海蜘蛛
マリアンヌ・ルコント著
〔初版〕 1993年 ドゥノエル社 (パリ) 叢書シュウール・フロワッド(冷汗)
L'Araignée de mer / Marianne Leconte -Paris: Editions Denoël. -(Sueurs Froides). -225p. -14×21cm. -1993.
3月。頭部を切断された男性変死体が発見される。島の沿岸部では養殖が行われており、一帯には(餌を探しに入りこんでくる)馬を防ぐためワイヤーが張り巡らされていた。バイクに乗っていた被害者は島に戻ってきたばかり。深夜、不注意なわき見運転による事故の可能性が高かった。
地中海。仏領の小島群ドール。明るい太陽が村中央のリベルテ広場を照らし出している。島民たちの溜まり場には最近になって不動産プロモーターの姿が目に付くようになった。土地を買い上げバカンス観光客向けの施設、住宅建設を目論んでいた。「金の成る島」、3月末、大陸本土からやってきた業者と地主との交渉が行われた。
地元紙を運営しているジン・フィズは紙上で反地上げキャンペーンを展開。島全体が二分され議論に揺れている中、第2の死体が発見される。トマト畑に倒れていた一人の男。毒蛇に噛まれた跡。「奇妙な出来事。本当に自然死でしょうか?」、ジン・フィズが警鐘を放っていた。誰かが事故を装いながら利害関係を調整しようとしていた。広場の喫茶店、事件の成り行きを静観していたタロット師マイアがこの謎を解き明かしていく…
元々はSF畑で活躍していた才女マリアンヌ・ルコントが唯一残した異形のミステリー。占い師マイアの手紙、ジン・フィズの日記、新聞記事の引用が交互に現れながら架空の島で発生した連続殺人の物語が紡がれていきます。
様々に織りこまれたディテールはどれも伏線のようでいて無駄話のようでもあり、読み手の軸線が中々定まりません。気の短い読者だと途中で放棄するかなと思います。209ページまでがそんな感じ。最終21章(211~215ページ)に挿入された一通の「手紙」が大どんでん返しとなっていて初めて作家が何をしたかったのか判明します。この5ページ足らずの「手紙」はアルチュール・ランボーやアルトー、シュールレアリズムの影響を組みこんだ翻訳不能な内容で、初めて読んだ時(2001年)には途轍もない衝撃を受けました。本格派の発想とは違いますが、フランス型のノワール叙述トリック傑作として忘れがたい一作です。
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