「・・・・・・・・・昼と夜の一瞬の隙間・・・・・・・・・か」
Legend of Devil vol.3 Departure その3
「どわっは〜!!」
横島は爆発とともにその場から吹き飛ばされ派手に顔面着地を決めた。
「横島さん大丈夫ですか!?」
小竜姫が横島に駆け寄ってくる。
「こんな低級霊に手こずるなんて・・・・・・・・・このままでは死んでしまう」
「頑張ってください。 今日のお仕事はこれで終わりですから」
小竜姫の言葉通り、今横島達が行っているのは美神除霊事務所からの紹介で依頼してきた5件の内の5件目、某神社の悪霊退治だった。
「でももう霊力が底を尽きそうですよ」
「そういうときは老師の修行を思い出してみて下さい。 霊力を腹部に集中させることで垂れ流す霊気は減少するはずです」
「は、はい」
横島はなるべく無駄に霊力を使わないように霊気を腹部に集中し温存に務めた。
そして3人は、横島を中心に雪之丞が先頭で雑霊をなぎ払い、小竜姫が後方から迫ってくる霊を切り倒す様に隊列を組み奥に進んでいった。
「ふぅ、何とか雑魚は片付いたな」
隊列を崩さずに本堂の奥までたどり着き、雪之丞が口を開いた。
「えぇ、残るはあの一匹だけですね」
小竜姫がそういうと小竜姫は神剣を鞘に収め、雪之丞は魔装術を解いた。
「横島、後はお前の仕事だ」
「ああぁ」
何時になく真剣な顔つきになる横島。今日仕事に出る前に1つの約束が交わされていた。それは、霊空波(斉天大聖に教えられた技、霊気を変質化させずに空気のような状態で放つ技なので横島がそう名付けた。)の威力の無さと限られた回数により、雑霊は雪之丞、小竜姫が除霊し、現場に居るであろうボスのみを横島が除霊するというモノだった。なんでも、
「現状の横島さんのことを考えると、多くの雑霊を相手にするよりもある程度の力を持った霊と対峙する方がレベルアップに効果的だと思います。 ですから横島さんは司令塔の除霊に専念してください。 雑霊は私と雪之丞さんで請け負いますから」
ということだった。
一匹だけ残った司令塔であった悪霊が横島に襲いかかってきた。しかし、今まで様々な悪霊や魔族までも相手にしてきた横島である、相手の攻撃を避け懐に潜り込むのは朝飯前であった。
普段の横島であればものの1秒で除霊出来る相手であるが、今は『文殊』はおろか『栄光の手』さえ使えない。使えるのは霊空波のみ、しかもそう何回も使える技ではない。一撃で倒さなければ横島自身危険な状況となるだろう。
(もう少し・・・・・・・・・)
横島は右手に己の霊力を集中している。大凡文殊8個分と言ったところか。これだけ一カ所に霊力を集中していると当然全身の霊的防御は手薄になる。一撃でも食らえば横島はノックアウトされてしまう。
(・・・・・・・・・これくらいか?)
横島は右手に集中した霊力を確認し、悪霊の攻撃をかわしつつ懐に飛び込んだ。右手で悪霊に触れ、一気に霊気を放出する。
「セイや〜」
《ぎゃぁぁぁぁぁ》
横島の右手から放出された霊気の圧力に耐えきれず、そいつは粉微塵となって散っていった。
「横島さんお疲れさまでした」
「いやぁ〜流石にこれだけだとやっぱキツイッスね〜。 霊力の消費も半端じゃないし」
横島達は依頼主より今回の依頼料を受け取り横島所霊事務所への帰路を歩いていた。時刻は既に夕刻に差し掛かり、太陽が西に傾き夕日となって空一面を紅く染めていた。
「・・・・・・・・・昼と夜の一瞬の隙間・・・・・・・・・か」
「「・・・・・・・・・」」
横島の言葉に全員の口が塞がる。
「小竜姫様」
「はい?」
「俺、前に進んでますよね?」
「ハイ! 勿論です!」
小竜姫の答えに横島の顔が笑顔に変わっていった。
続く
あとがき
どうもお久しぶりです。鱧天です。
今回のLegend of Devil Vol.3 Departure(出発)は如何でしたか? 取り敢えず横島除霊事務所の初仕事を書きたかったのでVol.3はDeparture(出発)となりました。
Departure その2から、その3まで書くまでにかなり時間が空いてしまったことをお詫び致します。
これからのLegend of Devilは魔界とかも絡んできて話を大きくしていこうかなと考えています。誰よりもしつこいあの人も登場予定!楽しみにしていて下さい。
・・・・・・・・・その前に小話を1つ書こうかな〜
先日、私鱧天のHP「鱧天油切りバット」に1万HITキリリク作品「Hot Sparing」(GS美神のSSです)を掲載しました。そちらも見に来てやってくださいm(__)m
Night Talker様のリンクから行けます。