第二話 【二人の時間】
ナルトとヒナタが住んでいる家は、木の葉隠れの東にあった。にぎやかな通りを抜けると、そこから先が二人が住む住宅街である。
その名を“夜叉の都”と言う。
いつ頃から言われ始めたのかは定かでないが、ナルトは物心ついたときから住んでいる。ここには他里からやって来た流れ者や闇市の商売人が根城があり、里の人間が近づくような場所ではなかった。
近づいてくる人間もいた。そういう人間は大抵、いらなくなった家電製品やゴミを持ちだしてきたり、それに紛れて堕胎された赤ん坊の死体や、危険薬物の廃棄処分、あげくのはてにはどこかのマフィアが処刑場として使用していた。そんな場所だから犯罪が絶えないかと思えば、じつは以外と治安がしっかりしていたりする。粗末な食生活をしているわけではないし、みんな安定していた。それは街の人間が里の人間と自分たちとを切り離し、独自のコミューンを形成していたからだ。ようするに、自分たちは自分たちで生活し、そのかわりできる限り里の連中の生活と関わらないという個々の主張がしっかりしていたのだ。これなら里の人間を巻き込んで争うこともないし、生活を脅かされることもない。
二人の家は街のほぼ中心に位置した、年代物のアパートだった。外見は粗末であったが、中は立派な1DKでちょっとしたマンションの一室である。二人は暗部装束を脱いで自動洗濯機に放り込むと、服を着替えて里に出た。商店街のコマーシャルソングを耳に聴きながら、ショーウインドウを覗きながら歩く。
とその時、ナルトの後ろから拳ほどの大きさの石が飛んできた。
「ちくしょう!!この化けものめ!!」
「てめぇなんぞ死んでしまえ!!このくそ野郎が!!」
「何でお前みたいな化け物が生きてるんだ!!お前のせいで俺の親は死んだんだ!!死ね!!死んでしまえ!!」
喧噪がどんどん大きくなり、人々が殺気立っていく。いつもことだ。里の人間はナルトが現れると店を閉めたり、石やクナイを投げつけた。単に“夜叉の都”の出身というだけならこんなことはしないが、ナルトの腹に封印された九尾の妖狐が里にもたらした恐怖を知っている人間にとってはとんでもないことだった。ナルトはヒナタに離れているよう目で合図したが、ヒナタは首を横に振った。こんな状況なのに、愛しい人を置いて逃げるわけがない。いや・・・楽しい時間を逃すなんてできるわけがない。ナルトはヒナタの視線の意味を理解すると肩をすくめたが、優しく頭をなでた。その微笑ましい光景が気に入らないのか、男がヒナタを引っ張った。男にはナルトが日向の嫡子を誑かし、いかがわしい行為をしようとしていると思ったのだ。
「さあ!!ヒナタ様、こんな化け物のことは忘れ・・・げふっ!!ごはっ!!」
次の言葉が放たれる前に、ヒナタの柔拳が男の心臓を完全に破壊していた。人々はその光景に息をのんで立ちつくしていたが、今度は八百屋の女主人の首がぽろりと落ちた。ナルトのクナイが一瞬のうちに命を奪ったのだ。
「ひ、ひぃ!!た、たすけ!!ギャァァァァァァァア!!」
「な、何するんだよ!!このばけも・・・ぐぎぃ!!」
一人、また一人と血反吐を吐きのたうち回る。そこには阿鼻叫喚の様が広がっていた。二人はその後暴れに暴れて、誰一人無事に済まさなかった。それは、二人を迎えにきたヒナタの従兄弟に当たる日向ネジが止めに入るまで止むことはなかったという。
さて、数時間後。日向宗家ではちょうど、当主・日向ヒアシと副当主・日向ヒザシが、二人の様子をネジから聞いていた。
「そうか・・・里の人間の反応は相変わらずか」
「兄さん。私たちも出向いた方が良いと思うのだが?このからも二人だけでというのは、少々きついだろう」
かなり恐ろしい会話をしているが、この二人にとっては何でもないことだ。依然、ある理由でヒナタは死の危険に晒されたことがあった。それを助けてくれたのがナルトだったのだ。そのことがきっかけでヒアシはナルトをかわいがるようになり、ヒナタの許嫁にと密かに決めていた。ちなみに双子の弟であるヒザシは、本来なら分家の人間であり宗家の屋敷に立ち入ることなどあってはならないのだが、ヒアシの抜本的改革により宗家分家の垣根が消滅し、昔なら考えられないほど仲良く暮らしていた。もちろん、これもナルトのおかげなのだがそれは後にしよう。
ナルトには実の弟のように接してきたネジも、里の人間に対して辛辣な感情を抱いていた。ある時、ネジは幼いナルトを連れて商店街のお祭りに出かけた。夜店のたこ焼きを食べながら二人で談笑していると、側にいた子供がナルトにゴミを投げつけてきた。しかも、そのこの親は我が子の行為を咎めもせず頭を撫でて褒めているではないか。激怒したネジは走っていってその子供の鳩尾を蹴り飛ばした。それから、親にも一発今度は股間を蹴り上げた。ネジがあれほど怒ったのは、後にも先にもあのときだけだが、それ以来子供たちの間では『ナルトを小突いたりすると、ネジに仕返しされる』というトラウマのごとき都市伝説が広まったのだった。
「父上、里の人間がすべてそうとは限りませんが余りにも酷すぎます。ヒナタ様もかなりお怒りの様子でしたし、火影様にもお伝えしないと」
「うむ。では、明日の朝にでも私がお話ししよう。それにしても、兄さん。カヤクは考えを誤ったようだな」
「ああ。あいつほど思慮深く、優しい男はいない。だが、それ故に我が子の迫害までは見抜けなかったのだろう。あいつは人を疑うと言うことを殆どしなかったからな」
ヒアシは夜空を見上げて、天国にいるであろう四代目火影・うずまきカヤクに進言したいと思った。
『おい、お前は里の人間の闇までは見抜けなかったようだな。おかげで、お前の息子が苦労しているぞ』
親友が決まり悪そうに顔をしかめた光景が脳裏に浮かんで消えた。
さてそのころ庭の離れの障子に、絡み合う男女の影が映っていた。
ヒナタは因果な仕事の疲れを癒すために、いつもナルトの体を求める。
「あう!!あん!!あん!!あん!!気持ちいい!!ナルト君のおちんちんが太くて、気持ちいいよう!!」
ヒナタがかわいい悲鳴をあげるたびに、ナルトは腰を突き上げた。ヒナタの薄い絹のような肌が淡く染まり、年不応相に発達した胸が上下に揺れる。彼女の悩ましい声が、ナルトの野生を奮い立たせる。獣のように四つん這いで腰を振るヒナタも、自分がいやらしいことをしているのが恥ずかしくて何度も死んでしまいたいと思った。それもそのはず。いつもなら街の二人の家で汁まみれの夜を過ごすのに、今日に限って実家の離れに泊まらなければならなかったからである。原因を作ったのは自分たちだから仕方がないのだが、こんなところを妹にでも見られようものなら清水の舞台から飛び降りるしかない!!
「いや、いやぁ!!殺して!!ナルト君のおちんちんで、恥ずかしいヒナタをなぶり殺してぇ!!」
「んう!!ヒナタきついってばよぉ・・・おお・・・締まるぅ」
ナルトは後ろから覆い被さると、嫌らしい手つきでヒナタの胸を揉みしだいた。柔らかくて弾力のある胸は、ナルトの掌でさらに刺激されヒナタの羞恥心をさらけだす。
「ひいぃ!!おお!!あふぅ!!らめぇ!!らめなのぉ!!ヒナタのおまんこらめなのぉ!!むねもらめぇ!!ああーーーーーー!!」
とろけそうな刺激にヒナタの言葉は幼稚になり、瞳が潤んで涙で溢れている。普段は薄いオブラートで包まれたヒナタの本性が、ナルトの一挙一動によって零れていく。自分の腕の中であえぐ彼女をナルトは愛しく思う反面、めちゃめちゃに壊してやりたいという衝動に駆られた。それに同調するように腰の動きがスピーディーになり、乾いた音といやらしい音が部屋に響く。
ぱん!!ぱん!!ぱん!!ぱん!!
ぬりゅ!!ぬりゅ!!ぬりゅぅ!!じゅぽぉ!!
「あうっ!!はふぅ!!ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!いぐぅ!!いっちゃうぅぅぅぅう!!ヒナタのおまんこ、ナルト君のおちんちんでいっちゃうぅぅぅぅぅぅう!!」
「いいよ!!ほらぁっ!!出すぞぉぉぉぉぉお!!」
「あっあっあっ・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
熱く煮えたぎった精液がヒナタの子宮に吸収されていく。波打つ感触を肌で感じながら、ヒナタは意識を手放した。
翌朝・・・・
ネジは二人を起こすために離れへ向かった。用事があるときには外に掛かった鈴を鳴らすことになっていたので、いつも通り目覚ましのごとく大音響で鳴り響かせた。
ところが、普段なら眠そうな顔で起きてくるはずなのにいっこうに返事がない。心配になったネジは勢いよく扉を開けてそのまま凍り付いた。そして数秒の後に勢いよく扉を閉めた。
「ん?どうしたのだ、ネジ」
「来るなぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!来るんじゃなぁぁぁぁぁぁぁあい!!ここに今、二人の禁断の花園が広がっているのです父上ぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!」
「はあ?何を馬鹿なことを・・・!!」
ヒザシも数秒凍り付き、勢いよく鼻血を吹きながら倒れた。この光景にヒアシは慌てて駆けつけた。
「な、何だ!!どうした?!何があった!!」
「に、兄さん・・・い、いけません!!この離れは開けてはいけないパンドラの箱だったんや!!」
「ん?何故に関西弁なのか理解できんが、開けて見なくては原因がつかめまい」
ヒアシも扉を開けたがやはり兄弟、鼻血を吹いて地面に転がっていた。
余談だが、その後2時間待っても食事をしにこない四人を心配したヒアシの妻・ヒナママが離れに来てみると、男たちが失神していたので何事かと屋敷じゅうてんやわんやの大騒ぎになったという。ちなみに食事の間中、ヒアシは大人になってしまった娘の成長を涙ながらに思い、ナルトに正式な許嫁になってもらおうと決意したという。
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