お口の恋人
第二十一話 虹のビオレッタ 一冊500円
つまりだ、人生とはどのように回るかわからないって事で。例えばだ、どうしょもない女好きで三度の飯より自慰が好きな男子高校生が、ふと気がついたら、美少女に鎖をつけて公園を徘徊すようにもなる。人生なんてそんなもの達観できれれば、どれだけ心が楽になったか。
「あ、あぁぁぁぁ…… 見てますぅ、皆見てますわぁぁ♪」
夜の公園。愛し合う若者たちが、草むらやベンチでいちゃつき真っ只中のデートスポット。その場所に、後に伝説となる調教師が現れた。
「かおりばかりずるいわ。みんな若い娘の方が良いのかしら? ねぇ、ご主人さま にゃあ」
「十分アンタもめだっとる。いや、俺もな…… がぁ! 何でこうなったんじゃあ!!」
赤い色のウィッグをかぶり、右手に鎖、左手に裸女を持っているのが横島忠夫。胸ポケットにサングラスを忍ばせている。付けたら何も見えん。夜だし。鎖の先に繋がれているのは弓かおり。裸に皮の首輪、お尻に犬の尻尾の付いたディルドーを挿している。肘と膝には皮製のサポータをつけ、安全面はバッチリだ。
「はぁはぁ! あぅぅ、横島様ぁ! 私、私ぃぃ」
お尻を一所懸命に振りながら、かおりは舗装された散歩道を犬のように這って歩いている。彼女の進んだ後には、ポタポタと愛液が垂れていた。
「すてきよかおり。さぁ、もっと自分を解放しなさい にゃあ」
横島の腕にしがみ付いている美女。やはり裸で首輪をしている。お尻には猫の尻尾を挿入している。弓さやか、かおりの実の母である。しかし、そうと思えないほど若々しく、肌の艶は見事なものだ。多少筋肉質な事を本人は気にしているのだが、それが彼女の美を強調していたりする。
「あぅぅ、あの、その、横島様ぁぁ! あちらの明るい方へ行きましょう! あぁぁ、ステキですぅぅ」
二人とも金髪のウィッグをかぶり、それなりに変装したつもりでいる。まぁ、彼女たちの特徴のキラキラした瞳を見れば、知人が気が付く事もあるのだろうが。豊満な胸にしなやかな肢体。普段、お腹やももの筋肉が彼女たちを健康美に映すのだが、今彼女たちを見ても、エロいとしか表現できまい。
「まじ? もう皆に見られてるしなぁ」
手に持ったハンディカムで娘を撮影する母。しかも全裸。犬のように散歩している娘。そしてその飼い主。目立つ事この上ない。AVの撮影とでも思われているのか、声をかけてくるものは今はいない。
「うわ! 痛え!!」
草むらからバチっという音と共に、男の声が聞こえてくる。さやかの仕業である。人の気配と此方への視線がする場所に、雷気を含んだ霊波を微量に流しているのだ。それで盗撮等をしている輩の機材を破壊しているのだ。見られるのは良いが、無断で記録されるのは嫌らしい。
「おい、あれ見ろよ」
「何あれ! 凄い! ご主人様とペット!? あぁ、本当にいるんだぁ」
噴水がライトアップされた広場。何人もの恋人たちが、ベタベタと絡んでいたその場所に、ワンコとニャンコを連れた横島が降臨した。ニャンコは横島の腕を自分の陰部に押し付け、グチョグチョ音をたてて弄っている。ワンコはもう、恍惚な表情を浮かべ、ふらふらと這って歩いていた。
「あぅぅ、見てるの、見てますのぉぉぉ♪」
見られる事による興奮で、かおりは何度も絶頂に達している。膝はもうガタガタと震え、腰の力も抜けてきている。そんなかおりのお尻を、さやかが皮の短鞭でピシッと打った。
「きゃうん! あ、あぁぁぁぁ、お母様ぁぁ、あぅぅ」
「あらら、まだまだ元気じゃない。さぁ、ご主人さまもペシっとやってあげて にゃん」
そういって手に持った短鞭を横島に手渡す。今は着ていたコートがしまってあるが、相当色々な物をさやかは用意していたのだ。期待に目を輝かせているかおりに流され、横島は彼女のお尻を叩く。
「あぅ! あふぅ! あぁ! あ、あああああああ!!」
お尻を叩かれると同時に、かおりはピュっと潮を吹いて悶絶する。ペタンと地面に倒れるが、お尻だけは突き出された状態だ。ギャラリーの、特に女性の反応が凄い。何故か自分がかおりの立場にいる事を想像し、赤毛の男(よこっち)に弄られると思うとゾクゾクする。
「もぅ、やらしい娘ね。そんなにお尻を向けてどうして欲しいの? そうねぇ、これが欲しいとか? にゃん」
そういってさやかは横島のペニスを取り出す。はちきれんばかりに膨張したそれは、元気いっぱいに脈打っている。見学者の女性の喉がなる。男たちはかおりとさやかの痴態に夢中で気がついていないが。
「欲しいです! それが欲しいのです! ください! それを私に入れてください!」
地面を涎で汚しながら、かおりは大声で叫んだ。母が大事そうに握る横島のペニス。あれが自分の膣内を暴れるという事を想像するだけで、身体の火照りがジンジンと倍増する。
「『待て』、ですわ。かおりも雌犬なら『待て』くらいできますよね? それにしても、熱くて太くて、立派な事♪ 猫舌には辛いわ にゃあ」
何て言いつつも、さやかはパクっと根元までペニスを飲み込んだ。そして、大きく頭を動かして、ズボズボと音を立てながらそれを吸う。本当に幸せそうな笑みを浮かべるさやかに、見学者も顔を赤らめる。
「ぐえ!」
一方、『待て』を受けていたかおりに触ろうとした男が、彼女の一撃で宙を舞っていた。その行為に呆れた男の彼女は、そいつを置いて帰ろうとも思ったが、未知の世界の方が気になり、その場に残ったりというドラマもあったり。
「じゅぶぶぶぅ、ぶはぁ! はにゃぁぁ、もう凄いですわ」
口から抜いたペニスにすりすりと頬擦りする。唾液でベトベトになるのも気にせず、さやかは恍惚としていた。
「さぁ、かおり。『良し』」
「はい! あ、ああぁぁ、はぁはぁ、頂きます! ん、んん、ぴちゅ、んむんむ♪」
宙を舞っていた男が落ちてきたところに、迎撃の正拳づき改を喰らわしていたかおり。(全裸で)そんな時、さやかからお許しが来て、慌てて横島に飛びついた。彼の腰にしがみつき、母の唾液で湿ったペニスにゆっくりと舌を這わす。先端を丁寧に舐め、さおから裏すじまでツツーっと舐める。
「あ、あぁ…… 凄い」
ギャラリーの声を気にせず、かおりは丁寧、丹念に愛撫を続けた。ずっとさやかばかり横島のペニスを味わっていたので、彼女の喜びも一入だ。たっぷりと舐ったあと、口の中にゆっくりと咥え、舌をネロネロと動かしながら頭を上下に動かしだす。
「ぐぶぅ! んぶ、んぶぶ! じゅぶぶ、んむぅ、んぶ!」
手を使わず、必死に頭だけを動かしてペニスを刺激する。雌犬は手など使わないのだ。一方、雌猫の方は自分の指を激しく膣内に出し入れしていた。お尻のディルドーのスイッチも入れ、振動が腸内を刺激する。
「あぁぁ…… いいわぁ。凄く良いのぉぉ! にゃあぁぁぁ」
グチュグチュと愛液と秘肉が擦れる音が鳴り響く。辛抱溜まらず飛び掛った男を宙に飛ばしながら。さやかが娘に目を向けると、ちょうど喉の奥で射精された所だった。一滴もこぼすまいと、ゴキュゴキュと音をたてて精液を飲み込んでいる。
「はぅぅ、ご主人さまのミルクを独り占めなんて酷いわ にゃあ」
夢中で精液を飲むかおりの陰部に、さやかは指を三本ほど入れて膣内をかき回した。
「んぐ! ぶふぁ! けふぅ、んぶぅ、ごきゅごきゅ」
突然の刺激に思わずかおりは口を離してしまった。とたんに零れでる精液。犯人がさやかである事を確認し、改めてペニスを咥え込み、精液を飲みだす。尻尾のスイッチを入れられ、お尻の中がブルブルと振動する。膣内からお尻の中のディルドーを撫でられたりと、さやかに好き放題にされていた。
「ぷはぁ! ん〜 ごきゅん♪ んん、ん、けぷ! あぅぅ、激しすぎますわぁぁ、んぎ! えぅ? ええええ〜!!?」
突然、かおりの膣内に異物が侵入してきた。驚いて後ろを振り向くと、さやかが骨の形をした玩具を挿入している姿が確認できた。
「ほらかおり、たくさんお食べなさい♪ こんなに涎をたらすほどお腹をすかせちゃって。もう、どんどん飲み込んでいくわ にゃあ」
「いやぁ! そんなの入れないでぇ! 冷たくてやなの! 横島様の熱いおチンチンが良いのぉぉ! やぁ、嫌よぉ、うぅ、ひぅ! う、動いたー! ひ、ひぁあああ!!」
かおりの膣内でブルブルと振るえる犬用の玩具。激しく振動するそれは、かおりの膣内を暴れまわり、彼女の身体を仰け反らせた。
「さて、ご主人さま、そろそろ私にもくださいにゃあ。ここに、ね?」
ベンチに寄りかかってお尻を突き出す。細長い尻尾を優雅に揺らしながら、さやかは横島を誘う。ヴァイブレーションに悶えるかおりを放っておくのも悪いと思ったが、蜜に惹かれる虫のように横島はさやかの陰部に誘われ、その陰裂にペニスを挿入した。
「ふにゃああ! い、いきなり激しいの!? あ、あう! あう! あう!」
初速から全開に腰のスピードを速める。バチバチと肉のぶつかる音が響き、同時に液がグチュグチュと鳴っていた。タプンとした胸を強く揉み、硬くなった乳首を摘みながら横島は激しく腰を打ちつける。
「お、おうぅぅ! くはぁ! 凄いの! 凄いのー!! あう! あぅぅぅ!!」
そのあまりに淫靡な光景に、見ている人間が固まる。精液に顔を汚した美少女は、膣内に挿入された玩具に悶え、妖艶を醸し出す美女は、男の責めに獣のように声をあげる。自分たちの行為はぜんぜん甘かったと悟り、中にはあの調教師に飼って欲しくなった女性もいた。
「いひぃ! あぅ! あぐぅ! くは! あぁ? あ! あああああ!!!」
横島の容赦ない責めに、さやかは頭が真っ白になるほど悶えていた。下半身の力が抜け、ついには失禁ンしてしまった。しかし、そんあことは気にせずと、横島の激しい腰の動きは続く。
「らめぇ! まひゃらめぇ! ううぅぅ、んあああああ!! まららの、まららのぉぉ!!」
陰核を弄られ、何度も身体をビクビクと痙攣させる。呂律が回らないほど頭がぼおっとするが、自分を責める快感は止まらない。
「本当にもぅら、らめぇぇぇぇ! んあ! 来るの! 来るのぉぉ!! えぅ? あ! んあああああ!!」
何度目かの絶頂と同時に、さやかの膣内に横島は射精した。ドクドクと流れる熱い精液は子宮をパンパンにしそうなほどの量で、ドクっとペニスが跳ねるたびに、さやかの身体も痙攣した。
「あ、あああ、お母様ぁぁ、酷いですぅぅ」
自分には玩具を使わせておいて、横島の精を受ける母を羨む。確かに今の痴態を回りの人間に見られているの最高だが、横島に射精される喜びには勝るまい。
「あ、ああぁぁぁ…… ふにゃぁ。 あぅぅ、こんなに凄いの初めてよ。ね、ご主人さま、かおりの所まで運んでください」
「えっと、抜いて良いの?」
「あの子にミルクをあげないと、ね?」
さやかが何をしたいか悟った横島。回りの視線を気にしつつも、挿入したままさやかを持ち上げ、かおりの所まで運ぶ。
「さぁ、ミルクの時間ですよ。あ〜んしてね?」
「え? あ、あーん…… !! んぷぅ♪」
子供に用をたさせる格好で持ち上げられたさやか。そのさやかの膣内からペニスが抜かれ、そこから精液がドロドロと溢れ出てくる。それをかおりは大きく開けた口で受け止め、嬉しそうに飲みだした。
「あぁ、そう、中に残ったのも吸っていいのよ」
「はい♪ じゅぶ、ちう〜 じゅぶぶ」
精液の出がおさまりかけた時、さやかの言う通りに、かおりは彼女の陰部に口をつけて精液を啜った。
「ミルク美味しい?」
「ん♪」
ペチャペチャと音をたててミルクを吸う雌犬。さり気無く、横島のペニスを手で上下に擦っていたりする。
触発された恋人同士が夢中で貪りあっている中、互いの性器を重なり合って舐めあう雌犬と雌猫。雌犬の陰部には、飼い主のペニスが挿入され、激しく膣内を蹂躙されていた。
「あ、あの! 私も飼ってくださいませんか!?」
勇気を出してそう声をかけてきた女性もいた。連れの男をお空に飛ばされた女性たちだ。だが、大切なご主人様を奪う女狐には寛容ではない二匹。首輪もしてない女は一昨日キヤガレ! と追い払っていた。余談だが、首輪をした女性がご主人様をさがしてこの公園を徘徊するようになったのはこの頃からである。
「また出てるの! 私の中に射精されてるのー!!」
その様子を撮影する先程の女性。報酬のフェラ一舐めでそれを引き受けたのだ。最初は不満そうであったが、射精直後のペニスを咥えさせられたため、濃厚な精液をモロに飲み込んだ。すぐさまかおりとさやかに奪われたが、ついでに心も奪われた。 にゃあ
赤髪の調教師伝説。その者赤き頭髪をかぶりて、金色の髪の雌とともに夜の公園に降り立つ。約束の証たる首輪と尻尾をつけたメスのみを、最高の快楽たる肉欲の楽園に導くであろう。 わんわん
「はぁ、なんとか終電に間に合った」
精液まみれの彼女たちを丁寧に拭き、ロッカーにしまっていた着替えを着せ替える。腰に力が入らないヘロヘロの二人をタクシーに乗せ、運転手には万札を握らせておいた。彼女たちの匂いに眉をひそめた運転手だったが、行き先と釣りはいらない事を告げたとたん、ころっと態度を変えて彼女たちを自宅に送っていった。
「知り合いに会わんでよかったわ」
地下鉄の中、流れる外の暗闇を見つめながら、横島は無事に帰宅できる事を感謝していた。おそらくまだ令子は寝ていないだろう。今更電話をしなかった事を悔やむ。
「事情を説明する事も出来んしな」
赤髪の調教師の噂はすぐに令子の耳に入り、横島は裸の女豹を散歩さえる事になる。そして伝説はさらに広まっていく。 がるる
「はぁ――― ん!?」
地下鉄の窓の外。暗闇しかないそこに、横島は見逃せないものを発見した。いや、見つけてしまった。
「今の、人間、だよな」
黒っぽい服を着た女性。横島の目はそれを捉えたのだ。美人だったから? その通りだ。いやいや、動体視力を鍛える訓練の賜物ですな。
「気にしたらあかん、とは言ってもなぁ」
たまにだが、横島には好奇心がひたすら強くなる事がある。まるで何かの啓示のその好奇心を、毎回無視する事ができないのである。
「気になっちまったのは仕方ないやなぁ」
次の駅で横島は降りた。もう今夜は電車は無い。だが、ここから徒歩かタクシーを使って帰ればいいだけと、あまり気にせずに線路に降り立ち、女性の姿を見つけた場所へ歩き出した。
さてさて、夏子ちんの冒険をちょっとだけ
エジプト
「あらよっと、どないや?」
「だいぶ深いですね。いまロープを下ろします」
カイロ
「はぁ、嫌な予感がビンビンするわ」
その地下数十メートル。石と砂に囲まれたその場所、発掘され尽くされた遺跡のさらに奥。彼女たちの目指す『遺跡』はそこにあった。
「夏子さん、明りはどうしますか?」
「オバ九は暗視が利くんか?」
「はい、人並みには。って、夏子さんみたいには無理ですよ! 証明焚きます。ライトで良いですか」
頭に装備した暗視ゴーグルとインカムがセットになったヘッドギア。それを通じて会話する二人。防刃正に優れたベストと、防弾力の高いジャケット。各種装備の詰まったナップサックと、完全武装の二人組が、地下の遺跡に挑もうとしていた。
「他にどんな装備があるっちゅーねん。ほら、先に降りるで」
スルスルとロープを下っていくのは、少女といっても過言ではない女性。この世界で、ザ・サマーという彼女の字名を知らぬものはいないという、業界屈指の腕利きの宝捜し屋である。東洋人は若く見えるというが、彼女は正真正銘の17歳の少女である。今回は、あるクライアントに依頼された秘宝探しを行っていた。
「ちょっと! はぁ、怖くないのかよ」
彼の名は九龍。つい先日、夏子も籍を置くロゼッタ協会のメンバーになった少年である。腕が全てのこの業界、彼や夏子のような若さでも、実力を示せば一流へとなれるのだ。いや、若いから一流とは限らないのだが。
「おーい、オバ九も降りてきいや。なんかゴッツイでここ」
オバ九とはお馬鹿な九龍の略である。このカイロで途方にくれていた彼を、偶然見つけたのが夏子だった。彼女からしてみたら、困っている日本人を見捨てる事が出来なかっただけなのだが、彼が自分と同じ協会所属ハンターと知ったときは、ガツンとグーで殴られた。
「今降ります!」
夏子の通信に答え、暗闇に身体を投じる。長い距離を降りた所、そこは異様な空間であった。
「な? おかしいやろ」
砂の大地の下にある大空間。砂が川のようにすぐ下の足元を流れている。今二人が立っている岩場の向こう、その場所に奥へと続く入り口が見える。流砂を挟んで距離にして6、7メートル。
「ジャンプで行けますね。今度は俺が先に行きます」
そういってオバ九は軽い助走をつける。幅跳びは協会ハンターの必須能力だ。達人は助走無しで空を飛ぶという。
「たあ! ってうわあ!!」
オバ九が跳躍する瞬間を狙ったかのように、流砂の中から巨大な顎が飛び出してきた。
「なんとぉ! 必殺の八艘跳びぃぃ!」
自分の足を喰らいつこうとしたその顎を踏み台にし、オバ九は無事に対岸にたどり着いた。
「砂鮫やな。随分立派に成長してるし。標本にしてもえらい値が付くで」
そう言いながら、夏子は彼より高い位置で流砂を飛び越えた。砂鮫の届きようも無い高さだった。
「よし、十点満点! オバ九も尻は無事か?」
「何で尻なんですか? いや、無事ですけど」
「アレに噛み付かれるマヌケはな、大抵尻を齧られるんよ」
ズブズブと砂流に潜っていく砂鮫を見ながら、夏子はにこっと笑って見せた。
「それって、俺がマヌケって言ってません?」
「違うの?」
「う!」
ロゼッタ協会に所属する宝捜し屋、ハンター。そのハンターの証がHANTである。多彩な機能を有し、宝捜しに絶大な有用性をもつそれは、同時に協会の身分証でもある。Hunter Assistant Network Tool 略してH・A・N・T、ハント。
「私もさ、この業界それなりに長いけど、HANT落としたってハンターには初めておうたわ」
「ぐざ! うぅぅ、あんな機関銃持った連中に襲われなければなぁ」
ロゼッタ協会の宿敵、レリックドーン。九龍はエジプト到着早々その刺客に襲われ、逃亡劇の際にHANTを紛失してしまったのだ。持ち主の生体反応すら本部に伝える機能があるソレを無くす。下手をすれば、彼は死亡扱いされているかもしれないのだ。
「レリックドーンな。あんなマヌケ集団くらい、ちゃちゃっとあしらえんとあかんな」
「そうッスね。機関銃くらいささっと避けれるようになりたいです」
「そやで。頑張ればレーザーだって避けれるようになる。苦労するけどな」
インカム越しに軽口を叩きながら、彼女達は遺跡の入り口と思われる通路を歩いていた。この遺跡の場所は依頼人から指定されたのだ。だが、世にこの場所に遺跡があるなど知られていない。色々ときな臭い感じはするが、夏子の好奇心はそれ以上であった。
「向こうに広い空間を確認。わかるか?」
「音の反響具合が変わりましたね。俺が先に行きます」
自分を助けた少女が、有名なザ・サマーである事に驚いたが、これはチャンスであると今回の彼女の仕事にバディとして同行を求めたのだ。
「待ちや、HANTが動体反応を示しとる。なんかおるで」
「何でそんな便利なもんを俺は落としたんだよ」
ライトの照らす範囲、そこに見えるは木造の壁。
「木ぃ!? なんで木の壁があるねん!」
「ソレよりも床ッスよ。あの黒くて硬い甲殻っぽいあれ、中型犬くらいの蠍って初めて見ましたよ。HAHAHAHA! いえー」
オバ九の言う通り、木造の床一面に巨大な黒い蠍が這いまわっていた。
「何でこいつらがここにおるねん」
「え? 有名なクリーチャーなんですか? 弱点とか知ってるなら教えて欲しいです」
ハンドガンを構え、手前の蠍にロックしながらオバ九が尋ねる。
「アレの弱点は頭や。あのちっこいのな。あそこならオバ九のM92Fでも撃ち抜けるわ」
「了解。で、アレってなんですか」
「アレは化人や。化人の宇蔓良、甲羅がスープに適したバケモンや。しっかし、何でコイツがエジプトにおんねん。ま、ここで考えても始まらんか。ウチの合図でいくで? チュー チュー タコかいなっと!」
「何ソレ! って、うが! GO! GO! GO!」
依頼人は竜婦人と名乗っていた。以前、ちゃっかりと捨てたふりして彼女が持っていたゲモゲモプレート。それを探していたので譲ったのが最初の縁だ。それ以降、自分をお得意様としてくれて、高額の報酬で雇ってくれている。
「おらあ! くたばれ!」
今回は、遺跡の場所まで指定されて秘宝の入手を依頼された。秘宝の内容は夏子にはどうでも良い。問題は竜婦人の示した報酬だ。
「前に出すぎや! ったく、熱くなっとるな」
よこっち。夏子がずっと探している少年、横島忠夫。偶然、竜婦人と手紙のやり取りをした際に、その名前が出た。何故か知らないが、秘宝ヨコッチという名前がこの業界で広まっていたりするのが理由だ。ザ・サマーが求める究極の秘宝として。
「げ! 頭以外は弾丸を弾くぞ!」
「わかってるなら頭を狙えや!」
よこっちに関する情報。それが今回の報酬だ。どこまでが真実かわからない。しかし、その情報を逃す事はできない。
「スマート無しで撃ってるんだからしかたないんだー! うわ! 怖!」
今回の依頼、こんな所で躓いてる場合ではないのだ。
「だから、頼むでほんま」
エローポッターとヴァギナガンの囚人(挨拶)
いえ、なんか深夜にテレビつけたらやってマスタ。内容? 外人さんがエロかったですよ。いや、全然見てないけど。ども、アマドです。なにやら投稿にレス返しが追いついてません。もう、ノロノロです。
前回、コートの変態カオスと見せかけて美女、美少女(の変態)を登場させるという技を出したのですが、大して気にされなかったようですね。しょぼーん。ついでに今回のオマケ、趣味に走りすぎてGSの雰囲気が残ってないという罠。因みに、九龍はあの葉佩九龍です。○○編のせいでこうなった九ちゃんですた。 ではでは