「ナルトォォォォッ!!宿題はどうしたぁぁぁぁぁぁ!!」
「イルカ先生!!そんなに怒ると、将来禿げるってばよぉぉぉぉ!!」
「お前に言われとうないわぁぁぁぁぁ!!バカモノォォォォォォォ!!」
海野イルカの拳骨がナルトの頭に炸裂した。結構痛かったらしく、ナルトはしばらく転げていた。
「と、ここまでが初代火影様と木の葉の歴史的文化財の関係よ。それじゃ、テキスト25ページから読んでもらおうかしら。ヒナタ?」
「へ?あ・・は・・はい・・・ええ・・木の葉の歴史は・・常に戦とともにあり・・ええと・・初代火影は・・」
「ヒナタ・・・教科書を読むだけなんだからそんなに緊張する必要はないのよ?」
「は・・はい・・すみません・・・」
夕日 紅はヒナタにもう少し積極的になってもらいたいと願うのだった。その後、授業中にヒナタは何度もあやまることになった。
うずまきナルトは典型的な落ちこぼれ、日向ヒナタは恥ずかしがり。これがアカデミーに勤める教師全体の、二人に対する評価である。ベテラン教師であるイルカにも、この二人をレベルアップさせるのには苦労しているのである。お互いに良いものを持っているのに、性格が災いして実力を発揮できないというのが彼の見解である。紅もヒナタの恥ずかしがりは生まれつきのものとあきらめて、医療班か教師としての道を選ばせたいと考えている。
ところがこれ、二人の演技に全員が乗せられているのである。三代目の提案でアカデミーに入学することになったときに、ヒアシが授けたのだ。それは、
・ナルトは常にうるさく、やる気だけは一人前の万年どべ。ヒナタは人見知りで恥ずかしがりやを演じる。
・試験や演習でも失敗をやらかして、みんなの笑いの的になる。
以上、天才・日向ヒアシによる特別潜入(?)方式。
ちなみにこれを最初に聞いた二人は、しばらくヒアシを遠ざけたという。しかし、この方法は思った以上の効果があった。おかげで周囲の生徒や教師も、二人のことを“落ちこぼれ”と認識してくれたからだ。
しかし、時々その本性が見えてしまうことがあった。
―午後の授業・刃物および弓による攻撃―
イルカは男女共同授業でクナイ投げの練習をさせることにした。さすがに長く教えられているだけあって、生徒はみんな人形の的を絞り的確に急所を捉えられるようになっていた。一部の生徒、うずまきナルトと日向ヒナタを除いて・・・・
「おりゃぁぁぁぁあ!!」
ナルトが気合を込めて投げたクナイは、あらぬ方向へ飛んでいって川に落ちた。
「はあ・・・・ナルト・・・お前、大丈夫か?今度の卒業試験」
「へ?!だ、大丈夫だってばよ!!俺が本気だせばこんなもの簡単だってばよ!!」
「ははは・・・期待してるよ・・」
イルカは胃に穴があきそうな顔をして、幽霊のような冷気を纏いながら最後の一発を促した。その時である。ナルトの耳に生徒の嘲笑が入ってきた。
『へっ!!馬鹿じゃねえのアイツ!!』
『そうそう・・・変化の術もまともにできないくせに・・・あの“化け物”』
『くくくく・・・“化け物”が何で忍者なんかやって・・・!!』
とたんに、全体が凍りついた。ナルトから一瞬、凄まじい殺気を感じたのだ。ナルトはゆっくりとモーションに入り、勢いをつけて投げつけた。
ガツッ!!
最後のクナイは、標的の脳天に深深と命中していた。ナルトは声の聞こえたほうにその透き通った翠星石の瞳を向けた。殺気が込められていたわけではない。しかし、見つめられた生徒は冷たい底光りのする瞳にあてられたようにがたがたと振るえているだけだった。
後編へ続く・・・!!
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