横島は小竜姫とおキヌに連れて行かれながら考えていた。
「(ん〜〜、狙いすぎたか?ハーレムを作ろうと思ってたけど、やっぱ無理かな〜。
取り敢えず、今夜美神さんと・・・グフフフフフ」
「美神さんとどうするって言うんですか、横島さん?」
途中から声に出ていたのだが、それに気付かずに続けていた横島は、
小竜姫とおキヌにバッチリと聞かれていた。
「え?・・・え〜と、何の事かな?おキヌちゃん」
「え〜とですね。ハーレムがどうたらこうたらって所から、思いっきり声に出てましたよ?(ニコッ)」
そう言われた横島は、引き攣った笑みを浮かべていた。
「・・・マジ?」
「はい。マジです」
横島の問いに、今度は小竜姫が答えた。
「そんな事を考える不届き者には、仏罰が必要ですね?(ニコッ)」
「あ、あはははは(滝汗」
二人にそう言われた横島は、乾いた笑い声を出すしか道は残されていなかった。
「「じゃあ、一回逝って来て下さい♪」」
二人はそう言うと、小竜姫は神剣の腹で横島の腹部を強打し、
おキヌは霊力を纏わせた拳で、美神仕込みのガゼルパンチを放った!!
「ふ、二人共ちょっと待った!それはマジでヤバイって!?ヤバ・・・
ギャアアアアアアアアア!!??」
まぁ、善からぬ事を考えていた横島に天罰が落ちたと言う事だろう。
武神だが、神様もいることですし、横島も迷わずに成仏出来るだろう。
そんなやり取りを、魔理に連れられて入ってきたタイガーと見ていたピートは
「まったく・・・純情なんだか、邪なんだかわからないですね」
「本当ですノー。いい加減、一人に絞ればいいと思うんですけんノー」
タイガーの言葉に、ピートは苦笑しながら返した。
「まぁ、それが出来ないから横島さんと言えば横島さんなんだけどね」
「確かにそうですノー」
「「あははははは!」」
二人は横島の事で笑っているが、何時の間にか復活していた横島が後ろに立ち、
身長差も関係なしに二人と肩を組むと話しだした。
「ほぉ〜〜・・・随分と好き勝手に言ってくれるじゃね〜か。ん?」
「「よ、横島さん・・・」」
どもりながら返す二人に、横島は微笑みながら話を続けた。
「お前ら、俺と同じ立場に立ってみるか?あの中の誰かといい雰囲気になるとだな、
誰かしらが来て俺をぶっ叩いて行くんだぞ?全員を選びたくなってもしょ〜がね〜だろ〜(泣」
「「あははは・・・」」
そんな横島の言葉に乾いた笑いで返す二人だが、横島の手から光が出ている事に気付いた。
「でな?そんな俺の気持ちも知らないで、好き勝手に言ってたお前等に少しムカついた訳だが・・・」
「え〜と、横島さん?その手に持ってるのは何ですか?まさか、文珠なんて事は・・・・・・」
「あったりするんだな〜、こ・れ・が♪」
そう言って手を開いた横島の両手には文珠があり、それを見せた時の横島の顔は極上の笑顔だった。
そして、文珠に込められた文字は『幻』『覚』。
「じゃあ、これでいい『夢』でも見てくれ」
文珠を発動させると、横島はそう言って離れていった。
そして、残された二人からは絶叫が放たれた。
「「ぎゃあああああああああ!!!!」」
二人に報復を済ませた横島は、清々しい笑顔を浮かべている。
しかし、その笑顔も永くは続かなかった。
「横島さん、復活が済んだんなら直ぐに来てくださいよ」
「しょ、小竜姫様・・・」
小竜姫に腕を掴まれた横島は顔を引き攣らせ、口の端がヒクヒク言っているが、
まぁ気にする必要はないだろう。
(いや、気にしろよ!?)
・・・何も聞こえない。聞こえ無いったら聞こえない。
「皆さんがお待ちですよ?」
小竜姫に連れて行かれた先には椅子が一つだけあり、殆どの女性がその椅子を囲っている。
「・・・え〜と、これから何が始まるんですか?」
椅子に座らされた横島の第一声がこれだった。
それに答えたのは、店の店主である魔鈴だった。
「それは私が説明しますね?えっとですね。最初は勝ち残った人が横島さんの第二ボタンと言うか、
制服をゲットする話だったんですよ」
「何時の間に、そこまで話が膨らんだんですか?」
「それは置いといてですね。さすがに、このメンバーでそれをされたらお店が壊れてしまうので、
ここは一つ、横島さんに決めて貰おうかと思いまして」
「はい?」
魔鈴に説明された横島は素っ頓狂な声を出してしまった。
「あっ、勝負方法じゃないですよ?」
「じゃあ、何ですか?」
「商品を制服じゃなくて、違う何かにして貰うかと思いまして」
「えっと、皆はそれでいいんっスか?」
コクコク
横島がそう聞くと、全員が頷いた。
「(ん〜、商品ね〜〜。そうだな〜、俺とのキス。なんてな」
「じゃあ、それで決定ですね♪」
「へ?・・・もしかして、また声に出てました?」
「はい♪
//////」
横島の問いに答えた魔鈴は、頬を少し赤らめながら答えた。
横島はこれでいいのか、周りの女性達に聞こうとしたが聞けなかった。
何故なら、女性達は全員萌え・・・ゲフンゲフン、失礼。
燃えているからだった。
「えっと、じゃあ、勝負方法も俺が決めていいですかね?」
横島がそう聞くと、全員が頷いたのを確認すると横島は『ニヤッ』っと厭らしく笑った。
その時の女性達は全く同じ事を考えていた。
その考えとは『また、スケベな事を考えている』だったが、横島の口から出たのは全く別の物だった。
「じゃあ、『自分の得意な料理』で勝負して下さい」
横島がそう言うと、全員が唖然としてしまったが、今まで傍観していた美知恵が、
手を『パンッパンッ』と叩くと正気に戻った。
「じゃあ、皆魔鈴さんの厨房を借りて料理を作ってきなさい。
さっきから横島君は何にも食べてないんだから。ね?」
美知恵がそう言うと、女性達は一斉に厨房に走り出した。
全員が行った事を確認した横島は美知恵に向き直り頭を下げた。
「どうもっス、隊長」
「別に気にしないでいいのよ。・・・私としては令子を選んで欲しいんだけどね〜」
「え?美神さんならそこにいますけど」
美知恵の言葉に、横島は首を傾けながら答えた。
「違うわよ。将来のパートナーとして選んで欲しいって言ってるのよ」
「・・・・・・」
横島は、美知恵のその言葉に答える事が出来なかった。
「・・・おちゃらけて、吹っ切れた様に見えてもまだ整理がついてないのね」
「いえ、ルシオラの事は大切な思い出として吹っ切れてます。でも・・・」
「誰か一人は選べない、か。・・・恋に臆病なのね」
ニッコリと笑いながら話ていた美知恵は、真剣な表情に変えて話を続けた。
「でもね、横島君。彼女達の気持ちは本物よ?
あの中の誰か一人を選んだとしても、恨む様な人はいない事は分かってるんでしょ?」
横島はそれに黙って頷き答えた。
「でも、まあ。全員を選ぶっていう選択肢も無くは無いわね」
「ぶっ!?」
美知恵は唐突に真剣な表情を崩すと、悪戯っ子の様な笑みを浮かべていた。
「ほら、神族と魔族は一夫多妻制って言うじゃない?だから、問題ないと思うけど?」
「いや、それはさすがにまずいかと・・・」
美知恵の問いに、冷や汗を流しながら横島は答える。
「でも、全員を選ぶにしろ選ばないにしろ、しっかりね〜」
美知恵はそう言うと、横島の所から去って行った。
そして、そこには黙って椅子に座る横島だけが残っていた。
あとがき
横島の善意には裏がある!(なんだって!?)
と言っても、原作でもいい雰囲気になってもぶっ壊していたのは横島自身です。
つまり、横島は恋に臆病だと私は思いました。
女性から『好き』だと言われても、自分は一歩引いてしまっている所があった様に思います。
でなければ、原作でおキヌに告白された時にあんな行為は取らないと思います。
それを今回の話で出してみました。
一部レス返し〜
KEN健さん、ありがとうございます。
>あのメンバーだったら確実に店は壊滅状態になりますよ。
まったくもってその通りです。さすがに、頑張って建てた店を魔鈴が壊させる訳がない。
でも、横島が社会人になった事で、自分の気持ちをアプローチ出来ると思ったら、
暴走してしまった訳ですw
矢沢さん、ありがとうございます。
>きっちり落とし前つけておいてくれた方が読む側としても安心です。
確かにそうですね。
貴方様の様にこの作品を楽しいと言ってくれる方が数人いるので、その辺はしっかりしたいと思います。
九尾さん、ありがとうございます。
>話がもうついてるというならぜひそちらも読みたいです。
>話の内容とは別の事情で止まってしまうのはもったいないです。
ありがとうございます。そう言ってくれる方がいるのでしたら、向こうと『完全削除』という話をつけて、
何処か別の所に投稿しようか考えたいと思います。
クれさん、ありがとうございます。
>しかも聖人横島ですか。
・・・どの辺が聖人なのかわからないのですが、そう思われてしまったのならそうなのでしょう。
申し訳ありません。ただ、横島の行動には裏があるのは分かりきっている事なんでw
ただ、原作では成功はしていませんが。まあ、そう言う事です。
Astarothさん、ありがとうございます。
貴重なご意見ありがとうございます。
>続きを読みたいという気にはなれませんでした。
そうですか・・・。それはすごく残念です。いつか、どんな人にも続きを読みたいと思う様な作品を
書きたいと思います。
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