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観客席前に警備員が3人立っていた。 |
ヴァイオリン、オボーエ、アコーディオンの伴奏。クラリネットの音が長く伸びていく。歌姫が最後の1フレーズを歌いきる。 |
「鉛の一撃でオーバードーズ…今夜悲劇を空に呼び戻す…この星に火をつけて」 |
百人を超える観客がステージに押し寄せる。収拾がつかなくなりはじめていた。携帯を手に何か話している警備員たち。援軍要請?遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。 |
観衆が一斉に静まり返る。悲鳴。銃声が一度、二度。凍りついた客をかき分けていった。ステージ上に倒れたエヴァ。微かな笑を浮かべていた。警官が駆け寄ってきた。「撃つな!撃つな!銃は空だから!」。女の指先から銃をもぎ取るのに一苦労。エヴァは病院へと運ばれていった… |
ステージでの乱射事件へ雪崩れこんでいく物語。なぜ? |
最初に男がいた。詩人だった。隣には女が一人。北の女エヴリン。ありえない声をした女だった。二人は「星に火をつけて」を完成させ売りこみをはかる。レコーディングは成功、スターへの道は約束されていた。プロデューサーとの契約がごたつきさえしなければ・・・ |
場末の歌姫の盛衰記。音楽業界、芸術と商売が密接に絡む世界にジャウアン流の悲劇をもちこんでいきます。設定が紋切り型になった嫌いがあり物足りなさが残ります。 |
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