「大丈夫だろ。 あのサルだって一応は神様なんだから無理なことは言わねぇだろ・・・・・・・・・多分」
Legend of Devil vol.3 Departure その1
「さぁ、横島除霊事務所営業初日だ! がんがん稼ごう!!」
「依頼はゼロだけどな・・・・・・・・・」
横島の勢いに水を差す雪之丞。場の雰囲気が一気に盛り下がった事は言うまでもない。
「ま、まぁ顧客を取るまでが大変なんですから、信用第一に頑張りましょう」
「「「おぉ・・・・・・・・・」」」
小竜姫が場の雰囲気を戻そうとしたが横島、雪之丞、愛子の3人の気のない返事で失敗した。
何故小竜姫がここにいるのかというと、横島の修行と事務所運営の助っ人として横島除霊事務所に来ているのだ。しかも横島除霊事務所を妙神山修行場出張所としており、ご丁寧に一室の空間を繋いで直接妙神山にリンク出来るように作り替えてしまった。
Tululululululu・・・・・・・・・
暗い雰囲気の中、電話のベルが鳴り出し、全員が息を飲んだ。電話に対応するのは事務員である愛子の仕事だ。
カチャ
「は、ハイ! 横島除霊事務所です!」
全員が身を乗り出し、依頼内容に胸を膨らませていく。
「え? 美神除霊事務所の紹介ですか? いえ、あ、ハイ! それで霊の形や大きさなどを教えて頂けますか? ハイ・・・・・・・・・場所は・・・・・・・・・ハイ分かりました。」
カチャ
Tululululululu・・・・・・・・・
カチャ
「ハイ! こちら横島除霊事務所です・・・・・・・・・」
Tululululululu・・・・・・・・・
Tululululululu・・・・・・・・・
Tululululululu・・・・・・・・・
「大変! 横島く・・・・・・・・・じゃなかった、横島所長! 美神さんから紹介されたっていう依頼が殺到してるわ!」
愛子が血相を変えて電話の内容を横島に伝えた。電話での依頼が5件来たが、その全てが美神の紹介による依頼だった。
「こ、これはもしや美神さんの陰謀では!」
「あり得るな・・・・・・・・・仕事を多く与えて失敗させ、信用を失わせたところで廃業に持ち込もうとしてるのかもな」
「美神さんならあり得ますね・・・・・・・・・」
雪之丞の言葉に小竜姫が相槌を打った。
「と、とりあえず信用第一よ! 1つ1つ確実にやっていきましょう!」
「「「おおぉ!!」」」
愛子の言葉に横島、雪之丞、そして小竜姫の3人が賛同した。
美神除霊事務所
「美神さん仕事しなくて良いんですか?」
おキヌが美神にお茶を出しながら問い掛けた。
「良いのよ。 昨日ちょっと飲み過ぎたのよ。 これじゃ今日は仕事になんないしね、今日はお休み。 そうだ! 丁度良いからこの依頼主に横島くんとこ紹介してあげて」
美神がおキヌに手渡した5つのファイルには取り分け簡単そうな依頼が入っていた。しかもその手(ヤ○ザ)の業界には顔の利くお偉いさんや神社などからの依頼である。
「美神さんこれって・・・・・・・・・横島さんの開業祝いですか?」
「ち、違うわよ!! そ、そんなお金になんない様な依頼は横島くんに合ってるってだけよ」
美神の対応にクスクスと笑いながら電話の方に向かうおキヌ。
(美神さんたら、ホント意地っ張りなんだから。 この依頼全部5千万超えしてるし・・・・・・・・・もっと素直になればいいのに。 私も何か開業祝い考えないと・・・・・・・・・)
「今日は休みでござるか」
「暇ね」
「拙者は先生と散歩に行きたいでござる・・・・・・・・・」
そんな美神達の思いも知らず、横島達は出発の準備を進めていた。
「こんなもんかな?」
「そうだな」
横島と雪之丞はスーツに身を包み初仕事の準備を終えた。
「それじゃ行きましょうか」
小竜姫は人間界ヴァージョンの服装(一昔前の女子大生スタイル)で横島達に出発を促した。
「し、小竜姫様も来るんですか!?」
「えぇ、とりあえず横島さんの現状観察も仕事の1つですから」
「はぁ」
笑顔で答える小竜姫に何も言い返せない横島であった。
「横島さん良いですか? 斉天大聖老師のお言葉忘れないで下さいね。 GSとしての仕事は修行も兼ねてますから気を抜かないようにして下さい」
「分かってます。 しかし、文殊も霊波刀も使うななんて・・・・・・・・・ホントにあれだけで除霊出来るんスかね?」
「大丈夫だろ。 あのサルだって一応は神様なんだから無理なことは言わねぇだろ・・・・・・・・・多分」
不安げな横島に雪之丞が励まそうとしたが不安は募る一方だった。
続く