「おりゃあ、別に左掌からしか吸収できないって言った覚えはねぇぜ。
しかも」
カッ!全身が発光し、周囲の板が消滅する。
「吸収したのをそのまま撃ち返す、とも言った覚えはねぇ」
「『ガルウルク!』」
『あらあらまあまあ、駄目ねぇ。ヤブヘビだってまだ判らないの?』
20名近い数のデモイェンが、いかにも馬鹿にした口調でデモイェンに語りかける。
「黙れぇ!!」
強烈な一撃が一人のデモイェンの頭部を貫く。
すると・・・その後には二人のデモイェンが立っていた。
『あたしの能力はね、物理的ダメ−ジを受けたら二人に分裂しちゃうってものなのよ。
でもさっきの風飛ばすのはまずあたしに当たらないし、その隙に一斉攻撃しちゃうから、まずボウヤ勝てないわよぉん』
「黙れと言ったぁ!」
再び放ったガルウルクが三人をまとめて貫き、三人数を増やす。
ほぼ力を使い果たし、そのまま地へと転げ倒れるザバス。
『うふふ、もうおしまい?駄目よ駄目駄目。
いくらカタくて大きくてもハヤくて持久力無い男は女をマンゾクさせられないわよぉ』
「くうううう、『ガルウルク』」
その速度と突進力、なにより防御力を頼りに脱出を図るザバスだが
『逃がさないわよん、『ビライテア』』
確かに威力の低い攻撃とはいえ、20対を超える光線が集中する。
「があああああああ」
こんがりと焼けて地面に倒れ、なにやらいい匂いをさせてるっぽいザバス。
すると地面の土が次々に盛り上がり、泥人形となる。
絶望に満ちた目でそれらを見つめるザバス。
そんな彼が恐れているのは自分を倒した相手か、それとも自分の弱さか。
ザシャア!
巨体が前のめりに地に倒れる。
しかし即座に立ち上がり、再び走り出すロブノス。
あと四、五発は術を打てるが、通用しない相手に打つのは阿呆というものだ。
「く・・・くくく、くっそぉ・・・何なんだあいつは?
まるでわれと戦うためだけの能力じゃないか」
「そう恐れられるのは光栄だどよ」
びくりと怯えるロブノス。
「あんまテメェを過大評価しちゃいけねぇぜ、坊主。
戦いってなぁ基本的に自分を過小評価、相手を過大評価、だ。
まあンな事やってたら捨て駒相手にエネルギ−使い果たしかねねぇが、普通はそうするモンだ。
あるかどうか判らねぇが、『次』にゃあ気ぃ付けるこった」
その言葉と同時に、周囲の土がロブノスに襲い掛かる。
「うわあああああああああ!」
「あ−、最後に教えてやる。
勝ちってなぁギリギリの所でカケラみてぇなとっかかりにしがみ付く気力を持って無ェ奴が
手に出来るほど甘いモンじゃねぇ。
例えば、おりゃお前さんの攻撃、あと三発、いや二発ばっか食らってたら限界超えてやられてた」
「なっ・・・」
「意地でも勝つつ−気合いのねぇお前は本当の所で勝てねぇよ」
「魔王候補『ロブノス』捕縛終了」
「で、どうだ?」
「魔力強、一般技能中、精神レベる中」
「アレはどうだ?」
「中ノ強」
「ナンだそりゃ?こんな阿呆がか?」
「破壊、戦闘、弱者抑圧、ソウイッタものガ好きな、イわば似タモノと合エタ様子」
「んじゃサッサと持って帰れ」
「御意」
「あら、終わったの?」
「まあな。そっちもか?」
「ええ。でも駄目ね。せいぜい『弱いとはいえない』レベル。
アレもぜんぜん貯められなかったみたいだわ」
「ダロスの食事集める戦いで、コイツ倒した坊主が居る。
記録ちっと調べただけだがソイツとならかなり美味しい戦いが出来そうだ。
アレもかなり溜め込んでるようだしな」
「そう。 楽しみね」
「ああ」
「全ての世界を滅ぼした後・・・わたしたち自身が消える際は・・・あなたがわたしを滅ぼしてね」
「その時ぁお前がオレを滅ぼせよ」
「・・・素敵・・・」
続きます
今回全然話が進まなかったなぁ。
それにもう一本の方散々な評判だし・・・止めてこっちのみに絞ったほうがいいかな?