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最後の聖衣 |
ジョルジュ=ジャン・アルノー著 |
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〔初版〕 1973年 フルーヴ・ノワール社 (パリ)
叢書スペシャル・ポリス 1044番
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La Défroque / Georges-Jean Arnaud
-Paris: Fleuve Noir. -(Spécial-Police: 1044).
-219p. -18×11cm. -1973. |
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仕事を終えて家に戻ってきた兄の様子がおかしかった。「どうやら見つかったようだ」。興奮して声が上ずっている。何の話かすぐには分からなかった。3年前、兄は金絡みのいざこざで知人を撲殺、警察の追求は逃れていたが…カトリック教会で罪を告白していた。「その神父を喫茶店で見かけた。私服だった」 |
兄を説得していく。「偶然出会っただけかも」。「そんな偶然があるか。わざわざ引っ越したのに追ってきたんだ。金目当てでな。電話で警告してやる」。説得は無駄だった。兄はその神父‐名前はコルティ‐に電話をかけ、「この街を離れろ」の脅しをかける。 |
喫茶店。手元の受話器を見つめ呆然としていた。神父の職を離れてから結構な時間が経っていた。以前に「殺人」の告白を聞いた覚えはあった。しかし記憶に残っているのは声だけだった。今さら脅迫されても…とは言え電話の調子は冗談では済まされなかった。コルティは妻ファビアンヌに相談してみる。家を一旦離れて相手を探しに向かう。 |
誤算だった。脅迫してきた男はどこからかコルティの一挙一動を観察していた。部屋を借りた友人が鉄パイプで撲殺されてしまう。容疑者として拘留されたコルティ。とうに信仰は捨て去っていたがかつての信者の告白を警察に伝えることは出来なかった。葛藤が続く中、妻が失踪したという連絡が届く…
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後半は夫の罪を晴らそうとした妻ファビアンヌが犯人兄妹に身柄を拘束され、息絶え絶えになっているのをいかに救出するかのサスペンスに展開していきます。70年代初期のスペシャル・ポリスらしいシンプルでクリアな罪の清算物語。聖職を離れた主人公がヒッピー共同体で楽園を築こうと悪戦苦闘している辺りにふと時代色が出ています。
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