・・涙が、出てきた。
・・なんだよ、コレ?
なんだよ、この状態?
こんな時に。
こんな所で。
こんな・・事態の、状況の、真っ最中で。
自覚しなくたって、いいじゃねぇか。
・・ああ、畜生。
・・俺は。
この、保護者が。
俺を、ずっと護ってくれてたひとが。
──好きだ。
そう彼が思った事があったのは。
・・そう、彼が自覚した事があったのは。
一体、いつの事だったろうか?
それは、何度目かの、馬鹿魔神の暴走後。
説教へと移行する直前、追い詰められすぎて、思わず魔神が反射の様な攻撃をした時。
それが反射的な、意識的では無かったが故に容赦無く、強力で。
・・咄嗟にハリセンで弾いたものの、ダメージは少なくはなくて。
血まみれになって尚、いつも通り、説教に移行していた。
・・銀一と共に、その分ボコにしてはいたが(余談だが、血まみれな鬼道に説教されたのは魔神にとって結構なトラウマになったらしい。ボコられ中も血まみれのままだったので更に)
その後、文珠で傷は治したものの。
責任を感じて、他にも色々と入り交じった感情を抱えて、泣きそうになっていた横島の頭を、鬼道はいつもの様に撫でて、微笑って。
──その時。
唐突な、自覚だった。
──それを今、横島は覚えていない。
ぽけぇ、と。
通路に座り込んで、意味無く天井を見上げながら、先程のやり取りを反芻する。
某銀色の魔王の姿が見えなくなって、暫く。
「・・アシュ様・・」
塔ではへたれで通っていても魔神。
縄など役に立つ筈も無く。
それでも捕まったままで、ベスパに一言。
静かに、纏っていたギャグちっくな空気など、何処にも無く。
確かめてくる、と。
人間臭い苦笑と共に、頭を不器用に、優しく撫でて。
抗えず、縄を解いた自分を置いて。
アッサリと、去って行った。
「・・確かめてくる・・何を・・?」
何を考えているのかは、知らないし、解らない。
ただ──────
「・・幸せ、だったのかな・・」
此処──塔での、暮らしが。
何となく、それだけは確かだと思った。
それ位は、見れば解るから。
・・色々と、"姫"との時間は邪魔されていた筈なのに。
(・・此処で、一体何が・・?)
此処に来る前に、土偶羅から少し。
此処に来てから、ハニワ兵達から少し。
色々の断片は聞いたのだが──それだけでは、全てが解る筈も無く。
「・・しっかし・・」
と、先程より、足元でわさわさ動く影が増えるのを感じ。
呆れた様に、視線を下に向ける。
「ぽー!!」
「ぽぽー!!」
「ぽーっ!!」
何処にいたのかハニワ兵。
いろんな所に配置されていたハニワ兵達が、何体か集まってきていた。
「・・何なんだい?アンタ達は・・。・・慰めとかならいらないよ?」
「ぽー!!」
怒った様にハニワ兵。
「ぽぽー・・」
悲しそうにハニワ兵。
「ぽーっ!!」
何事かを訴える様にハニワ兵。
ハニワ兵達の言葉に、ベスパは首を傾げ。
俯いて、アシュタロスの撫でた髪に手を這わす。
「・・私が行ったって、仕方無いじゃないのさ・・」
呟きが、漏れた。
二体のハニワ兵を海から引き揚げた後。
銀一が近付いている事を他のハニワ兵達から聞かされて、それぞれ内心に変化を抱きつつも、取り敢えず合流しようと横島達が卵から出た所。
横島の霊力を感じ取った妙神山一行に見付かり、対峙。
「今までご苦労様でした、鬼道さん。やっと許可を貰えました!!これからは、私達が横島さんを保護します!!」
そんな心から嬉しそうな小竜姫の言葉から始まって。
・・それでも"対峙"なのは。
「横島さんっ!!これで私との薔薇色の生活を邪魔するものは何もありませんっ!!さぁ!!行きましょう!!薔薇色の未来へ!!」
・・そのまま保護して連れ去ってしまえばいいものを、余計な事を言ってしまった小竜姫が発端。
そして起こる連鎖反応。
「待てっ!!横島は私がっ!!・・追っ手を欺く為に少年の姿にして保護!!ふふふ・・心配するな!!優しくしてやるぞっ!!」
「狡いですよ姉上っ!!横島さん、男同士、友情を深め合いましょうっ!!」
「何言ってるでちゅかっ!!ポチ・・ううん、ヨコシマは、私のものでちゅ!!」
・・等々。
何と言うか、相変わらず、な感じで──妙神山一行はGS横島救出部隊の第二陣の様相を呈しており。
「アンタ等なぁ・・」
当然の如く、鬼道は説教を敢行。
しかし勿論、素直に聞く連中ではなく。
今正に、言い合いの真っ最中。
「──とにかく、横島さんは私達が保護します!!GS達が危険だと言うのなら、人間界には横島さんを行かせません!!それで良いのでしょう!!」
「違うっ!!ボクは横島の意思を尊重せぇと・・」
「黙れっ!!民間人の出る幕ではないっ!!」
「そうです!!確かに、横島さんを奪還しに来るまでの時間を要した事は認めます!!しかし、貴方一人にいつまで護れるというのですか!?」
「そうでちゅ!!大体そのハリセン、私達の力が込められてるでちゅ!!妙神山で作られた神器なんでちゅよ!?つまり、私達がヨコシマを護っていたという事でちゅ!!」
口々に言ってくる一同に、黙り込む鬼道。
「・・そうやな」
そして、ぽつりとそう言い。
「・・そんなら、コレは返すわ」
『えっ!?』
アッサリとハリセンを一同へ──取り敢えず小竜姫の手へと、返した。
「・・き、鬼道?」
戸惑いの声を上げる横島に、安心させる様な微笑を向けてから。
「・・今まで役に立ってくれました。・・おおきに」
そう言って、一同へと頭を下げた。
「え?え、あ、は、はい・・」
「いや、その・・なんだ・・」
「え、ええと・・こちらこそ・・」
「で、でちゅ!!」
真摯な瞳を真っ直ぐ向けられ、そしてこの態度である。
思わずうろたえる妙神山一行。
わたわたしながら意味の無い声を発しつつ礼をし返したりしている。
・・そうして。
「・・せやけど、ボクは横島の意思を尊重したい。ボクは、その為に尽力する。・・一生、賭けてもええ」
・・そう。これは、賭け。
己の様なちっぽけな存在が、この姫を護れるのか。
護っていけるのか。
不安がありながらも、決して負ける事の出来ない、賭け。
・・その前に、力になれるのかどうかも解らない。
相手の意思をある意味で無視した、身勝手な決意。
──それでも。
これが、己の決めた、到達した、結論。
「・・これは、ボクの意思や」
強い意志の、意思の・・込められた瞳。
誰も折れないだろうそれを真っ直ぐに向けられて、気圧され、たじろぐ一同。
・・その中で、天龍童子は顎に手をあて、真剣な顔で鬼道を睨み。
ヒャクメは、口を開いた。
「・・貴方がそこまでする理由・・言っといた方が良いと思うのねー」
ピクリ、と反応する鬼道。
そして、ずっと鬼道を見ていた横島も、その言葉にヒャクメを見る。
「・・ヒャクメ様、ですか・・」
幾許かの沈黙をその場に落とした後。
見抜かれている事を確信して、息を吐く。
自嘲じみた、そして諦めも伴った微笑と共に。
「・・そうですな。別に言わんままでもええんですが。・・ボクも人間やさかい・・」
「・・言わないと後悔するのねー」
「・・しませんよ。横島が幸せになるんなら、それで」
それは。幸せをいつか見付けてくれれば、それでいいのだと。
・・それも本心ではあるのだけれど。
(・・ハッキリしたからなぁ・・)
思う。
横島に群がる連中に、感じていた怒りやら何やら。
それが当初保護者として、教育者としてのものだった事は紛れもない事実。
・・しかし、いつしか。
別の感情も、入り交じる様になっていた。
・・それに気付いたのはついさっき。
自覚したのも、ほんの少し前。
認めたのが──実の所、小竜姫達と相対している途中。
出した結論の、理由。
それでも、口に出して、横島を惑わせたり困らせたくはなかったのだが。
(・・ボクもただの人間や・・)
自嘲する。
ボクも他と変わらんなぁ、などと思いつつ。
「・・いいからさっさと済ますのねー」
呆れた様に、投げ遣りっぽく促してくるヒャクメに、苦笑を漏らして。
「・・横島」
「・・え、あ、うん?」
何だか話についていけてなかった横島、いつの間にか目の前に立って、名を呼んでくる鬼道に慌てて返事をし、姿勢を正す。
「・・どした?鬼道・・?」
目の前。
穏やかに、微笑って。
いつもの優しい瞳を向けてくる鬼道に、しかし何処か纏う空気が違うのを感じ、首を傾げて。
「・・ん。ボクな・・横島の事が、好きや」
・・止まった。
──もう一度、自覚する。
この、保護者が。
俺を、ずっと護ってくれてたひとが。
──好きだ、と。
横島は、一度目の自覚を、思い出す。
・・あの後。
文珠を一個、使った。
文字は、『忘』。
・・それは、これ以上、負担にならない様にと。
己の想いに、巻き込まない様にと。
そして今、それらを。
思い出した。
(・・言うてもうたなぁ・・)
──結局の所。
短い時間の中ではあったが、考えて、考えて、考えて、考え抜いた挙句。
導き出された答は、これだった。
銀一とアシュタロス(一応)に、心の中で詫びる。
ぶっちゃけ抜け駆けな行為だろう。
だが、自分も人間だ。
感情を押し込めるのも、しようと思えば出来るのだが──促されて一押しされては、抗えず。
教職者で、教育者で、保護者。
それらをとっぱらって、自分は此処に立っている。
今の自分は、ただの人間なので。
素直になるしか無いのだし。
それを告げた事で、横島を苦しませる事になるかもしれないとは思いつつ。
横島の答がどちらにせよ、今の変化を良しとしない様などうしようもない状態から、何らかの前進は見込めるだろうし、と。
(・・ま、我慢は身体に毒やしな)
そう、どこかスッキリした気持ちで、微笑んだ。
──抗う力が、あった。
『忘』の効力は、何故だか続いていて。
自覚しようとすれば、発動し。
考えがそこへ到達しようとすれば発動する。
だが、今。
それは、何故だか発動しない。
霊力の持続に関係するものか。
それとも、己の心に起因していたものなのか。
判然とはしないのだが。
パキン
澄んだ音を立て、何かが壊れた。
『忘』の文字を、意思を刻んだその文珠は、飲むという行為によっての発動であり。
本当の所は解らないが、もしかすると体内に残っていたままだったのかもしれない。
それとも、己の知らない内に、無意識の気持ちが、体内に同じ文字の刻まれた文珠をその都度生成し、発動し続けていたのか。
──とにもかくにも。
その文珠は壊れて消えて。
横島は、鬼道の言葉を聞いて、己の想いを自覚して。
そうして、その場に固まっていた。
目の前の、自分を好きだと言ったひとを、見詰めながら。
・・真っ赤になっていく顔。
その反応をどう見たのか、鬼道は言葉を続ける。
「・・できれば、ずっと傍で・・横島の事を護らせて欲しい」
相変わらず優しい瞳で。
「・・嫌や言うなら、傍には行かん。姿も見せん。・・ただ、見えんとこで護らせてもらうけどな。・・すまんな、そこは許容してくれや」
苦笑と共に。
「・・心配せんでいい。どんな結果になろうと、ボクは一生、横島の味方や」
そして、安心させる様な微笑みを向けて。
「・・答、聞かせてもらえるか?」
「・・っあ・・あうっ・・あうぅっ・・」
あくまで穏やかに言ってくる鬼道に、横島は焦ってわたわたしながらも何か言おうとするのだが、上手くいかない。
心が、叫ぶ。
──だって、俺は、汚れてるのに・・!!
──だって、迷惑になるに決まってんのに!!
だから、だから、だから──────!!!
自覚を思い出して。
『忘』を使った理由も思い出して。
だから。
・・駄目なのに。
「だっ・・て・・。き、どぉ・・保護者・・って・・」
震える声で、絞り出す。
「・・ん、そうやな。保護者や。・・保護者やった。・・最初はな」
だって、駄目なのに。
「保護者で、いようとしてた・・」
だって俺、汚れてるのに。
「・・けど、保護者としてだけで・・横島の事見れん様になっとった。・・ずっと、誤魔化しとったけど、な・・」
──・・どうして。
「けど、ボクも人の子や。・・すまんな、横島。・・言わせてもらう」
・・そんな、迷わせる様な事。
「・・愛しとるよ」
──────────・・・・・・・・・・。
・・だけど。
好きだって。
俺の事が、好きだって。
愛してるって。
俺は──────・・・・・・
頭の中で、いろんなものがぐるぐる回る。
「ああ、慌てんでええて。な?」
「・・鬼道・・」
これも相変わらず。いつもの様に、頭なでなで。
その手になんだか落ち着いて。
いろんなものが、余計なものが、溶けていく。
そうして。
ただ、素直に、すんなりと。
「・・俺・・」
言葉が、紡がれる──────
「「ダメェェェッ!!!」」
──────前に。
ドゴオオオォォォォォォォォォォォォォンッッッ!!!
・・悲鳴に近い、絶叫と──爆発音が、響いた。
・・それはそうだろう。
置いてけぼりにされていた妙神山一行。
いきなりの告白タイム、そして・・と、ヤバイ雰囲気に思わず攻撃を仕掛けてしまったのは、二名。
その二名というのが。
「わっ、わたっ、私っ・・私だって・・ずっと・・!!」
涙声で、しゃっくりあげて。言葉になっていないながらも必死で言葉を紡ごうとする小竜姫と。
「ヨコチマァッ!!ヨコチマはぁっ!!バビリオのペットなんでちゅうぅっ!!」
思いっ切り泣きながら、口調も更に幼くなって。幼い精神そのままに叫ぶパピリオだ。
だが──
「・・二人共・・気持ちは痛い程解るけど・・横島さんごと攻撃しちゃダメなのね〜・・」
「「はっ!?」」
呆れ返ったヒャクメの言葉に、慌てて横島(とついでに鬼道)の姿を捜す二人。
因みにワルキューレとジークは呆然と立ち尽くし、鬼門の二人は今の攻撃に巻き込まれていた(哀)
ヒャクメと天龍童子はなんとか回避した様である。
そして、目に映るのは。
「・・いきなりやったから、流石にビックリしたなぁ・・」
「・・俺もビビッた・・」
横島を庇う様に抱き込んだ鬼道と、その前に二人を護るかの様に立つ夜叉丸。
更に前には盾の如く、数十体のハニワ兵達。
しかし、それら全ては翠色に光る壁に包まれていた。
文珠、『護』だ。
「・・ボクが横島に護ってもらっとるんじゃ、どーしよーもないなぁ」
苦笑と共にそう零す鬼道。
銀一同様、鬼道も文珠を渡されていたのである。
これも、用心の為、の常時発動可能な『護』の文珠。
保護者としてではなく、ただ一人の男として護りたいと思っていた鬼道である。苦笑も、そんな言葉も漏れる。
けれど。
「・・何言ってんだよ。俺、ずっと護ってもらってたんだから・・。全然足りねぇよ」
鬼道の言葉を受け、こちらも苦笑と共に横島。
・・そして。
「・・鬼道、あの、さ」
「・・ん?」
「・・俺にも、護らせて、な?」
照れた様に、どこか──泣き笑いの表情で。
そう告げた。
・・妙神山一行(ヒャクメ、天龍童子以外)の時が止まった。
「・・決着、ついたのね〜・・」
「・・ふむ。横島が幸せそうで何よりじゃのぅ」
時の止まっていないヒャクメと天龍童子が口を開く。
「・・私は二人の心の中視えてたから落ち着いていられるけど〜・・殿下はそれで良いのね〜?」
「何を言う。家臣の幸せを願うのは、主として当然の事じゃろうが。・・ま、少し悔しいが、あの男なら心配なかろう」
「・・殿下の方がよっぽど大人なのね〜」
そして、その大人じゃない連中は。
「みっ・・認めませーーーんっ!!」
「おっ・・おのれーーー!!一兵卒ーーーっ!!」
「くっそおぉぉーーーっ!!」
「ヨコシマを返すでちゅーーーっ!!」
「うおっ!?また来たっ!?」
「なっ、何で怒ってるんですかーーーっ!?」
『ぽぽーーーっ!!(うわ鈍っ!!)』
攻撃を仕掛け様とする小竜姫達と、相変わらずサッパリ解っていない(説教中の言い合いとかは無意識に聞いていなかったのか救出部隊達と同類だとは思ってなかったらしい)横島の叫びに一斉に突っ込むハニワ兵達。
・・まぁ、横島以外の他の面々もそう思っているに違いないのだが。
何気に夜叉丸もこっそりと同じ事を思いつつ、溜め息を吐いてたり。
「ああもーっ!!やめるのね〜っ!!」
「やめんかお主等っ!!」
止めようとするヒャクメと天龍童子だが、流石に無理。
鬼門達は先程の攻撃に巻き込まれた時に気絶してそのまんまなので論外。・・使えねぇ(酷)
「横島さんから離れなさいっ!!」
「貴様に鉄槌をぉっ!!」
「横島さーんっ!!」
「ヨコシマを返すでちゅううぅっ!!」
流石に横島が近くにいる為、有無を言わせず攻撃──という訳にはいかないが、危険な雰囲気である。
「ええっ!?な、何がどーして一体こんな事にっ!?」
「・・・・・・ん〜・・と・・」
そんな中、どこまでも鈍い横島に苦笑しつつ、答えに困る鬼道。
──と、そこに──
「おらあああぁぁっ!!!突っ込めやーーーーーっっ!!!」
『ヴオ゛ォ゛ーーーーーーーーーンッッ!!!』
殴り込みをかける様な怒声に近い叫びと、泣き声の様な絶叫。
『はうあっ!?』
『ぽぽーーーっ!?』
その場にいた一同(気絶中の鬼門達除く)言葉通り突っ込んできた物体を目に捕らえ、一斉に驚きの声を上げた。
そして──
ドゴオオオオオオオオォォォンッッッ!!!!!
『ギャアァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!』
・・数秒後。
爆発音と共に、断末魔がそこに響き渡った。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
汗ジトでモニターを見詰めるお二方。
最高指導者、キーやんとサッちゃんである。
「・・どこまでいくんやろ?あの連中・・」
「・・さぁ・・」
二人して、遠い目をして呟いていた。
「・・何か物凄い爆発音が響き渡りましたヨ?」
魔神がどこぞの通路を走りつつ、思わず語尾を怪しくしながら独り言。
何が起こったのかはともかく、魔王が何かやらかしたんだろーなー、位は感じていたり。
それはともかく。
魔神は、走る。
力は殆ど吸い取られ。
それでも己の塔の中。
力の残量に関係無く、呼び出せる筈の、それぞれの部屋に直通で続く扉を使いもせずに。
専用の通路を使う事を考え付く事も無く。
魔神は、走る。
まるで考える時間を求めている様に。
走りながら、様々な事を考えている。
──答は未だ、出てはくれないのだけれど。
・・展開急すぎやがな(自分で言うな)反応が怖いなぁ・・。
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