▽レス始▼レス末
「横島育成計画・本章21(GS)」ひかる (2004.11.28 18:14)



「なんか、疑問はいろいろと、
本当にいろいろと残りますが、よくやりましたね」

ちょっと、疲れたような小竜姫。
でも、気を取り直し、

「では最後です。私が相手をしますよ、美神さん」

「なっ」

あんなとんでもない霊圧を持った竜神が、
最後の相手だというのか。

「えっと、それも、もし勝てなかったら・・・死、とか?」

令子の問いに、

にっこり

「・・・・・・」

こ、怖っ!

「ちょ、ちょっと、その、もしかしたら最期になるかもしれないし、
 事務所の連中だけで話をしたいんだけど?」

「いいでしょう。ではしばらく、外にいます」

そういって、この異空間から出て行った。








「どうすんの、令子?」

「どうすんのって、あんた完全に他人事ね」

「だって、他人事だし」

「と、友達がいのない奴」

「悔しかったら、勝ちなさいって。それに、なんか考えがあって、
 小竜姫に出てもらったんでしょ?」

顔をつきあわせるタマモと令子。


 がじがじ


「なんか、悪巧みでしょうか?」

「多分ね」

そんな二人を遠目に見ている忠夫とおキヌ。


 がじがじ


「なーにが悪巧みよ。あんたが協力するのよ、忠夫くん」

「へ? オレが?」

「そ。小竜姫と私が戦っている間に、不意をついて動きを止めて」

「・・・・・・ずるっ」

「いいのよ! 手助けしていいって、小竜姫も言ってたじゃない」

腰に手を当て、ふんぞり返って力説する。


 がじがじ


「って、さっきから何の音よ?」

「あっち」

タマモが指さす方を見れば、
令子のシャドウが持つ、両側が刃となった新たな武器。

それを、がじがじと、無表情で囓る、
ツインテールの少女。

シュールだ。

因幡は攻撃力がUPした?



「あー、なに食べてんのよ! って、片刃になちゃったじゃない」

短くなって、普通の刀みたくなっていた。

「このバカウサギ!!」



「そろそろよろしいですか?」



ろくな話し合いも出来ぬまま、
小竜姫が帰ってきた。






「あら? 攻撃力が減っているようですが・・・」

「あ、ああ、なんというか・・・」

「さっきの戦いの疲れで霊力が減ってしまったんですね。
 特別におまけしましょう」

額の傷と、霊力を回復させてくれた。




そうして、後のない戦いが始まる。




「いきますよ?」

己も影法師を出し、剣を構える。

令子も武器を構え、先手必勝とばかりに、向かっていった。



キン、キンと打ち合うが、

小竜姫の堅実な剣技に、
防御を崩せず、思うようには攻め込むことが出来ない。

しかし、人にしてはやはり強いのだろう。

攻撃を捌き、しかも反撃もしてくる令子に、
小竜姫は感心したような表情を浮かべる。






「忠夫、援護するの?」

「んー、でもわりと、ええ勝負しとるし」

「今は、ね」






小竜姫の攻撃がだんだんと速く、重く、強く、鋭くなってくる。

「くっ」

再び防戦に追い込まれ、
それでも、少しずつ対応していく令子。

しかし、かなり、疲れが見え始めた。




 ちらっ


忠夫に合図の視線を送る。



 すっ

目線をそらす忠夫。


 むかっ#




なに考えてんのよ、あいつは!!
後でお仕置きだわ。

「ふざけんじゃないわよ!」

令子の攻撃が怒りとともに激しく苛烈になっていく。

「やりますね」

小竜姫は楽しそうに笑い、
決めの一撃を放とうとして、


シュッ


飛来したなにかを、カチンと剣で弾く。
今のはカード?

注意がそれた小竜姫に、

「もらった!」

令子が脳天へ振り下ろす。が、






「私にはこんな技もあるんです」

消えた。






令子のすぐ横から、攻撃が来る。

「きゃっ」

吹っ飛ばされた。

「何よ、今の速さは。とても対応できるもんじゃないわ、反則じゃない?」

「反則はあなたでしょう。横島さんに送った視線はどういう意味です?」

げ、ばればれ?

さすが神様、侮れない。

「しかし、視線を送ってから、間をあけるとは、
 さすがに虚を突かれましたが」

忠夫は令子の視線に小竜姫が気づいていたことを、
見抜いていたのだろうか。

いや、単に令子へのちょっとした反抗かも。




「しかし、反則とは、いい度胸です」

「ぐっ、使えるものはなんでも使うのがGSの戦いよ!」

正論というか信条というか。ポリシーというか。

「これは修行です」

「うっ」

「覚悟は良いですね?」

にっこり。




再び、小竜姫の体が光り、消え・・・




「きゃっ!!」



・・・かかり、しかし、突然現れた忠夫のシャドウに、捕まえられた。




「バカな!」

「あの加速に入る前に、一瞬タイムラグがありますね」


そう、まだ今の技、超加速を自在に扱えるというわけではない。

神経を使う技であり、かなり高度な集中を必要とする。
だから、超加速に入る直前、
集中するために、動きがわずかに、止まるのだ。


「でも、あんな距離を一瞬で人が・・・」


遊天閃地。

霊力の噴射を利用し、三次元的な動きをする遊天、
一歩で、十メートル以上の移動が可能な閃地。

忠夫が編み出した技である。




「よくやったわ、忠夫くん。反則かもしれないけど、
 最後に勝てばいいのよ!!」

まあ、格闘技でも反則したら必ずしも即負け、というわけでもないし、
ノック・アウトしてしまえば、勝ちは勝ち。

でも、本当に良いのか? プライドとかは?



「一気に片を付けるわ!」

突っ込んでいく令子。



「って、オレもかい!」

直線上にはオレもいるんですけどー。

「私は気にしないわ」

しかし、全く以て、止まる様子のない令子。
もしかして、さっきの無視を根に持ってる?

「気にしろー!!」






「仕方ありませんね」

 ブワッ

「うわ」「きゃ」

噴出する霊圧で二人を飛ばし、
自分への体へと影法師を戻す。



「あー、卑怯者」

「卑怯なのはあなたでしょ!」

自分もシャドウを戻してから、
突っかかる令子、呆れる小竜姫。

「霊圧が違いすぎるんだから、これくらい、いいじゃないのよ〜」

「いーえ、だめです」

「頑張ったんだしさ?」

「じゃあ、今の面子で、もう一戦します?」

スッと抜いた剣を、首筋に当てる。

「うっ」

さっきのは奇襲だったが、
次は二対一でも、勝たしてくれないだろう。

しかし、

「つーかまーえた」

「きゃっ」

抱きッ



小竜姫を後ろから抱きすくめる影あり。
びっくりして、剣を取り落とす。

「もう一戦するんでしょ? 令子さん、捕まえましたよ」



ものすごい霊圧で吹き飛ばされ、忠夫もちょっぴり怒っていた。

「あら」

令子は目を丸くしていたが、にやりと笑って取り出したのは、

神通棍。



「うふ、じゃあ、もう一戦始めましょう」

「なっ!? ひ、卑怯です、この状態からなんて」

「あら。先に剣を抜いたのはそっちじゃない」

じたばた。
しかし、両腕でしっかり拘束されている。

「ま、待ちなさい」

「いーえ、だめです」

小竜姫の真似。

小竜姫を抱きすくめる忠夫、
逃げようともがく小竜姫、
その頬を引っ張ったりする令子。ふにふに。







「なんか、仲よさそうですね〜」

「ってか、いつまで抱きついてんのよ、忠夫!」

羨ましげなおキヌ、
ぷんすか状態のタマモ。





「はなしなさーい!」

「さっきの勝ちを認めてくれたらね」

こちょこちょこちょ

「きゃははは、や、やめなさい、美神さん」

「うわ、あんまり暴れないでくださいよ、小竜姫さま」

「おほほほ、観念なさい」

「わ、わかりまし、って、そこは触っちゃダメー」



なんか、完全に遊んでいる雰囲気になった三人。



「そこってどこー?」

しかし、令子の手が、小竜姫の背中の一部に当たり、







 ちゅど〜〜〜ん
 ぐわおおぉぉぉっぉぉぉぉ!!








龍化した。







「あら、大変そう。・・・逃げるわよ」

「タマモさん、美神さんと横島さんはほっといて良いんですか?」

「自業自得よ。それに、これも修行のうちよ」

さっさと、扉を開け、異界から出ていくタマモ。




 ぐおおおおおおおぉぉおおおおおおおお!!




小竜姫は暴れに暴れていた。

ってか、修行らしい修行もしてない気がするぞ?








〔あとがき〕
なんというか、令子らしさと、忠夫らしさの炸裂。
タマモ姉…あなたは見ているだけなのね…

そして暴れる小竜姫様。


次回、なんと忠夫が小竜姫様にあんなことを!?


やっぱり、原作の流れをなぞるのは少ししんどいかも。
でも今日は、わりと筆は進んだな。

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△記事頭
  1. 毎度のこととは云え――相変わらず筆が速いですな。

    横島君、一目で『超加速』のタイムラグのことを見抜き、二回目でその瞬間を狙えるとは……恐るべき成長を遂げてきておりますな。
    小竜姫様は、やっぱり暴走しちゃうんですな。それを捨て置いて逃げるタマモ……ちょっとご立腹のようですなw
    トレロカモミロ(2004.11.28 18:57)】
  2. 早っ!もう21ですかマジで読むペースが追い付きません(Τ_Τ)
    小竜姫暴走どうする因幡!さすがに今回は食べれ無いだろうが、でも因幡だしなぁ
    KEN健(2004.11.28 19:02/2004.11.28 19:16)】
  3.  縮地VS超加速は技量により横島の勝ちって感じですなァ・・・・
     そして因幡は相変わらず何でも良く食べると・・・・シャドーも同じで食べる・・・・・・って事は魂に刻まれた行動だというわけでしょうか?

     最後に!ゴスロリ美少女・・・・・すると横島はテリオンか九郎?
    D,(2004.11.28 19:36)】
  4. こうなりましたか。
    修行する気あるのでしょうか?
    竜への変化。
    こうなったらヨコシマンをよばないと…。

    原作と違う流れを汲むこちらの作品ですが、今後パイパー戦の要望として、忠夫子供化!…はありきたりなんで、エミを参加させてエミ&令子で子供化してほしい。
    二人が必要以上に忠夫に傾倒して、タマモ姉イライラ。
    そんな展開希望します。
    でも、それすら因幡が食して直してしまいそう…。
    食った対象の能力吸収って、幽白のグルメの能力だな。
    それにH×Hのクロロ団長の本の能力にも似てる。
    最凶だ。
    名称詐称主義(2004.11.28 19:42)】
  5. あー、やっぱり逆鱗に触れて暴走させたか。こうでなきゃGSとは言えませんしねー。
    それにしても、忠夫の洞察力って凄いな。
    ファルケ(2004.11.28 19:43)】
  6. 凄いですね、執筆速度が。
    原作通りに進むなら、次は小竜姫様が元に戻るんですよね?
    多分、忠夫は竜の鱗を小竜姫様から手に入れると思います。
    もしくは、霊力を増やしてもらうとか?
    最後に因幡とほのぼのしているおキヌちゃんが可愛いです。
    紫苑(2004.11.28 20:01)】
  7. 本当に更新がはやいっすねぇ
    忠夫の洞察力の高さは、やっぱすごいですねぇ
    GS試験の時に心眼はいらないだろうから
    なんか目に特殊能力をつけてほしいっす
    wata(2004.11.28 20:05)】
  8. 超加速の弱点を一瞬で見破る忠夫、流石ですな
    あいかわらず因幡はよく食べますね〜
    しかし人が刃を噛み砕くシーンっというのは…よくある中国に伝わる大道芸人の(笑)
    こっちの小竜姫は何故か幼く見えますが、あっさり竜化しちゃいました。さぁどうする忠夫!!
    煌龍(2004.11.28 20:09)】
  9. あー、やっちゃった、ハハハ
    超加速を一回で見切るとは流石が忠夫ですねぇ〜
    似た技使い慣れてるもんなぁ

    さて、暴走した小竜姫様の運命は…………因幡に喰われる?
    丸猫(2004.11.28 20:23)】
  10. 早い早い。いや、ホント早い。

    原作通りに暴走しちゃった小竜姫様ですが……なんか、とあるキャラに食われそうというかなんと言うか(汗
    しかし、忠夫お前は一体どうやってこの事態の収拾をつける気だ。
    まさかカードに封印するとか……(滝汗)

    >「あら、大変そう。・・・逃げるわよ」
    めっちゃ人事やん。忠夫も混じってんのにええんかい。
    水カラス(2004.11.28 20:41)】
  11. 小竜姫ってどうも世間知らずというか、根拠のない自信がありますからね。超加速があるって自信満々にいって、横島のシャドウにもメドーサにも通じてないし。そういや妙神山のバリアーも断末魔砲にまるっきり耐えれてなかったっけな〜。少し思い知らせてやったほうがいいでしょう。
    暴走しちゃいましたけど、これですでに美神に直してもらわないちけなくなりましたね。弱みひと〜つ、と♪あとはいっちょコテンパンにでもしちゃって、もう一つ弱みでもつくっとこっかな〜?フルパワーで暴れたあげく人間に負けちゃった武神さまってさ。
    今回、因幡さまに負けたくせに態度でかいんでむかついたんですよね。別にキャラとして嫌いってほどじゃありませんけど。おしおきしたい。
    九尾(2004.11.28 21:05)】
  12. ダメだ。何がダメかというと、この小竜姫さまが可哀想な人(神)に思えてきました。
    シャドウの因幡様が、美神さんのシャドウの剣を食べるのは凄いですね。このままアシュタロスも食べて、眷族にしてくれないかな。
    ろろた(2004.11.28 23:14)】
  13. 目的と手段が一致してないというか、修行と実戦を完全に勘違いしてますよね。原作でもそうですけど。
    (2004.11.29 00:26)】
  14.  もともと小竜姫様はかわいそうです(きぱ)。
     でもこっちの美神は原作以上に手段を選んでない気がする。修行だぞ? 自分でやらなきゃ意味ないぞ?(笑)
    HAL(2004.11.29 00:41)】
  15. ふと思いました。
    因幡様なら、アシュタロスを食べて、キリスト教台頭前の女神様に戻して、魂の牢獄から解放しちゃったりしないでしょうか?
    いろんな意味で世界の法則に逆らった存在ですし。
    アスタロト(2004.11.29 01:37)】
  16. 小竜姫様、忠雄君に、…出会い頭から完全にペースを乱されてるとゆーか、主導権握られちゃってるとゆーか…そんな感じですな。

    彼女がこんなにもへなちょこなのは、ひょっとして忠雄君の新能力の所為なのでわ?とか思ったり…たとえば『小竜姫様をヘタレにする』能力とか(爆
    偽バルタン(2004.11.30 01:09)】
  17. 〔レス返し〕

    >トレロカモミロさんへ
    忠夫も少しずつ、実力が上がってきているようです。
    でも、まだ超加速自体に勝てるわけではないですね。

    >KEN健さんへ
    小竜姫・・・捕まっちゃいます・・・

    >D,さんへ
    超加速に入る前、ですけどね。
    因幡は元々霊力を喰ってた子ですから、むきだしのような状態のシャドウは、
    美味しいのかもしれませんね。
    ゴスロリ・・・単にわたしの趣味かも。

    >名称詐称主義さんへ
    ヨコシマンを呼ばなくても、忠夫が解決! ・・・できなさそうです。
    エミか・・・難しいかも。
    そもそも子供とはいえ、忠夫にじゃれつくのを、タマモが捨て置くかな?
    能力吸収とはいっても、そのままではなく、少し変化していますけどね。

    >ファルケさんへ
    妙神山では、欠かせないイベントかも?
    忠夫はときどき、すごいですね。

    >紫苑さんへ
    龍の鱗か・・・考えてなかったな。
    おキヌちゃん、もっと書いてあげたいんですけどね。

    >wataさんへ
    洞察力も「ときどき」すごいんです。
    特殊な眼も考えているんですが、結構、ありがちっぽいんでね。
    悩んでいます。

    >煌龍さんへ
    超加速の弱点というか、小竜姫の弱点ですね。
    大道芸って、呑み込むのは知っていますが、噛み砕く人もいるんですね。
    そうなんです、なぜか小竜姫、幼く見えるんですよね〜。

    >丸猫さんへ
    忠夫に、すごいことやってもらいました。
    すこし、時期的に成長が早い気もしましたが、まあいいでしょう。

    >水カラスさんへ
    幸か不幸か、今回は喰われるんじゃないんです。
    でも忠夫より、本当に悪いのは、令子ですよね?

    >九尾さんへ
    まあ、世界の広さを知ることにはなるでしょう。
    多少、えらそうなのは、一応、修行をつける方ですから、
    仕方ない気もしないではなし。
    お仕置きというか・・・羞恥プレイ?

    >ろろたさんへ
    う〜ん、小竜姫、もしかしたらずっと、可哀想なままかも(笑)
    アシュはさすがに・・・いや、喰うかも。

    >亮さんへ
    最近、令子がおとなしかったので、
    令子らしさを三割り増し強調してみました。

    >HALさんへ
    ついつい、楽しよう、小さな労で利益を大きく、とか考えるんでしょうね。

    >アスタロトさんへ
    アシュは、なんとな〜くですが、どうするか考えているんですけどね。
    すでに、その布石、伏線は置いてたりします。
    まあ、もしかしたら、別の方法を途中で思いつくかもしれませんが。

    >偽バルタンさんへ
    相手のペースを崩すのは、どうも、うちの忠夫の持ち味のようです。
    原作でも、そういうところはありましたが。
    これからも、出鼻をくじかれる人が続出するかも。
    ひかる(2004.11.30 01:10/2004.11.30 01:12)】
  18. わぁ、龍化させたの令子さんですかい(笑)ふにふに。タマモは逃げてるし・・ああ、本当に修行になってないよーな?
    柳野雫(2004.11.30 02:30)】
  19. >柳野雫さんへ
    どうやって、逆鱗に触れさせるか、悩みました。
    今の忠夫のシャドウじゃ、服の中に潜り込めないし。
    ひかる(2004.11.30 20:24)】

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