放課後。
今から部活に行く人や、仲間と遊びに行く人。かったるいから帰る人など、皆、目的があり移動する。
そんななか、横島はアリスに事情を聞こうとアリスのもとへ移動した。
「なあアリス。少し話がしたいんだけど、一緒に帰らないか?」
「え?あ、ハイ。少し待ってくださいね」
ちなみに今日はバイトはない。
アリスは鞄に教科書やノートを入れ始めたが、待たせては悪いと思い少し焦ったために、
「あっ・・」
ガシャン
筆箱を落としてしまい、中身が散らばってしまった。
「よいしょっと」
「すいません」
2人で身を屈めて、落ちたシャーペンを拾いはじめる。
あらかた拾い終わり、ラストに消しゴムを取ろうとしたとき、
「「あっ」」 2人の手が触れた。
ドキッ
手の位置はアリスが下、横島が上。
顔を上げると相手の顔。目と目が合う。なぜか照れくさい。
横島が手を引っ込めて立ち上がる。アリスも消しゴムを拾って立ち上がった。
横島は、顔を真っ赤にしながら、かける言葉を考えるが出てこない。
アリスは、触れた部分を反対の手で包むように握りながら、かける言葉を考えるが出てこない。
沈黙
「「あの・・」」
2人とも、かける言葉を思いついたのだろうけど、同時に声をかけたためにまたもや沈黙する
2人とも顔が真っ赤で、下を向き、横島は頭をかき、アリスは、白い肌を赤くしながら手をモジモジしていた。
一分とも一時間とも感じる沈黙を破ったのは、アリスのほうだった。
「あ、ありがとうございます」
「え?」
「ひ、拾うのてつだってくれて」
「あ、あ〜、うん。」
なんともいえない空気を出す2人。運悪くまだ教室に残っていた生徒は酸欠に落ちたり、白目をむいたりと、やばい状態になっていた。
ゴゴゴゴ・・・・・・!
「よ・こ・し・ま・くん。今日、掃除当番よ?」
背後に紫の炎をだしながら無敵に素敵な笑顔で愛子が登場。
顔は笑っているが、目が笑ってない。持ってる箒が軋む音がする。
「あ、愛子さん?今日、僕、掃除当番でしたっけ?(そんな怒らんでもええやないか〜。忘れとっただけやのに〜)」
「そ、そうよ!ハイ箒。(実は今日じゃないけど・・)」
怒ってる理由を勘違いする横島に、掃除当番じゃないのに掃除を押し付ける愛子。
「それとも横島君。掃除サボるき?」
「イエ、ヤラセテイタダキマス」
しぶしぶ掃除を始める横島。だれも[横島が掃除当番じゃない]ってことを教えないのは、さすがだ。
「アリス、悪いけど、少し待っててくれないか?」
「あ、私も手伝います」
「え、悪いよそんな。」
「そうよアリスちゃん。アリスちゃんは掃除当番じゃないんだから」
「いえ、いいんですよ。さっき拾うの手伝ってもらいましたし、それに早く終わらせて忠夫さんとお話したいですし」
笑顔で言うアリスのセリフに横島は、また顔を赤く染め、愛子は青筋立てていた。
「じゃ、じゃあ頼むよ」
「ハイ!」
「僕も手伝いますよ」
「「あ、ピート(君)さん」」
「いたんかピート」
ピート登場。横島は昼休みのことをまだ根に持っていた。
「「「われわれも手伝うぞ」」」
クラス男子登場。
「おまえら、どこにおったんじゃーー」
「「「水野さんだけに掃除させるなど言語道断。われわれもてつだいます」」」
「転校してきたばっかりの水野さんに1人で掃除なんてさせれませんよ」
「1人で、って俺も愛子もいるんだけど」
横島の突っ込みをスルーする男子ども+ピート
「ありがとうございます。ピートさん、皆さん」
「じゃあ掃除しますか」
「「「おおーーーーー」」」
(なぜピートが仕切ってんだ?)
「・・・もう俺がいる意味なくないか?」
「・・・そうね」
あほな野郎ども+ピートにお礼を言うアリスの後ろで、野郎ども+ピートを見て呆れる横島と愛子。
「なあ愛子。こんだけいるなら帰っていいか?」
「そうね。ピート君もいるし。(元々当番じゃないし)」
当番じゃないのに、無理やり掃除させることに対して引け目を感じていたので、横島を帰すことにした。
「それじゃ帰るわ。 アリスー帰るぞーー。」
「え、掃除はどうするんですか?」
「そんだけいれば十分だろ?]
[でもなんか悪い気が・・・・」
「別にいいわよ。元々2人とも当番じゃないんだし。」
「そうそうって、俺もか!?」
「いや、横島君には手伝ってもらいたくって・・・」
「あのな〜(じゃあ何で怒ってたんだ?)」
「ごめんね?」
「いや別にいいけどよー。バイトがない日ぐらい手伝ってやっから、そん時はちゃんと言えよ」
「うん!・・ありがとう」
「ああ、じゃあ帰るかアリス」
「ハイ!」
「じゃあね!横島君、アリスちゃん」
「じゃあな!!」
「さようなら!!」
横島とアリスは帰った。残ったのは、帰ったことにきずかずに一生懸命、掃除するあほ男子ども。
(あれ?ピート君は?)
公園
「ほい」
「ありがとうございます」
横島とアリスは近所の公園にきていた。横島はアップルジュースをアリスに渡してベンチに座った。
自分の分はない。つーか買えないのだ。給料は上がったのだが、その分、学校に行ってるため、結局前と大差ない。
「で、話ってのは、「許嫁のことですね?」・・・そう」
なぜ自分には許嫁がいるのか?そんなこと今日はじめて聞いた。
「えっとですね。まず私の父の仕事から話しますね。」
「私の父は忠夫さんと一緒で、GSなんです。」
「いや俺なんて見習いだしーって、俺GSって事言ったっけ?」
「そのことも話を続けているうちに解りますから・・」
「わかった」
アリスが語りだす。
「去年の今頃は、京都に住んでたんです。でも、ある事件が起きてナルニアに住むことになったんです。」
「そこで、俺の親父たちに会って俺のこと知ったのか」
「ハイ」
「で、事件って聞いていいのかな?」
「いいですよ。忠夫さんにも少し関係ありますし」
「俺に?」
「少しですけどね。」
アリスはジュースを一口飲んでまた語りだす。
「あれは去年の私の誕生日の3日前のことです。父が1週間ナルニアに出張することになったんです。私は誕生日を一緒に過ごす約束をしていたので父に文句を言ったら「一緒に来ればいい。1日ぐらいあけるさ」って言ってくれたんです。私は旅行気分で付いていくことにしました。」
「あれ?お母さんは?」
「・・・母は私が小さいときに、他界しました」
「・・・ごめん」
「いえ、いいんですよ。もう覚えてませんし。」
「でも・・ごめん」
「・・・・話をつづけますね」
「うん」
「ナルニアに付いて3日後。いきなり悪霊が大量発生したんです。」
「え?なんで、また?」
「あとから知ったんですけど、その時、日本ではアシュタロスって魔族が世界征服をしようとしてて、そのせいで世界各地で悪霊が大量発生したそうですけど」
(コスモ・プロセッサか!)
「たしか忠夫さんは、アシュタロス討伐に参加してたんですよね?」
「へ?何で知ってるの?」
「テレビに出てましたし」
「あ〜あれか」
横島はパピリオに捕まった時に一回。その後、スパイとして入っていたことを伝えるために一回、テレビに出ている。
「それで父が忠夫さんの事を気に入りまして」
「それで俺をアリスの許嫁に?」
「それもあるんですけど、まだ続きがあるんです」
「父は大量発生した悪霊から町の人を守ろうとしたんです。なんとか守りきったんですけど、父は全治数ヶ月の大怪我をしてしまって・・・。それで日本には戻れなくなってしまい、私もナルニアで父が長期の入院をしてしまい、どうしようと思っていた時、同じ病院に来ていた忠夫さんのお父様とお母様に「君のお父さんが入院する間、家にくればいい」って言ってくださいました。それで私は忠夫さんのご両親に、お世話になったんです」
「ふ〜ん。あの親父とお袋がね〜」
「ハイ。勉強に遅れたらいけないって、むこうの学校にも通わせてもらいましたし、数ヶ月の間でしたけど、本当の父と母みたいに優しくしてくれました。」
(その優しさの半分でいいから俺に向けんかい!!くそ親父にお袋。)
「父の入院中、何度かお見舞いに来てもらったんですけど、その時、父と忠夫さんのご両親の気が合ったみたいでして・・・」
「なるほど、それで同い年の俺らを許嫁にっと」
「はい。」
アリスは横島の発言を待つように、横島はなにか考え込むように、黙り込むアリスと横島。
「アリスはそれでいいの?」
「なにがですか?」
「いや、勝手に許嫁決められて、しかも相手が俺みたいなやつで?」
「・・・確かに初めは驚きました。でも、会ってみて、嫌だったら別にいいって言われんです。だから私も会ってから決めようと思いました。」
「じゃあ、やぱッり嫌でしょ?俺みたいな奴が許嫁なんて・・」
「いえ、まだ決めてないんですよ。会ってから、って言いましたけど会っただけじゃ相手のことなんて分かりませんし。」
(しっかりした子やな〜)
「忠夫さんこそ、私なんかが許嫁でいいんですか?」
「へ?いや〜俺なんかにアリスは、勿体無いような気がするし、まだ会ったばっかりだし・・・」
「でも、最初に、生まれる前から愛してました〜って言ってたじゃないですか?」
「いっ!?いやあれは美女を見たときの条件反射っつーか・・」
手をバタバタさせて慌てる横島を見て、クスクス笑うアリス。美女と言われてうれしかったのか顔が少し赤い。
クスクス笑うアリスはどこか幼く、とても可愛らしかった。
「だ・か・ら♪これからよろしくお願いしますね?忠夫さん。」
「あ、あ〜よろしくな。アリス。」
2人向き合い握手する中、夕日が差し込んでいた。
まだお互いのことをよく知らない2人。だからこそのよろしくの握手。これから2人が好き合うにしても、そうじゃないにしても、2人は出会ったばっかりで、物語はここから進んでいく。
「綺麗な夕焼けですねー」
「そうだな・・・」
「昼と夜の一瞬のすきま短い間しか見れないから、きれい」
ドックン
「え?」
「あ、もうこんな時間。ごめんなさい。急いで帰らないといけないんです。」
「あ、あ〜」
「それじゃあ忠夫さんまた明日!」
「また・・・明日」
走って帰るアリスの背中を見ながら、横島の頭には彼女のセリフが繰り返し響いていた。
{あとがき?}
えーと、アリスですけど人間かどうかは内緒です。(まだきめてませんし)
ちなみに、予知能力もないですし、持ってる人形がしゃべったりすることもありません。たぶん(決めてないんっす)
名前はベタベタなのを使わせていただきました。
ピートですけど最初は壊れにするつもりはありませんでした。横島との三角関係を作ったろうと思ってたんですけどなぜか壊れてしまいます。
掃除の時にいなくなったピートですけどちゃんと訳ありです。楽しみにしてください。
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