激突した二人はどうなっただろうか?
二人を包んでいた煙が晴れていき・・・そこには二人は立っていた。
お互いに刀をギリギリの所で止めたまま。
「ちっくしょ〜!俺の方が一手多いから、やっと勝てると思ったんだけどなぁ〜」
横島は頭の数センチ上に止めていた刀を退けながらそう言うと、
刹那も刀を横島の首の近くから退ける。
折れた刀を。
【いや、我の負けだ。
見よ、武器の差が出ているとは言え、我の霊力を付与した刀が折れている】
「で、俺の刀は?って、刃毀れ一つしてないな」
【当たり前だ!?我の体で出来ている神龍神刀がこれ如きで欠けるものか!】
刹那の言葉に横島は質問をした。
「え?でも、お前の刀も結構な業物なんだろ?」
刹那は、横島の言葉に頷き話し出す。
【うむ。確かに業物だが、唯の業物に我の霊力を付与した物と、
神龍神刀にお前の霊力を付与した物では、もうお前に勝てんよ。
認めよう。今をもって、横島忠夫に『神龍拳』及び『神龍剣』の免許皆伝を言い渡す!】
そう言われた横島は、神龍神刀を鞘にしまうと刹那に渡すと片膝を着く。
そして神龍神刀を渡された刹那は、神龍神刀を両手で持つと横島に宣言した。
【我の二つの『武』を修めた事をここに認め、神龍神刀の完全継承を認める!
お主に死が訪れん限り、我と神龍神刀はお主を主と認めようぞ、横島忠夫!!】
片膝を着いて刹那の言葉を聞いていた横島は、
差し出された神龍神刀を両手で受け取ると答えた。
「これからも精進を続け、神龍神刀に相応しくあるようにします。
ご指導、ありがとうございました」
横島がそう言った瞬間、後方の家(何時の間に!?)から三人の男女が出てきて、
拍手をしながら歩いてくる。
「忠夫様、おめでとうございます」
「ありがとう、雪菜」
雪菜は横島の近くまで来るとそう言って抱きついてきた。
抱きついてきた雪菜を横島は優しく抱きとめると、軽くキスをして御礼を言った。
まあ、それなりに想っている人と三十年近くも一緒に暮らしていればこうなる、という事で。
【さすがやな、ヨコッち。たった二十数年で免許皆伝かいな】
【本当ですよ。私も後十五年は覚悟していたんですけどね】
「俺一人だったらこんなに早く皆伝までいけませんでしたよ。
疲れたり、傷を負った時は雪菜が介抱してくれた。
自棄になりそうなのを、キーやんがゆっくりと諭してくれた。
力に溺れそうになった時、サッちゃんが何で俺が力を求めたのかを思い出させてくれた。
三人が俺を助けてくれたから、今俺はここにいるんです」
そう言った横島は笑顔を浮べたが、刹那の言葉によって少し曇ってしまう。
【これならば、過去に戻るのも近いな】
「ん?・・ああ、そうだな」
【どうかしたんか、ヨコッち?急に暗くなったみたいやけど】
「いや、もう美神さん達の事をまともに思い出せないんですよ。
何が好きだったとか顔は思い出せるけど、細かい所がポッカリと穴が空いた様な感じですね」
横島がそう言うと、キーやんとサッちゃんは苦渋の色を浮べたが、何かを決心した表情を浮べた。
刹那は何も言わず、雪菜も何も言わないで横島の腕を組んでいるがちょっと嫉妬している様だ。
【横島君、過去とは言え早く皆さんに会いたいですか?】
キーやんの言葉に、俯いていた横島は顔を上げると頷く。
【なら、今から間合いの修行を再開しようと思うんですが、レベル4ではありません】
【レベル4を飛ばして、最終レベルの5をやって貰うんや。
今のヨコッちなら、レベル5を超えれるはずや】
二人はそう言うと、レベル5の説明に入った。
【いいですか、横島君。レベル5は今までとは全く違います】
【飛んでくるスピードも、ヨコッちの神速に近い速さで飛んでくるんや】
【ですので、横島君は絶えず無の歩法を使い続けなければなりません】
無の歩法とは神速とは違い、霊気風に神通力だけでなく魔力をも交ぜ、
身体全体に溜める事で発動する、横島の最終技である。
「わかりました」
【でな?飛んでくるもんなんやけど、見えんのや】
「はい?見えない?」
【水晶の短剣とでも言うんですかね。それが飛んでくるのがレベル5です】
それを聞いた横島は「(今までは何とかなったけど、今回はマジでやばいな)」と考えていた。
そんな横島に刹那が話しかける。
【大丈夫だ横島。お主はあの頃に比べれば、遥かに強くなっている。
それに気付いていないだろうが、お主は自分の間合いを把握しているぞ?
でなければ、我と対等に斬り合える訳がなかろうに】
刹那はそう言うと、自分のシャドウを神龍神刀に戻した。
「そうだな。皆を助ける為にここに来たんだしな。
これが終われば、皆の所に行ける!・・・あれ?そう言えば・・・・・・。
あ、あの、キーやん。あの時から三十年経っているんですけど、崩壊はしてないんですか?」
修行に集中し過ぎていて、今まで気付かなかった事をキーやんに聞く横島。
それにキーやんは、手をポンッと叩き話始めた。
【そう言えば、横島君にここが何処だか言うのを忘れていましたね。
ここは私達が作った仮想空間です。ここは現実で流れる時とは違った速さで進みます。
この三十年が向こうでは三ヶ月経った位です。安心しましたか?】
「はぁ〜、それならそうと早く言ってくださいよ。
じゃあ、安心出来た所で早速始めて下さい!」
横島は安堵の溜息を吐くと、神龍神刀を抜いてそう言った。
【分かりました。・・・行きますよ!】
【ほな、行くで!!】
二人は同時にそう言って、横島を挟む様な場所取りをすると、
両手を左右に広げ数多の水晶の短剣を作り出した。
その間に、横島は身体に霊力・神通力・魔力を練りこんでいた。
そして、横島を中心に360度全ての方向に短剣が浮かんだ。
【これを全て防げれば、私達と同じだけの身体能力を手に入れます】
【霊力面ではまだまだやけど、ヨコッちが意識を抑止力モードにすれば、
ワイらと同じだけの霊力は出るけどな】
「・・・いいから、始めろ。俺には時間が無い」
横島の言葉を聞いた二人は
【なってますね・・・】
【なっとるわ・・・】
と言って、肩を落とした。
横島の抑止力モードは、特に変わった所は無い。
その優しく暖かい心もそのまま残っている。
ただ、キーやんとサッちゃんの二人に対して口調が変わる位だ。
この二人はそれが嫌なだけだった。
【まあ、いいでしょう。それでは・・・】
【【レベル5、スタート!!】】
二人がそう言うと同時に、短剣は一斉に横島に襲い掛かった!!
しかし、横島の間合いに入った短剣は全てある物は粉々に。
またある物は真っ二つに切り裂かれる。
「ウウオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」
飛来する短剣を全て落としている横島の姿は、まるで舞を舞っているかのようだった。
そして、そんな横島の周りを粉々になった水晶が降り注ぐ。
それを離れて見ていた雪菜はこう呟いた。
「綺麗・・・」
とだけ。
飛来する全ての短剣を防いだ横島は、肩で息をしながらキーやん達に話しかけた。
「はぁはぁ・・・これで終わりか?」
その問いにキーやん達は真剣な表情で答える。
【いえ、後一撃ずつ行きます。全力でお願いしますね】
【ワイらの最強技や。ヨコッちの持つ、最強の防御やないと怪我じゃすまんからな】
【【行きます(行くで)!!】】
そう同時に叫ぶと、キーやんは真っ赤な槍を右手に持ち身体を弓矢の様に撓らせ、
サッちゃんはその背に漆黒の十二枚の翼を出し広々と広げる。
そして、同時に放つ!!
【ロンギヌス(聖人すら刺し殺す聖槍)!!】
【The bullet of lacquer black(漆黒の弾丸)!!】
キーやんが放つ一筋の赤き閃光!!
サッちゃんが放つ無数の黒き閃光!!
それに対し、横島が放つ技は攻撃の物ではない。
身近な人達を自分が近くにいる時位は危険から守りたいという想いから作り上げた最高の盾!!
「The deep-blue shield which keeps a smile(笑顔を守る蒼き盾)!!」
横島が両手を広げ高速詠唱でそう叫ぶと、
その名の様に横島を中心に青く輝く半球を作り出した。
そして、蒼き盾に赤い閃光と黒き閃光が着弾し、凄まじい閃光を生み出した。
だが、未だに赤と黒の閃光はその威力を弱めない。そして徐々に盾を削りながら横島に近づいていく。
それに対し、横島は全ての力を盾に注ぐ!
「ウオオォォォォォォォォォォ!!俺はこんな所で立ち止まってなんかいられないんだぁーーーーーー!!??」
横島がそう叫ぶと同時に、辺りを蒼い光が包み込んだ。
あとがき〜
申し訳ないです。いい所で今回は終わりです。多分、次回でやっと過去に戻れると思います。
実は何時頃に戻そうか迷ってます。
横島を赤ん坊の頃まで戻して、記憶を一時期封印しておく。
というのと、連載初期の少し前まで。
それと、よく見られるGS試験前です。
どれにしよ〜・・・(汗
と言う事で、読み手の方達に選んでいただこうかと(すみません、逃げに入ります
1・赤ん坊の時まで戻る
2・連載初期の少し前
3・GS試験前
です。宜しくお願いします。
PS と言う事ですので、今回はレス返しは無しです。
九尾さん、大神さん、D,さん、タマゴさん、ぴええるさん、紫竜さん。
申し訳ありません。
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