一人の少女・・・ではなく女性の鳴き声が響く
「エミさ〜〜〜〜ん、あっしは」
一人の野郎の死にかけな声も響く
「心眼、さすがに栄光の手が持たんのだが・・・」
『ふぬ、こうなってはおぬしの生命力にかけるしかないな』
心眼もさじを投げているようであった
横島は栄光の手を盾に変えてこの嵐を防いでいたが
限界も近かった
現在の状況、それは・・・
暴走である「ふぇ〜〜〜〜〜ん」
――心眼は眠らない その9――
話は我等が暴走機関車、六道冥子のGS資格が
免許停止になりそうになったのがきっかけであった
それを危惧した六道女史は美神、エミの両名は呼び寄せる
「なにかいい案ないかしら〜
そうだ!あなた達の助手でも少しの間貸してくれない〜
お金に糸目はつけないわよ〜」
”お金”この一言で反応したのが、何気にGS長者番付1位の美神令子である
「じゃぁおば様、うちの横島クンでもつかってください。(ちょうどする事もあるし)」
「ん、じゃあたしのタイガーもつかっていいわけ。」
実は先日、美神は病院でオキヌそっくりな少女を見つけた
その少女、ユリ子という名であったが、寿命の関係で死神が枕元にいた。
美神はオキヌのお願いで、ユリ子を助けていた。
その時の相手が死神であったため、
高純度の精霊石、強力な破魔札を使用したばかりであった
オキヌにはツケといっていたが、美神は本当の所はノーギャラ状態であった
そんなわけもあってお金に飢えていた美神である。
ちなみに美神が病院にいたのは唐巣の見舞いである
・・・曰く、栄養失調らしい(何回目だ?
そんなわけで生贄にされた横島とタイガーである
ドナドナのように連行された二人であったが、
彼らも仕事は一応は真面目に行う
現在の冥子は暴走中であるが、それは除霊中に起きたものではない
では何故かというと、早い話、帰り際に転んだのである
何もない所なのに・・・
六道女史が出した除霊方法は、一つ、式神を使わないというものであった
横島とタイガーが傍にいても、不安でしたかがない
そのため除霊が成功して完全に気を抜いていた時に理不尽な自己が発生したのだ
今回は意味もなく式神を出していなかったので、
暴走の心配は低いと思われていた。
まぁそれでも鼻を打ったのが相当痛かったのであろう
見事に暴走し現在に至るという事である
タイガーはすでに生きてるのかどうかという具合
横島は明日は我が身という眼差しをタイガーに向けていた
『さて横島、冗談はさておき、助かりたいのなら、
とっとと式神を一体ほど倒せばいいだろ』
「あっそっか、そうしたら気絶して終わりなんだよな」
式神というのは術者とつながっているため、式神の痛みは、
術者に向かう。十二神将の内、一体でも手傷を負わせれば
冥子の意識を刈り取るには十分である
「でもな〜そうしたら冥子ちゃんに痛みがいくんだろう。
それはなんだかな〜」
『甘いのは結構だが、これは彼女のためでもあるのだぞ。
霊力を出し切った状態で倒れこむというのは何かと危険も多い。
ならばその前になんとかするのが一番だ』
横島は渋るが、
心眼の説得に最後は了承する
横島は栄光の手を剣の形に変える
横島の雰囲気に式神は反応し
ウサギのアンチラと、イノシシのビカラが向かってくる
心眼も集中力を高める、
そして霊視を開始した横島は
「冥子ちゃん、ゴメン!!」
ザッザンッ
「キャッ!」
二太刀で撃退する
そして衝撃により冥子は気絶する
「やっぱり直接的じゃないとはいえ気分がわりぃな」
『そういうならしっかりサポートするのだな。
もう一度いうがこれが最善の行為だ』
横島は冥子をおんぶして、廃墟から立ち去る
・・・タイガーは?
横島たちが冥子と除霊をしている最中、
美神は妙神山にいた
「美神さん?どうしたんですか?」
「実はちょっとね。」
突然の来訪に驚く小竜姫
美神の来訪の理由は一つ
強くなることであった
理由はいわなくてもわかるが
最近の横島の成長振りの見せ付けられ、
自分もこのままではいけないと感じていた
なりより横島に負けるのが我慢ならないらしい
美神は近況は小竜姫に伝える
「へ〜横島さんがですか〜
やはり私の目は間違いなかったということですね」
横島の成長振りを聞かされ
えらくはしゃぐ小竜姫であった
「香港の時もですが私は角の状態でいたんですけど、
驚きものでしたよ!!勘九朗の腕を叩き落とした時なんて、
霊圧が凄まじかったですから!!」
小竜姫は火がついたようにしゃべる
よほど自分の見込んだものの成長振りがうれしかったらしい
「まぁ別にいいけど、そういうことで修行つけてくれない?」
「すいませんが美神さんの成長期は過ぎているんです。
危険なので承知できません!」
小竜姫の言うとおり、美神の成長期はすでに過ぎていた
ここで強引に能力を上げるのはかなりのリスクが付きまとう
だが、だからといい諦める美神令子ではない
美神は以前、小竜姫が妙神山を壊した事をネタに強引に了承させる
「・・・わかりました、では契約書にサインしてください」
「え〜何々、ウルトラスペシャルデンジャラス&ハード修行コース・・・
小竜姫・・・何でもつければいいってものじゃないわよ」
修行名のダサさにツッコミを入れる美神
だが、小竜姫は”そうですか?”ってな感じであった
以前の修行場に向かう二人
「美神さんは前回、ゴーレムとカトラスを倒していますので、
さっそく私の上司に会っていただきます」
そう言って先に空間に進む小竜姫
中に入るとイスが置かれていた
イスに座る、美神と小竜姫
「ではリラックスしてください、いきますよ」
ヴィン
突然、辺りの空気が変化する
外に出ると景色が変わっていた
小竜姫は美神をある部屋に案内する
そこにいたのは
「・・・猿?」
冥子の暴走があった次の日
彼らはとある森にいた
ちなみにタイガーは重体で来れなかった
「こっからどうするんすか、冥子ちゃん」
「え〜とね〜確かガイドさんが来るって・・・
あっあれじゃな〜い!」
目の前から人影が近づいてくる
「・・・なんか見た事ねぇか、心眼?」
『ふぬ、あれはだな―――』
「あなたは横島忠夫!!!」
九能市氷雅、GS試験で横島が2回戦で戦い勝利した相手である
その時の戦いは久能一にとって忘れがたいものであった(もちろん悪い意味で・・・
怨敵を忘れないため、しっかり横島の名前を覚えていた
「おぉ〜あの時のえっちなねーちゃん!!」
「誰がですか!!私の名前は九能市氷雅ですわ!!」
しっかり自己紹介してくれるなかなかいい人である
「誰なの〜横島くん〜」
「えぇっとGS試験で俺と白熱の死闘を演じた相手です!!」
「どこがですか!!あなたの戦いはその後もしっかり見せてもらいましたわ!!
雪乃丞戦や、あの勘九朗というやからと戦った時といい、
あなた私をバカにしていたんですのね!!」
九能市戦の時、煩悩丸出しだった横島は九能市に
ふざけた戦い(九能市主観)をし、その後の戦いは
それはもうGS顔負けの戦いを演じた横島に対して
九能市は怒りを覚えていた
「何故、あれほどの力を持っていながらあのような戦いをしたのですか!!」
「えぇとまぁいろいろ事情がありまして・・・」
横島の煮え切らない態度にさらに怒りを覚える九能市
「・・・とりあえずは今回の除霊の手助けをお願いしたいと思っています。
そのあとは横島さん・・・ぜひ再戦をお受けしていただきたいですわ!!」
今回の依頼内容は森にひそぬ妖怪の退治である
何人かGSが退治に向かったが帰ってきたもの皆無であった。
そこで白羽の矢がったのが美神令子であったが、
彼女は用事のためこの仕事を断り六道家に任したのであった
森を歩く一行
「しっかしどうして九能市さんがいるんすか?」
「えっそれはですね、私が師事しているGSの方が
この除霊を請け負っていたんですが、
帰ってこないんですのよ。調べるにも
私は免許もってませんから、
あなた方が来るのをお持ちしていたんです。」
九能市はGS試験後、免許が取れなかったため
GSの助手を行っていた。
そしてその師事していたGSがこの森で消息を絶ったのだ
「あなたも〜大変ね〜」
全然大変そうに聞こえないのは何故だろう・・・
一行を談話をしながら辺りを徘徊する
ゾクッ
「おい、心眼!!」
『わかっておる(まずいな、よほどの相手のようだ)』
一番早く横島と心眼が察する
「ど〜したの〜?」
「何かありましたか?」
二人はまだ気付かない
気配は徐々に近づいてくる
「冥子ちゃん!九能市さん!これはヤバイ!!おれらじゃ無理だ!!」
『そのようだが・・・見逃してはくれんようだな』
「えっ!!」
「なっ!!」
横島が叫ぶもすでに時は遅し、
相手はすでに横島たちを射程に捕らえていた。
そして相手の霊圧の感じる二人
接近する存在
「ぐっ徐々に近づいてくるぞー!!(どっどうする!)」
『まだ最悪と決まってワケでない!
霊圧=強さとはならぬ!』
その存在は姿を現す
頭は猿
胴は狸
尾は蛇
背に羽
そう―――
『鵺《ヌエ》か!!』
相手の正体は鵺、形状は平家物語で語られる姿である
「きゃーこわいわー!!」
「なんて化け物!!」
頭を抱え怖がり始める冥子
取り乱しはしなかったが足の震えを抑える事ができない九能市
そして
(・・・今日の夕飯なんだろ・・・)
いつも頼りにしている美神がいない横島は現実逃避に走っていた
『横島!しっかりせよ!!
今はおぬしが、しっかりせねばならぬことがわからぬか!!』
「おっおう!」
なんとか帰ってきた横島が心眼に答える
『よく聞け!とりあえず最悪は免れた!!
霊圧こそ高いが、今まで封印が施されていた気配を感じる
あれほどの相手、間違いなく
近くに再封印を施せるものがあるはずだ!!』
「つまりそれを探して封印すればいいんだな!!
それなら九能市さん!!冥子ちゃん!!」
「はっはい!なんですか!!」
「きゃーこわいわー!!」
固まっていた九能市に声を掛け、状況を説明する
そのあと必死になって冥子にも説明する
「・・・わかりました!!」
「クビラ!!」
冥子は霊視能力が特化しているネズミのクビラを九能市に渡す
心眼は今回は自ら霊視を行い、封印場所を探る
鵺はすぐ近くにまで近づいていた
『我等が動かぬ限り、向こうもギリギリまで仕掛けてこぬか。
横島よ!!これは耐え凌ぐ戦いだ!!心せよ!!』
九能市は心眼に支持された場所に向かおうとする
だがそこで鵺が動く
「ヒッ!!」
猿の顔をした鵺の牙が九能市を襲う
「くらえーーーー!!」
短距離瞬間移動を使えるトラのメキラを使用して
九能市の間に割り込む横島
栄光の手で攻撃を止める
「はっはやく!!(でないと俺が死ぬ〜〜!!)」
「わっわかりましたわ!!」
九能市が戦闘区域から離脱する
「ヒョーーーヒョーーー」
鵺の息がやけに大きく聞こえる
横島はすかさず冥子の前に戻る
これは冥子の式神が生命線だからである
ここで冥子がぷっつんしたら間違いなくあの世一直線である
「めっ冥子ちゃんは俺が守るから!!」
「横島クン・・・」
ビビリながらも横島が婦女子を見捨てられるわけがない
勇気を振り絞り自分を奮い立たせる
そこに突撃する鵺
『横島よ!今のおぬしなら凌げるはずだ!!
自分を信じよ!!』
「・・・この世で一番信じられんのは自分だが―――」
鵺の攻撃を栄光の手でいなす
「俺がやられたら誰が―――」
離れた鵺にサイキックソーサーを放つ
「―――誰が守るんや!!!」
回避されたサイキックソーサーが鋭角に折れる
それは鵺の尻尾である蛇と方羽を切り殺す
「横島クン・・・アンチラ!サンチラ!援護お願い〜!!」
冥子も横島の言葉を聞き、援護を放つ
だが鵺を黙ってはいない
先ほどの攻撃で怒り横島を追い詰める
――サイキックモード発動――
なんとか発動を間に合わせる心眼
『なんとか凌ぐのだ!場所は大体限定されているため、
戻ってくるまで10分もかからん!!
ここで相手に深手を負わせろ!!』
サイキックモードの発動により何とか形成を五分に戻す
横島は右に栄光の手、左のサイキックソーサーを持ち
鵺と渡り合う
鵺にとっては先ほど尻尾はともかく
方羽を失ったのがあまりにも痛かった
それ故、すでに空中を使った攻撃は出来ない
地面での突撃しかなかった
対する横島は遠距離用のサイキックソーサー
攻防両方可の栄光の手がある
しかも今はサイキックモード
これで押せねば敗色は濃厚であった
「おりゃーーー!!」
掛け声と共に鵺の片目を切る横島
「ヒョーーヒョッ!!」
ここでお互いに距離が開く
――サイキックモード解除――
『全く封印から解けたばかりで助かった、
でなければどうしようもなかったぞ。』
「はぁーはぁー」
息が荒くなってきた横島だが、
いまだに相手からの攻撃は凌いできた
「横島クン〜、大丈夫〜!!」
「うっ、うっす!」
息を吐く暇もなく鵺が再び攻勢に出る
それを式神と共に凌いでいく
一進一退の攻防が続き―――
「大丈夫ですかー!!」
九能市の帰還
鵺は明らかに怯え始めて
いままで一番の速度で九能市に迫る
「ヒューーーーー!!!」
「いっいやぁ!!」
鵺の凄まじい形相に足を止めてしまい悲鳴をあげる九能市
――サイキックモード発動――
「やらせるかーーーー!!」
横島がサイキックソーサーを鵺に投げる
回避する鵺
操作する横島
だが今度はそれすらも回避される
「だったら―――」
バァァァァン
サイキックソーサーが爆発する
地面に叩きつけられる鵺
横島はメキラを使い瞬間移動し、九能市の元に
九能市の手には神聖な鏃《ヤジリ》
それを掴み鵺に突撃する
『鏃をヤツの体内に!!』
起き上がり反撃しようとする鵺
それをかわし
「(サイキック)スマッシュッ!!!」
「結局なんで封印が解けたんだ?」
「それですが多分、人為的な何かがあったので、
どっかのバカが遺跡荒らし紛いのことをしてたんじゃないかと・・・」
「え〜そんな理由で〜」
一向は最後の横島の攻撃で鏃が鵺に突き刺さり、
再封印する事に成功した
「あ〜あと、あの鏃ってなんやったん?」
「鏃には源頼政と書いていましたわ。
平安時代に鵺を倒した、弓の名手ですのよ!」
「博識ね〜」
談話をしていき森の出口が見える
「ところで、横島さん。再戦についてですが・・・」
「えっ、やっぱりやらなきゃだめっすか?」
ちょっと腰が引き気味になる横島
「はい・・・と言いたいですが私はあなたに二度も助けられました。
あの時は本当にありがとうございました。」
そう言いつつ丁寧なお辞儀をする九能市
「別にいいって、第一、久能一さんが鏃を見つけてくれたから、
なんとかなったんだから、お互いさまっすよ!」
「そ〜よ〜」
そして別れが近づいてくる
九能市は真剣な眼差しをし
「横島忠夫様、今までのご無礼お許しください。
そして・・・私はあなたを尊敬します」
そういった瞬間、横島が口をあける前に姿を消す(何故か顔が赤かったが
「いっちゃたね〜」
「うん、そうっすね」
二人になり家路へと歩く
「横島クン〜私〜あの時の言葉〜すごくうれしかった〜」
「えっ(あの時っていつだ?)」
困惑する横島を他所に冥子は続ける
「だから〜ありが〜とう〜」
――心眼は眠らない その9・完――
おまけ
「あ〜いつまでここでゲームしなくちゃなんないのよ!!」
「我慢してください、あと一月の辛抱ですから」
吼える美神
それを抑える小竜姫
そしてゲーム猿・・・
もう一個おまけ
「まさか横島クンがこれほどとはね〜」
実は冥子の動向を監視させていた六道女史
「ふっふっふ・・・いいわね〜このコ」
あとがき
九能市でましたね〜
ちなみに今回の鵺や鏃の設定は多少変えています(場所とか
まぁとりあえず、第1次連続フラグ立て終了です
第2次は・・・まぁまた今度
>.さん
九能市にしっかり修正しました。本当に申し訳ない・・・
喋り方はこれでOK?
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