無限の魔人 第三話 〜これからの方針〜
彼の焦りは至極当然だった。この世界が完全に彼が去った後の世界だったのなら、彼はただ『ただいま』と言って帰れば良いだけだった。
だがそうはならなかった。
ここには彼になる前の彼が、普通の人間「横島忠夫」が存在している。
当然だが、彼の帰る場所は無い。
(と言うか、そんなの今更だよな・・・800年だし・・・ほんと今更だ)
苦りきったような顔で考える。
ここで出てくる選択肢。
1.横島忠夫として生きる
2.全くの別人として生きる。
(1はやっぱり無理だよな・・・・この世界の横島忠夫を殺さなきゃ駄目だし、そんな事したくないし・・・別人として生きるには名前が必要だな)
(名前、名前・・・・・似た様な名前だと感づかれそうだし、見た目は髪伸ばした位しか変わりないし・・・んー・・・シェーラの名前を考えたときも思ったが、名前は難しい)
焦りはほんの一瞬のみだったようだ。
彼は強い、感情は揺れる事があるが、揺れつづける事は無い。
故に直に平常に戻る。
[GS試験会場]
『横島選手!横島選手はいないのか?』
審判がマイクを使って会場中に呼びかけている。
『居ないなら失格になります』
会場の中心には胴着を着込んだ黒髪の男が目を閉じて佇んでいた。
『・・・仕方ない、横島選手は試合放棄と「すんまへーん、遅れましたー」
「ちょ、ちょっと横島君!こっち来なさい!」
「あんた勝てると思ってんの? 相手はメドーサの手下なのよ! 死んだらどーすんの!」
『ゴホン、横島選手やるのかね?』
「あ、はいやります」
「ちょ、待ちな「美神さん、大丈夫ですよ心眼も居ますし。」
【其の通りだ、私も出来る限り補助しよう】
「んなっ、丁稚と手ぬぐいの分際で〜!!私に楯突こうっての!?」
美神の額には(怒)マークが二つほど。
【て、手ぬぐい『早くしてくれないかね』・・・】
心眼も怒り心頭のようだが、審判の為に怒りを無理やり静める。
「し、心眼も美神さんも落ち着いて・・・・試合も始まりますから」
冷や汗を掻きながら宥める横島忠夫。
[会場・外]
(へー、雪之丞戦か・・・やっぱり少し変わってきてるな。俺の影響か?)
GS試験会場の外で文殊を使用しながら中を観戦している彼。
先ほどとはまた少しだけ格好が違う。
黒いサングラスをつけ、髪は一本の長い紐でまとめている。
黒く長い尻尾が出来上がっていた。
(変わってるって事は、心眼はこのまま消滅しないって事には・・・・なりそうも無いか。)
彼は800年前の事を思い出している。
そう、その時に感じた感情までも。
(心眼は消滅させない。俺の二人目の師匠だしな。でもどうやって助ける・・・・どうする)
・
・
・
・
(よし、この方法でいくか!)
彼は決めた。あの時助けて貰って消滅してしまった心眼を助けると。
それだけが理由でもなかった。
そう、彼は寂しかったのだ。
無限の魔人 第三話 〜これからの方針〜
end
設定
<原作との相違点について>
原作とはかなり違う所があります。
例えば文殊の効果範囲に、人物の一人称など・・・
ぶっちゃけ原作ぶち壊す可能性あります。
気にしたら負けです。(多分
<文殊について>
この作品の文殊は原作に語られるほどの【万能】ではない。
確かに文殊は力の流れを100%コントロールする事は出来る。
だが、物質を1から作り出す事は出来ない。
物質に影響を与えることは出来るが、性質を変えることは出来ない。
つまり、硬いものを柔らかくしたり、柔らかいものを硬くしたりなど出来様はずも無い。
(原作では「柔」の文殊で地面を弾力のあるものに変えていましたが、無限の魔人では出来ません! お間違いなく!)
水は氷に出来るが、弾力を持たせる事は出来ない。性質が変わってしまうから。
霊力や魔力、気などの力は操れるが、物質を生み出したりは出来ない。
例えば[剣]を物質として作り出す事は出来ないが、霊力を物質化したものを剣の「形」にすることが出来る。
あとがき
心眼を助けよ〜ぅ! 別に周りに影響されたわけでもないですが・・・あの美神と対等に渡り合う事が出来るナイスキャラを失うのは惜しい!!と考えました。
次話では800年ぶりに心眼との再開です。お楽しみに。
今、第九話執筆中ですが・・・会話で全てが終わるっ!話が進まないっ!説明文多すぎ・・・ああああ・・・。
ネタ切れ中、謎が消えていく・・・。
レス返し〜 レスで返しましたが、返しきれなかったのを!
>トレロカモミロさん
ラプラスの苦悩を想像していただくだけで嬉しいですねー。成功した!って気が します。(何が
>水カラスさん
>俺の知ってるラプラス(原作)とは口調が違う?
一人称とか……(原作:私)
>ま、気にしない気にしない。
その通りです!気にしてはいけません(力説!)じゃないとアレが!!
アレが・・。
>未来からやってきた存在がいたりすると、未来が増えると認識する様ですが、 美神家の時間移動の時もそうだったのかな?
↓で説明します!
>匿名希望さん
>いや、同じ時間軸の中の存在がその軸のどこに移動しても、同じ時間と言う名 >の川の流れの中にあるモノですから、既にラプラスの知覚の範囲なので意味 >が無いかと。
私の考えではちょっと違いますね。
過去に逆行する事ですら「決まっている未来」という事です。ですので、基本 的に過去を変えることは何人たりとも出来ません。例え美神○○○さんが過去 に戻っても、戻る事も含めて「歴史通り」な訳です。
>川の外、外れた全く別の世界から投げ込まれた石(岩?)だからこそ、川に >揺らぎを与えられたのではないかと
その通りですね。外からで無いと影響を与える事は出来ず、飲まれてしまうと 思います。
皆さんレスどうもありがとー。
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