「・・・・なんだ、この寒気は?」
目を覚ますなり俺はげんなりする、行きたくないな学校。
「どうしたの和樹?」
隣の部屋から現れるのはイヴ。
何故イヴがここにいるのかって?ティアーユにあった後イヴをどうするかでマッドに相談したところ。
「式森君になついているのだから、一緒に住めばいいじゃないか。よもやこんな少女と間違いを起こすとは思えんしな」
と不敵な笑みを浮かべる、失礼な俺はロリコンではないぞ。
その日の内に何故か隣の部屋の壁がぶち抜かれて、俺の部屋と繋がった。
どうしてか紅尉に聞いたところ
「一部屋では狭いだろう隣の住民?何そんなものは金と権力でどうとでもなるのさ」
とありがたくもない回答をいただいた。心底腐っているなこのマッド。
そしてティアーユは週に一度の割合でイヴに会いに来てくれるらしい。いいことだ、でも俺を見ると顔を赤くするんだよな何でだろう?
「式森聞いたか一年に飛び切りの美少女転校生が入ってきたらしいぞ」
教室でだれてた俺に話しかけるのは自称親友仲丸由紀彦俺にとっては他人だが。
「そうかい」
「何だつまらん、転校生に葵学園の厳しさを教えようとは思わんのか」
思わねえよ、というか何考えているんだ仲丸。
「和樹さ〜ん」
夕菜が現れた。
俺は逃げ出した・・・・しかし回り込まれた。
「和樹さん何処に行く気ですか?」
「どこか遠いところ」
「和樹ったらおかしな冗談を言うのね」
「そんなに遠くに行きたいのなら私があの世に送ってやろうか」
玖里子さんが俺の背中に抱きつき、凛ちゃんが俺の喉元に刀を押し付ける。
「二人とも何やっているんですか!」
夕菜が玖里子さんを引き剥がし、凛ちゃんの前に立ちふさがる。
「違うのよ夕菜ちゃん今日は和樹に聞きたいことがあるのよ」
「聞きたいこと?」
玖里子さんが俺に尋ねる。
「一年の転校生でね式森雫っていうだけど、和樹知っている?苗字からしてあなたの関係者だと思うんだけど」
ピシ!
俺の動きが止まる。
「ナンデスト」
「確か、今日凛さんのところに転校してきた人ですよね」
「ナンデユウナガシッテルノ?」
「当たり前だ。編入試験で一年のトップをたたき出し、容姿端麗、運動神経抜群さらに魔法回数も三十二万と言う信じられないほどの高さだぞ、同じ式森でもお前とは比べるのも愚かしいぞ」
凛ちゃんがはき捨てる、まさかあいつか・・いや人違いだ、だからこの俺のスキルでもある直感EX(自分の命にかかわることだけ)の警報は気のせいだ・・・多分。
「凛がそこまでほめるなんてかなりすごい人みたいね」
「ええ、なんていうか雰囲気が私達と違うと言うか、それにあの翡翠色の目で見つめれるとその・・・・」
いつもなら凛ちゃんてそっちの趣味があるの。とストレス解消をするところだが間違いない奴だ。
奴がいるとなると師匠と黒い人がセットの可能性が高いどうする・・・逃げよう。
「どうしたんですか和樹さん?そんなに汗をかいて」
「あっ夕菜、ピンクの豚が空飛んでる」
「「「ハイ?」」」
三人娘が俺の指を指した方向に顔を向ける、こんなのに引っかかるなよ本当に頭いいのかお前ら、
「気孔掌」
俺は手から気の塊を出し窓ガラスを割る。俺も多少だがこういった技が使えるため意外と役に立つ、何しろ『スネーク・バイト』で接近しかできないと相手が思い込んだときに「気孔掌」や「魔神剣」といった中〜遠距離の技を使うと相手は反応が送れ倒せる。卑怯といわれることもあるが作戦なので卑怯ではない!
「窓ガラスが割れた!」
誰かが叫ぶが無視。あの窓ガラスから逃げ、イヴとリースをつれてどこか遠くに逃げよう、さよなら葵学園せめて卒業したかったな。
しかし窓まで後一歩というところで五十近い数の魔法の矢(マジック・アロー)が飛んでくる。
「なんと〜」
俺は超人的な反射速度でそれをすべて避ける。
「誰だ!こんなもん打ち込んだ奴は、死んだらどうするんだ!」
「あなたなら、あれくらいどうということないでしょう?」
教室のドアのほうから声が聞こえる、美少女正確な容姿は六話参照、俺の知っている彼女より大人びているが間違いない、
「雫?」
外れてたらいいな、と思いながらたずねるが
「そうですよ、久しぶりですね兄さん」
・・・この世には神も仏もいないらしい。
「「「「「「なにぃぃぃいいいいい!!!!!!!!」」」」」」
今二年B組の心が一つになりました。
「兄さん♪」
雫が俺に抱きついてくる、胸があたって気持ちいいじゃなくて、
「何しにきた雫?」
きっとブルーとかアルトもいるんだろうな、さよなら明るい未来。
こんにちはとらわれの未来。
「安心してください、兄さん日本に来たのは私一人です」
マジですか?なら多少は救いがあるね、多分。
「誰ですか!その女は」
俺に抱きついている雫に向かって夕菜が叫ぶ、話の流れで分かれ。
「こいつは俺のい「婚約者です」と・・」
雫なんちゅう爆弾を落とすのですか?
「「「「「なんだと〜〜〜〜」」」」」
「ふざけたこと言わないでください!!和樹さんの妻は私です!!!」
断じて違うぞ夕菜。
「式森〜!!!!」
凛ちゃんが俺に斬りつけて来る、俺はそれを雫を抱きかかえたままかわす。
「いきなり何するの凛ちゃん」
「だ、だ、黙れ貴様、そこまでの外道とは叩き斬ってくれる」
「雫は妹だぞ」
「「はっ?」」
夕菜と凛ちゃんが固まる。
「二人とも、さっきまでの会話でわかるでしょ」
玖里子さんが呆れたように話す。おお冷静だ、影が薄いだけじゃなかったんだな。
「確かに今はそうですが、いずれは夫婦になる身です」
「何考えてるんですか!二人は兄妹ですよ!結婚できるわけないでしょう」
「血のつながりなど些細なことです。それよりあなたは何ですか?兄になれなれしいが」
雫が夕菜に問い正す。それと雫、血の繋がりは重要だぞ。
「妻です。つまりあなたの未来のお姉さんです」
「兄さんはまだ結婚できる年齢じゃありません。その年で妄想と現実の区別がつかないのは問題がありますよ『宮間さん!』」
雫が宮間の部分を強調する。
「年齢は関係ありません、私達は愛し合っているんです」
「そうなんですか?」
雫が俺を睨む。もちろん俺は首を横に振る。というか縦に振ったら殺されるね間違いなく。
「ほらみなさい!兄は否定してますよ」
「あなたが脅すからでしょう」
二人の口論がヒートアップする。
「雫ちゃんってすごいブラコンなのね」
「ええ、まあ」
「さすがに同情するぞ式森」
俺や玖里子さん凛ちゃんは冷静に観戦している、雫ってあんな子だったけ?
「そもそも、なんで和樹さんなんですか!?」
「兄よりすばらしい男性はこの世に存在しません」
「和樹さんは魔法回数七回しかなくて、勉強も運動も落ちこぼれで顔は・・かなりかっこいいですけど、とにかくあなたみたいな人がどうして和樹さんなんですか!!」
夕菜お前は俺のことをそう思っていたのか、結構ショックだぞ。
「何を言ってるんですか?兄さんは私より・・・ああそう言うことですか」
雫が何か納得したように頷く。
「(ムカ)何ですか?いったい」
「いえあなたがそういうならそうなんでしょうね」
雫が微笑を浮かべながら頷く。
「たとえ、あなたがなんと言おうと私は兄さんを愛しています。ストーカーは消えてください」
「(ブチ)いい度胸です。女狐、どうやら死にたいようですね」
夕菜の髪が逆立ち、彼女の周りの聖霊が怒りに反応し輝きだす。
「・・・口じゃ敵わないから腕ずくでですか。野蛮を通り越して呆れますね」
雫が怒りに燃える夕菜を前にしても平然とした態度をとる、そしてその言葉が引き金となる。
「キシャー」
夕菜が特大の炎の玉を投げつける。
どがああああんん!!!!!
教室の壁に激突し壁が吹き飛ぶ。
「避けましたね?」
「・・・何考えてるんですかあなたは?こんなところでS級の魔法を使うなんて」
「あなたが避けなければいいだけです。キシャー」
今度は左右一つずつ火球を作り雫に投げ飛ばす、が雫はその一つを手を突き出しそこから白い閃光を放ち火球の軌道をそらす。
もう一つはそのまま避けるがその直線上には俺がいる、ちょっと待て!
ふと隣を見るといつの間にか玖里子さんと凛ちゃんがいなくなっている。
薄情者(涙)
「だあああ」
俺はそれをしゃがんでかわす、あぶね〜。
「あと少しで兄さんに当たるところでしたよ?死んだらどうするんですか?」
「和樹さんなら平気です!愛の力で耐え抜きます!」
無理に決まってるだろう!
「対魔力A以上でもない限り耐えられるわけないでしょう、兄さんは人間ですよ・・・一応」
雫、兄は悲しいぞいつの間にか俺たち三人以外教室からいなくなっているし・・俺も逃げるか。
俺は外に向かって走り出すが突然俺に向かって火球と白い閃光がやってくる。
「「何処に行くのですか兄さん(和樹さん)」」
鬼がいる、わかる俺の直感が逃げたら死ぬと警報を鳴らしている。
「待っててください。和樹さんこの女狐を始末して今度の休みデートしましょう」
なんでだよ。
「安心してください兄さん。仮にも私は魔法使いの弟子です。こんなストーカー妄想女には負けません」
ブルー、お前は雫にどういう教育をした。
貧乏探偵もどきや遠野家長男がようこそと手招きしてるよ。
「死んでください」
夕菜が火球の乱れ撃ちを雫に向かって放つ。
だが雫はそれを魔術で軌道をそらしあるいはかわす。
「避けてばかりでは私は倒せませんよ」
「物を壊すことにかけては師匠譲りですが、あなた相手に本気を出すまでもありません」
「そうですか・・なら私を見下したこと後悔しながら死んでください」
そう言うと夕菜は巨大な炎の鳥を作り出す、まさかカイザーフェニックスかよ。夕菜貴様は何者だ?
「さよなら女狐」
その言葉と共に炎の鳥は雫に向かって放つ夕菜、まずいいくら雫でもあんなものしのげるはずはない。
「じゃあ行きましょうか兄さん」
「ハイ?」
いつの間にか俺の隣に現れた雫が俺の腕をつかみ呪文を唱える。
「なっ?」
「テレポート」
そういって俺と雫は夕菜の前から消えた。
その後二年B組の教室が消し飛んだ・・・
「大丈夫ですか兄さん」
あの後俺と雫は通学路を通り寮に帰る途中だ。
「まあ何とか、夕菜はどうした?」
「おそらく気絶してます。いくら強大な魔力を持っていたとしても魔術師としての訓練をしていない彼女があんな強力な魔法を連発すれば気を失うのは当然のことです」
さいですか・・雫が突然抱きついてくる。
「雫?」
「兄さん、今まで何してたんですか?葵学園に入ったと聞いてからずっと連絡がなくて心配してたんですよ」
「すまん」
俺は謝る。心配かけたんだなあ
「謝るなら態度で示してください」
そういって雫は顔を上向きに上げ目をつぶる。まあようはキスして体勢だ。
「雫?」
「・・・・」
かわいい・・・じゃなくてまずい、一瞬キスしようかと思ったけどそんなことしたら俺は間違いなく最後までイく。
そうしたら間違いなくまぶらほSS一の鬼畜の称号を手に入れてしまう、がんばれ俺このままじゃ十八禁になってしまうぞ。こうなったら
俺は雫の頬をつねる。
「いたたた、に、兄さん?」
「ば〜か、キスなんて十年早いよ」
最後までいきそうになった男の台詞じゃねえな。
「ほらとっと帰るぞ」
そういって歩き出す。勝ったきっとこれでよかったんだ。
だからこの涙は嬉し涙だ。雫とできなかったことに対する悲しい涙じゃないやい・・・・多分(汗)
「そうですね、これから一緒に住むのですからチャンスはいくらでもありますしね」
ナンデスト?
「雫どういう意味だそれは?」
「?言葉どうりの意味ですが」
「いくら兄妹といっても年頃の男女が一つ屋根の下に住むのは問題があるぞというより学校が許可しないだろ」
「大丈夫です。それは校長の弱みを見せ脅し・・げふん、げふん、・・えっと心を込めて話し合ったら了解を取れましたから大丈夫です」
雫が汚れちゃったよ・・・どうしよう
その後部屋にいるイヴと一悶着会ったが二人にそれぞれの関係と此処に来るいきさつを話したら何とか納得してもらった。
なんか最近すごい疲れてるな・・・・・
「どうしてこの女狐が和樹さんと一緒なんですか!!」
次の日の朝通学路で夕菜と雫が言い争っている勘弁してくれ
「兄と妹が一緒にいるのがおかしいのですか?」
「どうして、和樹さんと腕を組んでるのですか!!!!」
「兄妹のシキンシップです。それが何か?」
「腕を組むのは妻である私の役目です!」
「一度病院にいったほうがいいですよ?良い医者を知っていますから紹介しましょうか?」
「結構です」
そして始まる魔法合戦。んでもってこの後、玖里子さんと凛ちゃんが乱入してきて俺のストレスが溜まります。
・・・最近視線を感じるのだが気のせいか?
<???>
二人の人物がいる。一人は背の高い金髪女性で切れ長の眼をしていてモデル張りの美貌の持ち主だ。さらにクリーム色のロングコートを着ていてそれが彼女の冷たさを強調している。
そして彼女は今双眼鏡で和樹達を監視している。
「どうだ」
隣にいる男が聞く。無精ひげを生やした陰気な男だ。
「馬鹿なことをしている。高校生にしては子供っぽい。あれなら二キロ先でも感知できる。監視の必要もなかった」
「どれどれ」
女は男に双眼鏡を渡す。
「ほほっ」
笑い声が漏れる。
「いいケツしてるなあの『男』」
ピシ!
空気が凍る、女は心なしか男と距離を取る。
「ん?どうしたディステル?」
男がディステルと呼ばれた、女に尋ねる。
「いや、ヴィペール今不吉な単語を聞いたような気がしたが」
「いいケツか?」
「その後だ」
「男」
「・・・ヴィペール、前々からいや私には理解できないことだからあえて聞かなかったがおまえその・・・・ホモか?」
ディステルは勇気を出して聞く。あたってほしくない、少なくても今回の仕事で組む相手がホモなんて絶対にやだ。ディステルはそう思った。
「ちがうぞ」
よかった。ディステルは自分の勘違いに安堵のため息をつくが・・
「俺は男も好きだが、女、特に『幼女』もすきだああああ!!!!!!」
「なおさら悪いわ!!この人類の敵がああああ!!!!!!!!」
ずどおおおおおん!!
ディステルの放った炎がヴィペールを黒焦げにする。痙攣を起こしているところを見るとまだ生きているようだ。
「・・・・・失敗するかもな、この仕事」
こめかみを押さえながらディステルは考える。こんな奴がいたら間違いなく失敗する、ディステルはそう思った。
(それに、あの男見覚えがある、・・・まさかな)
ディステルは自分の考えを否定する。奴であるわけがない。
自分の知るあの男は氷のような冷たい眼をし、触れればすべてを切り裂く抜き身の刃のような殺気を振りまいていた。
少なくても痴話げんかに巻き込まれる情けな男ではないはずだ。
「いくか」
黒焦げのヴィペールを引きずりその場をあとにする。
途中駐車違反で捕まるが、すべての責任をヴィペールに押し付けたのは余談。
あとがき
雫登場。そして賢人会議編スタート。
少し長めになりますが見捨てず応援してください。
レス返し>
D様>冷属性はリースとかぶるのでちょっと難しいかも。
33様>はい、その通りです。じゃないと和樹君は生きていけませんから。
紫苑様>まあこのようになりました、いかがですか?
MAGIふぁ様>「スネーク・バイト」以外の技はちょっとずつ出す予定です。
アポストロフィーエス様>イヴはちょっとずつ成長していきます。
イジー・ローズ様>期待を裏切らぬようにがんばります。
武井雅考様>そりゃいきなり腹を刺されたら根に持つでしょう。
此処の和樹君は下手に強いぶん胃とかも頑丈なので苦労します、ストレスで胃を痛めても入院するほどのダメージに届かないせいで(涙)