<トレイン>
ごごおおおん!
爆音が鳴り響く、おそらく彼らにとっては悪夢でしかないだろう。
何しろトルネオ・ルドマンの屋敷にいる腕利きのSPがたった二人の掃除屋にやられてるのだからたまったものではない。だが現実に彼らは次々と倒されているのだ。
「おお、ぞろぞろやってきたな」
愛銃、『ハーディス』と呼ばれる黒い装飾銃で撃ちながら、トレインは答える。
「仕方ないだろ、あいつらが侵入しやすいように俺達はできるだけ派手にやらないといけないんだからな」
スヴェンが仕方がないという風に答える。もちろん銃で敵を撃ちながらだが、
「だけどあいつら大丈夫なのか?」
「大丈夫だって、あいつらは只者じゃねえよ、そう簡単にやられはしない」
「・・・確かにな」
トレインの意見にスヴェンがうなずく、確かにあの時「トルネオをぶっ飛ばす」と言った時の和樹の殺気は本気のトレインに匹敵するほどだったので心配はしていない。
「まあ俺たちはとっととトルネオを捕まえに行くぞ」
「そうだな」
<トルネオ>
「くそ!」
モニタールームでトルネオは毒ついていた。
「侵入者はたったの二人だろうが、とっと始末しろ」
たった二人の侵入者相手にここまでやられていることがトルネオをいらだたせる、それに
「・・・・・」
イヴの様子がおかしい。
正確には昼間、便利屋を名乗る男をイヴが刺した時からだが、
(くそ、イヴの奴めまさか自我が芽生えたとでもいうのか?)
トルネオにとってはたまったものではない。
自我など兵器にとっては邪魔なものでしかないのだから。
「ト、トルネオ様!!裏口から新たに侵入者が二人現れました」
「なんだと!!とっと人員を二つに分けろ、それとその侵入者の画像をそちらにまわせ!」
そこに写っていたのはさらに信じられない光景だった。
一人は金髪をポニーテ−ルにした美女、もう一人は黒いシャツに黒いズボン、紫の丸いレンズのサングラスをした十代の黒髪の少年、しかしトルネオは男のほうに驚愕した。
「馬鹿な!奴はイヴに刺されたはず、何故生きている!?」
間違いなく致命傷だったはず、仮に生きていたとしてもわずか数時間で動けるはずがない。
(べんりやさん・・・・・いきてた・・)
トルネオの焦りをよそに、イヴは喜んでいた。
「スネーク・バイト」
俺の一撃でSPの一人の腕を砕く。
「な、何だこいつは」
SP達が銃で応戦する、俺はそれを壁を背にかわす。
「面倒だな」
たいしたことないが数多い、いつもなら問題ないのだが、
ズキ!
「痛!」
俺は傷口を押さえる、少しきついな。
「リース!」
「わかっているわ」
そういいながらリ−スは呪文の詠唱に入る、そして
「凍結弾(フリーズ・バレット)」
氷の弾丸がSP達に直撃する。
「馬鹿な此処は魔法封じの素材で建てられているのだぞ、魔術が使えるわけがない!」
「俺の使い魔であるリースは魔族と人間のハーフのうえ凍結することに長けた魔術師でもある。この程度の魔法封じでは無意味だぞ。・・・まあ多少の魔力の低下は防げないがな」
俺はリースの作った隙をつきSP達の後ろに回りこむ。
「な、貴様!」
SP達が銃で応戦しようとするが遅い!
「スネーク・バイト」
右腕を一閃し数人のSPを吹き飛ばす。
「いたぞ、こっちだ!」
しつこいなあ、俺は次から次へと現れる雑魚にため息をつく。
「和樹、此処は私に任せてあなたは先にいって」
「じゃ、任せた!」
俺は猛スピードで館の奥に突き進む、途中リースが扱けた気もしたが気のせいだろう・・・多分(汗)
<リース>
「少しは心配しなさいよ・・」
とっとと先に行った自分のマスターに呆れれるリース、まあ彼の心配などまったくしていないが。
(心配するだけ損だしね)
自分の主はどんな状況でも生還できるし誰が彼の前に立ちふさがろうとけして負けない。
リースは経験でわかっていた。
リースは呪文を唱える、すると足元に魔方陣が現れそこから自分の背丈ほどの水晶の槍が現れる。
「さてと、じゃあはじめますか、死にたくない人はとっと逃げなさい」
すさまじい殺気を放ちリースは敵に向かって踊りだす。
<和樹>
「此処にいたか」
屋敷の中庭そこに、トルネオとイヴ、あと誰かわからない変な奴が一人いた。
「ふん、たった数時間前にイヴに刺されたくせにその日のうちに乗り込んでくるとはな、化け物め」
「やらなければいけないことがあるんでね」
「何だと」
「ティアーユの依頼でなイヴを自由にしに来た」
「ティアーユだと!」
トルネオの顔色が変わる、ティアーユの名前によほど動揺しているのだろう。
俺が彼女から受けた依頼は生体兵器イヴの始末、ただし彼女が兵器としてではなく人間として生きられるのなら助けるという条件付だ。
そして彼女はまだ人間として生きられる。あのときの涙がその証拠だ。
「だ、だが、それでも今はわしのものだ、イヴは誰にも渡さんぞ」
ズガン!
俺は近くにあった石像を『スネーク・バイト』で砕く。
「黙れ」
「なに」
「イヴの人生はイヴのものだ。他人の都合を押し付けてるんじゃねえよ」
ずおお、俺から放たれる空気すら凍らせる殺気にトルネオがあとずさる。
(な、なんだこの殺気は、十代の小僧が放てる殺気じゃないぞ・・)
「イヴ、お前はどうしたい?」
「・・・わからない・・・でもわたしがすきなことしていいの?」
「ああ、そうだ外で話すのも良いし学校に行くのも良い何よりイヴがしたくないこともしなくてもいいんだ」
「じゃあ、もうひともころさなくてもいいの?」
「ああ俺がさせねえよ」
「だったら・・わたし・・じゆうがいい」
イヴが笑顔で答える。
「ふざけるな!」
トルネオがイヴを捕まえ注射器を取り出す。
「貴様」
「動くなよ、これはN,S剤、イヴの自我を崩壊させる代わりに絶大な力を得られるのだ」
「くそ」
SPの一人が俺に銃を突きつける、だがこいつらは気づいていないみたいだなこの場にもう一人いることを、
「知っているかトルネオ、黒猫の不吉は絶対らしいぞ?」
「貴様何を・・」
パリーン!
一発の銃弾がトルネオの注射器を砕く、
「くそ」
SPが俺を銃で撃とうとするが俺は一瞬で間合いを詰め腹にけりを叩き込む、そのまま男は十メートル近く吹き飛び倒れこむ。
「後は貴様だけだな」
「馬鹿めN,S剤はもう一・・ぎゃあああ!!」
俺は注射器を持つトルネオの左手を握りつぶす。
「イヴの痛みを思い知って懺悔しな、『スネーク・バイト』」
ズガン!
俺はトルネオの頭をつかみそのまま地面に叩きつける。
「大丈夫か?」
俺はイヴに近寄る。
「・・・わたし・・じゆうなの」
「ああこれからはイヴがしたいことをすれば良い」
そういって俺は優しく抱きしめた・・・・・俺はロリコンじゃないぞ!後から来たスヴェンやリース、何故かデータを盗みに来たのに研究が気に食わないという理由で破壊したリンスにロリコン疑惑がたったのは誤解だぞ。
「で、こいつどうするんだ?」
トレインがトルネオを指差す。
「決まっている、起きろ豚」
俺はトルネオを蹴り起こし目を見る。
「や、やめろ!!わしは、、ぎゃああああああそんなの入らん!!」
トルネオが突然叫びだす。
「何したんだ?」
トレインが俺に尋ねる、言いたくないが仕方がないか、
「俺の眼は邪眼と呼ばれる魔眼でな、見つめた相手に一分間の幻を見せることができる。幻といっても精神や肉体にも影響を与えるディープな奴だがな」
ただし一日三回、同じ相手には二十四時間は見せられない制約がある。それを破ると命にかかわるしな、
「そうか」
(スヴェンの『あれ』と同じ魔眼の持ち主か、さすがに種類は違うが)
トレインが納得しているとリースが尋ねてくる。
「ちなみにどんな幻をかけたの?」
「百人のマッチョなゲイに迫られる幻」
「「「「「・・・・・・」」」」」
俺を除く全員、イヴまでも黙り込む。・・・なんか寂しいな
ちなみにイヴのこともあるのでトルネオの賞金はパアになってしまった。
トレインすまん。・・・・・・追加だが風の噂でトルネオが男色に目覚めたとか目覚めないとかまあどうでもいいことだけどね。
あれから三日経ちました。
トレイン達と別れ俺達はまだベルギーにいる。
理由は二つ一つは俺の傷の治療のため屋敷の戦いのとき派手に動いたせいで傷が少し開いたため大事をとっている。
もう一つがイヴだ。一応日本でティアーユと一度会うことになっているがその後のことを聞いて見たら「和樹といっしょにいたい」といわれたので戸籍やパスポートの準備などがある。
そのとき手伝ってくれたリンスにお礼を言ったら
「(ポッ)べ、別にかまわないわよ・・その代わりいつかこの借りを返してもらうからね」
と顔を赤くしながら言われた。風邪がはやっているのか?
まあそんなわけで俺達は今日やっと帰るべくオープンカフェで時間をつぶしている。リースは相変わらず居心地を悪そうにしているし、イヴは熱心に本を読んでいる。
・・・・ころあいか・・俺は席を立ち上がる。
「和樹?」
イヴが不思議そうに俺を見る。
「ちょっとトイレに行って来るだけだ心配するな」
そう言い、イヴの頭を撫でる。
(気をつけてね和樹)
(心配するな、俺が負ける訳ないだろう)
リースは気づいたみたいだが俺にそう言われると黙ってコーヒーを飲む、信用されてるのかな俺?だとうれしいな。
俺は路地裏まで来て足を止める。
「そろそろ、出て来い朝から俺を監視していたことはわかっているぞ」
その言葉を聞き現れるのは四人のチンピラ。
「俺はあんたらに恨まれるようなことをした覚えはないがな?」
いきなり四人が俺に襲い掛かる、マジかよ。
ブオン!
鉄パイプの一撃をかわし俺はチンピラの一人の顔面にパンチを叩き込む。
が、例え今の俺が普段と比べて六割程度の力しか出せなくてもとの程度のレベルなら三日は目を覚まさないほどのダメージを与えたのに何事もなく起き上がるチンピラ。
「マジかよ」
チンピラの攻撃をかわしながら邪眼を使おうよ目を合わせようとして気づく
「こいつら正気じゃない」
明らかに操られている、何だ魔術か、いや違う。
魔術ならリースが気がつかないわけがない、となると魔術とは系統の違う術・・・・呪術、呪術師(ブーディスト)か、
「いや、違うな」
俺はその考えを否定する。奴らはこんな回りくどいことはしない。もっと効果的でエグイ事をする連中だし、何より魔術師達との勢力争いが沈静化しているとはいえ倫敦の時計塔があるヨーロッパで派手なことをするとは思えない、となると何だ、リースが探知できない系統の術・・・神道、陰陽術、違うな。
「となると何だ?」
超能力、不確定すぎるなチンピラの攻撃をかわしながら考える。気か、いやこれは術の仕業・・・気・・・!まさか道術(タオ)か!
これなら考えられる。自分の気でさまざまな現象を起こす大陸の術。
消費するのが生体エネルギー『気』であるため魔法回数を消費しない優れものだが、
「確かブルーの話だと二十年以上前に『クロノス』と『協会』が手を組んで道師(タオシー)と呼ばれる使い手と全面戦争をしわずかな数を残して壊滅したと聞いたが」
そのときの生き残りか?にしても何故俺が狙われる、道師(タオシー)に狙われる覚えはないぞ?
「いるな」
気を集中させて探知範囲を広げる、間違いない姿は見えないがいるならば、
「スネーク・バイト」
ほんの少し『アスクレビオス』の力を解放したスネーク・バイトで回りにあるビルの壁を吹き飛ばしコンクリートの破片が俺たちに降り注ぎ砂塵に包まれると同時に俺は気配を消す、後はかかるのを待つだけだ。
<???>
ビルの屋上そこに一人の男がいた。大陸の道服をきて顔を呪布で隠している明らかに普通の人と違う気配を漂わせている。
「奴の気配が消えた?」
奴の右腕、何故か鱗を持つ大きな蛇の幻が見えたがビルの一部を砕だきあたりが粉塵で見えなくなったら奴の式森和樹の気配が突然消えたのだ。
「何故・・まさか!」
和樹の狙いに気づいた瞬間後ろから殺気を感じその場を前に飛ぶ、
「スネーク・バイト」
和樹の右腕が男のいた場所にクレーターを作る。
「貴様」
「やっと会えたなストーカー」
和樹は不敵な笑みを浮かべた。
<和樹>
今俺の目の前には変人がいる、おかしな服を着て呪布で顔を隠しているんだ変人以外の言葉が見つからない。
「なるほど、粉塵で姿を消し私のわずかな気の乱れで位置を特定するとは、噂どうり、いや噂以上だな腕も頭の切れも」
「そうか、俺は葵学園では落ちこぼれで通っているんだがな」
「落ちこぼれか、それにしてはずいぶんとすさまじい殺人者の匂いをかもし出しているな」
「そうか」
俺は構える。こいつは強い、今の俺で勝てるかどうかは微妙だな、アスクレビオスの力を解放すれば勝てると思うが、このあたりいったいを廃墟にするのは勘弁したいしな。
「ふふふ、安心したまえ私の名はシキ、今日は顔見世さ」
やな名前だ。化け物の共通の名前だし。『死』とか見えないよね?見えてたら泣くよ俺・・
「逃がすと思うか?」
「いいのか此処で戦えば確実にこのあたりの人間は死ぬぞ?まさか無関係の人間を巻き込むほど狂っているほどでもあるまい」
そう言いシキは一枚の札から巨大な虫を呼び出し、その背に乗る。
「ではさらばだ、また会おう。式森和樹」
シキを乗せた虫は空を飛び、二枚の札を俺に向かって放つ。
「ち!」
俺はそれをバックステップでかわす、すると地面に張り付いた札が爆発する。
「くそ、逃がした」
奴が使ったのは符術だ、しかも玖里子さんのとは違い完全に人を殺すための術だが、
「勘弁してくれ」
なんか最近加速度的に平穏がなくなっている気がするが気のせいじゃないよな絶対。
「そろそろ、時間だし戻るか」
俺はリースとイヴのいるカフェに戻る・・・・・誰か俺に平和をください
<???>
「此処が葵学園ですね」
校門に一人の少女がいる。背は百六十前後、翡翠色の目をし青みがかった黒髪は肩より少ししたまで伸びている。スタイルは玖里子ほどではないがそれでも出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでいる間違いなく美少女だ。
「やっと会えますね・・・・兄さん」
<和樹>
「止めるな!俺は自由を手にするんだ」
「和樹落ち着いて、恥ずかしい」
「和樹、みっともない」
今は飛行機の中です。飛行機からスカイダイビングをしようと思っている俺を止めるリースとイヴ。
「離せ、今帰ったら間違いなくえらいことになる気がする、だから俺にも自由をくださ〜〜〜い!!!!!」
俺の叫びは日本につくまで続いた。
あとがき
和樹が原作とはかけ離れてます、もはやオリジナルです。次回からはまぶらほ賢人会議編です。
もっとも他作品のキャラやオリジナルもでますけど・・・むしろまぶらほキャラの出番があるか心配です。
レス返し>
紫苑様>あずまんがのキャラは今は無理でもそのうちだしますのでご安心を。
アポトロフィース様>肉体戦闘力は高いですよ。原作でもナンバーXがトンファーの乱れ撃ちで人狼(?)を原子レベルまで分解してますから。でも彼らは魔術師としては並程度なので最強というわけではありません。
武井雅考様>誰と戦ったかはそのうち明らかにします。
タクト様>正直難しいです。最近では原作も似た扱いだし。
D様>セフィリア関連のイベントはもう少し先です。ちなみに和樹とセフィリアは接触済みです。
555様>そうなったら、イヴが勝ってくれることを願います。