死河岸
エルヴェ・ジャウアン著
〔初版〕1981年 フルーヴ・ノワール社(パリ) 叢書アングルナージュ 34番
Quai de la fosse / Hervé Jaouen -Paris : Editions Fleuve Noir. -(Engrenage ;34). -184p. -1981.
「最も頭の切れるインターン、でも悪名高い女たらし」。そんな噂のケヴィン・ドリウと知り合ったのは大学病院だった。
バーで口説かれてから付き合いが始まった。男の影響を受け始め、世の中を冷ややかに見る癖がついた。変わったのはケヴィンも同じだった。酒を断ち、論文に専念し始める。あまりの変貌振りに「君は妖精なんじゃないか」、そう言われることもあった。ケヴィンは大学を卒業後ブルターニュ、ノルマンディの県境で小さな診療所を開いた。田舎での開業生活、独身という訳にもいかない、女はケヴィンからの求婚を受けた…
ドリウ夫妻は公証人開催の晩餐会に招待される。開業したての男にとって地方名士に顔を売っておく良い機会だった。「でもヤマシギ猟が」、当日、ケヴィンはどうしても先に鳥を撃っておきたいとアイルランド・セッターを連れて家を出た。「後で合流する」、そんな約束にだまされて妻は先に会場を訪れる。チャイムを押した。不幸のチャイムだった。
ケヴィンは沼地に足を取られ遅れていた。10時までの約束に間に合わなかった。女は晩餐会で退屈な話に付き合っていった。深夜を回ってもシャンパンが振舞われていた。記憶は曖昧になっていく。男の手が肩に回り、服を脱がせにかかっていた。「怖がらなくいいよ」、そんな声が聞こえた。横たわった女、視覚にベネチアガラスの鏡、猟銃を持った男の姿が見えた。ケヴィンだった。銃声が響いた…
野心家の開業医ケヴィンによる地獄めぐり。全体は三部構成に分かれていて一部ごとに劇的に盛り上がっていきます。要約したのは第一部のみ、この後はケヴィンと娼婦の逃避行に話が移っていきます。ジャン・グジョン社時代に比べ描写の密度、内省的な陰鬱さが高まった印象あり。独自のリアリズムが様式化されていった第一歩で、後の『星に火をつけて』などは全てこの延長上にあります。
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