干潮
エルヴェ・ジャウアン著
〔初版〕1983年 フルーヴ・ノワール社(パリ) 叢書アングルナージュ 61番
Marée basse / Hervé Jaouen -Paris : Editions Fleuve Noir. -(Engrenage ; 61). -216p. -1983.
青年ビッグバンド(=デカマラー)は首筋を揉んでいた。気合の入っている証拠だった。ビッグバンドと私は鉄パイプを手にしている。目の前、車に乗っていたのは男二人と女一人だった。男二人は兄弟のようにそっくりで催涙ガスで涙を浮かべていた。何が起こっているのか分からない様子。女は芝生に座り、何事もなかったようにタバコをふかしていた。
「ピンチを乗りきるチャンスをあげよう。簡単な質問だよ。答えられたら逃がしてあげる。壊すのは止めてあげる」 「何を壊すって?」 「教えてあ・げ・な・い」 二人組に出した質問は「1971年、ワシントンで何が起こりましたか?」。「ケネディ暗殺!」「ブブー。ケネディの暗殺はダラスでした」。
男二人組は罰ゲーム。愛車ルノーを自分の手で壊さなくてはなりませんでした。
「で、女はどうする?」 拉致して酒場で飲み始めた…ずいぶん変わった女だった。しゃべらない。そのくせずっと微笑んでいる。タバコの火をつけてくれた。使い捨てライターに「私は私が好き」の文字が刻まれていた。 「大丈夫?」と女が尋ねてきた。 「とっても大丈夫」 「お爺ちゃんが鬱になっちゃった時ね、お婆ちゃんが一杯やって塞ぎの虫を追い払いな!って言ってたよ」 酒場で酔っ払いに絡まれる。「男なら勝負しろ」と喧嘩を売られた。店を出た。酔っ払いが隙を見せた一瞬に堤防から突き落としてやる。よくある手だ。誤算だったのは干潮だったこと。男はコンクリートに頭から突っこんでいた。脳味噌が溢れているようだった…
ジャウアンにしては毛色の変わった一作。前半は主人公と相棒ビッグバンドのお茶目なやりとりと破壊劇に焦点が置かれていてヴァルーのグロビュル・シリーズに似た高笑い(下ネタ多し)が楽しいです。後半は逃避行、ヒロインことロズリンの屈折した発言と性格に引きずられトーンが暗め。前半の哄笑、後半のダークネスが若干のアンバランスを醸し出しています。
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