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                  |  | 石の心を持つ女 |  
                  | ヴィルジニ・ブラック著 |  
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                  | 〔初版〕 1997年 フルーヴ・ノワール社(パリ)
 叢書レ・ノワール 32番
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                  | Coeur-Caillou / Virginie Brac -Paris: Editions Fleuve Noir.
 -(Les Noirs; 32).
 -254p. -18 × 11cm. -1997.
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            | 180センチで79キロ、ペチャンコの鼻。鏡を覗きこんだエヴは顔をしかめた。 |  
            | 自分自身にしっくりといかなかった。ゆっくりと煙草を一本。憎しみをが膨らんでいく。大邸宅で使用人として雇われていた。今晩は特別な夜。主人のロナルドを毒殺、全財産を運んで逃亡を計る。 |  
            | ストラスブール経由で東に向かう。国境付近の小さな町に辿りつく。酷い状態だった。割れた窓から雑草が広がっている。市役所の前に黒く焼け焦げた車が並んでいた。10年前の原発事故の後、誰も近づかなくなった町バーハイム。長く滞在するつもりはなかった。ドイツの整形外科医と連絡を取り、全身を整形して高飛びする予定だった。 |  
            | 奇妙な出来事が続いていた。窓に鳥が吊るされていた。エヴへの捧げ物だった。ホテルの周囲で被爆者が小さな共同体を作っていた。野生に近い状態で生きていた。彼らはエヴを「石の心を持つ女」だと信じていた。深夜、窓の外で響いた叫び声。耳にこびり付いて離れなかった。誰かが死んだのは間違いなかった… |  
            | 10年近くTV関連の脚本をしていたヴィルジニ・ブラック、97年の本作でノワール復帰。愛されない醜い女を書かせたらフランスで一番です。本作は楳図かずをや『ドラゴンヘッド』に近い雰囲気で眼と口を大きく開いて「あぁぁぁ〜」の場面も多数収録されています。精神分析医ベラの連作よりこちらの方が断然面白いかな、と。 |  
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