ホーネットとの出会いから二日が過ぎ
ランスは、リアに賜ったウマに乗り、レッドの街へと急いでいた
その背中には、護衛として共に向かっている、日光の姿があった
なぜランス達は二日も過ぎた後で、レッドの街へと向かっているのであろうか?
ただ、カオスを取りに行くだけなら、翌日に出てもよかったはずである
ならば何故、ランス達が日を置いてレッドの街に向かう事になったのだろうか?
それは、ホーネットとであった翌日に開かれた、自由都市対処に関する軍議で
既に、ヘルマン、自由都市へと布石を打ったアールコートが提案した
自由都市をリーザスに帰順させる為の作戦が物語っていた
ランスがホーネットとであった翌日、緊急で軍議が開かれた
先に述べた通り、自由都市に対する対応が至急に必要になったからだ
軍議に参加したのはバレス、ランス、アールコート、そしてマリス
全員、今のリーザスの軍務と政務の要となっている人物ばかりだった
会議室には自由都市地方の地図が広げられており
バレス、ランス、マリスの三人が、その地図を渋い顔で見ていた
「予想外・・・としか言いようがないな
リーザスの影響力は昨年の影響で弱まっている事はわかっておったが
ジオ、ハンナ、ロックアースの他にも反抗の兆しがあるとはな」
「えぇ、半年前からどこか怪しい素振りはあったのですが・・・
自由都市はあくまで中立であるため、迂闊にこちらからも干渉できず
その結果が、こうなって出てきたというわけみたいですね」
バレスとマリスが、かなみが集めた情報を見て、そう溜息を吐きながら言った
正確にはこの情報は、かなみの部下が集めたものであった
マリスは、デューク候の反乱の際に他の勢力の干渉を見抜き
中でも、自由都市方面への諜報活動を密にするようかなみに依頼したのだ
かなみ自身は、自分に与えられた別任務もあったために動けなかったが
かなみの部下達は動けたため、情報収集に向かっていたのだ
そして、全部下の情報を統合し、かなみが提出したのが軍議の2時間前
まさしく、緊急軍議と言えるものであった
「ジオ、ハンナ、どっちを攻めてももう片方が勢いづく可能性が高い
青の軍は対魔人用に動かせないし、サテラ達も当然動かせない
かといって迂闊に戦力を割いて万が一戦闘が長引いたりすれば
ジオ、ハンナに加勢する自由都市軍も増える可能性が高いか
くそっ、リーザスはまだまだ健在と言う事を理解できてないのか!!」
ランスは戦況を何度も何度も頭の中で動かし、苛立ち始めていた
自由都市がリーザスに反抗する理由・・・それはただ一つ
もはやリーザスの国力、特に軍事力は他の二国に並ぶものではなく
リーザスがヘルマン、もしくはゼスに侵攻され、滅ぶのは時間の問題だと
そう言う考えが、多くの都市に蔓延していたからなのだ
その考えが蔓延し出したのは、昨年の解放戦争時のときであった
確かに、リーザス城を取り戻すことはできはしたが、一度は奪われたのだ
まして、リーザス城はその堅牢さが大陸全土によく知られているからこそ
その城を一度とはいえ落とされた事実が、リーザスの名に傷をつけたのだ
さらに今回のデューク候の反乱である、火を起こす準備は完全に整ってしまった
ゼス、ヘルマンの両国がリーザスに攻め込む前に
自分達、自由都市軍がリーザスに攻め入り、領土を奪い取り
その軍事力、生産力を取り込んで、さらに強力な連合軍を作り
今まで顔色をうかがっていたゼス、ヘルマンに対抗できるだけの力を手に入れようと
デューク候の反乱を支援したジオ、ハンナの両都市が他の都市に呼びかけ
そのための、リーザス侵攻のための準備も着々と進みつつあると
かなみが持ってきた情報が伝えていたために
ランスの苛立ちは減るどころか、情報を見直すたびに増える一方だった
しかし、その苛立ちはアールコートの眼に光が宿ると共に消えうせた
その光が宿ったときを見れたのは、ランスにとっては偶然だっただろう
だが、ランスは知っていた、自分自身が体感してわかっていたのだ
アールコートの眼に光が宿ったとき、それは、軍略が完成したときだと
ランス自身過去に何度も、戦術の指南を受ける際に、その光を見たのだから
「アールコート、何か思いついたみたいだが・・・言ってくれないか?」
光が宿ったのに、いっこうに発言しようとしないアールコートに
ランスが助け舟を出し、アールコートがその言葉に頷き、口を開いた
「その・・・ハンナ、ジオ以外の街は、最初は日和見をすると思うんです
それに・・・ハンナ、ジオの街が、特に何の圧力もかけてないときから
こうやって、準備をしてたと言う事は・・・・
多分、へルマン側がリーザスに何らかの陽動を仕掛けて
その隙に・・反乱軍と共に、攻め入る予定だったんだと思います
でも、その陽動が起こる前に、反乱平定しちゃいましたから・・・
多分、ジオもハンナも、今は迂闊に動けない状態だと思うんです
でも、それも圧力とヘルマン側の挑発が成功すれば・・・
間違いなく・・・当初の予定通り、陽動に合わせてせめて来ると思うんです
だから・・・こっちもその策を利用させてもらおうと思ったんです」
「利用?・・・陽動に裂く戦力に偽兵でも用いるのかね?」
バレスが、アールコートの言葉を聞いて、自分が考え付いた策を言った
バレスの考えでは、ヘルマンが陽動をしかけ、それに呼応するのなら
ヘルマン側に向ける兵を偽兵戦法を用い2000の兵を9000ほどの兵にみせ
そして、ジオ、ハンナに全戦力を向けて一気に平定しようと考えたのだ
だが、アールコートはそのバレスの言に、ゆっくりと首を横に振った
「いえ・・・確かにそれも有効的ではあるんですが・・・
陽動に来るのが・・ヘルマンの名将であるレリューコフ将軍だったら
偽兵に気付かれ・・そのまま攻め入られる可能性があるんです
そうなったら・・・情勢は悪化する一方になりますから・・・
だから・・・カスタムの街を動かそうと思うんです」
「カスタムを?」
アールコートの言葉に、ランスが反応した
カスタム・・・先の反乱の際に将として参戦した二人
魔想志津香とシィル・プラインが住んでいる街である
過去の惨劇に加え、リーザス解放戦争時に前線都市であった影響もあり
いまだに傷跡は深く、自由都市郡の中での地位はかなり低い方である
「はい、ジオ、ハンナの両都市も、それを考えているはずです
先の反乱の時に、カスタムの魔術師が二人、正規軍に参加した事は
既に、リーザスだけではなくて、自由都市にも伝わっていますし・・・
そのお二人も、反乱平定と共にカスタムに帰ったそうですから・・・
そのカスタムが自由都市軍に参加したりしたら・・・・
私達の勝ち目は、良くて6割・・最悪2割に持ち込まれます
でも、カスタムの街はランス将軍を英雄として称えているそうですから
ランス将軍を交渉人として、リーザス側で何らかの良い待遇条件を・・
たとえば、関税権の一部譲渡とかを出すことが出来れば・・・
カスタムとしても、リーザスと事を構えようと思ってないでしょうし
それにカスタムの都市軍をリーザス側の援軍として引き入れられますし・・・
そのカスタムを介する事で、他の都市の反抗も止められるとおもうんです」
アールコートは、少々躊躇いつつも、迷いのない目でそう言いきった
そしてバレス、ランス、マリスの三人は、その作戦を聞き感嘆していた
三人とも、あくまでリーザスの内紛の余波と考えていたために
アールコートのように、リーザスに友好的な勢力を用いて
自由都市軍を内側から崩そうとは思いついてもいなかったのだ
「あ・・・あの・・・やっぱり・・・だめでしょうか?」
三人とも無反応であったために、不安になったアールコートが尋ねる
「いや、その策で行こう・・・ランスも異論はないな?」
バレスが言葉を返し、ランスにそう尋ね、ランスも大きく頷いた
「では、カスタムの街の待遇に関しては私が考えて書状にします
明日までには用意しますので・・・・
ランス将軍、明日、私の書状を持ってカスタムへ向かってください」
マリスの言葉に、深くランスが頷いてその日の軍議は解散となった
ランスはマリスに書状を託されたときに、レッドの街へとよる旨を伝えた
レッドの街の教会に封印されているカオスの封を、といてもらうためだ
その際に、何故か近くにいた日光が、ランスについてゆくと言いだしたのだ
マリスとしては、その提案は渡りに船だったからこそ、ランスの意見を無視して
日光に、ランスの護衛を依頼し、最初のような状況になったのだ
マリスとしても、いかにランスが強いとは言え単身向かうのは納得できなかった
確かに、交渉のためとは言え少数であっても軍を動かしたりすれば
ジオとハンナの街を刺激し、無意味な戦闘になる可能性が高いだろう
しかし、単身で向かって、何か不祥事があったりしては大変である
カスタムへの交渉も失敗に終わるし、最悪、ランスの命も失われるだろう
そうなったら、軍全体の士気は低下し、リアが嘆き悲しむだろう
そう考えたマリスは、日光に護衛を依頼したのである
日光自身、それなりに腕利きである事はマリスの目でもわかっていた
だからこそ、ランスの反論を黙殺し、日光に依頼したのだ
馬上のランスと日光は、一言も言葉をかわしたりはしていなかった
ランスの意識は、ただひたすらレッドの街へと向けられており
日光自身も、特にランスとは話そうとはしていなかったのだ
早朝、日が出始める頃に城から出発したランス達は、夕日が沈み始める頃に
目的の場所、レッドの街にある教会・・魔剣カオスが封印されている場所
かつて、ランスと共に戦ったシスターのセル・カーチゴフがいる教会に到着した
「すまないけど、日光さんは宿を取ってきてくれるか?」
ランスは教会の目前でウマから降りると、日光にそういった
「わかりました、宿を取り次第戻ってきますので」
日光も同じくウマから降り、ランスの言葉にそう返した
ランスはそれを聞き頷くと、教会の門へと向かって言った
ギィィィィィィ・・・・
ランスがゆっくりと扉を開け、重厚な音が辺りに響く
その音の中で、一人のシスターが、祈りをやめ、門の方へと振り向いた
「お久しぶりです、セルさん」
「えぇ、お久しぶりです、ランスさん」
ランスが、そのシスター・・・・セルに話しかけ
セルも、柔和な笑みを浮かべて、ランスに挨拶を返した
「ちょっと用事があるんですが、時間は大丈夫ですか?」
ランスは、真剣な顔をして、セルにそういった
セルもその顔を見て、真剣な顔をして答えた
「はい、時間の方は大丈夫ですよ。
でも、長い話になりそうですので、先に紅茶を入れてきますね」
セルはそう言うと、教会の奥へと消えていった
ランスは近くにある椅子に座り、セルの帰りを待っていた
数分後、セルが紅茶を持って戻り、ランスの隣側に腰掛けた
ランスは紅茶を受け取り、少しだけ飲み、口を開いた
「単刀直入に言います、カオスを、俺に渡してください」
ランスはセルの方へと向き、真剣な顔でそういった
「・・・・・・あの時、こういったはずです
今の貴方では魔剣に飲まれるだけだと
だからこそ、貴方には魔剣カオスを渡すわけにはいかないと」
セルもまた、真剣な顔でそうかえした
「だが!!今カオスがなければ世界が滅びかねないんだ!!」
ランスはそのセルの言葉に興奮し、そう叫んだ後にリーザスの現状を告げた
今代の魔王、リトルプリンセスの事、ホーネットとの会談の事
魔人界の情勢、ならびにリーザスへの魔人侵攻の可能性の事など
それらを一通り聞いたセルは、一度紅茶を飲んだ後、ランスの目を見て言った
「たとえ、人類の命運が掛かっている状況だったとしても
今の貴方には、カオスを託すことなど出来ません」
「何故!!魔王を、美樹ちゃんを護れなければ
人類が魔物の手によって滅ぶ可能性が高いんだぞ!!」
ランスの興奮は収まらず、逆に一層熱くなり始めていた
「何度もいう通り、今の貴方ではカオスは扱いきれない
だから、私は貴方にカオスを託せないのです
確かに、ランスさんは剣技においては魔剣を振るえるでしょう
ですが、心が、精神が、その技量に追いついていないのです
魔剣を扱うと言う事の難しさは、ランスさんがよく知っているはずです
それに・・・あの時の事件も、忘れたわけではないのでしょう?」
セルがそういうと、ランスも押し黙った
あの時の事件、それは、魔王ジルをカオスによって撃破した後の事である
ジルを撃破してそう時間をおかず、ランスはハウレーンに襲いかかったのだ
幸いな事にカオスは既に手放していたために、傷もなく
ちょうどランス自身が既に疲労しきっていたのと、人数がそろっていた事もあり
ランスがハウレーンを押さえ込んですぐに、ランスの意識を奪い取れたのだ
ランス自身、カオスから逆流した意思によるものだと自覚もあり
その時に、カオスの封印をセルに託したのだ
もっとも、カオスが言うには自分以外の何らかの要因があったと言うのだが
『魔剣』と言う名称と、本人の性格もあり、その言葉は信じられていない
「今のランスさんでは、カオスを一時的に振るうことは出来ても
いずれ意識はカオスに飲まれ、自我が消失することでしょう
そうなれば、ランスさんを待つのは滅びだけになります
だからこそ、カオスを渡すことは出来ないのです」
セルの言葉に、ランスは両手を顔の前で組み、顔を俯かせながら言う
「・・・・・それは俺だって自覚してる
だが、今、振るわなければならないんだ
今、魔人に対抗できる手段はカオスだけしかない
魔人に対して結界を張った所で、時期がたてば壊されるだろう
それに、魔人を倒さなければ、その分仲間が死んでいく
魔人を撃破できない限り、侵攻を止める事はできない
そしてそれは、仲間達の死に直結することだ
俺一人の命で、仲間の、親父や姉さんの命が救えるのなら
当の昔に覚悟は出来ている、元々拾われた命だ・・・・
だから、頼む、カオスを、魔剣カオスを、俺に、託してくれ!!」
ランスの最後の言葉は、懇願するようなものであった
だが、そのランスの言葉を聞いても、セルの決心は揺るがなかった
「ランスさん、そんな貴方だからこそ、逆に魔剣は渡せないのです
かつて、貴方が飲まれた時は、貴方自身疲労していたこともあり
逆に、私達の力に余裕があったからこそ、何とか防げたのです
貴方自身が魔剣に飲まれ、貴方の命が失われることで
自分の命が助かった事を、喜ぶ人がいるとおもいますか?
バレスさんやハウレーンさんの事を、本当に考えているのですか?
私も、貴方が犠牲になって人類が救われたとしても、嬉しくなどありません
この私の考えを、愚かだと、傲慢だとおもうかもしれませんが
私は、たとえ罵られたとしても、拷問を受け、命落としかけたとしても
今の貴方には魔剣であるカオスを託すことなどできません」
セルは、ランスを諭すような口調でそういった
ランスはそのセルの言葉を聞き、一度、深い溜息をつくと立ち上がった
「・・・・・今回は、諦めます、こっちも急ぎの用もありますので
ですが、次こそは必ず、カオスを渡してもらいます」
ランスはそう言うと、セルに礼をした後に教会の外に出た
「日光さん、そんな所にいたのか?」
ランスが外に出ると、教会の門の近くに日光がいた
「えぇ、重要な話のようでしたから、邪魔をするわけにもいかないと思いまして」
日光は、失意に沈みつつあるランスの表情を見ながらそういった
「そうか、待たせちゃったみたいだな、宿の方はだいじょうぶだった?」
ランスは、ばつが悪そうにそういいつつ頭をかくと、日光に宿について聞く
大陸ではウマは珍しいため、ウマの面倒を見てくれる宿があるか不安だったのだ
「大丈夫です、部屋は団体の泊り客があるそうで相部屋になりましたが
ウマの方も大丈夫な所です、宿に案内しますから、ついてきて下さい」
日光がそう言い、先頭を歩き、ランスがその後ろに続いた
日光の後ろを歩くランスには、普段よりどこか覇気がないようであった
日光はそのランスの様子を感じ取り、ある決心を固めていた
ちなみに、宿の部屋はシングルベッド二つの部屋だったりする
宿に付き、夕食をとったランスは、眼を瞑り、瞑想をしていた
日光は少し買い物があると言い、街へと向かっていた
ランスの頭の中は、セルに言われた言葉で一杯であった
今まで自分は、孤児であり、犯罪者であった自分を拾ってくれた
バレスやハウレーンを、自分の命を捨ててでも護ろうとしていた
それを正しいと考え、一度もその道を疑った事などなかった
だが、先日、魔人との戦いの後のハウレーンの泣き顔と
つい先ほど言われた、セルの言葉が、その道を大きく揺るがしていた
自分が死ねば、父や姉が悲しむ、今までのランスは、考えた事もなかった
ただ、自分の命を盾にして、護る事だけを考えていたのだ
だが、それではカオスを振るうには値しないと言われた
なら、自分はどうすればいいのだろうか?
今までの道をあえて突き進むのか、それとも新しい道を探すのか
思考が堂々巡りに入りかけたとき、その思考を中断させられる事になった
「ランス殿、あまり思いつめては体に毒ですよ」
そう、買い物から帰ってきた日光の言葉によって
「日光さん、それは・・・・」
「御酒です、どうですか、一杯?」
日光はそう言いつつ、買ってきたワインをグラスにうつし、ランスに渡す
ランスは、苦笑しながらそれを受け取り、ゆっくりと、飲み始めた
日光はランスが飲み始めたのを見ると、新しいグラスを出し、自分も飲み始めた
それからは、互いにただ酒を飲む音が部屋に響いていた
「でも、以外だな、日光さんはJAPAN酒を飲むと思ってたんだが」
二、三杯飲んだ頃、ランスが口を開いた
「確かに、JAPANの清酒は好みではありますが
別に葡萄酒が飲めないというわけではありませんよ」
日光はそのランスの言葉に、微笑みながら返した
その言葉にランスも僅かに笑い、再び酒に集中し始めた
どれほど時がたっただろう、二人が一瓶飲み干した後、日光が口を開いた
「ランス殿なら、既に存じているとは思いますが
魔人を切れるのはなにもカオスだけではありません」
「あぁ、知っているよ、聖刀日光・・・つまり、日光さんもだろ?」
急に真剣な顔になった日光に応ずるように、ランスも真剣な顔で答える
「はい、その通りです、しかし、何故知っていたのなら
あの時、軍議の魔人対策の時に言わなかったのですか?」
「美樹ちゃんの前でか?
それは日光さんも望むことじゃあないだろ?」
ランスのその言葉に、日光はわずかに苦笑した
「お見通し・・・というわけですか
確かに、美樹様には教えたくないことではあります
しかし、カオスはまだ戻ってきてないのでしょう?
でしたら、何故わたしを振るおうとはしないのですか?」
日光がそう言うと、ランスはごろりとベッドの上で横になった
「聖刀日光の契約方法くらい俺も知っている
いくら魔人を討つ為とはいっても、たとえ儀式だとしても
別の方法もある以上、俺はそんな儀式云々のために女性を抱く気はない」
聖刀日光の契約方法・・・それはある意味異質なものであった
ランスの言うとおり、聖刀日光の人間の姿である日光に
使い手のDNA、つまり精液を日光の膣で受け止める事で契約完了となるのだ
上の契約を結んでいないものには、刀に戻った日光を鞘から抜くことができない
つまり、聖刀日光をもちいるには日光を抱かねばならないのだ
ランスは、過去に他の方法がなかったために四人の女性を抱いたが
それから先、騎士道を重んじているためもあり、女性を抱いた事はなかった
「ですが、次の魔人侵攻はどうなさるおつもりなのですか?」
日光は、真剣なまなざしのままランスを見据えて言う
「・・・・サテラ達に踏ん張って貰うしかない
俺が囮になってサテラ達が攻撃を続ければ、勝機は十分ある」
ランスは、表情に陰りを見せながらそういった
「そして、貴方は自分の命を粗末になさるおつもりですか?」
日光のその言葉に、ランスが反論しようとしたとき
「な・・・?、くっ、日光さん、まさか、あの酒に薬を!?」
自身の体の異変に気付いたランスが、日光を半ば睨みつつ言う
「はい、リア様が作られせたという媚薬を少々混ぜさせてもらいました」
日光は、涼しい顔でそうランスの言葉に返した
「くっ!!、はぁ・・・!、なぜ、そんなことを!?」
日光の言葉を聴き、なお早まったような体の異変を必死に抑えつつ
もはや、日光の顔を見ることすらもまともに出来ない状態のランスが問う
「マリス様に頼まれた事と、私自身の意思です
マリス様があの時言われた言葉の意味、ようやく理解できました
『ランス将軍は少しでも眼を離すと、直に自殺行為に走る』と
ランス殿ほど優れた将がそのような行為に走る事が理解できませんでしたが
ようやく、私にも理解できました
ランス殿、貴方には自己と言う概念が無さ過ぎるのです
自己がなければ、いざと言うときに生き残れるはずがないのです
あの女性がカオスを託さなかったのは、それが理由でしょう
カオスは、使い手の意思によって、その力を発揮します
しかし、魔剣と言う名の通り、使い手の意思を侵食もするのです
今のランス殿では、その侵食を食い止めることなどできぬでしょう」
日光はそう言いながら、ランスの来ている鎧をゆっくりと外していった
ランスは、ただひたすらに、媚薬によってもたらされる衝動から耐えていた
「カオスを扱うには、ランス殿は自己と言う概念がなさ過ぎるのです
しかし、今すぐに自己を持つことなど到底無理でしょう
自己を護る事が他者を護る事に繋がると言う事を理解するのは難しい事です
けれど、ランス殿は戦いをやめるつもりなど到底ないはずでしょうし
そして、その戦いの中で、自らの命を賭ける事に躊躇い等持たないでしょう
だからこそ、私は貴方と契約を結ぶ事を決めました
貴方の歩もうとしている道では、いつか必ず道を踏み外します
私自身、そうやって散っていった者を多く見てきています
しかし、ランス殿はまだ可能性があります
何らかの要因さえあれば、カオスすらも扱いきれるはずです
だから、私はその時が来るまで、貴方の刀になると決めたのです
聖刀日光は、守護の刀と言われているそうですが
ならば、その守護の刀の力で、ランス殿を守護しようと、そう決めたのです」
日光はそう言いつつ、ゆっくりと自分の服を脱ぎ、ベッドに腰掛けた
ランスは、その日光の姿に魅入りながらも、耐え続けていた
「もし、ランス殿が僅かにでも、この私を振るいたいと思うのでしたら
この日光を、お抱きください」
ランスはその言葉を聞き、何かに弾かれたように立ち上がった後
日光に口付けをかわし、ベッドへと押し倒していった
以下、数十行に渡り未青年閲覧禁止行為が続いております、しばらくお待ちください
そのような事があった翌朝、ランスが眼を覚ますと、その横には
鞘に包まれた、一振りの刀があった、それこそが、聖刀日光であった
ランスはその聖刀日光をゆっくりと手に取り、鞘から引き抜いた
その刃は、剣士ならば誰もが振るって見たくなるほどの美しさがあった
ランスもしばらくその刃に魅入っていたが、ゆっくりと鞘へと戻して言った
「ふぅ・・・・、帰ったら親父や姉さんになんて言い訳しよう」
ランスは、鞘にしまい、ゆっくりと聖刀日光をおくと
そう呟き、頭を抱え始めた、しかし、その顔には覇気が戻っていた
その後、人間姿に戻った日光に用意を促されるまで、ランスは悩み続けていた
しかし、その顔に憂いはなく、気力に満ち溢れていた
日光はその顔を見、深く頷き、微笑をこぼしていた
その後、日光は刀としてランスの供をする事を決め
ランスは聖刀日光を背中に背負い、カスタムへと急いだ
聖刀日光を手にし、新たなる道の模索を考え始めたランス
その新たなる道は、ランスにどのような影響を及ぼすのであろうか?
ただ、後の歴史書にはこうとだけ記されている
『聖刀日光を手にしたその時、彼の道は切り開かれた』と
果たして、ランスが切り開いたとされる道はいかなるものだったのだろう?
それを唯一示す史書は、いまだはるか先の世のものであった・・・・・
後書き
取りあえず媚薬云々でたから用心のために15禁〜
18禁シーン期待した方・・・正直ごめんなさい
いや、作者も書こうとはしたんですけどね・・・
想像するたびに段々と砂糖吐きそうになっちゃって(汗
18物かける人達がどれだけ凄い人か実感しました
砂糖吐きまくりつつ時間掛けまくればかけそうですが・・・
正直本編にそこまで混ぜてると私が自滅しますので(ぇ
限界でも外伝or別作者さんへの依頼とさせてください(ぉぃ
正直まだ砂糖が喉に残っているけどレス返し〜(何
捨てハンドルです。さん
その情報が本当だとすると私は小学生の国語の知識すら・・・(滝汗
いやはや、作文苦手な馬鹿が二次創作するのは無謀ですねぇ
別の二時創作も完全スランプで止まりっぱなしだし(何
もう少し、句読点等をしっかり勉強して行こうと思います
わざわざ文体に関する注意点などを述べていただき、真にありがとうございます
シンさん
ホーネットフラグONしちゃったみたいですね〜<作者自覚なし
ワーグ・・・そうだ、いい加減すずめ救わないと(ぉ
自由都市反乱後辺りで救わないとなぁ(汗
セルさんの反応はこんな感じになりました〜
信仰におぼれた聖職者ではなく、一個の聖職者として書けてるといいんですが(汗
アーベンさん
ハウ姉ぇ、最近作者の意思に反して動いてくれます(ぇ
ホーネット、これまた作者の意思を無視してフラグ立てました(何
サテラは・・・まぁまだ作者の予想範囲内での行動です(ぉ
ランス、作者の思惑以上に権限握ってます(爆死
いや〜こうかくと全員ひとり立ちしまくってますね〜(汗
創造神(クジラ)の前に私が反逆されそうだ・・・(汗
MAGIふぁさん
確かに、あれが限界でしょうね〜
でも、いきなり異世界に連れてこられて重大な責任背負わされたりして
しかもそれが今まで普通の生活してたんだったらなおらさに
美樹の反応がまともだと思えるんですよね〜
そもそも美樹は連れてこられた+魔王にされた後に命狙われてますからね
冷静になる前に感情大爆発起こすのが普通かと思いました
10/17 18:55分誤字修正 最近誤字が増えてる罠(汗
BACK<
>NEXT