(本当になんでこんな事になっちまったんだ!?)
横島は今、最も恐ろしい相手を前にしていた
(確か、山道のドサクサに美神さんのフトモモ触って―――)
相変わらず、懲りない男である
(車から放り出されて、道に迷って―――)
本当に何をやってるんだ?
(んで状況に流されまっくた結果・・・)
そう、目の前には守銭奴、美神令子である
(うぎゃーーーーー!!)
『さっきからうるさいぞ!横島』
――心眼は眠らない その8――
―――話は横島の心の叫びから前日へ
いつもように素敵なスキンシップを美神に行った横島は
これまた素敵なお仕置きとして車から放り出されていた
「目の前に広がる宝に触れず何が男だ!
スベスベのムチムチ!後悔はしてない!!」
『本当におぬしというヤツは・・・』
森をさ迷いながらも、自分の行為に後悔は無しといった感じに、
前回、出番無しだった心眼は呆れる
威勢の良い横島であったが、雨も降り始め
腹も鳴り、泣き言を言い始める。
その時であった
「あの〜少し、よろしいでしょうか?」
「えっ!・・・おぉ!!」
『・・・(コヤツ、もしや)』
振り向きとそこには木々を持ったボディコン姿の美女がいた
興奮気味の横島に対して、何か神妙な心眼
「もしかして道にでも迷られたんでしょうか?
よろしければ、我が家で休んでいってはいかがですか?」
「はい!!ぜひともよろしくお願いします」
『(コヤツ、人間ではないな・・・しかし殺気は感じられぬし)』
テンパッてる横島は美女の正体に気がつかない
心眼も急に横島の態度を変えるわけもいかずあえて言わない
「そうですか、それではこちらへ。」
「男、横島!あなたのためならどこへでもお供させていただきます!!」
『(ふぬ、特に横島に危害を加えようとはおもっとらんようだし、
少し待ってみるか)』
一行は女性の家へ向かう
森の奥には昔ながらの木造の家が佇んでいた
中に入る二人
相変わらず鼻息の荒い横島は今にも女性に襲い掛からんばかりである
しばらく談話しながら横島が機会を伺っていると(何の?
「何してんの、母ちゃん」
突然が子供が現れ動揺する横島
そして女性は子供と自分の紹介をする、主人はいないようだ
女性の名は美衣、子供をケイと紹介した
(未亡人か・・・あぁこの色気がたまらん!!)
最近、飢えているのか、だんだん見境がなくなってきたようだ
興奮状態の横島は心眼に諭されるまで絶対に気付かないだろう
何故横島がここまで興奮状態なのか・・・・(答え 邪魔者(美神とオキヌ)がいないから
夜も更けてき、横島は布団の中で目を開ける
「よく考えたら、こんな山ん中に美人母子が、変だ」
『ふ〜、よかったぞ。本当におぬしが何も疑いを持たなかったら、
ワレは今までおぬしに何を教えてきたのかと落ちこむところであった。』
ずっと起きていた心眼が辛らつなツッコミを入れる
そして一応、横島にもある程度の理性は残っていたことに喜ぶ
『おぬしが少しでも霊視を行えばすぐに正体に気付いたものを・・・
全く色香に騙されおって!』
そういいつつあの親子が人間じゃない事を告げる
「やっぱりなのか〜!せっかく美神さんがいない今、
人妻に手取り足取りしてもらおうとおもったのに〜!」
『おぬしの頭にはそれしかないのか!』
半べそをかきつつある横島にちょっと切れ気味の心眼
ちなみに何をしてもらうつもりだったのかは秘密である
「心眼にはわかるまい!男のロマンってヤツなんだー!!」
『わかるか!大体ワレの性別は「っ待て心眼!」っこれは!!』
心眼が思わず暴露しかけた瞬間、横島は異変に気付く
「この霊波は奥さんか!?えらい乱れようだが」
『手傷を負っているのではないか?どうするのだ?』
心眼の問い掛けにほんの少し躊躇した後
「気になるし、いくしかないだろ。
奥さんがなんであれ、
俺を助けてくれたのは事実なんだし、
それにあの人は俺に危害を加えるつもりが感じられなかったし大丈夫だろ」
『本当に、お人よしだな。(だが、それでこそというものかもしれんな)』
心眼は横島のセリフに内心微笑ましく思い
横島は美衣の霊波の発信源に向かう
そこは美衣の寝室であった
部屋をのぞくと美衣は布団に入って寝ている
しかし霊波の乱れは誤魔化せない
横島は美衣の布団をめくり美衣を調べる
ちなみにここで横島がドキドキしていたのはしかたないだろう
「奥さん!大丈夫ですか!
ひどい怪我じゃないっすか!!」
「うっ!!」
横島は美衣の腕に大きな怪我を見つける
すかさず手当てを施し始める
「大丈夫ッすか!!とりあえず包帯で腕を固定しないと!!」
「すっすみません、ありがとうございます」
横島は美衣の手当てを一生懸命行う
普段怪我の多い横島はこういう応急処置が得意になっていたのだ
正に怪我の功名である
しばらくした後、横島は覚悟を決めて問いかける
ちなみにケイはさきほど目覚めたようだ
「あっあの、奥さんて人間じゃないですよね?」
「!!!」
すかさず横島から距離を取る美衣
横島は慌てて、
「あっ、俺、別に奥さんになんかしようとおもってないっすよ!
ただ、いろいろ気になっちゃって・・・」
「・・・」
美衣は横島を見極めようとする
しばらくこの状態が続き
「・・・わかりました。確かにそれなら横島さんが手当てをするのはおかしいですし。」
美衣はそう切り出してかたり始める
自分達が猫の変化である事
自分達はただ、平和に暮らしたいだけである事
最近、ここ辺りを人間が開発し始めたため、その邪魔を行っている事
さきほど、自分を退治しにきたGSの様子を見に行った時に手傷を負わされた事
「お願いします。どうか、どうか
私達を助けてください!」
「兄ちゃん・・・」
「なにか妙な事になってきたぞ・・・」
『相変わらず、事件に巻き込まれる男だな、おぬしは』
次の日、
横島は美神たちを見つけ説得したりするが
全く持って効果なく、
挙句の果てに尾行され結局追いつけれ、現在の状況に陥る
(本当にアイツは何をやってんだか・・・
しかし今の横島クンがそう簡単に操られるわけないと思うけど・・・)
美神は化け猫親子の前に立つ横島を見つめる
「さぁ横島クン、何を考えてるのかわからないけど、
こっちは億単位のギャラがかかってんの。
じゃまするなら容赦しないわよ。」
「みッ美神さん・・・悪いっすけど今回はあきらめてください!
(殺される殺される殺される殺される殺される殺される)」
『ほ〜(さぁどうなるのやら)』
本当になけなしの勇気を振り絞り、横島は奮起する
そして何気に感心する心眼と感動する猫親子
まぁ横島の内心はハンパじゃなくビビっていたが
「いい度胸ね・・・なら力ずくで止めてみなさい!!」
『ふぬ、ちょうど良い機会だ。横島よ、時給UPのためにも
おぬしの実力をみせつけてやれ。(それで我が家にもDVDを・・・)』
「できるかーーーーー!!!(うぎゃーーーきたーーーー!!)」
・・・心眼は何か見たいDVDがあるらしい
なかなか俗世に塗れてきた心眼である
ともあれ美神の神通根が横島に迫る
咄嗟に栄光の手を発動させそれを防ぐ横島
「っち、生意気よ!さっさとやられなさい!!」
「ぬおーーーー!!」
美神は追撃にでる、が
横島は盾を展開させ美神の攻撃を防ぐ
(やっぱり、そう簡単にはいかないか・・・)
美神は横島の実力を測りかねていた。
普段は大したことがないのに、(美神に比べると、一般の域はすでに超えている
土壇場になると霊圧が異常に上昇する
なんて不安定な存在だ
だからこそここで横島がどれほどの者か知っておかなければならない
己の実力を知ってこそ相手との戦い方が決まる
”敵を知り、己を知れば百戦危うからず”正にその通りだ
(さぁ見せてみなさい!)
横島は美神の鋭い攻撃にもなんとか反応する(ちなみに心眼のサポート無し
美神が仕掛け、横島がサイキックソーサー等で防ぐ
そのような展開が続いていく
「あんたねぇ〜、防いでばっかじゃどうしようもないでしょ!」
「そんなんいったって!!!」
”美神さんに攻撃したら、精霊石投げてきそうじゃないっすか”
そんな事をぎりぎり心にとどめながらもしっかり防ぐ
膠着を嫌ったのか美神は緩急はつけ始める
その攻撃に翻弄されながらもしっかり付いていく横島
(くぅ〜美神さんに仕掛けた日にゃ、、
その瞬間、魔王が降臨するちゅうねん!!)
横島は気付いているのであろうか
美神の多彩な攻撃を防ぎ続ける事がどれほどのことか
彼女は間違いなく世界有数のGSである
その彼女に負けない
それがどれほどの事か―――
『横島!何を躊躇しておる!いい加減しっかりせよ!!』
「そんなこといったってな〜!!
あの美神さんだぞ!!タイガー100人相手にした方がよっぽど楽じゃい!!」
言い過ぎである
『やれやれ、横島よ、よく聞け。
もしおぬしが美神どのに勝ってたらどうなると思う?』
「どうなるって・・・」
考え中でも美神の攻撃を凌ぐ辺り立派である
『もしかしたらおぬしに惚れるかもしれぬぞ(ありえぬがな)』
「なっ!!!」
内心では速攻否定する心眼
・・・そこまでしてDVDを見たいのか
まぁそれに乗せられるのが横島と言わしめる所以であろう
突然鼻息を荒くし目をギラつかせる
・・・当初の目的は何処へ
またもや美神の神通根がせまる
それを横島は
「栄光の手《美神さんGETの手》よ!!」
掴む
「何!!」
美神は驚いている間に神通根は美神の手から離れる
そして、
「みッ美神さ〜〜〜〜〜ん!!」
血迷ったのか、ル○ンダ○ブをかます横島
横島の脳内ではすでに勝って美神GETになっているのであろう
「『アホかっ!!』」
「ブゲシッ!」
すかさず予備の神通根で叩き落す(心眼も予想外だったらしい
横島自滅
情けない幕切れであった・・・
美神は決着後、親子から事情を聞く
「事情はわかったわ・・・まぁこのバカに免じて除霊は、
やめてあげる。(本当のこのバカは・・・)」
「あっありがとうございます!!」
結果的には美神の勝利であったが、横島がボケなければ・・・
そういうことでなくなく見逃す事を承知する美神
「そこのバカが起きたら言っといてくれる。
・・・まぁ悪くはなかったわ(ホント、生意気にもね)」
横島は目覚め、親子と森の奥にいた
「本当にありがとうございました。」
「いいから、いいから」
横島は手を振り、立ち去ろうとする
「横島さん!私、始めはあなたを前の主人に重ねていただけでした!
でも昨夜、真剣に私達を心配してくれているあなたを見て・・・」
「・・・」
美衣は横島に叫ぶ
横島は足を止めず進んでいく
「あなたを見て・・・いいえ。
横島さん・・・また会いましょう!!」
「母ちゃん・・・兄ちゃーん!!またね!!」
横島は右手で答えた―――
――心眼は眠らない その8・完――
あとがき
う〜ん、心眼が変になってきた・・・
ところで素人でも簡単に扱えるフリーのお絵かきソフトって知りません?
ちょっと心眼(竜神)の絵で書こうかなと思い・・・(←無謀
もう一話ほど書いて、中世かな?