天より来たる魔3 〜刻印〜
「・・・くん。横島君!」
自分を呼ぶ声に気付く。どうやら考え込んでいたらしい。
「ちゃんと聞いてたの?」
俺の上司、美神 令子があきれた声で聞いてくる。
「・・・それはもう!俺への愛の告白ッスよねー!では行きましょうエデ「何をとちくるっとるかー!」ブッ・・・」
言い終わらない内に右ストレートが飛んでくる。しかも飛びつこうとしたのでカウンターになってしまった。
「もう、聞いていなかったならちゃんとそう言いなさいよね。」
「はい・・・すんません。」
ため息を出しながら話す美神さんに謝っておく。あまりに強いストレートだったので、まだ額には血が流れている。
「もう1回言うわよ。今回の仕事はビルの地下で行なわれている儀式の阻止をすれば言いの。相手は通称D・C、悪魔会といって世界の真理は間違ってるとか訳わからないこといってるカルト集団なの。今回の報酬は凄いから張り切っていくわよ!」
・・・さすがは金欲魔人。報酬が高い時の気合の入り方が違う。
「でも、その儀式って何なんですか?」
この事務所で一番の常識の持主、おキヌちゃんが質問をする。確かに、儀式が行なわれて一体何が起こるのだろう。
「その儀式は地面に特殊な方陣を書いて、媒体に魔力を注ぎ込むの。魔力が注がれれば注がれるほどヤバイ悪魔が現れちゃうわけ。」
「えっ!それじゃあもう悪魔が現れちゃってるかもしれないんでしょ!何でそんなこと(依頼者は)Gメンに頼まんのですか!」
ICPO超常犯罪科、通称オカルトGメン。簡単に言えばGSの警察である。本来ならこんな国の危険に陥りそうな事件はGメンがやる仕事のハズだ!
「実を言うとね、大企業の社長さんの息子がD・Cに入っちゃったのよ。Gメンが行ったらそこにいる奴等は捕まっちゃうでしょ?それでスキャンダルになったら、もみ消すのが大変みたい。」
・・・金持ってる奴はちゃうなー。それを受け入れる方もどうかと思うけどな。おそらく隊長、美神さんのお母さんには言っていないんだろうな。
「それじゃあ行くわよ!」
美神さんの掛け声で俺達は事務所を後にした。
・
・・
・・・
目的のビルに到着した俺達は、細心の注意を払ってビル内に侵入した。
ビルの中に入っても霊波を感じない。まだ全然集まっていないのか霊能力のない奴の自己満足かもしれない。
しかし、その考えは地下に下りると打ち消されることになった。強い霊波が辺りを支配した。
「結界だわ。これのせいでここ以外に霊波を感知できなかったんだわ。」
そう言いながら美神さんが札を俺達に見せる。おそらくこの先のドアで儀式をしているのであろう。
「開けたら一気に行くわよ。悪魔が出てきていない状態なら召喚される前に媒体を潰すわよ。」
皆、緊張した表情で美神さんの言葉に無言で頷く。
ドアを開け中に入る。目の前には魔方陣の回りでひたすら呪文を唱えている黒ずくめの奴等。目が虚ろで、何かに魅入られているようだ。頬が痩せこけていて何日も休んでいないことがうかがえる。
そして・・・
魔方陣の中心にいる・・・
悪魔!
霊波が一層強くなる。どうやら結界を2重にしなければ外部に気付かれてしまうほどの強さを持っているというのか・・・。
美神さんが神通棍をムチ状に変え、先陣をきる。
シロは魔力を供給している奴等を離れたところに運んでいく。
タマモは旋回して狐火で美神さんのサポートをする。
おキヌちゃんはシロが運んだ奴等の介抱をする。どうやら黒服は魔方陣から離れると極度の疲労からかすぐに気絶した。
そして俺は美神さんのすぐ後ろに付いて攻撃とサポートの両方ができるように準備する。
美神さん・タマモ・俺の攻撃が当たると悪魔は鎖が解けたかのようにゆっくりと動き始めた。ダメージを受けた様子は無い。
悪魔が右腕を振るう。サイキック・ソーサーでガードするが、その衝撃で壁に激突する。
次に振るった腕の先にはタマモがいた。タマモに当たる前に美神さんの攻撃で床にそれる。しかし地面に穴が開き、それによって飛び散った岩がタマモに当たったようだ。タマモは横腹を抑えて辛そうな息をはいている。
美神さんも常に全力の霊波を出していたようで疲労の色が見える。
「何とかして逃げれないんスか?」
「ダメよ!今逃げたら更に強力になってしまって手がつけられないわ!」
俺の問いにすぐさま答える美神さん。良かった、まだ動く余裕はありそうだ。壁に当たった衝撃で今まで動けなかった俺は、自分が動けるのを確認するとサイキック・ソーサーを伸ばして悪魔の注意を美神さんからそらす。
全員を壁際に運んだのだろう、雄叫びをあげながらシロが霊波刀で悪魔の後頭部を攻撃する。
「ギャン!」
シロの声が宙を舞う。悪魔の振り回した肘がシロに当たったようだ。壁にたたきつけられて動かなくなるシロ。
・・・心臓ガ跳ネ上ルガ聞コエル
おキヌちゃんがシロにヒーリングをかけるため移動しようとする。
悪魔がそれを見つけ身震いする。
・・・ヤバイ!
おキヌちゃんの名前を叫びながら悪魔の動きを止めようと霊波刀を振る。
しかしそれには動じず、悪魔の口に霊気が集約し霊波砲が飛び出した。
立ち止まるおキヌちゃん。
あれを食らえばひとたまりもない・・・。
・
・・
・・・
俺の頭の中で何かが弾けた。
目の前が真っ白に染まる・・・。
:::::::::::::(視点切り替え)::::::::::::::::
悪魔に霊波砲を撃たれて、ダメだと思い目をつぶったのですけれど、一向に当たる気配がありません。
それとももう当たって死んでしまったのでしょうか?そういえば体が浮いています。
いえ、浮いてるんじゃなくて誰かに持ち上げられているんですね。私は恐る恐る目を開けてみました。
そこには私のほうを見て驚いている美神さんとタマモちゃん、じっとこっちをにらんでいるあくま、そして・・・
私を抱きかかえている横島さん!
・・・ん?
抱きかかえている?
そしてはっと気付きました!そうです!これは俗に言う「おひめさまだっこ」なのです!こんな状況なのにうれしいやら恥ずかしいやら・・・ってそれどころではありませんでした。確か横島さんは走って間に合うような距離にいなかったし、あの威力の霊波砲をどうやってとめたのでしょうか?
なによりも疑問に思ったことは横島さんの体中に浮かび上がっている「アザ」でした。何かの模様のようにも見えました。
横島さんは私を立たせると、手の平に文殊を出しシロちゃんに投げました。文殊の文字は「癒」。文殊が輝くと、シロちゃんがわずかに身動きをしました。良かった・・・生きてる。
悪魔がほえてこちらに向かってきました。
その時、横島さんの腰辺りに光の輪ができたかと思うと、その輪が一瞬で部屋全体に広がりました。
悪魔が拳を振り上げ、横島さん目掛けて攻撃を仕掛けました。
しかし、悪魔の腕は横島さんに当たることなく吹き飛びました・・・爆発のような音と一緒に。
ちぎれた腕部を抑えながら叫ぶ悪魔の傍で横島さんが腕を振っている。
その振った空中に光の模様が浮かび上がりました。
「爆」という文字が・・・
爆発音とともに弾けとぶ悪魔のもう片方の腕。
その刹那に又浮かび上がる文字・・・「消滅」。
あれほど苦労したのが嘘のように悪魔は消滅しました。
私達が横島さんの方を見ていると先ほど広がっていた光の輪がまた横島さんの腰まで来て消えました。
「もう・・・守れないのは嫌だ・・・。も・・う・・・絶対に・・・・・・・・・・ヤ・・・。」
・・・そう呟くと私の前で
横島さんは・・・・・・
倒れました。
続く
後書き(コメント+説明+おまけ)
いやー、戦闘を書くと長くなって大変ですね。滅茶苦茶書く時間が必要です。さて、もうお気づきのことかもしれませんがこの作品(1章)のキーポイントは3つです。まあ、あえていいません・・・。知らない方が楽しめるかもしれないので・・・。
次に説明と言うか何というか、返信ですね。久遠の絆ってなんですか?これは本当に知りません。・・・と言うことは無意識にパクったのか俺は!流石はパクリ芸人。いや、もうパクリ芸人ではなくパクリ将軍か?あっぱれです!
最後にオマケとして今回書いた人物の横島に対する感情レベルをコメント付きで公開します。
美神 令子 感情レベル8(既に恋愛成立レベルなのですが、美神なのでねぇ・・)
氷室 キヌ 感情レベル7(好きだと思うのだが、まだ現代の高校生の恋愛につい て行けてない点を考えるとこの辺ですね。)
犬塚 シロ 感情レベル6(6でも7にかなり近いレベルです。まぁまだ横島の顔を 舐めるだけならこの位でしょう。)
タマモ 感情レベル2(彼女は原作の織姫編を見てもわかるように今はまだ横 島に興味はなさそうです。まともに話せる程度か?)
他にリクエストがあれば書きます。(あくまでこれは作者から見た評価です。実際は知りません。)後、感情は時と共に変化します。勿論この作品でも・・・。
ではでは。
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