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ある日、ロブ警視は知識人として名を知られている元外交官のベン・ウダに呼び出された。30年前、一度地方都市ガルダイアで接点はあった。今更なぜ・・・小高い丘に建った豪邸、ベン・ウダはロブ警視の文才(ロブは作家でもあった)を褒め、アルジェリアの深部で進んでいる秘密計画を告発するつもりだ、と告げる。それはゴーストライターの依頼でもあった。「できるだけ早くお答えいたします」、ロブは回答を保留してウダ邸を去る。 |
元空挺部隊所属、一時期は警察学校で教鞭をとっていたエヴェグが配下に加わった。ロブは首都アルジェの下町の巡回を始めるが…すぐに無線で呼び出される。 |
鑑識が写真を取りつづけている。ラ・シャリテ広場の豪邸、腕を組んだベン・ウダの死体があった。切断された頭部は浴室に転がっていた。ガードローブに隠れていた少年によると犯人は3、4人。「人間があんな声で叫べるなんて知らなかった…」.。秘密計画について言及したフロッピーが姿を消していた。 |
第2の犠牲者。大学教授ナセルが射殺死体で発見される。手元には「HIV」のダイイング・メッセージが残されていた。知識人を嫌う原理主義テロリストの仕業か?一方で治安管理局が動き始めロブの所属する警視庁との対立が表面化しはじめる。 |
目撃者証言からテロリスト5人組が浮かび上がってきた。首謀者の一人「散髪屋」ことガイドの足取りを掴むため、義弟のアラ・テジと接触を図る。一旦は泳がせてガイドを捕捉しようとしたが・・・敵が一枚上手だった。アラ・テジは姿を消し、情報提供者の女性ジョエルが喉を切られた姿で発見される。 |
「散髪屋」ガイドの隠れ家をキャッチした。踏みこんでいくロブ一団。そこで見つけたのは腹を撃たれ死にかけたガイドの姿だった。手にはリモコン。「これはTV用ではありません」、瀕死の男が挑発してくる。指がボタンを押しかけた。轟音が響いた… |
処女作『モリツリ』は大部な原稿を縮約したせいで全体が錯綜した印象もあったのですが、本作は余裕を持って謎解きとリアル・ポリティークを重ねあわせていきます。殉職したセルジュ警部を補うように新メンバーのエヴィグが登場。力を持て余した寡黙な巨人参戦で物語にアクションとユーモアを追加。ダイイング・メッセージ「HIV」、フロッピーの謎も効果的。既にカドゥラ流犯罪小説の完成形を作り上げています。 |
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