とりあえずトリスの自室に向かって移動を始めた横島たちだったが・・・
「お〜い?」
(やった〜受かった♪試験に受かれたよ〜♪)
「・・・だめだ、聞こえてない」
「まだ何の説明もしてもらってないっていうのに・・・
どうするのよ?横島?」
「まあ、今は彼女について行くしかないだろう。
俺たちには此処がどこかもわからんからな。」
「とりあえず、そうするしかないか・・・
・・・ところで、いつまでそんなことやってんのよ?あんたたち。」
今の状況説明をすると、トリスは試験に合格したため浮かれていて、周囲の
声がまったく聞こえず、そのため横島たちはその後を何の説明も無しについて行くことしか、できていない。
・・・ちなみにさっきのタマモの突っ込みは、横島の腕に抱きついているハサハとそれをはがそうとしているシロに対してである。何故こうなっているのかというと・・・
「・・・このお姉ちゃん・・こわい・・」
「この子狐、先生の腕を放すでござる!!」
「(ビクッ!)・・・・・お兄ちゃん・・」
「あぁ!大丈夫だから泣くな、な?。
・・・・・まったく、シロ、この子はまだ小さいんだから、あんまり怖がらせるなよ。」
「な!先生は騙されているんでござる!そ奴も幼くともキツネ、決して気を許してはならんのでござる!」
「はいはい、よーするにこの子に横島を取られて悔しいんでしょ。
寝てたあんたが悪いんだから、嫉妬しないの。」
「・・な、ななな!そんな、嫉妬などではござらん!・・・というか、寝てたのではなく、気絶していたんでござる!第一、誰も拙者を起こそうとしてくれなかったではござらんか!!」
・・・・どうやらシロは横島の拳骨で気絶していたらしい・・
・・・・というか気絶するほどの威力の拳骨を食らわしているあたり、横島は微妙にシロには手加減が無いっぽい。
「いや、だってなぁ、まさか気絶していたとは思わんかったし。・・・まぁ、たしかにシロが倒れていることを思い出したのは、あの部屋を出た後だったけど・・・・・・・・あ(汗」
そしてシロの言葉に横島が答えるが、うっかり口を滑らして余計なことまで言ってしまう。
「・・やっぱり、拙者のことを忘れてたんでござるな!ひどいでござる先生!」
「待て!早まるな!!俺が悪かった!だから噛み付くのはやめ(がぶっ!!)ぎゃああああぁぁぁ!!!」
「・・・・・・・はぁ、・・馬鹿ばっか。」
そんな光景を見て、タマモはおもわずため息をついた。そして、スライムを倒したときの横島はやっぱり幻だったのかなぁ〜、と思ってしまう。
(・・・ま、そんなことは置いといて。何時になったらあの子の自室に着くんだろ?)
と、トリスのいるほうを見ると、ちょうど前にいる人影に向かって行くところだった。
「お〜い、ネス。こんなところにいるなんて、もしかして心配してくれたの?」
「そんなわけ無いだろう。第一あの程度の試験、普通にやっていれば絶対に受かるんだ。むしろ落ちる要素が有ったほうがおかしい。・・・ところで、後ろの方たちは?」
「後ろの方たち・・?あっ!忘れてた!!」
「やっぱり忘れてたんかい。・・・まあ、いいけどな。で、この人は?」
「・・・・・・・♪」
追いついてきた横島がトリスの発言に突っ込む。
・・・そして、その腕にはご機嫌なハサハがぶら下がっている。どうやらシロとの争いに勝ったようだ。
「僕は此処の召喚師のネスティという者だが、貴方たちは・・・?
服装も変わっているし・・・まさか!トリス!!」
ネスティが振り向くと、折りしもトリスは逃げようとしているところだった。
「あぁ!見つかっちゃった!!」
「見つかっちゃったじゃない!先ほど、かなりの魔力が試験場から出ていたが、まさか君は召喚に失敗したのか!?」
「失敗じゃないよ〜。少し魔力が暴走しかけただけだって。」
「・・・君は馬鹿か!!」
「きゃん!!」
「・・・あの〜、お取り込み中すまんが、何がどうなっているんだ?」
「あ、あぁ。すみません。この馬鹿がふざけたことばかり、言っていたので・・」
そのまま説教が始まりそうになるが、横島がネスティに質問したため、なんとか免れ、ほっと息をつくトリス。
「・・・後でたっぷりと説教してやるからな・・・」
「ひぇぇ!!」
・・・・・訂正、トリスが説教を免れることはできないらしい。
「まあ、とにかくこんなところで立ち話もなんですから、この馬鹿の部屋に行きましょう。」
「そっスね。」
「では、行きましょうか・・・って、師範!」
と、動き出そうとしたところでラウルが現れた。
「おぉ、ネスティ。もうこの方たちと会ったのか。」
「はい、・・・・・師範、やはりこの方たちは・・・。」
「あぁ、トリスが召喚したんじゃよ。・・・ところで先ほどの戦闘についてお聞きしたい事があるのじゃが・・」
ラウルの言葉に、ハサハとの戦いに負けて落ち込んでいたシロを慰めていた横島が反応する。(もっともハサハが腕に抱きついたままなので、逆効果にしかなってないが)
「?、俺、何かまずいことでもしちゃいました?」
「いや、先ほど出していた光の剣について「ラウル様!!」・・・何の用じゃ?「実は・・・」・・そうか。すみませんが、用事ができたので、またの機会にお伺いしてもよろしいですかな?」
「え、えぇ。別にかまいませんけど。」
「それでは真に勝手ながら失礼させてもらう。」
ラウルが横島の出した剣について聞こうとしたところ、蒼の派閥の召喚師がやってきてラウルに耳打ちをした。その召喚師の伝えてきた内容が、よっぽど重要なものだったのだろうか、ラウルは顔色を変え、伝言役の召喚師と一緒に急いで去っていった。
「・・・なんだったんだ?今の?」
「・・・・あのおじいちゃん・・何しに来たの・・・・?」
「さあね。それにしても、自分から声をかけておいて去っていくなんて、失礼な奴ね。」
「たしかに失礼でござるな。」
「・・・・・・・・・まさか・・・・」
「ん?どうかしたの?ネス?」
その様子を見ていて、横島やハサハは疑問の声を上げ、タマモやシロは相手の無礼さに怒っていたが、ネスティは何か思い当たる事があるのか、少し顔色を悪くした。そしてようやく回復したトリスが、その様子に気づいてネスティに問いかけたが・・・
「・・・いや、なんでもない。それよりも速く部屋に行こう。」
と誤魔化されてしまった。
「むぅ。まあ、いいけど。
・・・じゃ、部屋に行こっか。」
トリスはネスティがこうなると、頑固なのは知っていたので、そのまま皆に呼びかけて部屋に行くことにした。
そうしてトリスの部屋に行き、まずは自己紹介を始めることにした。
「んじゃあ、まずは俺から言うか。俺は横島忠夫。GSだ。」
「GS・・?」
「知らないのか?もしかしてここら辺にはGSがいないとか?」
「いや・・・そのことについても後の話でわかると思う。それより自己紹介を続けよう。」
「拙者は先生の一番弟子で、人狼族のシロと申します。」
「私は金毛白面九尾の狐のタマモ。」
金毛白面九尾の名を聞いて、ハサハが驚いたようにタマモを見つめ、それから急いで平伏した。タマモはそれを見て
「今は力を失っているし、そんなに畏まらなくてもいいわよ。」
と、ハサハを助け起こした。ハサハは驚いていたが、次第に笑みを浮かべた。
「・・・妖狐族の・・・ハサハ・・です・・・・」
「じゃあ、改めて。僕はネスティ。蒼の派閥の召喚師だ。この馬鹿の兄弟子でもある。」
「あたしはトリス。一応あたしも蒼の派閥の召喚師よ。」
全員の自己紹介が終わり、ネスティが横島たちが現れた状況を聞き口を開いた。
「まず一応確認しておくが、横島君たちはこの馬鹿に召喚術で呼び出されたんだね?・・・それとハサハは状況をわかっているね?」
「・・・・・・(こくん)」
そのネスティの言葉にハサハは頷き、横島はいぶかしみながらも答えた。
「ええ・・その召喚術っていうのは、多少、俺の知っているものと違うようですが、そうだと思います。」
その答えを聞きネスティは顔をしかめる。
「やはり、そうなのか・・・」
「それで此処は何処なんでござるか?見たところ日本ではない様でござるが・・・?」
「・・・ここは聖王都ゼラム。横島君たちは召喚の失敗でここに来たんだ。」
「ゼラム・・・?聞いた事が無いわね。」
「・・・・ゼラム?そんな都市の名前は聞いた事が無い・・・・・待てよ?・・・召喚?・・・・失敗?・・・・・まさかっ!?」
ネスティの言葉を聞きタマモとシロは首を傾げていたが、横島は何かに思い当り驚いたように叫び、ネスティを見た。
「・・・あぁ、おそらく貴方の考えているとおりだ。」
「マジかよ・・・・」
そのネスティの答えに、横島は信じられないといった顔をした。
「先生!どうしたんでござるか?!」
「ちょ、どうしたっていうのよ?!横島!」
そんな横島の様子を見て、タマモとシロは不安になり横島に問いかける。
が、横島は二人の疑問には答えず逆に問い返してきた。
「・・・・・二人とも、召喚術がどういうものか、知ってるか?」
「・・・いや、拙者はわからんでござる。」
「え?えっと・・・大体はわかるけど・・たしか対象を呼び寄せる術だったよね・・?」
「そうだ。そして俺たちは、その召喚術の失敗で呼ばれたんだよ、この異世界に。」
「召喚術で違う世界に来ちゃったっていうのはなんとなくわかっていたけど、それだけなら別に、送り返してもらえば済むことじゃない。」
横島の答えにタマモは何も問題など無いように思い、横島を見るが、横島はその視線に反応せず言葉を続ける。
「・・・わからないのか?違うんだよ。召喚術で俺たちはここに来たんじゃない。召喚術の失敗に巻き込まれて来たんだ。」
「だからそれがどうしたって・・?!・・・・・ちょっと待って、失敗?・・っていう事はまさか・・・!」
「・・ああ、そういうことだ。」
横島との会話で自分たちがどうなっているのか悟ったタマモは顔面を蒼白にした。シロは会話についていけず横島を問いかける。
「どういうことなんでござるか?!」
「・・・召喚術の失敗には二つのパターンがある。一つは召喚そのものが失敗するパターン。これが九割以上を占める。もう一つが召喚の制御に失敗するパターンだ。そして俺たちは後者のパターンに巻き込まれて、ここに呼ばれた。」
「そんなことはどうでもいいでござる!」
「黙って聞け!」
「っ!!」
「・・・とにかく、聞けよ。ここら辺は俺たちの世界と同じようだが、
召喚術にはいくつかの大切な要素がある。その中でも呼ばれたものが、元の世界に戻るために重要なのが、呼びかける世界と呼ぶ対象との《繋がり》だ。通常は召喚されるときにできるんだが、召喚の失敗に巻き込まれて来た俺たちにはそれがない・・・・・・つまり元の世界に還るための道標が・・・還る方法が無いんだ。」
「そ・・んな・・・」
「っな!うそ!そんなことになってるなんて・・・本当なの?!ネス!」
「・・・横島君たちには残念だが・・事実だ。」
知らされた事実に打ちのめされるシロ。
そして、そんな事になっているとは知らなかったのか、慌てふためくトリス。だが、ネスティに真実だと告げられ、自らのせいでこうなっている、と罪悪感に打ちのめされ崩れ落ちる。
だが、それから少ししてシロは、自らの師の能力を思い出しすがるようにたずねた。
「そうだ、それぐらいなら先生の文珠で・・・」
・・・・・・・だが、その希望すらも打ち砕かれる。
「無理だ。」
「な、何故でござるか!?」
「俺たちの世界のどこかに呼ばれた、あるいは俺たちの世界との繋がりが切れて無かったなら戻れたかも知れんが、どちらでもないならいくら文珠でも・・・・無理だ。」
「じゃあ、もう元の世界には・・・」
「・・・奇跡でも起きるか、特殊な道具でも手に入れない限り戻れん。」
その言葉に完全に希望を打ち砕かれたのか、シロは崩れ落ちた・・・
「いや・・・・・方法なら・・・・・ある。」
後書き+お知らせ
どうもラグナです。
もうすぐテストが近づいているので、書くペースが限りなく落ちています。
っていうか、ぶっちゃけテスト水曜からだし。
というわけで次の更新は一週間近く先になると思います。
もし一週間以内に更新していたら、こいつはテストを捨てたんだな〜、と
笑ってください。
今回の話についてですが、状況説明だけでかなり多くなってしまい
しかもかなり理屈っぽくなってしまいました。
そしてトリスに任務が言い渡されるところすら、書けませんでした(泣
次こそは書きたいと思います。・・・多分無理でしょうが。
そういえば少し私では、決めにくい問題があるので
皆さんにアンケートを取りたいと思います。
まぁ、トリスやケイナ等のパートナーが決まってるっぽいキャラを
横島に惚れさせるかどうかって事なんですが。
皆さんの意見で決めたいと思いますので、誰をどうするか、
ご希望があったらレスに書いてください。
・・・・・・なるべく書いてくださいね〜
さて、ここでレス返しをさせていただきます。
>サウザンド・リーフさん
>.........?さん
すいません、応援していただいて、
すぐにテストに突入してしまいました。
テストが終われば頑張りますのでよろしくお願いします。
>ろろたさん
実は私、狐がかなり好きなんです。
なので、微妙にタマモとハサハが優先されるかもしれません(笑
>飛竜のしっぽさん
そうですね、少しわかりにくいけど
召喚獣にたとえるとAランクってとこです。まあ、結構強いです。
その上、これからも強くなっていく可能性も・・・
>匿名希望さん
文珠での召喚は少し難しいと思います。召喚術を一から習ってやれば別で
しょうが。
ちなみに、この世界での横島は原作レベルの不死身さはありません。
それなりには頑丈ですが・・・・・
人外フェロモンで頑張って堕とさせます(笑
>D,さん
はい、ギャグ的にではなく普通に強いです。
そしてもちろん、ハサハGET!
>KEN健さん
パッフェルが出るのは(多分)かなり後ですが
それまで見捨てずに見ていただけるとうれしいです。
>夢現さん
ちなみに私は、横島に召喚術を習わせてほかのサモンシリーズのキャラを出そうかな、などと考えていたりします。・・・モナティを呼ぶってのもいいな・・・
>空牙さん
もちろん横島になついています。
ええ、心のマスターは横島って感じです(笑
>どこどこどんさん
ケイナやトリスは上に書いたとおりアンケートの結果で
決めようと思っているので、もしご希望があればレスでお書きください。
>Gさん
横島が強くなりすぎるので憑依合体?は、強敵かピンチのときに使おうと
思っています。
>水カラスさん
ええ、人外にもてまくります(断言
シャドウ召喚ってのも、いいですね〜
まあ、横島が召喚術を覚えるのはかなり後になりそうですが。
>アルファミリアさん
もう、手遅れかもしれません。
昨日、サモナイ2の復習プレイをしていたら風邪を引きました。
あ〜頭が痛てぇ・・・・
>狼豚さん
説教ではなく事実を突きつけるような感じになってしまいました。
これの方だと意外と厳しい感じがしますが。
・・・・・ギャグみたいに怒らせるの苦手なんです。
>ポンジュ〜スさん
横島はルシオラがいなくなってから修行してたりしたので強いですよ。
まあ、事務所のメンバーもある事情があって横島の強さを
知りませんでしたし。
横島がどうやって強くなったか、どうして事務所のメンバーが
知らないのかについては次々回ごろに書きたいと思ってます。
>砂糖さん
応援してもらって即行で小休止です。
すいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいま(略
テストが終わったら頑張りますので次回も読んで貰えるとうれしいです。