごされてしまったのが現実。発表当時に本作品を唯一絶賛していたのが作家ミジオ氏だったのも興味深い。 |
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