「ようやく見つけたわよ」
そういって夜の道で俺の前に現れる三人娘。
「誰?」
「妻です!」
相変わらず訳のわからないことをほざく夕菜。
「病院行け」
「どうしてそんなこと言うですか!私達は愛し合っているのに」
・・・いい加減、むかついてきたぞ。
「そんなに俺の遺伝子がほしいなら種だけやるからとっとと帰れ」
「あんた、知ってたの?」
以外という風に俺を見る玖里子さん。
「先祖に何人か凄腕の『魔術師』がいたらしいことだけはな」
「数えるほどじゃないのよ」
玖里子さんの話によれば俺の先祖は五十以上の歴史に名を残す『大魔術師』が存在しその遺伝子が俺に凝縮されて俺の子供は大魔術師間違いなしだと言うが・・・
「本気でそう思っているのか?」
「どういうこと?」
玖里子さんが不思議そうに聞く。・・・本気でわからないのか?
「いや別にたいしたことじゃない」
俺はそう答える。言った所でこいつらが納得するとは思えないし、俺は関係ないし後悔するのはこいつらだからな。
「だけど俺は魔法回数七回の落ちこぼれだぞ」
少なくても表向きは、
「そうね。だから潜在能力なんだってば。あんたみたいな取り柄のない男が、葵学園に入学できるわけないじゃない」
なるほどそれが世間の評価か。少なくてもこいつらは俺の遺伝子目的で迫っているわけか。「アスクレビオス」や「邪眼」はばれていないようだ。
(ばれてたら、この三人を殺したかも知れませんね)
(確かにな)
俺は足元に寄り添っているリースに話しかける。こいつらの実家がどれだけつかんでいるか今度、幹也に調べてもらうかな・・・お金なさそうだし・・
「一つ聞くがどうやって俺のことを知った」
「それはね、どっかの探魔師が葵学園のサーバーに侵入してね。魔力データを地下市場(アンダーグラウンドマーケット)にばら撒いたのよ。そこにあんたの情報も含まれてて、色んなところが目をつけたのね。だって子供が生まれれば、大魔術師間違いなしなんだから」
本当かよ?少なくても俺と雫の魔法回数の差を比べれば、そんな意見でないはずだがな。
「私の家は魔法業界じゃ成り上がりだから、睨みを利かせる何かが必要なのよ。」
「それが俺の遺伝子か」
「そうゆうこと。んでもって凛と夕菜の家は最近ヤバ目だからちょっとてわけ」
これだから古い家は。
「私の婿にするため、連れてこいと言われた。だがこんな軟弱者などごめんこうむる」
「ああ、こっちからお断りだ」
「そんな」
「貴様!」
夕菜が顔色を変えて、凛ちゃんが怒り出す。
「こっちの意見を聞かず、やれ妻だと戯言をほざき、刀を突きつけ殺すと脅し、何の説明もなしに迫ってくる売女、そんな家こっちからお断りだ」
「あんた何者?」
玖里子さんが質問する。
「・・・式森和樹にきまってるだろ」
「そんなはずは・・」
「情報と違うと言いたいのか」
三人がうなずく。
「たとえお前らがどう思うと俺は式森和樹だ。どうしても疑うのなら髪の毛でも血でもやるから調べたらどうだ?」
「「「・・・・・」」」
三人が黙り込む。
「話はそれだけだ。俺はお前らと結婚するつもりはない。今日のことはなかったことにしてやるからとっとと消えろ・・・それから俺の部屋の修理費ちゃんと払えよ」
「待ってください!」
俺は帰ろうとしたが夕菜に引き止められる。
「何だ」
「私は違います、遺伝子とかそんなつもりはなくて純粋に和樹さんのことが・・」
「だから」
「だからって、和樹さんはそんなひどい人じゃ」
俺は夕菜の胸倉をつかむ。
「いい加減にしろ。俺は貴様のことなど知らん。少なくとも何の説明もなしに妻だとほざく奴など知らん」
「どうしてそんなことを言うですか?私の知っている和樹さんはそんなこと言いません!!」
「・・・・ふざけるな、俺は俺だ。てめえの理想を俺に押し付けるな。俺の人生は俺のものだ。貴様がなんと言おうと俺は式森和樹だ。誰かの人生を他人が決めて良い理由は誰にもないんだよ」
俺は夕菜の胸倉を話す。むかついた、こいつらではなくこんなふざけたことを言った家に対して。
もしこいつらの家がくだらないことをしでかしたら、こいつらの家を滅ぼしてやる。
「・・・・わかりました。もう良いです」
そういって夕菜は走り出す。
「夕菜ちゃん帰国子女なのよ」
「それがどうした」
「外国に行く前に、一人の男の子に優しくされて、ある約束をしたらしいんだけど心当たりない?」
約束か・・・俺の中にある約束は唯一つ。日本で初めてできた仲間の遺言それだけだ。・・・・・・やはりあの女のことなどまったく知らんそれに・・
「悪いが俺は昔ちょっとしたことがあってドイツにいてなそれ以前のことは記憶にないんだ」
「そう、なら仕方ないわね。凛、夕菜ちゃん探しに行くわよ。このままじゃ夕菜ちゃん何しでかすかわからないわ」
「・・・わかりました」
そういいながら二人は消えていく。
(良いですか?)
(俺としては彼女たちにも少しは考えてもらいたいんだ)
(懲りませんね・・)
(・・・・ダイジョウブデスヨ、ソウナンドモオナジコトガオキルトハ)
(起きます)
そうはっきり言わなくても良いじゃないか。俺は悲しいよグスン。
(それより探さなくて良いですか?)
(心配するな。夕菜には発信機をつけてある。何処にいるか一目瞭然だよ)
(いつのまに(汗))
(さっき胸倉をつかんだときにぽちっとね♪)
(・・・悪党)
じゃあのんびりと探しにいきますか。
<夕菜>
「・・どうしましょう」
夕菜は公園に来ていたがこれからどうするか悩んでいた。
「和樹さんに嫌われてしまいました。もう死ぬしかありません」
「ちょっと、夕菜ちゃん」
夕菜の独り言を聞いたのか玖里子が慌ててとめる。
「はなしてください、和樹さんに嫌われた以上生きる意味はありません」
「だからって死んだら意味がないでしょう」
「そうです。あんな奴の為に夕菜さんが死ぬ必要ありません」
「そうよ、それに落ち着いて聞いて夕菜ちゃん」
そういって玖里子は和樹が夕菜と出会った頃の記憶がないことを話す。夕菜はそれを聞き泣き出した。
「そ・そんな、和樹さん何も覚えてないなんて・・私どうすれば」
「どうもしなくて良い」
そこに現れたのは式森和樹だった。
<和樹>
「和樹さん、小さい頃の記憶がないって本当ですか?」
夕菜が泣きながら俺に尋ねる。
「ああ、俺はドイツに住んでたんだが、それ以前の記憶がない」
と言うより、思い出す暇がなかったんだよな。毎日、毎日俺の命を狙う奴らと戦ったり、俺に迫ってくる『ブルー』と『アルト』と『雫』の三人から逃げ出したりして大変だった。
「だからそのときのことを話してくれ」
夕菜から話を聞くと、俺は世界一の魔術師と名乗り彼女に雪を降らせたらしいが・・・本当に俺か?
『ブルー』と言う本物の魔法使いがそばにいたのにそんなたわけたことをいったのか俺は?
「つまり雪を降らせたわけだな。こんな風に」
「え?」
そうすると突然雪が降りだす。
「どうして?」
「か、和樹さんまさか、魔法を?」
「しかし、そんな気配感じませんでしたが」
玖里子さん、夕菜、凛ちゃんの順にそれぞれの意見を言う。
当たり前だ。魔法使ってないし、『これ』は一分しか持たない幻だしな。
「別に俺はお前らを嫌っているわけじゃない。妻だとか殺すなどいって俺に何かを押し付けるなと言いたいだけだ」
「和樹さん」
「顔見知りからなら初めても良い」
俺はニヤニヤしながら答えると夕菜が固まりそれと同時に周りの景色にひびが入り割れだす。
パリーン!
音と共に景色が割れ降っていたはずの雪が晴れる。
「え、どうして?」
「雪が積もっていない・・・」
玖里子さんと凛ちゃんが首をかしげる。
「いったいどうしたの?」
俺が原因だ思ったのか俺に尋ねる。
「和ちゃん、マジックです」
「貴様!ふざけるな!」
凛ちゃんが俺に刀を向ける。
「そうだね・・・凛ちゃんがスリーサイズを教えてくれたら教えてあげる」
「ふざけるな!」
凛ちゃんが俺に向かって刀を振り下ろすがそれを俺はバックステップでかわす。
「何故!今日会ったばかりの貴様にそんなこと教えなければならない!!」
凛ちゃんが俺に向かってひたすら刀を振るう。もちろんすべて余裕を持ってかわすが。
「そのとうりだよ」
「何だと?」
凛ちゃんの動きが止まる。
「これは俺の『力』さ。それをどうして今日はじめてあった、見ず知らずの他人に教えなければいけないんだ?」
「・・・・・」
凛ちゃんが黙り込む。
「だから、スリーサイズ教えてよ。そうすれば教えるから♪」
「やっぱり、殺す!」
しかしその前に元に戻った夕菜が凛ちゃんと俺の前に立ちはばかる。
「和樹さんは妻である私が守ります」
・・・・勘弁してくれ。
二人はまた戦いだす。ここ公園だぞ、壊したの払うの誰だと思ってるんだ?
「二人は戦いに夢中見たいだからしましょ」
「なんでだよ・・・」
「あんなもの見せられて黙って帰ると思った。あんたに少し興味がわいてきたわ」
「だからヤルのか」
「そうよ。運がよければ一回ですむし」
「運が悪ければ何回もするようかも知れないが良いのか?」
「え!」
俺は玖里子さんに迫る。
「まあ俺は別にかまわないがな」
「ちょっ、ちょっとまって」
「玖里子さん!和樹さんから離れてください!!」
夕菜がこちらに魔術を放つ。
「きゃあ」
玖里子さんはまともに食らったが、俺は余裕でそれをかわす。
「よくもやってくれたわね。覚悟しなさい」
玖里子さんも加わり三つ巴の戦いが始まる。
(・・結局こうなるのか)
(だから言ったでしょう。こうなる運命なんですから)
こんな運命やだ(涙)
(帰ろうか)
(そうですね)
そう言って俺達は公園を出る。後ろではまだ爆音などが聞こえてきたが勝手にしてくれ・・・
次の日
夕菜が俺のクラスに転校してきて『式森夕菜』と名乗りB組みの馬鹿が殺気立ち紅尉が俺の遺伝子のことを言いゴタゴタに巻き込まれるのは別の話。
・・・・・その日の放課後、紅尉に『スネーク・バイト』の乱れ撃ちをぶちかまし、紅尉が死に掛けたがそれは余談だ。
あとがき
まぶらほ編序章終了です。この和樹君は原作と比べて世間の荒波に飲まれているのでこういった反応はあたりまえかと。
この後はしばらく他作品がメインのクロス話に入るため夕菜たちはしばらく出てきません。
彼女たちの出番はディステル編でもある賢人会議襲撃編まで休みです、・・・勘弁してください。
追加情報・・和樹の外見はゲット・バッカーズの昔の蛮みたいな外見をしています。そのため原作と比べてはるかにもてます。
レス返し
ジャッカー様>確かに。ご指摘ありがとうございます。
D様>黒猫はそのうちだします。
紫苑様>かおりはもう決定済みです。それと作品のリクエストありがとうございます。フェイトはしばらく先ですが、ブラックキャットは近いうちだします。
33様>同類ですから(苦笑)人外も入る予定です。
イジー・ローズ様>レスありがとうございます。メイド編、楽しみにしています。
遠坂様>確かにひどいです。ご指摘ありがとうございます。こんなだめ作者ですが見捨てず応援してください。
武井雅考様>彼女たちの未来はそこまでひどくありません・・・たぶん。
タクト様>ご意見ありがとうございます。すぐかどうかわかりませんが、風の聖痕はクロスします。