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「まぶらほ〜闇人の巻〜第二章」B-クレス (2004.12.14 01:08)



 夕菜、凜、玖里子の襲撃の翌日の2-B

 そこは、半ば賭博場となっていた


 「さぁさぁ、今日転校して来る奴は男か女か!!

  今は男が6、女が4だ、さぁ、もうかける奴はいないか!!」

 「手に入った情報によると、男らしいわよ」

 「情報のソースはどこだ!!証拠を出せ!!」

 そう、2-Bに転校して来る生徒が男か女かで、賭けが行われているのだ

 そんな中でも、和樹ともう一人はいつもと変わらず・・・

 「Zzzzzz・・・・・Zzzzzz・・・・」

 熟睡し続けていた、周りの喧騒など、何も気にしていないといった感じで

 ちなみに、もう一人とは、2-Bの眠り姫とも言われている春永那穂であり

 葵学園生徒で唯一、和樹の睡眠時間に匹敵する睡眠時間をとっている人物だった

 もっとも、それが誇れるかどうかは別として・・・・

 「こら、とっとと席に着け」

 持病を8個持っていると言われている2-Bの担任の先生が

 いまだに賭けを続けようとしている生徒達を着席させる

 先生は、全員が着席したのを確認すると、ゆっくりと口を開いた

 「え〜お前らならもう情報は掴んでるんだろうが

  今日、このクラスに転校生が来る

  決して、お前らみたいな人間にしないように、じゃあ、入ってきたまえ」

 先生が、生徒達に軽く、意味のない釘を刺したうえで

 おそらく廊下にいるのであろう、転校生に入ってくるようにいった


 その声に応える形で、ドアが開き、桃色の髪の女生徒、夕菜が入ってきた

 夕菜は、先生の隣辺りまで歩くと、立ち止まり、2-B一同の方を向いた

 「はじめまして、宮間夕菜といいます

  転校してきたばかりで色々ご迷惑をかけるかもしれませんが

  精一杯がんばりますので、これから、よろしくお願いします」

 そういって、夕菜はお辞儀した

 それと共に、2-B一同の空気が、2度ほど上昇した

 「あ〜・・・一時間目は私の授業だから、特別に自習とする

  宮間の席は・・・式森の隣が空いてるな、そこに座るように」

 その温度の上昇を悟った先生は、そう言うと、腹を抑えながらでていった

 おそらく、保健室に胃薬を貰いに行ったのだろう


 先生がいなくなり、夕菜が席に座り、道具を置くと即座に

 2-B一同(一部除く)が一瞬にして包囲した

 「趣味は?」

 「好きな人とかはいるのか!?」

 「株に興味ない?絶対儲かる株があるんだけど」

 「俺と付き合ってみないか!!」

 そして、包囲するや否や、一斉にそう夕菜に話かけたのだ

 流石に夕菜も唖然として、何の反応も出来なかった

 そして、夕菜の反応がないにもかかわらず、2-B一同はどんどん質問攻めをしていた


 そんな喧騒から離れている一部生徒達・・・・

 まずは、春永那穂と式森和樹ペアは・・・

 「ZZzzzzzz・・・・・」

 まったく動じる事もなく、微動だにせずに、熟睡していた

 次に、杜崎沙弓、松田和美ペアは・・・

 「・・・相変わらず、飽きもせずに・・・」

 「私も・・・ちょっと前までああだったのかぁ・・・」

 二人は、夕菜の意思を無視したまま爆走している2-Bの面々を見て

 半ばあきれるような口調で、そう言っていた

 「そうよ、和美もちょっと前まではああだったのよ」

 「うっ・・・改めて言われるときくわね

  まぁ、いいわ、今は違うって言う事だしね」

 和美は、そう言うと軽く笑みを浮かべながら、何処からともなく

 ペットボトルに入ったお茶を二つ取り出し、一つを沙弓に渡した

 「ん?」

 沙弓は、受け取りながらも、疑問に思っていた

 「礼の残りよ、後8本だったわよね?」

 沙弓はその言葉に合点がいったのか、笑みを浮かべてそのお茶を飲んだ

 「しかし・・・和美がこうも変わるとはね」

 「言わないでよ、私のほうが驚いてるんだから

  でも・・・あんな事があって、変わらない方がおかしいんじゃないの?」

 和美の言葉に、沙弓は深く頷き、どこか悲しげな顔をした

 「・・・和美、いつか、和美にもお願いするかもしれないけど・・・」

 「そのときがきたら言って頂戴、断る気なんてないから」

 和美は、沙弓の言葉を半ばさえぎるような早さで、返答した

 沙弓も、それを聞くと再び笑みを浮かべ、お茶を、もう一口飲んだ

 

 「全員落ち着け!!宮間さんが困ってるじゃないか

  ここは俺が代表して質問する」

 ある男子生徒・・・2-Bの首領的存在である仲丸由紀彦が、そう宣言した

 その宣言に、流石に埒が明かないと思っていたのか、2-B一同は静まり返った

 「まず、俺の名前は仲丸由紀彦

  宮間さん、まず最初に、好きな人はいるのか?」

 仲丸が、まぁ、男子ならではの優先事項を、一番最初に尋ねた

 もっとも、この2-B生徒間では、好きな人の名前を漏らすということは

 自分の弱点を教えるようなものなので、男女問わず聞き耳を立ててたりする

 「えっと・・・います

 夕菜は、顔を真っ赤にしながら、そう答えた

 「できたら、名前とか聞けるかい?」

 仲丸は、そのまま弱み(その人物の名前)を聞き出そうと、質問を重ねた

 「その・・・・そこにいる・・和樹さんです

 夕菜も、馬鹿正直に、好きな人を答えていたりする

 そして、その夕菜の答えをきいた瞬間

 夕菜を包囲していた面々が、一斉に熟睡している和樹の方を向いた

 「えっと・・・念のため聞くけど

  宮間さんが好きなのは、この爆睡している式森で間違いないのか?」

 仲丸が、もう一度、夕菜に尋ねる

 夕菜は、真っ赤になりながら、コクンと、頷いた

 

「「「おきやがれ式森〜〜〜!!」」」

 
 2-B男子生徒全員が、各々出る限りの音量で、和樹を起こそうとしたが

 「Zzzzzzzz」

 当の和樹は、なんら意に介さず、いまだに熟睡し続けていた

 「ふふふ・・・いい度胸じゃないか

  杜崎や山瀬だけじゃなく、まさか宮間さんにまで手を出しているとはなぁ

  しかも、俺達の呼びかけにも答えないこのふてぶてしさ・・・

  皆!!ここは式森を真人間に戻すためにも粛正すべきではないか!!」

 仲丸の叫びに、ほとんどの生徒が賛成の声を上げた

 そして、仲丸が魔法発射体勢に入ると、ほかの生徒も一斉に真似をした

 夕菜は、そんな光景に唖然としていて、現実に戻ってくると止めようとしたが

 「はいはい、夕菜も少し離れておきましょうね

  近くにいると巻き込まれるだけよ」

 いつの間にか近くにいた沙弓が、夕菜を引っ張って和樹から離れていたりする

 夕菜は、その事で再び呆然としたため、完全に止めるタイミングを失ってしまった

 「沙弓さん!!何をしてるんですか!!

  和樹さんは無防備なんですよ!!」

 次々と発射体勢に、挙句の果てに結界を張って逃がさない様にしている生徒達を見て

 夕菜は、沙弓に対して非難の声を上げた

 「宮間さんは知らないんだ

  和樹を傷つけるにはあの程度じゃあ無理よ

  一個師団クラスの魔法じゃないと無理なんじゃないかしら?」

 「それは私も同感よ

  まぁ、夕菜も落ち着いてみてなさい

  和樹の力の一部を・・・・ね」

 沙弓がそういい終わると共に、一斉に魔法が放たれた

 爆音が響き、煙が充満していく中で、夕菜は、思わず和樹の方から目をそむけた



 しばらくして、煙がはれていき、和樹の姿が明らかになったと共に

 「くそっ!!また結界を張ってたのか!!」

 仲丸の苛立ちの声が響き、それと共に、夕菜は和樹のほうを改めて向いた

 そこには、紙が、そう、和樹の机の上にある開かれた本のページが

 和樹を覆うように和樹を原点とした同一円周上を、回り続けていた

 「あ・・・・あれは・・・一体」

 夕菜は、その光景を見て、呆然としていた

 「あれが和樹の強さの一部よ

  『ネクロノミコン』を原型として、五年がかりで和樹が書いた魔道書

  その魔道書を行使することで、あれみたいな結界とかを作ってるの」

 沙弓は、夕菜の方を向きながら、そう言った

 「でも・・・それだと・・・魔法回数の方は・・・」

 「減らないらしいわよ?

  私も和樹に聞いただけなんだけどね

  自然に溢れている『マナ』を自動で蓄積する術式を本に組み込んだらしくてね

  その『マナ』が十分溜まってたら、魔法回数を消費せずに

  あの本に書かれている魔法なら、使えるそうよ」

 沙弓の隣にいた和美が、夕菜の質問に答えた

 夕菜は、それを聞き、呆然としながらも、和樹の凄さを実感していた

 魔道書と呼ばれるものの多くが、自ら魔力を持つ事は、夕菜も知っていた

 だが、それらの魔道書は、多大なる犠牲を払って作られた物ばかりなのだ

 だが、和樹の使っている魔道書は、和樹自身が書いた物だという

 それも、魔道書を記すには短すぎる期間、僅か五年で書かれたものだ

 それなのに、その魔道書による結界は、魔法を完全に防ぎきっていた

 それだけでも、和樹の知恵がとてつもないと言う事がわかるだろう

 良質の魔道書を書く際にもっとも必要となるのは、魔力などではなく

 その魔道書に組み込まれる魔術式の高度さ、精密さなのだから


 「でも・・・和樹さん、ネクロノミコンを原型にしたって言う事は・・・

  ネクロノミコンの原書か、写本を見た事があるんでしょうか?

  もしそうだったら・・・そっちを使った方が早いような・・・」

 夕菜が、もっともな疑問をあげた

 基にした魔道書があるなら、そっちを使った方が早いに決まっている

 魔道書を書けるだけの知恵があるのなら、その原型の魔道書も扱えるだろう

 まして、ネクロノミコンは魔道書でも最高峰に位置する魔道書である

 それなのに、なぜわざわざ和樹は自分で魔道書を書いたのだろうか?

 
 「ん〜・・・和樹が言うにはね、第一に

  ネクロノミコンじゃあ、火力が強すぎるって

  和樹は、あくまで護身用の魔道書を欲してたそうだから

  ネクロノミコンレベルだと、火力がありすぎるっていってたわ

  次に、和樹、ネクロノミコンの原本を参考にしたらしいんだけど

  参考にするためにネクロノミコンを読んでる間、毎日のように

  『ゴスロリを着た幼女』の夢を見てたらしいの

  しかも、最初にその夢を見てから、ネクロノミコンを読んでる最中も

  何処からともなく、その夢に出た『ゴスロリを着た幼女』の声が聞こえてたらしいの

  だから、和樹は自分で魔道書を書く気になったっていってたわ」

 沙弓は、夕菜の問いに答えながらも

 いつの間にか足元に飛んできていた魔道書のページに気付かずに

 そのページから発動した魔法で地面に飲まれていく2-B一同を眺めていた


 ちなみにその魔法、相手の足場にある空間と

 まったく別の場所の空間をつなぐ事で、強制転移させる魔法だったりする

 飲まれるように沈んでいくのは、和樹の悪戯心によるものであるが・・・

 「今回は何処まで飛ばされるのかしらね〜?」

 和美も、その光景を見て、どこか楽しげな口調でそういっていた

 「・・・まぁ、二時間目までには帰ってこれる範囲だと思うわよ」

 仲丸が、必死に沈まぬように頑張っている光景を見ていた沙弓が

 飲み終えたお茶のペットボトルを、仲丸に向かって投げつけ

 それが仲丸の頭にクリーンヒットすると、仲丸も、力尽きたように沈んでいった

 「これで全員か・・・和樹を起こして発動止めてもらわないとね」

 沙弓はそう言うと、いまだに少しずつ飛び散っているページをかわしながら

 和樹の真横に飛び降り、和樹を揺さぶり起こしていた

 夕菜は、そんな光景を見ながら、再び呆然としていた

 「ん〜・・・まぁ、宮間さん、早く慣れることね

  このクラスじゃあ、これが日常茶飯事だからね」

 和美は、そんな夕菜を見ながら、苦笑しつつそう言った

 

 和樹が沙弓に起こされてまもなく、魔道書による魔法は収まり


 沙弓の予想通りに、二時限目が始まる前に、飛ばされた一同は教室に戻ってきていた


 夕菜は、そんな光景に頬を引きつらせながらも

 できるだけ、和樹の傍に居たい一心で、2-Bに入らせてもらった事を後悔していたりした

 

 ちなみに、夕菜が転校してきてから、このような光景は週に一度は見られるようになった

 以前は、一ヶ月に一度だったので、その非常識さに磨きがかかった事がわかるだろう

 ちなみに、その騒動の中、和樹が沙弓に起こされる前に起きた事は

 唯の一度も、そう、一度もなかったりする

 

 非常識でありながらも、それが日常となっている2-B

 夕菜が2-Bに適応するのも、実はそう遠くない未来だったりする・・・












 あとがき

今回は、2-Bの光景・・・っぽいものでした(ぉぃ
次回が、エリザベート編になる予定です
しかし2-B一同・・・動かしづらいですねぇ・・・というか動かない
結局、今回出たのはほんの小数だけでした・・・・orz
機会があれば、2-Bの面々が暴れる光景も描いていきたいと思います
ちなみに、和美が変わったのは、夕菜が来る一ヶ月ほど前です
まぁ、中学時代の三人の出会いと騒動と
今回の和美の変化のきっかけの騒動も、機会があれば書こうと思います
要望があるのでしたら過去編が先になりますが
では、生暖かいまなざしで、次回をお待ちください

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△記事頭
  1.  和樹はアルと契約できるかもしれないと・・・・もしかしたら火力が強いのは、アルが和樹を気に入ってるからとか?
     そして!和樹が魔導書を作れるとは・・・・凄いです!!!

     最後に!和美もすでに落としてるとか?
    D,(2004.12.14 02:07)】
  2. ネクロノミコンが火力が強いから、そんな理由で自作で魔道書作製とは………
    和美もまともっぽいですね。夕菜が何処まで普通でいるか楽しみです。
    こうなった原因はやはり和樹が使った魔法のせいで出来た歪みで夕菜がこうなったとか?!
    雷樹(2004.12.14 03:50)】
  3. ・・週に一度、こんなんか。まぁ、適応するしかありませんが・・B組にか・・。慣れって怖いや。
    しかし凄いですなぁ、魔導書自分で書くとは・・。和美の変化のきっかけの騒動も気になりますねぇ。
    柳野雫(2004.12.14 05:13)】
  4. 常識人になった夕菜が二年B組についていけるか心配になりました。
    この夕菜なら攫われても和樹は助けそうですね。
    ここの和樹ならべヒーモス戦がどうなるか楽しみにしてます。
    千早と沙弓はすでに和樹の恋人ですか。
    二年B組の連中は相変わらずですか。
    夕菜が担任みたいにならないように祈ってます。
    紫苑(2004.12.14 08:51)】
  5.  魔導書を使って回数を減らない仕組みを作るですか。なかなか、頭のいい和樹くんですね。
     ところで、『ゴスロリの幼女』と聞いて『コゼットの肖像』を思い浮かべたのは私だけでしょうか?
    ほーる(2004.12.14 10:01)】

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