俺は今絶体絶命です、間違いなく死にます。
(和樹、どうしてこんなことになってしまったの)
リースが哀しそうに言う。
俺だってどうしてこんなことになったのか知りたいわ。
「・・・さあな、あえて理由を言えばあの三人娘のせいじゃないか?」
少なくともあの三人が現れなければ、こんなことにならなかった。
(どうするんですか?)
「どうするもこうするも、何とかするしかないだろう」
(・・・・バイト、ですか?)
「ああ、じゃないと俺達は餓死するぞ」
式森和樹、現在所持金12円絶食生活三日目突入・・・・
あの三人が来てからろくな事がなかったな、まずは幽霊騒ぎ、向かいの部屋に住むエリザベートの頼みを受け洋館に行ったら何故か妖魔とガチンコバトルをした上、エリザベートが夕菜を人質にとり異空間に逃げ込んだ。
そのまま放置しようと思ったが、何故か戦うことになって異空間に力技で侵入しエリザベートと激闘を繰り広げ勝利。
そのときの余波かどうかしらんが、戻ってきたら何故か『彩雲寮』と『朝霜寮』がくっついていたどうして?
その次は凛ちゃんの兄兼師匠がやってきた。俺のことを試しにきたらしい、いい度胸だ。
駿司さんは人狼だったが、体が死にかけのポンコツだったので俺の敵ではなく「スネーク・バイト」でボコボコにした。
その後凛ちゃんとの誤解が解け駿司さんは息を引き取った。
ちなみに俺は月には行っていない。どうしてかって?何が悲しくて見ず知らずの他人の為に貴重な魔法回数をつかなければならないんじゃボケ。
後は玖里子さんの頼みで何故かべヒーモスと戦う羽目になった。
原因はマッドドクターのせいだがな。
しかもそのとき知ったことだが俺は紅尉と仲が良いと言う噂が立っていた・・・・ショックです。
まあそんなこんなで平穏は何処に行ったの状態で、バイトで生活費を稼いでいた身としては収入が入るわけもなく今に至るわけですよ。
魔法回数は七回のままだけどね。
「腹減った」
マジでやばい。
(『仕事』をすればいいじゃないですか)
「そう言うがこのあたりに『仲介屋』はいないぞ」
『仲介屋』とは表立ってできないような頼みを俺たちのような裏の人間に依頼する、橋渡し的な存在のことだ。
(ポールさんのところに行けば仕事の一つや二つあるんじゃないですか?)
「だめだ、俺はまだポ−ルのツケを払ってない」
(最低ですね)
最近リースがソフトに毒舌だよ。
ガチャ、ガチャ!
鍵を掛けたはずのドアが開く・・・まさか、
「和樹さん、おはようございます。妻である私が迎えにやってきました」
誰が妻だ。
「どうやって入った?」
「それは、愛の力です。きゃっ言っちゃった」
ピッキングかよ。訴えようかな・・・はあ
「通学路です」
俺は誰に言っているんだ?
「和樹さん、明日は休みですよね。デートしましょう」
しねえよ。
「明日は用事があるから無理」
本当は何もないけど。
「遊園地にいきましょう」
無視かよ。
「和〜樹」
そう言って俺の背中に抱きついてくる玖里子さん。
「離れてくれませんか?」
「一発やらせてくれたら、離してあげる」
そうですか、俺はそのまま学校に向かう。余計なカロリーを使っている場合じゃない。
「玖里子さん、離れてください!」
夕菜が俺と玖里子さん引き離す。
「あら、夕菜ちゃん何するのかしら」
「それはこちらの台詞です、和樹さんは私のものなんですから離れてください」
何時俺がお前のものになった。
「アラ、やる気」
「和樹さんは渡しません」
二人の魔術が激突する。
どおおおおん
余波で吹き飛ばされる俺、最近調子が狂ってるな。
だって着地した場所が凛ちゃんの胸だよ。
俺は二浪した某女子寮の管理人か?その後はいつもどうりの展開で遅刻しました。
・・・・・・・どこか遠くに行きたいな・・・・・・・
「何のようだいったい?」
俺は今保健室の前にいます。時間は放課後です。
マッドが俺に話があると言うからきたが入りたくないな。
「マッド!いるか!」
俺は意を決して『葵学園の魔界』こと保健室に入る。
「式森君か?」
そこにはマッドともう一人背中まで伸ばした金髪のめがねをかけたおっとりとした、年のころは二十代半ばくらいの白衣を着た美女がいた。
「こんのおおおお外道がアアアアアア!!!!!」
神速並のスピ−ドで紅尉に近づき「スネーク・バイト」を打ち込む。
どごおおおおおおん!!!
そのまま壁に激突する。
「大丈夫ですか?あいつはマッド野郎です。何かされませんでしたか?」
「えっえっと・・あの・・」
美女が何か困っている。心なしか顔が赤くなっている気がするが気のせいだろう。
「いきなり何するんだね式森君」
何事もなかったかのように起き上がり服の汚れを落とすマッド、化け物め。
「君も少しは手加減というものをしてほしいのだがね」
「何言ってやがる。俺ほど手加減を心がけている男はいないぞ・・・少なくても俺が本気を出せば葵学園は瓦礫と化すが試すか?」
「君は本当に人間か?」
貴様にだけは言われたくないぞマッド、
「どうでもいいだろ、とっとと用件を言え」
「それも、そうだね」
「彼女はティアーユ=ルナティーク博士、ナノマシン権威の第一人者にして私の教え子の一人さ」
「マッド、お前いったいいくつだ?」
俺は前から疑問に思っていたことを尋ねる。
「式森君残念ながら我が家には年を教える風習はないのだよ」
そうですか。
「ふむ、ティアーユ君彼が式森和樹君、性格は二年B組の中でも上位に位置するほどの破綻者だが腕は文句なしの超一流なので安心してくれたまえ」
紅尉喧嘩なら買うぞ?
「・・・式森君言葉のあやだ、落ち着きたまえ」
なら、初めから言うな。
「でっいったい何なんだ?」
「これを見て下さい」
俺はティアーユから一枚の写真を渡される。そこに写っていたのは十二、三くらいの少女、てっこれって、
「あんたの妹かなんかか?」
目の前のティアーユそっくりだった。彼女を幼くしたら間違いなく写真の少女そのままの姿になるだろう。
「彼女の名前はイヴ・・・・トルネオ・ルドマンの持つ生体兵器です」
「なるほど依頼はわかった。ただし二つ条件がある」
「何でしょうか?」
「一つはやり方を俺の自由にさせてもらう、それでいいなら受けてやる」
俺はティアーユに確認する。これは重要だ、もしやり方が俺の気に食わないことを強制するなら俺は断るつもりだ。
「はい。依頼さえ果たしてくれれば、やり方はそちらに任せます」
よっしゃあ!これで気兼ねなく自由にやれるぜ、しかも明日の夕菜のデート?もサボれるラッキー!
「んで、もう一つなんだけどな・・」
「何でしょうか?」
彼女は息を呑む、これは重要だこれができるかどうかで俺の計画が180度変わる。
「今所持金が十二円しかないんだ。だから必要経費こみで依頼料の半額を前金でくれないか?」
・・・・・・・・空気が凍りました・・・・
何とか二つ目の条件も飲んでもらって俺は今日のうちに日本を出ました。
あとがき
とりあえずブラックキャットの話です聖痕はもう少し先です。ちなみにイヴ編は三話ぐらいの長さを予定しています。
後、クロスに関係こんなキャラを出してほしいというのはありますか?
リクエストがあればがんばって出します。
何かのキャラ、オリジナルキャラといません。簡単な設定を書いてくれるとなおありがたいです。
レス返し
33様>アドバイスありがとうございます。確かにバランスが難しいですね。
紫苑様>クリードが出るのはもう少し先です。一応ブラックキャットのラスボスですからいきなり出すのは難しいので・・・
555様>一応今のところ別々で出す予定なので・・・
D様>夕菜の犯罪に関してはいまさらかと。
イジー・ローズ様>ハイ。かなりの経験をつんでいます(笑)
にゃんこそば!!様>もちろん、ブラコンです。
アポストロフィーエス様>三人が知っているのは原作と同じ程度です。
武井雅考様>邪眼などの設定は原作と同じです。リースとの出会いはもう少し先で明らかになります。