「老師・・・試したいことがあるんスけど・・・・」
新空間内での修行が第2段階に入って数日がたったある日。
「なんじゃ?試したい事って?」
「あのっすね・・・空間を砂からジャングルっつーか緑ある空間にして欲しいっすよ」
ここ数日で横島は文殊無しで炎が出せるようになり、イメージのコツを掴んだか、冷気、雷、ヒーリング、水、とまだ他にも色々と出せるようになった。
そんなある日に横島は試したい事があるから砂地から変えてくれと老師の頼んだ。
「ふむ・・・わかった」
老師が砂地からジャングルへと変える。
「なにする気だ?」
「まあ、見てろって・・・」
雪之丞が横島に尋ねるが横島はいたずらする前の子供のような笑みを浮かべ教えない。
老師と雪之丞が見守る中、横島が、
スーーーー。ハーーーーー。
と深呼吸して両手を上に上げた。
「みんな・・・・・・・
オラに霊気をわけてくれーーーーー!!!」
ダーーーー!!!
雪之丞と老師が盛大にずっこける。
「「やめんかい!!!!」」
ゴス!!
「い・・・痛い・・・・」
「お前はそんなしょうも無いギャグをするためにわざわざジャングルに変えたんかい!!!」
「いや・・・似た様な修行したし・・・出来るかな〜なんて・・・」
雪之丞のツッコミに答える横島。
老師は飽きれて物も言えない。
「老師!!さっさと砂地に戻して修行しようぜ!?」
「そうじゃのう・・・」
地面が砂地に戻る。
老師は気付いてない・・・。
横島がギャグをかましたとき、神界の上層部が恐れる物がチラっと見えたことに・・・。
「う〜〜〜。最近修行三昧でギャグしてなかったんだもんな〜」
空間外。
「私・・・何してんだろ?」
横島がボケをかましてたころ、タマモは・・・
「タマモ〜?どこでちゅか〜?」
いまだに妙神山にいた。
今はパピリオとかくれんぼ中♪
タマモは庭の岩の影の隠れてた。
「はぁ〜〜〜〜」
あの日、美神の機嫌が悪く、横島の部屋に非難したら横島不在。
リュックが置かれていたために、その中に入り、そのままついて来たが・・・・
「横島・・・修行中で会えないし・・・・」
はぁ〜と最近ため息の多いタマモであった。
「ため息つくぐらい暇なら、事務所に戻ってきたらいいでしょタマモ?」
「・・・そうなんだけど・・・横島が修行終わったら一番最初にお帰りって言いたいから・・・我慢するわ」
「ふ〜ん結構、健気なのね〜タマモ?」
「まあ、美神よりは素直になろうかな〜なんて・・・って!?」
タマモが声のするほうを向くと・・・・
「悪かったわね〜素直じゃなくて・・・♯」
亜麻色の髪の夜叉がいた。
「美神!?いつの間に!??」
言うが早いが逃げ出すタマモ。だが!!
「逃さないでござるよ!!」
前方に横島の一番弟子シロ登場!!
すぐに方向を変えるが・・・
「タ〜マ〜モ〜ちゃ〜ん♪」
黒絹・・・もとい、おキヌ登場!!
前にシロ、後に美神、右におキヌ。
タマモは左に逃げようとするが・・・
「タマモ見っけたでちゅ♪」
パピリオに捕まってしまった。
「あう・・・・」
タマモ・・・・アーメン。
その後、しっかりと美神に叱られ、おキヌに「心配したんだから!!」と怒られて良心を痛め、「先生となにしてたでござるか!!??」とシロに叫ばれタマモグロッキー状態。
ちなみに油揚げを2ヶ月抜きというオマケつき・・・。
(ううう〜。絶対に横島に狐うどん毎日奢らせてやるんだから・・・)
こりろよタマモ・・・。
「で、横島クンは?まだ老師の作った新しい空間とやらに入ってるの?」
「はい・・・。中ではもう1年以上経ってるハズですよ・・・」
「いつ出てくるんですか?」
「中で2年間修行して来ますから・・・8月の終わり頃ですね」
修行場とは別の居住区居間。
ここに美神達、事務所メンバーと妙神山に集まる魔族&神族メンバーが集まっていた。
「先生に会えないんでござるか!?」
シロはタマモの連行&横島に会えると思っていたらしい。
「まあ会えなくはないだろうが・・・」
「少し会うぐらいなら大丈夫でしょう」
ワルキューレがシロに答え、ジークが言う。
「なら会いたいでござる!!先生はどこでござるか!?」
てなわけで、横島達が修行している空間に繋がる扉の前にいる面々。
「この扉の向こうです。」
小竜姫は知らない。
中がこちらの重力の数倍で霊気濃度がめちゃめちゃ薄くなっていることを・・・
「せんせーーーい!!!」
シロが勢いよく中に入るが・・・
「ギャイン!?」
「シロ!?」
急激な重力の変化に耐えれず地面に突っ伏す形になるシロ。
「どうしたの急に!?」
美神が続いて入るが・・・
「きゃあ!?」
美神も突っ伏した。
「「「「「「「どうしたの(ですか)(でちゅか)(だ )(ね〜)!!??」」」」」」」
おキヌが急に倒れた2人を見て近寄ろうとするが、
「だめ!!入ってきちゃ!!」
「ダメでござるよ!!」
2人に止められた。
「なにここ!?体が・・・重い!?」
「そ、それに空気が薄いでござる!!」
さすがは人狼のシロ。
なんとか地面をはって、空間から出た。
美神は突っ伏したままだが・・・。
「たく・・・なにをやっとるかおぬしら・・・」
老師が現れ、美神をおこし外の空間へと出した。
そしてそのまま扉を閉めてしまった。入ってくるなと言わんばかりに・・・。
静まり返る面々。
「あんなとこで修行してるの横島クンは?」
「ヒャクメ。お前なら中の状態が分かったんじゃないか?」
「わからないのね。あの空間は外からじゃ分からないようになってるのね。私も中に入らなきゃわからないのね〜。」
ワルキューレの言葉に答えるヒャクメ。
「どんな感じだったんですか?」
おキヌが美神に聞く。
「重力が何倍も違ったわ・・・。それに酸素も薄かったし・・・霊気濃度も薄かったわ。」
美神は立てず、人狼のシロがやっとではったぐらいだ。おキヌじゃまず無理だろう。
ワルキューレやジーク。小竜姫、パピリオは大丈夫だろうが(ヒャクメは無理)老師の態度から見て入らないほうがいいだろう。
「そんなとこで、ヨコシマは修行してるでちゅか!?」
あらためて横島のしている修行のすごさを実感した面々であった。
その後居間に戻ってきた美神達。
横島に会おうにも空間内の状態に耐えれず、出てくるまで会えない。
「・・・・ねえ、私達も修行したら横島みたいにあの空間で耐えれるようになると思う?」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
タマモのセリフに答えるは小竜姫。
「たぶんタマモさんとシロさんは耐えれるようになるでしょう・・・。しかし・・・」
小竜姫が美神のほうを向く。
「わかってるわ・・・私やおキヌちゃんじゃ無理ね・・・」
これからどんなに努力しても横島みたいには強くなれない。
美神は成長期は過ぎてるし、おキヌはまだだが、あそこまで強くはなれないだろう。
「はぁ〜。もう完璧に抜かれちゃったわね・・・。(ほんと・・いつの間に強くなったんだろうね横島クン)」
美神は霊動実験室での横島との一戦を思い出していた。
あの時美神は横島が自分より霊力が上だと分かったが、まだ自分でも知恵と根性で勝てると思ってた。
だが今の横島には勝てる気がしない。
認めるしかない。
「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」
美神のセリフに美神のほうをジッと見て黙り込む小竜姫達。
「ど、どうしたのよ?」
「み、美神殿が・・・負けを認めるなんて・・・」
「不気味・・・」
「偽者?」
「怖いでちゅ」
「どうしたんですか美神さん!?」
「ヒャクメ!!調べろ!!」
「あ、あんたらなーーーーーーーーーー!!」
美神の叫びがこだまする妙神山であった。
でその後、
シロがここで修行したいと言い出し、美神も受けていた依頼を全て終わらしてここに来てたため(その為に時間がかかった)、急いで帰る必要はない。
シロ(従業員)が強くなる=除霊が楽になる。
と考え、おキヌ&タマモも修行させる事にして(命がけなのはさせない)、横島の修行終了まで妙深山に残る事にした。
「よろしくお願いするでござるよ小竜姫殿(少しでも先生においつくでござる!!)」
「わかりました。」
シロは小竜姫から剣術を学び、
「私の目を誤魔化せたらたいしたものなのね〜♪」
「簡単よそれぐらい・・・(そして横島の・・・!!)
」
タマモはヒャクメを使ってより強力な幻術を、
「ほら!もと集中しておキヌちゃん!!」
「ハイ!!(横島さんの役に少しでもたちたい!!)」
おキヌは美神から色々と夏休み終了まで学んだ。
(美神はGSとして出来上がった状態のタメに修行は無し)
場所は変わり、暗く何も無い部屋。
あるのは布団と電話と小さなちゃぶ台。
ちゃぶ台の上には白い粉があり、その隣にストロー。
スーーーーー。
男は鼻にストローを入れ白い粉を吸う。
「はあーーー。来たぜ来たぜ来たぜ!!」
よだれを垂らし、焦点の合ってない目を薄暗い天井に向ける。
「おれえあ最強だ!!あいつらなんがにまげねーーー!!」
狂ったように叫ぶ男。
そこに声が聞こえる。
「おぬし・・・力が欲しくないか・・・・」
「ああ!!でめえ誰だよ!?」
聞こえてくるのは声だけ。
部屋の中に声の主はいない。
「力が欲しくないかと聞いているのだが?」
「あん?・・・俺は最強だぞ!!いばざら力なんて・・・俺は最強だ!!!」
男の言ってることはおかしい。
「ふむ・・・。では更なる力が欲しくないか?」
「ああ?くれづのか!?」
「ああ・・やろう・・・。おぬしに更なる力をな・・・」
謎の声はそこで消えた・・・。
男は気にせず白い粉を吸い続ける・・・・。
「俺は・・・俺は・・・俺はーーーー!!」
そして狂ったように叫ぶ。
「俺は最強だーーーーーー!!殺してやるぞ横島!!雪之丞!!バンパイア!!!」
(なかなかいい人材だな・・・)
男はそれからも白い粉を吸い続けた・・・・。
今日もアリスは、例によって声が聞こえたために外に出た。
父からは1度狙われたんだから犯人が捕まるまで外に出るなと言われたが、
「聞こえたんだもん・・・しかたないよね?」
声を無視できる性格では無い。
アリスから数メートル離れたところに白い霧。
(やはり危険だと分かっていても貴方は他の生き物のために外に出るのですね・・・)
その霧はゆっくりとアリスの後を付けるように流れる。
アリスは公園に来た。
そこには鳩に餌を与える老人がベンチに1人座っていた。
老人は鳩に餌を与えるが近づいてけた鳩を捕まえようとしている。
だが、なかなかにっすばしっこいため老人の手をすり抜け餌を食べ続ける。
アリスは老人に声をかけた。
「あの〜?何をしているんですか?」
老人はアリスの方に向く。鳩は人に慣れてるのか、逃げようとしない。
「こんにちはお嬢さん・・・。私が怪しくみえたかね?」
「う〜ん。少し・・・・」
老人の言葉に答えるアリス。
アリスの言葉に笑い出す老人。
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、まあ仕方ないじゃろうて。わしは鳩を捕まえようとしてたんじゃからな」
確かに怪しいのお、と老人は言って一匹の鳩に指を指した。
「わしが捕まえようとしてたのはあの鳩なんじゃよ」
老人の指した鳩をよーく見ると羽が怪我している。
「わしはあの鳩を捕まえて怪我を治してやろうと思ったんじゃが・・・。中々すばしっこくてのう・・・。」
もう歳かのう・・・と老人は少し悲しい目をした。
「そうだったんですか・・・ごめんなさい。怪しいだなんて言って・・・」
「いいんじゃよお嬢さん・・・しかしどうしたもんかのう?」
老人は鳩を捕まえれずに悩む。
そんな老人を見てアリスは、
「私に任せてください。」
と言って怪我をしている鳩に近づいた。
老人は、
「そんな風に近づいたら・・・!?」
逃げられると言いたかった老人は、アリスを見て驚いた。
鳩が逃げないのだ。
「大丈夫よ・・・貴方の怪我を見せてくれる?]
アリスが怪我をした鳩の近くにしゃがみ、鳩に優しく声をかけ、手を伸ばす。
鳩はその手に近づいて、アリスの手に乗った。
「うん・・・いい子ね・・・」
そう言ってアリスは鳩の怪我に手を当てて、ヒーリングをした。
「なんと!?」
アリスの手から青白い光が出て、光が収まったら鳩の怪我が治っている。
GSから見たら見慣れた光景だが普通の人には奇跡に見える。
「さあもう大丈夫よ・・」
アリスは立ち上がり、鳩を乗せた手を上に上げる。
鳩が飛ぶ。
周りの鳩もそれにつられて飛んだ。
バサバサバサ!!
一斉に空に飛び立つ鳩の真ん中にいるアリス。
それは老人の目からは美しい一枚の絵に見えた。
「おじいさん。あの鳩はもう大丈夫ですよ・・・・」
「うむ。・・・・ありがとうお嬢さん・・・・」
鳩が飛び去ったあと、ベンチに腰かける老人の前にアリスは立っていた。
「・・・・ありがとう・・・お嬢さん・・・・」
老人の体が光始める。
「・・・私はおじいさんの声が聞こえたから・・・・」
アリスは老人に優しく話しかける。
貴方の声が聞こえたから私はここに来ましたと・・・。
「そうか・・・聞いてくれたのか・・・・ありがとう・・」
おじいさんはそう言って消えた。
その顔はとても嬉しそうだった・・・・。
「さようなら・・・・優しいおじいさん・・・・」
誰もいない公園のベンチの前でアリスはそう呟いた。
おまけ
「ここはドコだろう?・・・・」
謎の霧は、鳩が一斉に飛んだ時の風にあおられて、知らない町まで流されてました。
終わり
{あとがき}
いかん・・・横島強くしすぎたか? 義王です。
横島について
別に元気玉ならず霊気玉が出せるわけじゃあないです。
男について
白い粉はやめましょう。体に悪いです。
老人について
爺さんは幽霊です。ちなみにしゃべれません。生前に戦争で喉を潰したタメに幽霊になっても喋れなかったがアリスにはとどいた。
こんな事考えてたんですけど・・・結局書きませんでした。
次回
修行終了&夏休み終了!!