▽レス始▼レス末
「皆の笑顔の為に・・・ 第十一話(GS)」ファリス (2004.12.14 05:43)



サッちゃんに落とされた横島は暗闇の中に立っていた。
いや、立っているのかすら不明確な場所にいることだけが分かった。

「さて、武器を手に入れろって言われてもな〜。こんな暗闇の中でどうしろって言うんだよ・・・」

恐らく前に進んでいると感覚的に感じ取っている横島は愚痴りながらも歩を進めて行く。
すると、前から鈴の音の様な声が聞こえてきた。

『あら?ここに誰か来たのですか?』
「(綺麗な声だな)え〜と、誰かいるんだったら姿を見せて貰えませんかね〜?」

心の中で賛美を呟くと、少し離れた前に誰かの気配を感じた横島は呼びかけた。

『あらあら、お客様ですか。直ぐに御持て成ししないで申し訳ありません』

そう言いながら横島の前に姿を見せたのは、見目麗しい女性だった。
顔は綺麗に整っており、髪と瞳の色は藍色で腰まである髪は真直ぐに下ろし、肌も透き通る様な白で、
着ている物は着物で瓶のぞき(かめのぞき)と言われる薄青味をおびた藍色と、
青に近い色で統一されているにも関わらず可笑しな所が一つも無く、
足運びも凛としていて美しいの一言だった。しかし、何処か妖艶な物も同時に感じる美しさだった。
それは、美神等の美人を見慣れている横島も例外では無く、その姿に見惚れていた。

『・・・この殿方も、私を手に取るには値し無い方なのね』

彼女は何処か寂しさを感じさせる声でそう言ったが、次の横島の行動でその反応を真逆にする。

「美しいお嬢さん!?今から俺と最高の一日を過ごしませんか!?」
『あら!?貴方、私に近づいても何も感じないんですか?』

目の前の男が自分に近づいても、過去に自分に近づいて狂った男達と違い、
正気の色を瞳に宿しながら自分に声を掛ける事に心底驚いていた。

「へ?ん〜、まあ何か甘ったるい匂いはするけど、それだけですね。
それがどうかしたんですか?・・って、うわぁ!?」

横島がそう言うと女性は静かに涙を流し、横島の胸に飛び込んだ。
その行動に驚いた横島は声を挙げてしまうが、天然誑しのこの男は泣き止むまで優しく抱きしめていた。

「落ち着きました?」
『グスッ・・はい。申し訳ありませんでした。急に泣き出してしまって』
「いえ、それはいいんですけど。急に泣き出すなんて、どうしたんですか?」

横島がそう聞くと、女性は花が咲いた様な笑顔を浮かべて話だした。

『唯、嬉しかったんです。・・・お恥ずかしい話、先程貴方が感じた匂いは私から出る体臭と言いますか、
それに似た物なんです。それでですね、あの匂いを嗅いだ殿方は一様に性欲が際立って、
手近な女性・・・私の事なんでけど、を襲うんですね。自分の意思と関係無く。』
「な!?つまり何ですか?貴方は好きでも無い男に無理矢理されてしまうって事ですか?」

横島の言葉に、雪菜は頷き話を続ける。

『先ずは私の自己紹介からしますね?私の名は雪菜(ゆきな)と申します。
この世で最強と最凶の二つ名を持つ『神龍神刀』に宿る魂です。
そして私のこの匂いは、その選定の意味があります。つまり心の強さを測る為です。
でも、今までここに来た人は全員が狂い、私を犯し、去って行きました・・・。
でも貴方は狂う事無く、私を優しく抱きしめてくれました。
ですから、貴方の心は十分に『神龍神刀』を手に取る資格があります』
「なるほど、そう言う事ですか。辛かったですね。で、一つ聞きたいんですけど『神龍神刀』って何です?」
『えっ!?貴方は『神龍神刀』を手に入れる為にここに来たのでは?』

横島は雪菜を優しく抱きしめながら労いの言葉を掻けると、『神龍神刀』について質問した。
横島の質問に、心底驚きながらも問い返す雪菜(抱きしめられて頬を染めたのはご愛嬌)。
その質問に横島は顎に手を当てて考え出した。

「もしかして、キーやん達が言ってた武器ってこれの事か?」

考えながら呟いた名前に雪菜が反応して、横島に問いかける。

『そのキーやんと言う方は、もしや神界の最高指導者では?』
「でもな〜・・ん?そうですけど?」
『そうですか。やっと分かりました。最高指導者様達が貴方をここに寄越したんです。
貴方に『神龍神刀』を手に入れて貰う為に』
「なるほど、ね。じゃあ早速、その『神龍神刀』ってのをお目に掛かりますか」

横島はそう言うと、何時の間にか目の前に現れていた、台座に突き刺さった一本の刀に近づいていくと、
近づいていく横島の後ろに立つ雪菜が注意事項を横島に伝える。

『柄を握った瞬間から貴方の心を試す試練は始まります。所で貴方のお名前は?』
「俺の名前?俺は横島 忠夫。この世界の抑止力だよ」

横島の自己紹介聞いた雪菜は驚愕の顔を浮かべるが、横島はそれを気にした様子も無く柄を握った。
すると、横島は意識の中で一匹の白く巨大な龍と対峙していた。


【汝が、我の試練を始めて受ける者か・・・ふむ、力はそれなりだな】

横島を見極める様に眺めていた白い龍の第一声がそれだった。

「試験を受ける前に聞きたい事がある」

そう言った横島の声は何時もの暖かい声では無く、聞いた者を凍らせる様な冷たい声だった。

【何だ】
「雪菜さんのあの試練はお前が考えた物か?」
【そうだ】

横島の質問に淡々とだが、すぐさま答える龍に怒りを横島は覚えた。
まだ会って数分だが、彼女の心根が優しく魂の輝きは美しい物だと横島は感じていた。
そんな彼女に、あんな試験をさせていた存在に横島は本気で怒りを覚えていた。
しかし、横島も気付いていない事実がある。そう、試験は既に始まっている。

「お前は、あんなに綺麗な魂の輝きを放つ彼女に、あんな事をさせていて何も感じないのかよ!?」
【それが、雪菜の役目だ。我はその役目を遂行させているだけだ。しかし分からんな。
何故汝がそこまで怒る?汝に雪菜は関係なかろう?しかも、まだ会って数分ではないか。
まさか、一目惚れをした。等と言う答えでは無かろうな?】
「だったらどうした?」
【クハハハハハ!!これは驚きだ!本当に雪菜に惚れたか!?
汝も雪菜の話を聞いただろうに。雪菜は数多の男に抱かれた汚れた女だぞ?】

龍の言葉を聞いた横島は奥歯をギリッと噛み締めて怒りに耐える。
柄を握らず空いている左手は、余りに強く握り過ぎた為に皮を突き破り血を垂らしていた。

実際に横島は、雪菜に一目惚れをした訳ではない。
唯、その役目を受け入れている雪菜をほおっておけないだけだった。

「オイ・・・その腐った口を閉じろ、臭くて鼻が曲がる」
【何だと?我の機嫌を損ねればこの刀は手に入らんのだぞ?それでもいいのか?】

龍の言葉を鼻で笑った横島は答える。

「こんな糞ったれな刀がいるか。現実に戻ったら叩き折ってやる」
【しかし、汝は力が欲しいのだろ?だからこの刀の柄を握ったのでは無いのか?】
「ああ、確かに俺は力がいる。だけどな、俺が欲しいのはこんな力じゃない」

龍は横島の言葉に興味を持ったのか、その言葉について質問した。

【ほう・・・では、汝はどの様な力を欲しているのだ?言っては何だが、我の力は刀剣類では最強だぞ?】
「俺が欲しい力は、誰かの犠牲の上に成り立つ様な力じゃ無い。
誰もが笑顔を見せて笑っていられる世界を作る為の力が必要だ。
お前の様な腐った力じゃない。こんな力、頼まれたって貰うかよ」

横島の答えを聞いた龍は心底楽しいと言った感じで笑い始めた。
横島は自分の想いを笑われた様に感じ、先程のやり取りも相乗効果で切れかけたが、
次の龍の言葉でその怒りは四散する。

【クックック・・・ハッハッハッハッハ!!】
「何がおかしいんだよ!?」
【いや、すまんすまん。汝の答えが嬉しくてな】
「はい?」

先程までの龍の雰囲気がガラリと変わった為、横島も呆気に取られた。

【いや、ここまで真直ぐな想いと言うのは見た事も聞いた事も無かったのでな。
おお、そうだ。汝には言っておかなくてはな。雪菜は純潔だから心配するな】
「はあ!?いや、だってさっき、・・・あれ?」
【すまんが、汝の心を試させて貰った。何の為に力を欲するのか。
そして、我を手に入れた後でもその想いが変わる事が無いか、おな。
今までも数人、我の柄を手に取った者がいたが、どれも性根が腐っておってな、我も諦めておったのだよ。
雪菜の記憶を少し変え、犯されていると言う記憶を植え付け、それに耐えた者が手に取るのだが、
先ず初めに言ったろう?『汝が始めて受ける者』と。
大概の者があの言葉で心の黒い部分が浮かび上がるのだよ。
最初は汝と同じ様に、雪菜の試験方法を問い質すつもりで受けるのに、な】

龍は悲しげにそう言った。

「にしても、随分と悪趣味な試練だな・・・」

横島の言葉に龍は苦笑して答える。

【そう言うな。我が刀剣類で最強の力を持つのは本当だ。
そして手に入れる事が出来、振るう力があればまず勝てる者はいなくなる。
但し、振るえたとしても力に堕落すれば魔に落ちるがな。
それほど、我を手に入れる事は危険なのだよ。
まあ、そこから最強と最凶の二つ名が付いたのだがな】
「で、俺は試練に合格か?」

横島の言葉に龍はその長い首を縦に振る事で答える。

【うむ。文句無しに合格だ。・・・では、継承の儀式を始める!
我が銘は『神龍神刀』!我が名は神龍!我はこの二つの名を持ちて、汝を主と認めん!
今、汝の名を掲げよ!】
「俺の名は横島忠夫!」
【では、横島忠夫よ!汝は何故力を求める!】
「俺が力を求める理由は、大切な人を守る為!どんな者達も笑って過ごせる世界を作る為だ!」
【その道は長く険しく、汝は戦い続ける事になるだろう。それでも、その想いを違える事は無いか?】
「ああ。この想いは絶対に変えない!」
【汝の言葉、我が心に響いた。我は汝を信じ、汝と共に歩もう!】

龍は最後にそう叫ぶと、天に向かって咆哮を挙げる!!

【グウォォォォォォォォォォォォォ!!!】

それは、今まで表舞台に立つ事が無かった最強の刀が挙げた産声だった。


十二話い続く。


あとがき〜
横島に武器が手に入りました〜。
それに雪菜と言うオリキャラもやっと出せたしw
彼女は和服美人ですw

P,S 今回の作品は、どうやらレスの数を見る限りあまり受けいられていない見たいですが、
楽しみにしていてくれる方が数人いらっしゃるので、絶対に完結させますのでご安心ください。

それでは次回予告!
自分の力に耐えれる刀を手に入れた横島!
ついに修行も本格始動!その修行は熾烈を極め、横島は死に掛け捲る!
果たして、横島は無事に過去に行けるのか!?


レス返し〜
D,さんありがとうございます。
>あと、抑止力って出てる文字が『HERO』ってせりふに・・・・・
って、どういうことでしょう?ちょっとわかんなかったです。

九尾さんありがとうございます。
>神魔の翼かっこいい〜〜〜!!!やはり右が黒で左が白ですか?!
>うおおおお!!!すごいぜえええ!!!今回はそこだけですごくハッスルしてます!
本当にハッスルしてますねw でも、かっこいいと言ってくれてありがとうございます。
マジで嬉しいです。

ZEEKさんありがとうございます。
初めまして、ですねぇ〜。レスありがとうございます。
>横島はどう足掻いても、指導者にとってはただの玩具w
はい、ぶっちゃけその通りです。まあ、あの二人ですからw

大神さんありがとうございます。
>苛められ過ぎて、性格変わらなきゃ良いんですがね(笑)
そうですね〜wまあ、あの横島ですから大丈夫でしょう。・・・多分w

MAGIふぁさんありがとうございます。
>もうちょい口汚く最高指導者ズにルシオラ落とさして
うぅ、すみません。あんまり酷い事書けなかったんです・・・。
あの悲しい最後が頭に浮かんで浮かんで・・・。
その所為で、不快に思ったのなら申し訳ありませんでした。


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△記事頭
  1. はじめまして、神逆と言います。
    先程、全て一気に読ませてもらいました。
    内容も素晴らしくて感動しました。
    これからも頑張って下さい。
    神逆(2004.12.14 08:37)】
  2. よくぞ怒った横島!それでこそ横島!
    実際は何もなかったようですけど、それでも横島は怒る理由があったと思います。実はつくられた記憶ですと言われても、本人が区別つかないほどリアルに犯されてる記憶なんか植えつけられたら女としては同じことだと思いません?つくりものなぶん後から完全に消せるなら話は別ですが。例えば横島が仮に幻だったとしても目の前で美神たちが強姦されてる光景見せられたら許せるもんじゃありませんよ。
    でも、それくらいしないと危なすぎる力なのもわかります。今まで試した相手は、そのまま力を渡してたらどのみちそれを実行してたようなのばかりだったんでしょうし。だったら嘘ですまして不合格にすべきです。・・・やっぱり試練ってきついもんですねえ。
    最後に一つだけ言えるとしたら、これは俺が勝手に雪菜さんを哀れんでるだけで下手すればバカにしてることになるんですけど。でも・・・泣いてましたよね。
    九尾(2004.12.14 09:20)】
  3.  一瞬ランスの日光さんのノリですか・・・・・・・現実世界に戻ったら雪菜は横島のパートナーになったりして・・・・・
     あと、フェロモンって・・・・カフェ・アートフルですか(^^;;;;;

     最後に!試験に受けにくるのは男しか居なかったのだろうか・・・・・
    D,(2004.12.14 12:08)】
  4. まぁ読んでしまえばそれぞれに不愉快な試練ではありますが、そもそも愉快な試練ってありえないでしょうし^^;
    ncro(2004.12.14 15:06)】
  5. こんにちわ、AKと言います。
    すごく面白かったです。
    これからも、もっとこの作品がみたいので頑張ってください。
    AK(2004.12.14 15:42)】
  6. 試練ってのは・・・己が内に潜む欲望に
    負けず!飲まれず!乗りこなす!ってな感じですかね〜
    己が希望に迎い進め!横島〜〜〜〜d(-ω☆) グッ!!
    大神(2004.12.14 17:49)】
  7. 続きを楽しみにしています。
    完結までつっぱしってください!!
    ラグ(2004.12.14 18:05)】

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