▽レス始▼レス末
「彼が歩む道 改め 皆の笑顔の為に・・・ 第九話(GS)」ファリス (2004.12.13 01:13)


※少し長くなってしまいましたが、ご了承ください。


雪乃丞達と別れの挨拶を済ませた横島は、まず魔鈴の前に立った。

「魔鈴さん」
「横島さん、お元気で・・・って可笑しいですよね?これから過去に飛ぼうっていう方にこんな言葉」
そう言った魔鈴の瞳から、一筋の涙が流れた。
「そう言えば、さっきの商品をまだ渡してませんでしたね?」
「え?・・んっ!」
横島はそう言うと、親指で涙を拭うと触れるだけのキスをした。
「横島さん・・・ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ。今までとても暖かい食事をありがとうございました」

「シロ」
「せんせぇ〜、拙者も一緒に行きたいでござる〜」
「バカ。俺がいなくなった後、誰が美神さん達を除霊の時に手助けするんだよ。
お前がいるから、俺は安心して過去に行けるんだ」
言い終わると、横島はシロの頭をポンポンと撫でた後、
「さっきの肉団子うまかったぞ。それと、お前の気持ちに応えてやれなくすまんな」
と言って、シロにキスをした。
「拙者、先生の事を忘れても、先生の教えは絶対に忘れないでござる!」
「ああ、頼むな」

「タマモ」
「横島ぁ〜〜」
「おいおい、泣くなよ〜」
「だってだってぇ〜・・・」
「たくっ。これからも皆と仲良くな。これからは一人で生きていく必要なんてないんだからな?」
「うん!うん!」
「ほら、最後なんだから、泣き顔じゃなくて何時もの笑顔を見せてくれよ」
横島がそう言うと、タマモは泣き笑いだが確かに笑顔を横島に見せた。
その瞬間、横島はタマモにキスをした。
「ありがとうな、タマモ。楽しかったよ」

「エミさん」
「何よ。さっさと行くワケ。思ったけど、私ってとことん男運が無いワケ。
好きになった男全員手に入れれないワケ」
「・・・すみません」
「ちょっと、謝らないでよ!勝手に好きになったのは私なんだから、謝られると惨めなワケ」
「わかりました。でも、これだけは言わせて下さい。ありがとうございました」
「なっ!?」
「俺が挫けそうになった時、立たせてくれたのはエミさんでしたから。
これはその事とさっきの料理のお礼です」
横島はそう言うと顔を近づけていき、キスをした。
キスをした瞬間、エミは一滴だけ涙を流した。

「おキヌちゃん」
「横島さん・・・」
おキヌは静かに涙を流していた。
「ごめんね、おキヌちゃん。二回も告白してくれたのに、応えてあげられなくて」
「仕方ないですよ。だって、横島さんですもの。
優しすぎていつも自分だけ損な役回りをする馬鹿な人。そんな横島さんを好きになったのは私ですから」
「ははは、本当の事だから言い返せないね。・・・何時までも優しいおキヌちゃんでいてね?」
横島はおキヌが答える前にキスをした。
「・・・はい。横島さんも優しい横島さんでいてくださいね」

「ベスパ」
「ヨコシマ、過去に行くんだったら姉さんを助けろよ?その為なら、私を殺してもいいからさ」
「おい、馬鹿な事言うな。ルシオラだけじゃなくてお前も助けるさ。
それに、お前らの親父のアシュタロスもな?」
「え?それってどう言う・・んっ!」
ベスパが聞こうとするのを、キスをして止めると答えた。
「そいつは秘密だ」

「ワルキューレ」
「ふん、何処にでも行くがいい横島。
元々寿命が違うのに、好きになった時点で別れは決まっていたんだ。それが今になっただけだ」
「本当にそう思ってるのか?違うだろ?無理しないでくれ・・・頼む」
「うるさい!人が必死になって耐えているのに、そう言う事を言うな!?
耐えれ・・な・く、なる・・・じゃ・ないか・・」
俯いて泣き出したワルキューレの顔を上向かせると、横島はキスをした。
「・・・・・・今更だけど、俺の前でまで戦士でいて欲しくなかったんだ。
だから、無理に泣くのを我慢して欲しくなかった」
「・・・横島。わかった、お前のその気持ちも一緒に送るよ」

「小竜姫様」
「横島さん、ごめんなさい」
横島が呼びかけると、小竜姫は頭を下げた。
「何がですか?俺なんかに頭を下げないで下さい」
「いえ、私が横島さんの力を見出しさえしなければこんな事には・・・」
「それは違いますよ。キーやんも言っていたじゃないですか。
俺は『抑止力的存在』だって。だから遅かれ早かれ、霊力には目覚めていたんです」
「でも、でも・・・」
横島の服を掴んで泣き出してしまった小竜姫を抱きしめて横島はキスをした。
「・・・俺は、小竜姫様に感謝していますよ?何時か目覚めたとしても、
もしかしたら、この出来事に間に合わなかったかもしれないんですから。
そのお蔭で、皆を救う事が出来るかもしれないんです。だから、気にしないで下さい」
「・・・わかりました。横島さんがそう仰るのなら・・・・・・」

「美神さん」
「横島クンの嘘つき・・・」
「っ!?・・・美神さん」
横島が美神に呼びかけると、美神は横島の胸に飛び込みドンッドンッと叩き出した。
「・・・嘘つき!う、そ、つき!うそつき〜」
横島の胸に飛び込んだ美神は、泣きながら横島を叩き『嘘つき』と言うだけだった。
そんな美神を横島は優しく抱きしめて耳元で言葉を紡ぐ。
「すんません、美神さん。美神さんと交わした約束、もう守れないっス」
「嫌よ!私と交わした約束なら守りなさいよ!
千年も待たせておいて、今度は永遠にさよならなんて止めてよ!
・・私と約束したじゃない。絶対に一人にしないって・・・どんな事があっても傍にいるって・・」
「すんません・・・それでも、俺は過去に行くんです。誰の為でもない、俺がそうしたいから。
俺が皆の笑顔を守りたいから・・・・・・だから俺は・・・・・・行きます」
横島が苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべながら美神にそう言うと、
美神は体を少し離し、何時も浮かべる不適な笑みを浮かべて横島を見た。
「・・泣き落としでも駄目か。わかったわ、行ってらっしゃい!
但し!この私との約束を破ってまで過去に行くんだから、絶対に止めて見せないさい!いいわね!?」
横島はこの美神を見てわかってしまった。
彼女は無理に何時もの様に振る舞い、横島を送り出そうとしている事に。
先程は本気で取り乱していたのだろう。・・・しかし。
自分がいくら頼もうと、彼は行ってしまう。その事を理解した美神は何時までも駄々を捏ねないで、
『今までと』同じ様に振る舞い、横島を送り出す決心をした。
横島もそれが分かったから、「うっス!絶対に止めてみせるっス!」と笑顔で答えた。
答えた横島は、離れていた美神の体を再び抱き寄せ耳元で
「行ってきます美神さん。どうかお元気で」と言うと、離れ際に美神にキスをした。
キスをされた事に気付いた美神は顔を真っ赤にして固まってしまった。
「あ、そうだ。美神さんには俺がいたと言う証として、このバンダナを受け取って欲しいっス」
横島はそう言うと、頭に巻いていた真っ赤なバンダナを外すと美神の手に乗せた。
「・・・平気なの?」
「はい。キーやん達には了承を貰ってますから。・・・じゃあ、もう行きますね?」

横島は美神がバンダナを握ったのを見届けると、離れて横島を待っていたキーやん達の所に行った。

【もういいですか?】

横島に確認をすると、「はい。態々ありがとうございました。もう十分です」

【ほな、行こうか?】

キーやんとサッちゃんが横島の肩に手を置くと、横島の体が少しずつ薄れて行った。
その様子を全員が涙を流して見守っていた。

「皆ありがとう。この世界で過ごした十八年・・・本当に楽しかった。
そりゃあ、悲しい事もあったけどさ。それに勝るとも劣らない楽しい事が沢山あったよ。
だからさ、最後に泣き顔じゃなくて笑顔でさよならをしないかな?」

もう殆ど薄れてしまった横島は、そう言うと皆に笑顔を向けた。
全員が泣き笑いだが、確かに笑顔を向けると同時に横島はいなくなった。
たった一つだけ、自分がいたと言う『証』を残して・・・・・・。



それはどんな笑顔だっただろうか?今となっては分からない。分かるはずも無い。
ただ、『誰か』がとても『綺麗』な笑顔を向けていた様な気がする。
私達は何故『誰もいない』場所に向かって泣き笑いの笑顔を向けているのだろうか?
ふと私は右手に何かを握っている事に気付き目を向けると、
そこには真っ赤なバンダナが握られていた。
これは誰のだろうか?何故私はこれを握っているのだろうか?
でも、私はこのバンダナから一つだけ感じる事がある。
それはこれがとても暖かく、自分にとって掛け替えの無い『物』だと言う事だけが・・・。



さて、二つだけ語ろうと思う。
この世界から横島がいなくなったのに、この世界は崩壊を始める予兆すらない。
この事から分かるだろう。そう横島は過去に飛び崩壊の原因を突き止め、止める事に成功したのだよ。
私が誰かだって?そうだな・・・敢えて言うなら、『誰でもない』が正しいかな。
そうそう、この世界の事を少しだけ話しておくとしよう。

まず唐巣神父とピートだが、彼等は生涯独身だったらしい。
だが彼等は教会の隣に孤児院を建てて、親のいない子供を幾人も育てて世に送りだしたらしい。
除霊の代金も、子供達が普通に食べていけるだけくらいしか取らず、
神父が天に召される間際には、教会が埋め尽くされる程の人が来たらしいな。

次に美神 美知恵だな。
彼女は特に言う事は無いんだが、一つだけ言えることがあるな。
ひのめを成人させると、現役を引退し彼女は夫の公彦の所に行って余生を過ごした。
二人は最後まで夫婦円満だった様だ。

次に伊達 雪乃丞と弓 かおりだな。
この二人は数年後に子供を授かり結婚。更にその三年後にもう一人授かり弓は現役を引退。
雪乃丞は心に何時も響く『大切な人を守れ!』と言う言葉に従って、
どんな事があろうと、妻子を守り続ける一生を送ったそうだ。

次にタイガー 寅吉と一文字 魔理
この二人も雪乃丞達と同じ年に子供を授かり、同じ年に結婚した。
タイガーの心にも雪乃丞と同じ言葉が響き、何時も妻子を守る盾として支えていたようだ。

彼女達だが、ほぼ全員が少しの言葉で足りてしまうな。
早い話が、『何故か』彼女達は全員が独身で過ごして生涯を過ごしたらしい。
そして、彼女達の殆どが同じ年に『子供』を産んでいるんだ。
しかし彼女達にも相手が誰だか分からない。が、中絶しようとは誰も考えなかったらしい。
クックック・・・もう相手が誰か御分かりだろ?
そうそう、横島からバンダナを受け取った美神令子だが、彼女ももちろん子供を産んでいる。
横島にそっくりな男の子をな。そして、子供には『優斗(ゆうと)』名付けた。
名付けた時と、横島と同じ年に成長しバンダナを巻いた時に美神は涙を流したそうだ。
そのバンダナは、横島が最後に美神に渡したバンダナと言うのは愚問だろ?
過去に行った横島は今頃どうしているのだろうか?
まあ、俺と一緒に見てみる事にしようぜ?


十話に続く



あとがき〜!
現在編がやっと終了〜〜〜!!
最初は五話前後で終わらせようと思って、気付いたら九話まで行っていた駄目作者です・・・。
さて、いい訳は終わりにして次回予告!
次回横島がキーやん達に連れて行かれたのは過去ではなかった。
キーやん曰く、【力が無いのに戻っても何も出来ないでしょ?】だった。
と・言・う・事・で!! 次回から修行編の始まりです!はい!
オリキャラが出る予定・・・いいのかな〜・・・・・・

P,S 美神の息子の名前である『優斗』は『優しい人』と言う意味合いで付けてみました。
どうだったでしょうか?


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△記事頭
  1.  えっと・・・・・横島とのキスで御懐妊ですか・・・・・・・(^^;;;;;
     この子供達がどうなったかも多少きになりますねぇ・・・・・

     最後に!子供に「どうやって子供は出来るの?」って質問に「キスでよ」って本気で答えられるかも・・・・
    D,(2004.12.13 01:49)】
  2. 子供が出来て迷わず産んでる時点で、これって忘れてると言えんのか?って嬉しく苦笑してました。大事なことはなくしてませんし、残せたものあったんですね。実質全員と結婚したあと、誰かを守るために戦って殉職したって思えば同じようなもんだなって思いました。
    どのみち横島だっていつかは死にます。でも寿命ならともかく横島が大事な人を先に死なせるって想像できないんですよね。むしろ寿命なら横島が先の人が多いし。
    その時横島との子供がいたらみんなは追って死ぬわけにはいかないですよね?この世界のみんなはそんな感じだなって思いました。横島が横島らしくあるためにみんなを守りいっていなくなったなら悲しみばかりにくれてられない。だからこの子と強く生きるって。
    まだ続くとはいえ一度完結を迎えたといえるこの作品、すごく嬉しい結末でした。『横島がいなくなったあとの現実』を受け止めるGSメンバーってのがかなり好きなんです。最終回か来世もののプロローグくらいでしかできない希少ネタですからね。
    九尾(2004.12.13 01:56)】
  3. あ〜〜〜!!しまった!書くの忘れてました!
    えっとですね、今回の話では全くそう言う話が出ていないのですが、
    『何人か告白している』って言いましたよね?
    で、その時に横島は保留にしてるんですけど、彼女達に迫られて、
    まあ、やってしまったわけです。はい。

    D,さん、申し訳ありませんでした
    ファリス(2004.12.13 01:59)】
  4. 想いの絆は、例え記憶から消え去ったとしても断たれなかった・・・
    と言う訳ですか。良いですね〜^^次回から修行の日々ですか
    楽しみですね〜頑張って下さい└(゜∀゜└)ハッスル!ハッスル!!
    大神(2004.12.13 02:22)】
  5. こ・・子供授かってる・・!?(汗)・・って・・やってたんですか!!・・殆ど、か・・。
    何にせよ、幸せに生きてくれた様で、良かったです。皆、横島くんから貰ったものを、大切なものをなくしてませんでしたね。横島くんは残せてたんですね。大事なものを、たくさん。
    次回は修行ですか。頑張って下さい。
    柳野雫(2004.12.13 06:20)】

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