<夕菜>
ガチャ!ガチャ!
「待っててください!今あなたの妻がデートに誘いに行きます」
とっ、いつものごとく妄想にふけながら和樹の部屋にピッキングをして入り込もうとする宮間夕菜。
「あきました、和樹さんデートに行きましょう」
明らかな不法侵入なのだが、彼女の頭の中には和樹とデートすることしか頭にないようだ。・・・・一度病院にいったほうがいいと思うが、
「あれ、和樹さん?」
ちなみに部屋には誰もいない。何せ和樹は昨日から『仕事』で日本を離れているのだが、そんなことを夕菜が知るわけもない。
「・・・どうしていないんですか?!!キシャー」
八つ当たり気味に和樹の部屋に魔術を撃ち込む夕菜。
・・・どうでもいいが『キシャー』化はまだ先のはずだが?
<和樹>
・・・なんだこの言いようもない背中を走る悪寒は?
「和樹、いったいどうしたの」
人間形態になったリースが俺を心配したのか、不安そうな顔で見る。
「何故か知らんが物凄く帰りたくなくなったんだが」
と言うか、このまま逃亡したい。
「・・・学校はどうするんですか?」
「どうしよう・・・」
ベルギーにまで来てなんて不毛な会話してるんだ、俺たち?
「これからどうします?」
「ターゲットを探すしかないでしょう」
俺達はオープンカフェで相談している。
道行く人の視線がいたい。何せ今リ−スは金髪をポニーテールにして白いセーターと青いジーンズというなんともいえない格好をしている。
ちなみに俺は半そでのワイシャツと黒ズボンに革靴、紫色をした丸いレンズのサングラスをしている。
「やっぱり俺の格好が変なのか?」
道行く人がこっちを振り向いたり、女が顔を赤らめるのは?
「・・・後半は違うと思うけど・・」
リースが居心地が悪そうにしている。
リースって人ごみ苦手なんだよな、だから普段は白猫の姿をしているし本当は海外だからリ−ラに頼む予定だったんだけど、連絡が取れなかったんだよな。
海外だと飛行機に乗るときに人型にならないといけないからなあ、パスポート?・・・紅尉って何者なんだろうないったい?
「とりあえずはトルネオ・ルドマンの屋敷を調べるのが一番だと思うのですが」
「そうだな」
俺は食後の一服をしながら答える。
『トルネオ・ルドマン』このベルギーを拠点にしたユーラシア大陸最大の勢力になりつつある武器密輸組織。
「もっともここ数年は中東あたりで活動しているか」
「まあヨーロッパにはクロノスの本部を初めいろいろ厄介な組織が多いですから」
確かに、倫敦の時計塔やバチカンの教会、イギリスの王立騎士団、さらにはクロノスの本部、すごいところだねヨーロッパ。
ちなみにクロノスとは世界経済の三分の一を支配している、世界最大の組織の一つだ、風椿家なんてクロノスと比べたらごみだね。
でもって一番厄介なのがクロノス直属の暗殺部隊通称『クロノ・ナンバーズ』と呼ばれる連中だ。
何せ奴らは一つの武器を極限クラスまで極めた人間じゃあ最強クラスの戦闘能力の持ち主であの『埋葬機関』の化け物に匹敵するほどだからたちが悪い。しかも魔術なしで、
さらに連中は『オリハルコン』と呼ばれる世界最硬の金属の武器を持つ、さらにその金属は、魔術にもある程度の耐性を持っているので、かなり厄介だ。
何度か戦ったけど、倒せなかったんだよね、負けもしなかったけど。
「じゃあ、別行動して宿で待ち合わせということにする」
「そうね、じゃあ和樹先に出てるわ・・・正直いづらいし」
これだけ野郎が見てればリースじゃなくてもいづらいわな。
「時々、自分の女難が怖くなるわな」
今俺の隣には今回のターゲットでもあるイヴがいます。
あの後別れてすぐ何故かイヴが、チンピラに絡まれてたのを助けて一緒のベンチでアイスを食べてます。
「ところで、イヴはさっき何見てたんだ?」
俺がアイスを買っているときに何かを見ていたのに気がついていたのでたずねて見る。
「ひと・・・みたことないひとばっかりだったから」
「そうか?」
そういいながら俺にはわかった。イヴがどうゆう教育をされていたか・・・
「わたし・・あまりおうちからでたことないから・・・まちにこんなにひとがいるなんてしらなかった」
「こんなのたいしたことないぞ。うちの学校はこんなのよりもっとおかしな連中もいるし」
「がっこう?」
「ああ、同じ位の年の連中が集まって勉強したり、友達作ったりして馬鹿やったりするところだ」
「たのしいの?」
「ああ。楽しいぞ・・・・たぶん」
「?どうしたの」
いやなんでもないいです。虚言癖のストーカーやら金儲けに命をかけるド外道クラスメートを思い出しただけですから(涙
「他にもいろいろ話をしてやろうか?」
「うん!」
イヴが嬉しそうに返事したのは俺の気のせいじゃないだろう。・・これならティアーユの依頼も簡単に果たせそうだ。
「とまあ、そういううこともあったわけだ」
「そうなんだ」
俺は今イヴと街中を散歩しています。途中幼女誘拐と間違えらられ警察に追い掛けられたりもしたけど・・・いじめ?
「じゃあそろそろ・・」
キキー
俺たちのすぐそばで黒塗りのリムジンが止まる。
(なんだ?)
俺が考える前に現れたのは豪華なコートを着た、でぶった成金爺いと数名の護衛。
間違いないこいつはトルネオ・ルドマンだ、どうして此処に?
「此処にいたかイヴ、さあ戻って来い」
考えている暇はないな、俺はイヴを後ろに下がらせかまえる。
「トルネオ・ルドマンだな」
「貴様、掃除屋(スイーパー)か?」
掃除屋(スイーパー)政府などが危険と判断した賞金首を捕まえその賞金で生計を立てている人物のことだが俺は違う。第一免許持ってないし
「あいにくだが違う、あえて言うなら便利屋だな」
依頼で誰かを守ったり何かを奪還したりをバイト感覚でしている俺は掃除屋ではないわな。
「その便利屋がいったい何のようだ?」
「決まっているだろ、トルネオ・ルドマンさんあんたの賞金さ」
知り合いのスイーパーに押し付ければいいことだし。
「ふっふっふ、今までわしの首を狙った奴がどうなったか知っているか?」
「何が言いたい?」
何故こいつはこんなにも余裕なんだ?
「こういうことさ、殺せイヴ!」
油断!俺は一瞬反応が遅れる。俺の視界に入るのは右手を刃の姿を変えたイヴ、そして俺の腹にイヴの右手が貫いた・・・
頬に一筋の涙を見せて・・・・・やな物を見せてくれる・・・・・
「ちっ、なんて・・無様」
俺は今、腹を抑えながら路地裏にいる。
参ったね、此処最近平和?な学園生活ですっかり勘が鈍ったみたいだ。
「早く来いリース、俺はまだこんな理由で魔法を使いたくないぞ」
さすがに意識が朦朧としてきた、まずいかも。
「和樹!」
リースが駆けつける。
「いったい誰にやられたの?」
俺の傷を見て驚く、まあ自分で言うのもなんだが俺に此処までの深手を負わせられる奴はそうはいない。
(和樹が此処までの傷を負うなんて)
「イヴにやられた、悪い油断した」
俺は刺された状況をリースに説明した。
「・・・・女性に会いかわらずね、いつか刺されるとは思ったっけど本当に刺されるとは・・・」
リースは俺に治癒魔術をかけながら呆れたように話す。
「そういうわけで、少し眠いので寝ます」
そういって俺は意識を手放した・・・・
「知らない天井だ」
まあこんな状況に陥ったら一度は言ってみたいよねウン。
「いきなり、ふざけたことを言い出すならもう大丈夫ね」
リースかと、思ったら見知らぬ美女がいますよ奥さん。
年齢は二十代前半、紫の髪をしたセミロングの美女。
「誰?」
「私はリンスレット=ウォーカー、そこで寝ているリースさんとスヴェンの三人であなたを運んだのよ」
「泥棒請負人がなんでこんなところにいるんだ?」
「あら、私のこと知っているの?」
リンスレット=ウォーカー、政府やマフィア容認の泥棒。宝石や貴金属だけでなく、他国の情報まで盗む泥棒請負人なのだが賞金はかかっていない。
理由は簡単、彼女の依頼人は主に政府の高官もいるため彼女を捕まえる=自分達の悪事をばらすという事になるので彼女に賞金はかかっていない。
「まあ、ある程度は」
「そう」
ガチャ!
その音と共に扉が開く、そこに現れたのは二人の男。
一人は右目に眼帯をして白いスーツに白い帽子をかぶった、無精ひげを生やした緑の髪をした親父だが、ヤクザかなんかか?
もう一人は黒髪のぼさぼさ頭のかるそうな男、何故か鈴つきの首輪をして左胸の少し上のほうに]Vのタトゥーがある。
「二年前に死んだ黒猫(ブラック・キャット)が生きて掃除屋になったって噂は本当だったのか」
ガタ!
男二人が身構える。
「お前何者だ?」
親父の方が尋ねる。
『黒猫(ブラック・キャット』かつてクロノ・ナンバーズに所属していた最強の殺し屋。知名度は殺し屋の中でもナンバーワンだし銃だけですべてのターゲットをしとめていたらしいが、二年前クロノスを裏切って殺されたらしいが生きてたらしいな。
「クロノスとはちょっとした因縁があってな。それにそのタトゥーをみればわかる人はわかるぞ」
「ははは、それもそうだな」
黒猫のほうが笑い出す。
「笑っている場合か!少しは危機管理を持て」
親父あんた苦労しそうだな・・・
その後目が覚めたリースを含めて自己紹介した。親父のほうがスヴェン=ボルフィード、黒猫のほうがトレイン=ハートネットって名前らしい。
ちなみに俺はあの後偶然通りかかったリンスと彼女に呼び出されたスヴェンに運ばれたらしい。その後リンスに「ありがとう」と笑顔でお礼を言ったら
彼女の顔が赤くなった。どうして?
「で、あんたらはどうするんだ?」
スヴェンが俺たちに聞く。あのあと俺たちと彼らは意見の交換をした。そのとき目的を話したトレインにリンスとスヴェンが「「何で話すのよ(だ)」」と抗議したが当の本人は「別にいいじゃねえかこいつら悪い奴じゃなさそうだし」と何処吹く風だった。自由だね、
「とりあえず、今すぐトルネオの野郎をぶっ飛ばす」
んで、イヴを助け出す。
「ちょっと、あんた何考えてるの?治癒魔術で傷を塞いだとしてもまだ完全じゃないのよ、下手に動けば傷が開くわよ」
「別に問題ない、いくぞリース」
「・・・さり気にスイッチ入ってるね、和樹」
「おいあんたら!」
出て行こうとする俺とリースを止めるスヴェン。
「なんだ?」
「手を組まないか?俺達はトルネオの首、あんたらはイヴとかいう少女、目的は違うが利害は一致するぞ」
「そうだな、じゃああんたらが派手に暴れている間に俺たちが裏から忍び込むそれでいいか」
「おう、悪くないぞ」
うなずくトレイン。いいのか?おとりだぞ一応
「じゃあ行きますか」
俺たちは外にでる。行き先はトルネオの屋敷。待ってろよイヴ必ず助けてやるからな。
あとがき
これはまぶらほでしょうか?夕菜達の出番が思った以上に少ないです。
レス返し>
武井雅考様>本当だ!オーフェン化してるよ。
33様>主人公がヒモというのは問題があるような気がするんですけど・・
タクト様>期待を裏切らないようにがんばります。
D様>ホストになったら、他の女子に殺されますよ(苦笑)
紫苑様>和樹君は学生ですよ?掃除屋になったらいろんな意味でえらいことになりますよ。
アポストロフィーエス様>四、五人は落とします。どこかの秘密組織の暗殺部隊の隊長とか女子高生とか。