お口の恋人
第十四話 宇 宙 軍 艦 日暮里 パンツ履かない奴もいる
時は戦国、勇猛武将が己の武勲を挙げる為、互いの技で血で血を洗う殺劇舞踏なハッピーデイズ。決めたよラッキーデイ。自分勝手にラッキーと決めたんだ。
「今一度、海の泡と消えるか。それもまた、お主の終生か」
「誰かと思えば噂の海底地雷原。数多の男を喰ってきた竜神様ではないですか」
生命の根源たる海を背景に、二人の女性が火花を散らす。間に挟まれた男は冷や汗かいてオロオロするのみ。
「うふふふふ」
「おほほほほ」
人妻人魚のナミコさん。竜之宮妃馬こと、乙姫様。二人の美女の間で顔の色を青から白に変化させているのが横島忠夫。
「これはどう言う事なのでしょう? 良ければ教えてくれませんか浦島殿」
不穏な空気を悟った乙姫の騎乗亀の舟亀が、事の原因を横島に訪ねる。こいつが原因だと何となく察したからだ。
「も、モテる男は辛いな〜 あっはっは。逃げて良いか?」
乙姫はともかく、ナミコがこれほどの態度をとるとは横島は思わなかった。確か彼女は亭主の浮気が原因で、横島に新しい出会いを求めてきたはずだ。なので、ここまで自分に拘るとは彼は思ってもいなかった。
「まったく、浦島さんはナンパの後処理が苦手なんですから。乙姫様も苦労しますね」
舟亀がヤレヤレといった調子で溜息をつく。大袈裟でアメリカンなジェスチャーで。
「うるせ! 後な、俺は浦島じゃなくて横島だ。間違えんなよ」
「おお、そうでした。御転生おめでとうございます。この度は再び出会えた事を深く海神に感謝します。ふう、これでやっと乙姫様が落ちつくというものです。はぁ、後少し浦、いえ、横島様の発見が遅れていたら、地上に侵略戦争を仕掛ける勢いでしたからね〜」
ペこッと横島に頭を下げ、さらっと洒落にならない事を言ってのける亀。
「侵略戦争!?」
「はい、転生体がどうしても見つからないのは、浦島様が過去の記憶を持たないからだと乙姫様は悟りまして。ならば自分が姿を見せれば覚醒への刺激になると、そして記憶を呼び起こす鍵になる為にいっちょ派手な事をするか〜 といった次第でして」
買物しようと街まで出かける、そんなノリでした。
「誰か止めろよ!!」
「そりゃ止めましたとも。そんな時、不安定な地上と竜宮城の空間を制御する術が発見されまして。コレで自由に浦島様探索ができるようになったと乙姫様も大喜び。無理して地上に領土を持つ必要が無くなったのです」
ある宝捜し協会に依頼して、その時空制御の術が記されたアイテム『ゲモゲモプレート』を手にいれたそうで。コレを巡る戦いなどもあったのですが、それは違う主人公のお話で。
「といった訳でして。私がそれを受け取りに行ってる間に、待ちきれなくって姫様は地上に出てきていたんですね。そして! なんという運命!! そこで浦、いえ、横島様と出会えたわけですよ。いえね、状況から憶測を立ててみたのですが、どんなもんでしょ?」
「多分、そんなもんであっとる。俺も細かい状況設定が飲みこめたわ。アンな綺麗なねーちゃんが実はとんでもない人やったとよう実感したし」
ナンパなんかしなければ良かった。横島はそう思ったのだが、改めて良く考えると、彼女達は自分から声をかけてきた。誘って来たのも向こう。
「俺無実じゃん!!」
散々、彼女達の身体を堪能しておいて無実も無い。横島もそれはわかっていいるが、それでも叫ばずにはいられなかった。二人の美女が作り出す怒気を含んだ特殊な場。それは高まる霊圧と共にこの海岸に異様な空間を生み出し、他の人間をこの場からはじき出した。
「横島様はこれから私と共に竜宮に戻るのです。さぁ、魚人風情は大人しく消えなさい」
「亀の大将が偉そうな事を言っちゃって。横島さんは私とホテルでオトナの夜を過ごすって予定が入ってるのよ? 可哀想だけど振られナオンは甲羅に引っ込んでて欲しいわ」
乙姫の神気に一歩も引かないナミコ。彼女もそれなりに力ある人魚であったのか。否、先ほど横島の精気をたっぷりと吸収したお陰であろう。あと、恋する女は神にすらひけをとらぬ、という事か。
「しかし、なんであの二人はなんの事情説明も無しに敵対しだしたんかな?」
『それは簡単ですよ。女の子は恋のらいばるには敏感なんです。敵とわかって容赦するような弱者は真の愛をげちゅーすることなんて出来ません』
「ふーん。って、居たのかおキヌちゃん!!」
荒波と雷鳴を背負って対峙する女性達を見ていた横島。その彼の背後に、煎餅をパリパリかじりながら彼の疑問に答える幽霊少女が居りました。
『居たのかって! 酷いですよ〜 今日はずぅっと一緒にいたんですよ。そう、ずっと…… クスクス』
手にハンディカメラを持ったまま妖しく笑うキヌ。手にした道具ごと姿が消せるなんて進歩したものだ。
「そ、そのカメラは何かな〜 とか聞いて良い?」
『後で一緒に観ましょうね♪』
「そ、その美神さんには、えっとその、な?」
自分の行為が浮気の様な気がしてならない。だからこそ、この事が令子に知られるのが怖かった。
『凄いんですよ。このはんでいきゃめーらで写した画像が、りあるたいむで美神さんの部屋のてれびじょんに写るんです。ほら、手を振ってくださーい』
「や、やっほー」
無表情でキヌの向けるカメラに言われるがままに手を振ってみる。電波の向こうに起しては為らぬ魔物が居る。横島はそんな気がしていた。
「旅に出よう。おキヌちゃん、美神さんには俺は星になったと伝えておいてくれ」
横島がそそくさとこの場を立ち去ろうとしたその時、彼の背後に新たな気配が産まれていた。
「旅ねー、今ならどの辺りが良いかしらね」
「そうッスね、北の方なんて涼しくていいんじゃないッスか? 北海道なんていいなぁ。競走馬の見学とかしてみたいなー」
「へぇ、そんな趣味あったんだ。じゃあ、アンタの運転で北海道ドライブ旅行にでも行こっか。富良野のラベンダーとか咲いてるのかしら?」
「あ、良いですね〜 最近運転が楽しくなってきてたんスよ。楽しみだなぁ…… ねぇ、美神さん」
「そうね〜」
背後から横島をギュッと抱きしめるのは、水着の上にジャケットを羽織った美人、横島の上司にして飼い主、美神令子であった。
「その前にアンタは逝かなくっちゃいけないところもあるけどね〜 極楽とか」
『うわー! ついに私の願いが成就されるんですね!! やったですー♪ 死んでも一緒ですよ? 旦那様』
ミシミシと令子に抱きしめられた胸が音を立てる。横島の背骨にかなりきてます。背にオッパイの感触を感じながら逝くのも悪く無い、そう彼が意識を手放そうとした頃、ようやくこちらに気がついたナミコと乙姫が怒鳴りこんできた。
「ちょっと!! 私の彼に何するんですか!! 酷い事しないでください!!」
「なんとお労しい。ささ、私の胸にお戻りなさいませ。さぁ、こっちのむ〜ねはあ〜まいぞ〜」
『むむ! オッパイが大きいからって勝ち誇らないでください!! 私だって生きてた当時の基準から考えればおっきい方だった、って、う、ひぐ、ひーん!!』
プルンプルンとオッパイを揺らして駆け寄ってくる二人に、キヌは微妙なダメージを負わされていた。ノーパンノーブラでワンピースの乙姫。清楚だが大胆なビキニのナミコ。そして殆ど紐な水着の令子。全員良いオッパイをしている。
「どうしたおキヌちゃん!?」
『ひーん! そんなにオッパイ自慢したいんですかー! お乳が出る器官がそんなに偉いんですかー! はぅぅ、ひーん』
ただでさえ、自分だけ水着が着れず普段着なのが悔しかったキヌ。改めて横島を囲むオッパイ達を見せ付けられ、心の傷から大出血といった具合だ。
「何を急に言い出すかと思えば。あのな、おキヌちゃんのおっぱ、いや、胸だって綺麗で最高だよ。美乳ってのでさ。小さめの乳輪にツンと上向きの乳首。感度も良いし、うん、確かに最高だ」
『あ、アナター!!』
令子に抱きしめられ、ヒクヒク逝ってる横島をキヌは正面から抱きしめた。ポヨンと柔らかい胸が顔を圧迫する。気持ちが良いのだが、呼吸が出来ないのが彼にとって致命的でした。
「むが!
がく」
「つまり、アンタが人魚のナミコで、横島クンを運命の王子様に指名したと」
「はい! 一番指名です!!」
ビニールシートに気絶した横島を寝させ、キヌに治療を任せながら、令子は状況をまとめる努力に勤めていた。
「で、アンタが乙姫。横島クンの前世を浦島太郎と感知して、アイツを海にもって帰りたいと」
「概ねその通りです。さて、そろそろ貴方とあの幽霊について尋ねても宜しいでしょうか」
多少冷静さを取り戻した乙姫が、場を仕切っていた令子に疑問を投げかける。つまり、アンタは横島のなんじゃい! と。その問いに、令子は予め考えておいた回答を返した。
「あの幽霊は横島クンの守護霊。私は彼の上司よ。GS、つまり悪霊退治の専門家ね」
「ほう? 横島様は今世でも退魔行に就いておったのか」
令子の答えに乙姫が感心する。彼女が言うには、浦島太郎もそういった職業に就いていたそうで。未来何とかウラシマンといったそうで。趣味は釣りとガールハントだったそうな。
「横島さんって高校生くらいだと思ってたわ。でも若いのにしっかりしてるのね。流石、私の王子様ね!」
「実際に高校生よ? 彼は現役高校生スイーパー。この海にも仕事で来ていたのよ。わかる? つまり彼はこれから仕事なの。悪いけど上司として彼の仕事を邪魔してほしくないわ」
「ふむ、横島様の仕事とな。わかった。つまりこの海にいる邪妖を滅するのだな。夫の仕事を手伝うのも妻の役目。そもそもここは私の領地でもある。ふふ、ここは私に任せるが良い。横島様の仕事が終われば、後は蜜のように甘い夜を過ごすのも自由よな」
つまりは点数稼ぎ。なんかライバルだらけだし、横島に良い印象を与える事をしたいのだ。令子がただの上司を主張している以上、彼女に喧嘩を売る意味はない。
「それってずるい!! 私も横島さんのお手伝いをします!! 私だってやれば出来るんだからぁ!」
流れを察したナミコも後に続く。自分だけ取残される訳にはいかないのだ。
「あら、横島クンも喜ぶわ。じゃ、内容を説明するわね。この近辺の海域に現れる幽霊船の壊滅。これが今回の彼の仕事よ。この時期に現れる幽霊船って数も多いし、横島クンだけじゃしばらく仕事が終わらないと思ってたのよ」
「そちは働かんのか?」
「私は上司件マネージャーなの。あの幽霊の娘は治癒能力に長けたサポート。実戦は横島クン一人の担当ね。あ、でも〜 今回は頼れる助っ人がいる事だし、横島クンも大助かりね。あ、彼って頼れる女の人って素敵だなー! ってのが口癖ね」
乙姫の問いにペラペラと嘘八百を並べる。しかし、それに気がつかない竜神と人魚の娘は、鼻息荒く、海に飛び込んで行った。
「行きますわよ舟亀! 竜宮の闘魚衆も集めなさい! これは愛を掴む為の聖戦です!」
「うぅ、向こうはずるいわ! こうなったらご近所の奥様に応援を頼むしかないわね」
それぞれの思惑を胸に、高して海の悪霊大一掃作戦は開始された。
「あっけないくらい上手くいったわね。正直拍子抜けって感じね。そう思わない横島クン?」
「そうッスね。まぁ、思い込みの激しい人達でしたし」
気絶しているはずの横島に令子は話しかけ、彼はそれに答える。
「や〜っぱり起きてたか。困った時の死んだフリも馴れたものね」
「いや、おキヌちゃんの治癒のおかげッスよ」
『えへへ』
キヌの献身的な治癒。接触の限定があるが強力なそれにより、横島は目を覚ましていた。方法は唇による患部接触彼女は好む。つまり、今回はチュっチュと横島の体中に口付けをしていたのだ。
「ったく、よりによって竜神に捕まる!? 前世って何よ! まったく、こうなるのはわかってたけど、せめて相手を選びなさい」
「こうなるって、マジで?」
「アンタの体質なら海妖の一匹くらいコマして来るとわかってたわ。念のためにおキヌちゃんに見張らせてたし。それがまさか、人妻人魚や竜宮の乙姫!? 予想の斜め上にいくんじゃないわよ!! まったく」
多少の浮気くらい見逃す度量はある。体質の事もあるし、それを酷く縛る事はしない。嫉妬に狂って大切な物を壊さない。それが、横島の体質の事を踏まえ、令子が導き出した答えであった。
「み、美神さん! 仕方なかったんやー! あそこで抵抗できるほど強くない僕を許してくれー!」
「そんなに怒ってないわよ。それにね、考え様によっちゃ強力な妖怪を贄も儀式も必要もせずに行使出来るんだから。これって役得よね」
無論、令子は都合の良い女になる気もない。ライバルは基本的に落とし入れ、出抜き、横島の隣というポジションを死守しつつ、今は彼を導き育てるつもりなのだ。
『でも、今回の仕事ってほてるの怪異を調べる事じゃなかったんですか?』
「あ、次にするはずだった仕事をね、良いタイミングだったからあいつ等にやらせたのよ。うふふ、そう考えると便利ね〜 横島クンの性奴って」
「性奴とな! あぁ、アンタはほんに怖い女や……」
本当に怖いのは、令子を含めた力ある女達の心を掴んで離さず、魂まで魅了するこの男であろう。自覚がないのも尚、性質が悪い。
「幽霊船一隻で一千万は貰えるし。元手無しで今回は楽ちんよね〜」
『でも〜 タダより怖い物はありませんよ』
彼女達が戻ってきた時の事を考え、それを不安に思っていたキヌが口を挟む。
「そんときは横島クンが二、三発ヤってあげれば満足するでしょ。まぁ、出来ればの話だけどね」
『ですね。ふふふ〜 もうそろそろ我慢の限界なんですよね私。ずっと観てるだけだったし』
「人払いの結界も利いてきた事だし、太陽を背に受けながらってのもオツかもね」
妖しい笑みを浮かべる二人。キヌは既に裸モードに入って上と下の口からヨダレを垂らしている。
「ちょっと? お二人さん? いや、実はですね、昨日の夜から数えまして、俺ってずっと射精しっぱなしなわけで、つまりそろそろ限界打ち止めかな〜 なんて」
「大丈夫。その為のさっきのヒーリングだし。おキヌちゃんって凄いわね。疲労まで回復させるんですもの」
『そりゃ、愛する旦那様の為ならそれくらい朝御飯の前ですよ〜 えへへ、褒められましたー♪ だから…… ねぇ、旦那様もご褒美くださいますよ――― ね?』
恐ろしく馴れた手つきで横島の衣服をキヌが剥ぐ。本当に馴れたものだ。ハニーフラッシュよりも早い変わり身である。全裸への一方通行だが。人払いの結界符の力で人の姿のない砂浜。そこにいるのは、赤く火照った裸体をさらす幽霊の少女。
「まぁ、夜のことを考えると、私は少し控えとくけど。その代わりちゃんと満足させてよね?」
露出度の高い紐のような赤い水着を、恥ずかしげに横にずらし、ヌラっと愛液でぬれた陰部をさらす令子。
「話を挿んでるからって、こうも連チャンはきついわー」
参った感じで困ったふりしても、結局彼女達を拒めない横島。彼女達三人は、夏の海を背景に、官能の宴に勤しむのであった。
「そこ! あぁぁ! そこ良いの〜!!」
横になった横島の上に跨り、自ら腰を激しく動かして、令子は自らの膣内に咥えこんだペニスを刺激する。カリのくびれが膣内を引っかくたびに、彼女は快感に嬌声をあげた。
『あう! 』
その令子の陰核をキヌが口で愛撫する。横向きに浮かんで彼女の結合部を舐めるという、幽霊ならではの体勢で舌を上手に使ってプクっと露出した陰核を愛撫する。そのキヌの陰部に横島は指をはわせる。グチョグチョに濡れた陰裂に指を挿れ、かき回す様に音を立てて動かす。
『ひぷぅ、はひ! ひぃぃぃ! そんなダメですー! でも、でも〜』
横島の愛撫でキヌが悶える。その事で、疎かになったキヌの頭を令子が夢中で陰部に押し付ける。
『むぎゅ』
少しムッとなったが、ちょっと考えて逆さまに浮いた状態になる。意を汲んだ横島が陰部に舌をねじ込んでくれたので、キヌは再び快感に心を震わせることができた。令子の陰核と横島のペニスを交互に舌で舐める。令子自身が上下に動いているので、キヌは舌を突き出すだけでよい。
「あうぅ!! あう! あ、ああああぁぁぁぁ」
令子は背をのけぞらせた。目の焦点を狂わせ、涎をたらし、快感に狂った表情で
絶頂の声をあげた。横島はそんな彼女を片手で支え、仰向けに倒れるように己のほうに引き寄せた。ドクドクと彼女の膣内に精液を吐き出す。それは彼女の膣中に納まり切れず、結合部の隙間から溢れ出した。
『あぅー 勿体無いですよー』
目の前で零れ出る精液を、キヌがジュジュっと啜った。愛液と混ざっっても、ソレは高濃度の霊気を含んでおり、キヌの頭がポーっとするほどのモノだった。
「えへへ♪」
後ろから横島に抱きしめながら、令子は幸せに少女のような笑みを浮かべていた。自分が絶頂でイクのに合わせてくれる所なんて、本当に巧くなったものだ。子宮まで届く焼けるような精液が身体を溶かすような気がする。
『よいしょ、よいしょ、てい!』
「きゃう!?」
そんな令子をキヌがせっせと持ち上げる。すると、令子の膣中から横島のペニスがヌポっと音をたてて抜けた。そして、彼女はコロンと横に転がされたのだった。
「おキヌちゃ〜ん? この扱いは納得できないんだけど!!」
『むぅー だってだって! 私が待ってるのに二人して満足そうに抱き合ってるんですよ!? 私だって! 私だって…… ひーん!』
コポコポと股から精液を流しながら仁王立ちで睨む令子。それに負けずに涙声で言い返すキヌ。羨ましそうに自分の股間を眺めるキヌに令子は苦笑した後、彼女の唇に優しくキスをした。自分の愛液と横島の精液の混ざった味がした。
「ん。後は任せるわ。あ、終わったら私にもヒーリング宜しくね? やっぱまだ腰がガタガタ言うのよ」
『へう? は、はい!! ありがとうございますぅ! 遠慮せずにヤっちゃいます!』
ずっと見てただけのお預け状態だったことにより、キヌのストレスはピークに達していた。そんな今の彼女は、お預け状態から良しを貰った状態であろう。
「ほほほほ! 機工亀甲師団、行進」
亀型の水中要塞の司令室。そこで乙姫は自軍を指揮していた。彼女の眷属たる海竜の化身はその数が少ない。それを眷属と超テクノロジーで開発された兵鬼で補っていた。
「続いて鉄鬼兵団も行くが良い。うふふふふ…… おほほほほほ!! 横島様の為に用意した兵力がこの様な形で役に立とうとは。ふふふ、良き妻とはこうありたいものじゃ」
幽霊船を木っ端微塵に吹き飛ばす自軍を見ながら、ご褒美に濃厚な契りを交わす自分と横島の姿を夢想し、乙姫はだらしなく笑みを浮かべていた。
「あんなの反則じゃない!」
その様子を海中から見ていたナミコは焦っていた。このままじゃ、自分が何かする前に幽霊船が一掃されてしまう。そう思い、彼女は近所の友達に助けを請うことにした。
「じゃじゃーん! 海中携帯電話ー! ピピピっと…… あ、ヒュドラの奥様? 実は………… ええ」
とりあえず、お隣に住むダゴン、ヒュドラ夫妻に応援を要請するナミコだった。
「え? 旦那様も!? 本当にありがとうございます♪ いえいえ、はい。では宜しくお願いします。ふぅ、後は…… そうね、ミーちゃんの力も借りようかな」
ミーちゃん。ペットの海洋大ミミズ、ミドカルズオルムの事である。勝手に餌を捕食するので世話が楽なナミコの愛玩動物である。特徴、でかい。タンカーや空母よりも。
「人魚の顔の広さを甘く見ないでよね!」
『んん〜♪』
ペチャペチャと音をたてながら、互いの舌を絡ませるキヌと横島。陽光で熱くなった砂の上。其れよりも熱い抱擁を続ける二人。遠い水平線に怪獣大戦争を映し出す海岸。その喧騒を打ち消す甘い吐息。
「おキヌちゃんも相当エロくなったなぁ。最初は前戯すら知らなかったのに」
『そんなぁ…… 恥ずかしい事言わないでくださいぃぃ!! うはぁ!』
いつのまにか開発されまくっているキヌの身体を弄りながら、横島は彼女を言葉で攻めたてる。
「作品内では描写が少ないけどさ、隙があれば俺のチンコしゃぶってくるし」
『ふぁ! あむぅ、ちゅぶちゅぶ ぷはぁ! だってぇー だってー んむぅ』
キヌは跪いて横島にしがみ付き、黒光りする熱いペニスをほおばる。舌で亀頭をペロペロ舐め、さお部分も横から咥え、ハーモニカを吹く要領で愛撫する。
「今だって俺のチンコしゃぶりながらオナニーしてるし。本当にやらしいなぁ」
『うぶぅ! んむ、あん♪ ちゅぶぶぶ! じゅぶじゅぶ』
顔を真っ赤にしてペニスを激しく口で奉仕するキヌ。そんな彼女の頭を、横島は優しく撫でる。片方の手で、ピンと硬くなった乳首を弄りながら。
「ほう? 旧世代の兵鬼の生き残りか。あの魚人もやりおるではないか。ではこちらも派手に行くかの。大鬼兵、薙ぎ払うが良い」
其れは一見普通の小島。其れがグラグラと揺れ、岩肌が崩れる。崩れた岩肌から現れたのは、目口のような三つの洞窟。先ほどまで小島だったソレは、海から顔を出す巨大な巨人の頭。その口にあたる場所に、白い光の粒子が収束し、海面に向かってそれが放射された。
「ほほほほほ! 今必殺の蟹光線!! 見よ! 海面に浮かんでおったゆ幽霊船どもが一瞬で消滅し追ったわ」
強力な光線の放射で、海上に姿を見せていた幽霊船とその眷属たちが一瞬で葬られた。竜宮が誇る殲滅兵鬼、蟹光線である。わかる人だけわかればいい。
「な! あの地雷姫、なんて凶悪なもの持ち出すのよ!」
『ぐもももぉぉ……』
お化け蛸の頭に乗ったナミコが、その光景に絶句する。巨漢で有名なダゴン夫妻と、一口で幽霊船を10隻飲み込むミーちゃんの力で、今までは乙姫にスコアを並べていた。しかし、先ほどの攻撃で、一気につき離されてしまった。
「こうなったら! おいで! 巨大古代鮫のリヴァイアサン、通称ワニワニ達!!」
ナミコの呼び声に、はるか海底に身を潜めていた巨大な鮫の群れが反応する。それは、一匹でシロナガスクジラの大きさに匹敵するジャンボなやつですよ。それが、海中に潜んでいた海妖を喰らいながらゆっくりと海面を目指して泳いできた。彼らの進む後には何も残らない。
アマドからのお報せ
本来ここに入っていました『ぱっくん幽霊! ゴキュゴキュおキヌちゃん』は、文章量の都合上、カットされました。おキヌちゃんのエロティックな痴態を期待された方には大変申し訳ないとお詫び申し上げます。
『ふぎー!!』
「見事に辺りの妖怪を一掃したわね」
「幽霊船以外もふっ飛ばしたんスね。やり過ぎっちゅうか、ようもまぁ」
台風が過ぎた後。そんな感じでした。どさくさ紛れに幽霊潜水艦とそれを追う船長も吹っ飛んだり。あれだけ騒いでいた乙姫の眷属やナミコの友達やペット達は、早々と在るべき住処へと帰っていった。
「細かいカウントは保安庁のほうでしてるし、報酬はそのとき貰えばいいしね。はいはい、アンタ達もご苦労さんでした。じゃ、行きましょ横島クン」
くたびれた様子の乙姫とナミコにおざなりな労いの言葉をかけ、令子は横島と腕を組んでこの場を立ち去ろうとした。
「待ちなさいよ! 何でジャーマネ風情が私の王子様の腕を掴んでるのよ! 羨ましいくも妬ましい!」
「これは人攫いの現場に遭遇したと解釈すべきなのか? ふむ、おかしいとは思ったのだが、謀ったな女」
少し思考はずれつつも、彼女たちは令子に騙された事にうすうす気が付いていたようです。彼女たちの考える横島は、女に仕事を任せて自分は何もしない。そんな事をする男ではないのだ。いや、思い込みだが。
「そうそう、ナミコさんだっけ? そっちの人魚の人。アンタに用があるってのがずっとっソコで待ってんだけど」
令子があごで示す場所。そこには全身をうろこで覆った怪生物、インスマウスな半魚人が居られました。
「ナミコー! オラが(略)」
ナミコさんの現夫の半魚さん(仮名)登場です。この大騒動に妻が噛んでる事に気が付き、浜辺にやってきたのは良いが怖くて騒動が落ち着くまで待っていたのだよ。
「な! ち、違うのよ横島さん! この人は知らないおじさんなの! ほら! 失せろダメ男! アンタが帰るのはホームじゃなくてヘルだけどね」
「浮気の事はオラが全部悪かった! 反省してるしもう絶対しない! だから帰ってきてくれよ…… ほら、子供達もナミコの帰りを待ってるだよ」
「ままー ままー」
ナミコの足元にしがみ付いて泣きつく半魚と小魚達。どうやらこれが子供らしい。旦那はどうでも良いが、子供たちの出現にダメージを受けたらしい。視線を向けて固まっている。
「う! ………… 横島さん! 私とこの子達と一緒に逃げて! そして一緒に素敵な家庭を築きましょう!! さぁ、皆?新しいパパですよ〜」
「ぱぱー ぱぱー」
「そんな〜 ナミコ〜」
まったく相手にされない半魚。横島はその様子を他人事と見ていたが、突然話を自分に振られて焦る。この年齢で子持ちになる気はないのだ。自分にそのような責任能力がない事を自覚しているから。自分の精神が親になれるほど成熟していない自覚があるのだ。
「ちょっと待ってくださいよ! ナミコさん。俺はアンタのことが嫌いではありません。それをふまえて聞いてください」
「え? あ、はい」
突然の横島のシリアス顔。それに思わずナミコは呆けてしまった。彼の年齢に不相応な男を感じてしまったのだ。子宮がキュンと疼くほど。
「経緯はどうあれ、そこの小魚、もとい子供はアンタ等夫婦の責任のもとで生まれたんだよな。そっちの半魚はアンタと一緒に子供育てよういっとんのや。ぐだぐだ言わんとしっかり責任果せ」
「な! え? あぅ…… え? その、横島さんは私の夫になって…… 一緒になって、うぅ…… くれないんですか! ひ、ひえーん!!」
思ってもいなかった言葉を受け、ナミコは大声で泣き出してしまった。人魚の持つミラクルボイスで辺りにソニックブームを撒き散らしながら。
『あんた…… おら惚れ直しだよ』
令子がはった防御結界の中、キヌは感動の涙を流しつつキャラを変えながらその白い指を火照り疼く下腹部に(略)
「身内の恥をさらすのもなんだけど、ナミコさん。俺の親父ってさ、ものすごい浮気性でな。しかも何故かモテ男で、いっつも何人も色んな女を侍らせてたんだ。お袋は何時も困らされてたよ」
「ひえーん…… それって」
「浮気だ離婚だって家庭内不和ってのでさ、俺と妹は何時も不安なガキの頃を過ごしたもんだ。妹もそれで心が病んじまってな。俺にもの凄い依存するようになっちまった。親が信じられないんだよ。いや、そういう大人がかな?」
「その、ご両親は離婚なされたんですか?」
「いや、ちゃんと形だけはしっかりと夫婦してるよ。俺と妹をしっかりと育てる義務があるってな。ナミコさん、半魚はアンタとやり直す気があるんだ。アンタが選んだ男だろ? せめて子供のためにでも…… さ」
しばらくの沈黙。令子や乙姫はずっと口を閉ざしたままである。キヌはモザイクがかかってます。
「わかったわよ。横島さん、ちゃんとこの人と話してみる。子供が一人前になるまで頑張るわ」
「ナミコー!!」
「勘違いしないで!」
ナミコの台詞に半魚が涙を流して喜ぶ。しかし、それを彼女は制した。
「アンタとはとりあえず夫婦を続ける。でもそれはあくまで子供たちの為だから。それと、横島さんに嫌われたくないし…… うん、私頑張ってみる。子供たちが一人前になって私が再スタートの場に立ったとき、また会ってくれるかな?」
「そんときゃ俺はおっさんスよ?」
「ふふふ…… これ、私の結晶。また会う日までの二人を繋ぐ絆に」
人魚の流す涙から生まれる真珠色の球体。ナミコはそれを口に含み、強引に横島に唇を重ね、彼の口内に押し込み、飲み込ませた。
「んが! ぐっぐ!!」
喉に引っかかった結晶に苦しむ横島を置いておき、ナミコは土下座して自分に懇願する亭主に顔を向けた。
「じゃ、おいそこのダメ男! 帰るわよ」
「わかってくれただか!! じゃぁ、帰るか! 行くぞお前ら」
「ぱぱー ままー」
妙にすっきりした表情を横島に向け、ナミコとその家族は海に帰っていった。意外とあっけなかったと、ようやく結晶を飲み込めた横島が彼女の去る姿を見送りながら考えていた。
「ふぅ、上手くいったっスね。ちぃっと勿体無かったけど」
「おい、そこの説教侍。突然キャラ変えてどうしたのよ? でる作品間違えてるんじゃないの?」
今まで黙っていた令子が、冷たい視線を向けながら横島に絡んできた。
「はっはっは! 実はですね、あんな夫婦の修羅場は親父の件で慣れっこでして。今回のケースだと子供を理由にすればなんとかなるかな〜 とか思ってたんっス。まぁ、クリーンヒットでしたが」
『ふへ!? じゃぁ、旦那様のお話ってフィクションで実際の人物、団体と一切関係はないって事だったんですか! 複雑な家庭環境の過ごしたトラウマで人魚さんの子供に自分を投影し、己が悲劇を小魚におこさせないという訴えはフェイクで嘘で虚言だったんですか! うひゃあ! その昔、口先だけでアメリカ大陸の土地を先住民から奪った詐欺師もびくっりですよー』
モザイクが取れたキヌが何やら興奮、暴走気味です。
「いや、人の修羅場に参加する気がないってだけだよ。それに全部が全部嘘って訳じゃないしな」
因みに、色々ありますが横島夫妻の関係は良好です。夫婦の形は色々在ると言う事ですね。
「つまり、一回抱いたくらいで人のガキ育てる気は無いと。はぁ、アンタらしいわ。言っとくけどね、別に責める気は無いのよ? むしろけじめのつける場所を心得てる事に感心してるわ。アンタが説教はじめたときはさ、この連載の終了を考えたけど。キャラが変わりすぎて」
「そんな身もふたも無い事言わんといて! 責める気は無いと言いつつも何でそんなに冷たいんですかぁ」
「ちょっとね…… 私が今、子供が欲しいと言ったら……」
「うぇ!!?」
子供が欲しい。令子がそんな事を言うとは思っていなかった。突然の事に横島とキヌは彫刻のように固まってしまった。
「将来的な事よ。ただ…… もぅ、この話は終わり!! うがー!! 作品のカラーに合わないテーマの話ってこれだから嫌よ! あ、そうそう、あの半魚がホテルを徘徊していた怪異だったから。奥さん探してホテルを徘徊してたそうよ」
さすがプロ。大切なところはしっかりと抑えてあったようです。因みに、男女間の約束と責任が今回の海編のテーマですよ。
「あ、なるほど。いつの間に調べたんっスか?」
「初日に見つけて話し聞いてたのよ。ま、すぐに事件を解決してもホテルでただ飯…… いや、裏をしっかりと調査しようと思ってね。じゃ、幽霊船の報酬を貰う手続きとかあるし、ホテルの報酬貰って帰りましょ」
「ウッス」
『はーい!』
「そうじゃな」
夕焼けに照らされる4人の男女。一人の男にそれぞれ抱きつきながら、彼女達はそれぞれ心に色々な思いを秘め、彼の温もりをただ、感じていた。
「あれ?」
つまり、データが飛んだので書き直しです(挨拶)
ども、新しいキーボードに四苦八苦なアマドです。パソコン様が突然お亡くなりになり、外付けのHDD内のデータ以外が無くなりますた。マニアック極まるお気に入りや仕事のメールデータも無くなってしまったっす。うぅ、悲しきかな。で、現在も復旧作業に勤めています。
所で、「ステラデウス」が意外に面白い。信じてたよ水野良!! 「我が竜を見よ」も枡田氏買いしたのですが、操作感がどうもヌルイ。そんでもって「エースコンバット5」でラーズグリーズでナガセでハァハァです。つまり、ゲームばっかやっていたという事実がここに? いえいえ、実はまたも病院にいますた。
さて、妙に小ざかしいテーマのせいで変な話になってしまいました。次回以降はふつうの馬鹿エロに戻ります。安心! あれ〜 一人何も解決していない人が居るような? つまりです。書き直すのが面倒だったので無理やりこの話で終わらせようとしたら(以下、延々と言い訳が続く)
というわけで、次回は今回の落ち+冥子登場編です。ではでは