「う・・・・・ここは・・・?
いったい何があったんだ・・・・?」
横島がどこかを打ったのか、少しふらつきながら起き上がる。
「・・って、そんなこと言ってる場合じゃない!!
タマモは、シロは無事か?!」
が、自分と共に居たタマモとシロを思い出すと、自らの状態を
確かめることすらせずに二人を探し始めた。
すでに一度大切なものをなくしているが故に・・・
しかし、召喚の余波で起きた煙のせいで周囲を見渡すどころか
自分の足元の確認さえままならない。それでも必死に探し当てた人影に向かった。
「タマモ!シロ!無事か!? ・・・・・って、この子は・・?」
倒れている人影に向かって必死で歩いていった横島だったが、
倒れている少女が自分の知っている人物じゃないことに気がつき眉をしかめた。
(なんなんだ、この女の子は?キツネみたいな耳も生えているし、
気配からすると人ではないようだけど・・・
俺たちを呼び出した術師とは考えにくいな。それなら、
術の反動を抑える用意ぐらいしているはずだし・・・)
キツネ耳の少女を見て一瞬自分たちを呼び出した術者かと思った横島だが
状況から見てそうではないと判断した。
そして、キツネ耳の少女が気絶しているのを確認して、少女の正体が何であろうと
今すぐに厄介なことになることはないと思い、タマモとシロを探すのを優先した。
「おい、タマモ、シロ!どこにいる?!大丈夫か?!」
「くぅん・・・」
「っ!シロ!!」
シロの小さなうめき声が聞こえ、横島はその方向に向かった。
そしてシロを助け起こし気が付かせようとした。
・・・が、そのとき煙が晴れて、横島は自分たちを見ている気配があることに気づき、顔を上げた。
「「あ」」
こちらを見ていた少女が自分を見て、とても驚いたが、
(これは・・・何かを殺し、壊してしまった罪の意識・・・?
くそっ、自分の内面を見せられてるみたいで嫌になってくる・・・・)
横島は少女の瞳の中に、自分と同じような罪の意識があるのを読み取ってしまい、そのことに気をとられていたため、少女が自分と同じようなことを考えているのに気が付かなかった。
「う、う~ん・・?
・・はっ!・・・先生!大丈夫でござるか?!」
そうして少女も横島も黙っているとシロが目を覚まし、沈黙を破壊して横島に飛び掛った。
「わっ!ばか、止めろ!!俺は大丈夫だ!!」
「くぅ~ん、よかったでござるよ~。
しかし、さっきのはいったいなんだったんでござるか?
・・・・っ!そういえばタマモは!?」
「大丈夫だ、お前の横に居る。
・・・ちょっとタマモを起こしといてくれるか?
俺はこの子に話を聞かにゃならんからな・・・・。」
その横島の言葉を聞いてやっと近くにいる少女に気が付いたのか、
シロが警戒の態勢をとる。
・・・が、横島にタマモのことを頼まれたのと、
自らもタマモのことが心配だったため、素直にタマモを起こしに行った。
「・・・さて、君か?俺たち、というよりタマモをここに呼んだのは?」
「・・・・・・・・えっ!?あ、はい多分そうだと思います。」
少女は横島の瞳に目を奪われていたが、
質問をされたことで意識を取り戻し慌てて応えた。
そして横島は質問を続けようとしたが・・・
「何でタマモを呼んだんだ?」
「タマモ~!起きるでござる!」ガックンガックン!!(首をおもいっきり揺さぶっている)
「え、えっと・・・あたしにもわからないんです。
突然、召喚術が暴走したから、
制御をするのに精一杯で・・・
何かを召喚したような手ごたえは、あったんですけど・・・」
「・・・っは!ちょ、やめ、やめなさい・・・やめなさいって言ってるでしょ!!この馬鹿犬!!」
ゴン!
「キャイン!!」
「召喚・・・?」
「せっかく起こしてやったのに、何をするでござるか!!」
「人の首をもげそうになるほど振り回すことの、どこが起こすことになるのよ?!」
「・・・?この人たち・・・だれ・・・・?」
「だあぁ!うるっせぇ!てめえら、いったん黙れ!!」
ゴゴン!!
「「痛っ!?!?!?」」
あまりに後ろがうるさかったため容赦なく拳骨を落とした。
・・・さすがにもう一人のキツネのような耳を生やした少女には落とさなかったが。
そしてあまりの痛みに転げまわる二人を無視して平然とトリスとの会話を続けようとする。
・・・・・・鬼である。
「まあ、とにかく此処は何処なんだ?」
「・・・あ、えっと、ここは「トリス、大丈夫か!!」ですけど・・って、え?」
(やば!今試験中だったんだ!どうしよう~?!)
トリスは目の前で起こった漫才のようなやり取りに呆気にとられていたが
なんとか再起動を果たし横島の質問に答えようとしたところ、
聞こえてきたラウルの声に、今、自分が試験中だったことを思い出し混乱した。
「トリス、無事だったんじゃな!!
・・・・・貴方がたは・・・・・・?」
一方、ラウルも横島たちを見て一瞬混乱したが
すぐにトリスの呼び出した召喚獣?、だと思い当たりトリスを誉める。
「おぉ!あの状態でも召喚に成功したんじゃな!!よく出来たのぉ!」
「え、あ、はい」
「これなら、次の試験も大丈夫そうじゃな。」
「え、ラウル師範、次の試験って・・・?」
と、混乱していてラウルの言葉に反射的に相槌を打っていたトリスは、不穏な単語を聞きつけてラウルに聞き返そうとするが、そこに今までついていけなくなって黙っていたフリップが口を挟んできた。
「・・・・コ、コホン。なにやら少しおかしなことになっているが予定は変わらん。今から、お前が呼び出した下僕をつかって、このモンスターたちに勝利せよ!」
「え、ちょ、ちょっと待ってください!」
慌てているトリスを無視して召喚を始めるフリップ。
・・・かなり明らかな悪意が見え隠れしている
パァァァ!
「グギャァァァァ!!」
「えぇ、うそ?!そんなの聞いてないよ~!!!」
「・・・ねぇ、なんだかとても嫌な予感がするんだけど。」
「・・・奇遇だな、俺もだ。」
「・・・・(くいくい)」
「ん?」
「・・・お兄ちゃん。・・・あの怪物さんたち・・・怖い・・」
「あぁ、よしよし。俺が守ってやるから、な?」
「・・・(こくん)」
問答無用で第二の試験が始まり、より混乱するトリス。
自分たちが勝手に何かに巻き込まれているような気がしてかなり嫌~な予感がしている横島とタマモ。
・・・そして人外だからだろうか、即行で横島になついているキツネ耳の生えた少女。
そういうことには慣れているのか、横島も何故か普通に対処している。
・・・・・・・・いや、疑問を持てよ、横島(汗
ちなみにシロはまだ倒れていたり。
タマモは幻覚で誤魔化してダメージを減らしていたのでもう起きているが。
「なぁ、結局どうなっているんだ?」
「え、え~と。
・・・あのモンスターを倒さないといけないみたい。大丈夫、
あたしがなんとか「はぁ、やっぱりか・・・しゃ~ない。ちと頑張ってくるか。」するから・・・え?」
呼び出されたスライムに向かって歩いていく横島。
それを見てトリスは慌てて止めようとする。
「まって!普通の人に倒すのは無理よ!!」
「だいじょーぶだよ。このくらい慣れてるし。」
「え・・・?」
が、あまりにも自然にスライムに向かっていく横島を見て足が止まった。
(前に倒したことのあるスライムとは違って半固形体だな。
なら、核がどこかにあるはずだが・・・
まぁ、大体こういう場合は体の中だろうな。
とすると、あの方法が一番いいか。)
横島は倒し方を考えながらスライムの攻撃範囲まで近づいた。
近づいてきた横島にスライムが襲い掛かる。
が、横島はそれを避けようとはせず逆に突っ込んでいく。
そしてもう少しで喰われるというところで、横島の右手が輝き、刀のようなものがあらわれて伸びて行き、
スライムの口の中に見えた核を貫く。そして横島はそのまま止まらずに右手を振りぬき、
スライムを一瞬で両断し、断末魔の悲鳴を上げさせる暇すら与えず消滅させた。
「ま、こんなもんか。」
「「「・・・・・」」」
それを見ていたトリスやキツネ耳の少女、フリップは
一瞬でスライムを葬った横島の力に驚き、停止していた。
そしてラウルは横島の力を見て
(あれは光将の剣?!・・・いや、ちがう。
あの者が何かを召喚した気配は無かった。
・・・それにあの剣、光将の剣以上の力を持っているに見える・・・)
召喚術以上の力を持っていることに驚き、タマモは
(な!こいつってこんなに強かったっけ?
いつもの動きとぜんぜん違う・・・)
と、自分の知っている、事務所の仕事での除霊のときの横島とはまったく別物の動きをする横島に驚いていた。
そうして呆気に取られている皆を尻目に横島は残る二体のスライムも同じように核を貫き、葬った後、何事も無かったかのように皆に聞いた。
「さてと・・全部片付けたけど、どうするんだ?」
それまでポカンとしていた皆が横島の言葉で再起動を始め、フリップが気を取り直して―嫌そうにしながら―トリスに合格を告げる。
「・・・はっ。こ、こほん。
見習い召喚師トリスよ。試験の結果をもって
今よりお前を正式な蒼の派閥の召喚師とみなす!!」
「え?ええぇ?!」
「よかったな、トリスよ。」
そしてその言葉を聞き混乱していたトリスだったが、
ラウルの祝福の言葉に次第に目を輝かせると
「はい!ありがとうございます。」
と言った。
・・・ちなみに横島たちは
「・・・また、置いてかれてるな。俺たち。」
「・・・そうね。」
「なぁ、結局なんだったんだ?さっきの」
「知らないわよ、そんなの。」
「・・まぁ、いっか。
たいした敵でもなかったし。」
「そういえば、さっきの子はどうしたの?」
「ああ、あの子なら俺の後ろに・・・(くいくい)・・ん?どうした?え~と・・」
「・・・ハサハ」
「そうかハサハって名前なのか。
それでどうしたんだ、ハサハ?」
「・・・お兄ちゃん・・ちゃんと守ってくれた・・ありがとう・・・」
「あぁ、そんなの気にするなって。」
ポン。(なでなで)
「・・・・・・・(ぽっ)」
などと親交を深めていた。
・・・それにしてもハサハ、自分を呼んだトリスに自己紹介をせずに
先に横島に自己紹介したりしていいのか?
・・・・ともかく、トリスは合格が決まり、横島たちを連れて
いったん自室に戻り呼び出しを待っている間、自己紹介を行うことにした。
「拙者の出番はまだでござるか~?(泣)」
・・・・・・・・・・あ、シロのこと忘れてた(汗
後書きならぬ言い訳
すいません、話がまた長くなりすぎてしまいました。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ(以下略
・・・・ふぅ、少し取り乱してしまいました。
しかし自分で言うのもなんですが、やっと戦闘シーン入ったと思ったら
すぐに終わってるし・・やっぱ才能ねぇのかな(泣
ま、とりあえず次は、横島たちやネスティたちの自己紹介+トリスに任務が言い渡されるところや、横島とネスティたちとの状況説明の会話、
横島の動きの説明等もしようと思っています。
長々とくだらぬ文章を書いていますが、見捨てずにこれからも読んで貰えるとうれしいです。
此処でレス返しをさせていただきます。
>夢現さん
ご指摘ありがとうございました。第0話の方は修正しておきました。
シロは今回、出番が少なかったですが、今度からはなるべく出番を増やしたいと思います。
>サウザンド・リーフさん
全員とくっつけるかどうかはわかりませんが人外関係は確定だと思います。何しろ横島ですから(笑
>どこどこどんさん
すいません、横島とネスティの掛け合いは次になりました。
アティなどの3のキャラは、時間軸の調整など難しい事が多いので、
出てもかなり遅くなると思います。
>砂糖さん
スライムはゲームのとGSのを混ぜたような感じにしました。
ゲームみたいに硬いと、とても弱そうだし、GSのように厄介だと後の敵のレベルと合わなくなるので。