壁に耳あり、障子に目あり
3−Dに転校してきた超美人転校生、水野 アリスが、煩悩魔人、横島 忠夫の許嫁宣言をした事が、なぜか昼休み前には全校生徒に知れ渡った。
「やめんかいーー!!」
場所は立ち入り禁止のはずの屋上。横島はクラスの男子に拉致され呪縛ロープでぐるぐる巻きにされていた。(ロープを持ってきたのはタイガー)
「オイ横島。てめーーいったい水野さんとどんな関係なんだ?答えによっちゃあ明日はないと思え」
「だいたいてめーにはおキヌちゃんていう彼女がいんだろがコラ!?」
「そういえば朝方、銀髪のカワイイ女の子と散歩してたの見かけたぞ俺」
「俺なんか、亜麻色の長い髪した美人のお姉さんと高級バーに入って行くのを・・」
「俺は九つのポニーテールした女の子とうどん屋に入っていくのを・・」
「僕は三つ編みの女の子が横島さんの部屋に入っていくとこを・・・」
「ワッシは、閉店したはずのレストランに入って行く姿を見ましたノー」
「って、おいーー。お前らまでなに言っとんのじゃコラーーー」
ドサクサにまぎれて発言するピートとタイガーに叫ぶ横島。
「だいたいおキヌちゃんは、恋人じゃねーし、シロの散歩は付き合わされとるだけだし、美神さんのは強制的に酒に付き合わされとるだけや。タマモにはきつねうどんたかられとるだけだし、小鳩ちゃんは夕飯のあまり物届けに来ただけだし、魔鈴さんは新しいメニューの試食を頼まれとるだけやー。俺は何も悪いことしとらんわー」
聞いてると、殺したいぐらいうらやましいことをぬかす横島に、男子の怒りは50パーセントアップした。
「だいたい許嫁のことだって俺はまだなんも聞いとらんわ!」
「しらをきるつもりか横島!あん?」
「そうですよ横島さん。主はどんな罪でも許してくれます。さあ、懺悔してください。」
「はやく吐いたほうが見の為ですケン」
「だから知らんって言うとるやろがーーー。だいたいアリスに事情を聞く前にお前らが拉致ったんだろうが。」
横島のアリス発言に、男子の怒りは殺意にクラスチェンジ♪
「てめーーなに水野さんを呼び捨てしとんのじゃーー。」
「どつくぞコラ!!」
「死なす」
「悪・即・斬」
「ちょっと待てーー。これはアリスがそう呼べっていうから・・」
「横島さん。棺おけなら家にいっぱいありますから安心してください。」
「おいコラーー。キャラ変わってんぞピートーー」
「横島サンのことは忘れませんケン。」
「勝手に殺すなーーー」
「「「「「もはや慈悲なし!!」」」」」
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
横島が男子に
拷問尋問されている時、クラスではアリスを中心に、愛子を含む女子が集まっていた。
「ねえねえアリスちゃん、横島君の許嫁って本当?」
「え、ええ、本当ですけど・・」
「えええーー水野さんそれでいいの?勝手に結婚相手決められて」
「いえ、会ってみて嫌だったら別に結婚しなくいいって言ってましたし」
「じゃあやめたほうがいいわよ絶対!!」
「そうそう、だって横島君だもんね〜?」
「結婚なんてしたら絶対浮気で悩まされそうよね」
「第一、もったいないわよ。アリスちゃんにならもっといい人できるって」
「そうそう、こんなに綺麗なんだしさー。もっといい男できるって」
もはや言われたい放題の横島。少し不安になってきたアリス。だが彼女たちの半分はただ横島を取られたくないがために言ってるだけで、本心で、横島のことを嫌ってる子はいないのだ。
たしかにすけべだが、底抜けに優しく、自分に正直で、いつも明るく元気で、見ていればこっちまで元気になる横島のことを嫌う人はいない。
(ちなみに、クラス内の女子が男子に対する人気は、横島=4、ピート=3、横島&ピート両方=3で実はピートより人気がある)
「ちょっと、それじゃあ横島君にいいとこ無いみたいじゃない」
不安げなアリスを見て、すこし言いすぎよ。と愛子がフォローする。
「まあ、べつに悪い人じゃないけど・・」
「それに見てたたら楽しいし・・」
「つまらない結婚生活ってのは絶対無そうだけど・・」
横島の評価がよくなり安心するアリス。
「今日はじめて会ったけど、やさしそうな人でよかったです。寝顔も可愛かったですし。」
顔を赤くしながら言う姿はとても可愛らしい。しかし横島を慕う女子(特に愛子)には、面白くない。
(アリスちゃん、横島君のこと好きなのかしら?)
愛子は不安になる。こんな可愛い子に好かれたら、いくら鈍感な横島君だってその気になるんじゃないかと。
うかうかしていたら横島を取られるんじゃないかと。今までは横島が超鈍感だからどんなに綺麗な女性がいても不安じゃなかった。
でも、彼女は横島の許嫁。しかもとびきりの美人で許嫁に関しては満更でもない様子。さすがの横島も意識し始めるだろう。
キ〜ン〜コ〜ン〜カ〜ン〜コ〜ン〜
愛子が悩んでいる間に昼休み終了の合図が鳴った。クラスの男子も帰ってきた。(横島はいない)
愛子はラストに、
「アリスちゃん、横島君のこと・・好きなの?」
と聞いた。
クラス中が静まりかえった。誰も聞けなかった質問。そして、誰もが聞きたかった質問。結局、アリスは横島のことをどう思っているのか?
許嫁がどうのこうのより、アリス自身の心。
もし好きなら男子にはチャンスなし。女子は横島をめぐってアリスと張り合わなければならないが、相手はアリス。ものすごい美人だ。
ルックスがすべてってわけじゃないけど、性格も悪くなさそう。勝ち目がないって思ってもしかたがないことだ。
「好き」と答えられるのが怖い。
だが愛子は聞いた。これは愛子の宣言でもある。
アリスに横島のことが好き?と聞ける女子は横島に全然興味がない人かアリスだろうと何だろうと譲らない決心をした人だけだ。
当然、誰の目からみても愛子は後者。
つまり、「私は相手が誰であろうとも横島君は譲らない」と宣言したに等しい。
(一人の男子を取り合う。これも青春よね)
こんなこと考えてるあたり愛子らしいところだが・・
クラス中の視線がアリスに注目するなか、アリスが口をひらく。
「今日会ったばかりだから、なんとも言えないですけど、嫌いじゃないです。でも興味はありますよ」
アリスのセリフ。これから好きになるかも。気になる相手。そんな感じの微妙な返答。
ガラガラガラ
次の教科の先生が入ってきた。横島はまだ帰ってこない。
「あ、先生がきた。またあとでねアリスちゃん」
「ええ、愛子さん」
(彼女、絶対に横島君に惚れるわ)
愛子が席に戻る中、ピートはさっきのアリスのセリフを聞き、
(僕にもチャンスがある!!主よ感謝します。)
と、心の中で十字をきって、神に感謝していた。
ちなみに、横島は授業開始5分後に、傷一つなく帰ってき、男子生徒を驚かしたそうな。
{あとがき}
台本形式はやめたほうがいいというレスをもらったので、やめました。
アドバイス的なレスはとても助かります。ありがとうございます。
ピートはアリスに惚れてますけど、タイガーはそこまでじゃありません。
タイガーには魔理がいますし。へたしたらタイガーの出番もうないかも・・・
次はなんでアリスが横島の許嫁になったか?です。
次もがんばります 義王
BACK<
>NEXT