「ん、ん〜〜〜ふあ〜〜今何時だ?」
時計の針は、短針が6を過ぎ、長針が12を少し過ぎたところを指している。
「んげ!?6時チョイすぎ!?」
いつもなら、シロが散歩をせがみに来なければまだ寝ている時間だ。
今日は、昨日の夜に除霊があったためかシロはきていない。
「あのまま寝ちまったからな〜」
昨日は帰ってきてそのまま眠ってしまった。格好も学ランのまんまだ。
ぐう〜〜〜〜
「腹へった〜〜。とりあえず飯でも食うか・・・」
昨日、帰ってきてから飯をたべていない。水をやかんに入れてコンロに置き、火をつけて、部屋の隅においてある袋からカップラーメンを取り出す。
湯ができる前にカップラーメンの用意をし、あとは湯ができるのを待つのみ。
「はあ〜〜〜」
湯ができるのを待つあいだに昨日見た夢の内容を考える。
昨日の夢。ルシオラと初めて夕日を見た夢と、結晶を壊してルシオラ復活の希望を自ら断ったときの夢。
初めの夢はまだいい。ラストにアリスとかぶって見えたが、あれはアリスがルシオラと同じことを言ったからそうなったんだろう。
だが、後半の夢。「俺には女のコを好きになる資格が無い」なんて言ってたのをすっかり忘れていた。
「資格が無い・・・か・・・・。」
資格が無いって思っていても、人はやっぱり人を好きになるわけであり、横島も人である以上誰かを好きになるのはしょうがないのだ。
横島の言う資格とは横島自身が決めること。
「守れるぐらい強くなれば、人を好きになる資格があるのかな?・・・ルシオラ」
横島は朝焼けが入る部屋の中、お湯ができるのを待ちながら、
「強くなろう・・・守れるぐらい・・・」
と、心に誓った。
守れるぐらい強くなる。それが横島の人を好きになる資格だった。
飯を食って、いつもの格好に着替えた横島は、いつもより早めに事務所にむかった。(早すぎ)
今日は学校をサボってバイトに行く日。
別に給料が上がったからって学校をサボるのが無くなったわけじゃない。サボるのがへっただけなのだ。
だいたい2日に1回ぐらいの割合で横島は事務所に行ってる。
今から行けば7時半までには事務所に着くだろう。時間に余裕があるから電車はなし。
あわよくば朝飯をもらえるかな〜。なんて考えたりしながら横島は事務所までの道のりを歩く。
強くなる決心した横島だが1つ問題がある。それが、
「しっかし強くなるってどうしたらいいんだ?」である。
横島は強くなる方法を考えるが、なかなか良い案がうかばない。
雪之丞がこんど飯をたかりに来たとき一緒についてくかと思ったが、それはパス。
学校があるし、もし留年なんかしたら、ナルニアからこわーいお袋が来る。それだけはなんとかして避けたい。
ちなみに雪之丞が断ることは考えてない。
「じゃあ、やっぱり妙神山・・・か?」
妙神山なら時間もかからず修行できるだろうが、横島は妙神山修行場最高にして最難関のウルトラスペシャルデンジャラス&ハードコースをクリアしてるため、
「いまさら修行させてもらえるんかな?」
なんて思うのだが、ほかの方法が思いうかばない。
「まあ、修行できないにしても、なんかアドバイスくれるかもしれないし、パピリオにもあえるしな・・」
と考え、こんどの休みに妙神山に行くことにした。
美神除霊事務所。
いつもなら朝早くからにぎやかな事務所なのだが、昨日の夜仕事があったためか、タマモと美神はともかく、シロとおキヌもまだ起きてない。
そんな静かな事務所の前に横島はいた。時間はだいたい7時前後。予想より30分早い。
「おーい人口幽霊一号や〜い」
横島は小声で事務所に取り付いてる人口幽霊一号に話かけた。
『おはようございます。横島さん』
「しーー!!声がでかいって・・」
『大丈夫です。私は防音機能もありますので中には聞こえてません。それよりどうしたんですかこんな朝早くから・・』
「いや、目が覚めたのが早くってな。みんなはまだ寝てるのか?」
『ハイ。昨日の帰りが遅かったため、おキヌ様もシロ様もまだ寝ておられます。』
「めずらしいな〜おキヌちゃんとシロが起きてないなんて・・」
『ハイ。おキヌ様は学校に行く時間なのですが・・・』
「まだ起きてないと・・」
『ハイ。』
「う〜ん起こしたほうがいいのかな〜?」
『学校がありますし起こしたほうがいいんじゃないかと思われますが・・・』
「せやな。起こすか・・・」
てなわけで、今だ夢の中にいるおキヌを起こすべく事務所の中に入った横島。
おキヌの部屋を目指すその足は、急いでるにもかかわらず足音がしていない。除きの極意、無音移動だ。
そして、おキヌの部屋の前横島はどきどきしていた。
(うおーーーーおキヌちゃんの寝顔拝見!!なんか除きの時とは別の緊張感があるぞーーー!!!)
あほだこいつ・・・。
深呼吸をし、てかるーくノックをして、
「おキヌちゃ〜ん。朝ですよ〜」
と小声で入っていく姿は、一昔前のテレビであった、アイドルの寝顔拝見!!のすけべレポーターそのもの。
つーかそんな小声じゃ起きてても聞こえない。
部屋の中にあるベットの上の膨らみに近寄る横島。除きの極意も完璧だ。
ベットの横に立ち、いよいよ寝顔拝見!!と思ったが、布団に隠れて顔が見えない。
(がーーー!!これじゃ寝顔が見れんじゃねーか!!こうなったら・・・!!)
あきらめて起こせばいいのに横島は顔にかかってる布団をめくりはじめた。
そして出てきたおキヌの寝顔。それはとても可愛くて、あどけなくて・・・。
スースー。
(うおおおおおーーーーーめっちゃかわええーーー!!)
血の涙流しながら喜ぶ姿には、朝のシリアスな姿はどこにもない煩悩魔人横島忠夫。
成長したのかしてないのか横島 忠夫 。思ってることは口にしなくなったが、除きの鉄則の一つ(除いてるときは回りにも注意すべし)を忘れていた。
「なにをしているのかな〜横島クン?」
ギク!!
この馬鹿は扉を開きっぱなしだったのだ。
ゆっくり振り返るとそこには・・・・亜麻色の髪をした般若がいた。
「オハヨウゴザイマス・・・」
「おはよう横島クン・・で、なにをしているのかな〜」
顔は笑っているが目が笑ってない。バックにはどす黒い炎が見える気がする。
「ミカミサンコソ、ナンデコンナアサハヤクカラ・・・・」
「そりゃ〜事務所の中であんだけデカイ霊力感じれば起きもするわよ。」
横島の霊力の源は煩悩。さっきまで煩悩全開だった横島は霊力も全開だったわけで・・・。
おキヌにばれたら意味がないので無意識のうちに霊力をおキヌの方には出さなかったらしく、おキヌはきずかずに寝ているのだが・・。
「ちなみに、シロもタマモもあんたの霊力にきずいてもう起きてるわよ。」
美神の後ろを見てみるとそこにはシロとタマモがおびえたように立っていた。
(美神どの、いつもより怖くござらんか?)
(昨日の許嫁さわぎ+今の横島の行動×低血圧で機嫌が悪い、ってとこかしら・・横島死ななきゃいいけど・・・)
横島のことを心配する2人だが助ける様子はないらしい。
「さて横島クン。そこだとおキヌちゃんが起きちゃうし、部屋の物が壊れちゃうかもしんないからこっちにいらっしゃい♪」
♪マーク付きで笑顔で言う美神だが、なおのこと怖い。笑顔なのに目が笑っておらず、青筋たてまくりで、バックのどす黒い炎には平安京であった魔族の女が見える。
横島は脳味噌フル回転で助かる道を考えるが、
検索中
チーン!検索終了。検索結果。いいわけ無理。逃げ道無し。助かる確率0.00000001%
(あかん・・。殺される・・・。ルシオラ〜今そっちにいくぞーーー!!)
「ハイ」
どうやら横島の頭の中じゃ、助かる見込みはないと出たらしく、おとなしく美神に投降する姿は、どこか清々しかったと後にシロとタマモは語った。
「それじゃあ、シロ、タマモ。おキヌちゃん学校に行く時間だから起こしてあげて・・」
「「は、はい(でござる)!!」」
横島を引きずりながらどこかに連れて行こうとする美神がそう言うと、2人はなぜか背筋を伸ばし敬礼をしたそうな。
(先生。生きてたらまた散歩につれてってほしいでござる)
(横島・・・あぶらげ、ありがとう・・・忘れないよ、あんたのこと・・・)
敬礼は横島に対してでした。
「じゃあ、逝きましょ横島クン♪」
素敵で恐怖いっぱいの笑顔の美神に連れて逝かれる横島。
その後どうなったかと言うと、
「どこからか、先生の叫び声が聞こえたでござる」
「死臭ににた臭いがしたわ」
「私は学校に行く用意で急がしかったからよく覚えてないんですけど・・・建物が揺れたきがしました」
『いつのまにあんな部屋を作ったんですかオーナー』
などの証言から予想してください。
その後、横島はどこぞに連れてかれたのですが、30分後おキヌちゃんが学校に行くときには、無傷で笑って見送ってたのが見られましたとさ。
おまけ
場所は変わってここは横島の高校近く。
そこに、とある怪しい人影。転校してきたアリスに惚れたあほが1人、アリスの登校を待っていた。
今日は横島が休み。今日のうちに親しくなっとけば後々自分が有利になる!!なんて考えながら待つ事1時間。
アリスが来ない。
もうすぐチャイムが鳴る。通学路を間違えたか?いや、そんなはずない!!彼女の通る通学路は何べんも調べた。間違ってない!!
じゃあなぜこないんだ。今日は休むのかな?なんて考えてると、チャイムがなった。
「くっ!!今日は来ないのかな水野さん」
その人影はあきらめて急いで教室に向かったそうだ。
教室
「めずらしいわね〜ピート君が遅刻なんて・・」
「え、え〜少し用事がありまして・・」
なんてことがあった平和な3−Dの教室でした。
{あとがき}
毎度毎度、こんな駄文を読んでいただきありがとうございます。義王です。
もう、こうなったらとことんピートを壊そうかな〜なんて思ってます。
なんかストーカー気味ですし。本当はかっこよく書きたいんですが、なぜか壊れてしまいます。もうこれはある意味、宇宙意思ですね。
横島クンですが、好きになる資格がないなら資格を取ろうみたいな感じです。横島みたいな煩悩少年が女のコを好きにならないわけが無い。資格がないなら取るまでよ!みたいな・・。
次は横島と美神が2人っきりで除霊に行きます。
次もがんばります!!