天より来たる魔2 〜転校生〜
・
・・
・・・
真紅ニソマル
「うわあああーーーーーーーーーーー!」
またあの奇妙な夢を見た。1度目と全く変わらない夢。これが何を意味しているのかがわからないが決して良いものではないだろう。
荒くなった息を整えた後、全身が汗で濡れているのに気がついた。
自分が何故このような夢を見るのか模索している時、アパートの扉がけたたましく鳴り響いた。
「先生ー!起きてくだされー!朝の散歩に行くでござるー!」
俺のことを先生と呼ぶのは一人しかいない。俺は考えるのを止め、着替え始めた。
最近人狼の娘、シロと早朝の散歩に行くのが日課になっていた。勿論俺が行きたいわけではなく、勝手に起こされて連れて行かれるのである。
以前このことをシロに抗議したことがある。すると・・・
「先生は拙者と散歩に行くのがそんなに嫌でござるか。」と涙を流しながら言われてしまった。
その涙を見て焦った俺は「そんなことはない」と言うと、すぐに笑顔に戻り、散歩が開始された。・・・泣き真似かい。
このように何故か俺はシロになつかれている。理由は良くわからないが、もののけに好かれる体質のせいか、人狼の里には女が少なく男と遊んでいたのだろうから、その名残だろう。まぁ、朝の散歩はそれほど辛くないので良いとしよう。(朝の散歩はな・・・)
朝の散歩のおかげで学校に遅刻しないようになった。GSの仕事は主に深夜からなので終わった後に家で寝てしまうと寝坊することが多かったのだ。
学校では遅刻や欠席をすると進級(卒業)に響いてくるのでありがたかった。勿論散歩などで欠けた睡眠時間は授業中やHRの時間にとってある。
しかし、今日に限っては夢で起きたせいもあって眠くは無かった。
学校のチャイムが鳴り、先生が入ってきた。心なしかいつもと少し様子が違う。
「今日は最初に転校生を紹介する・・・。横島!いきなり手を出して登校拒否にさせるんじゃないぞ!」
いきなり名指しされてしまった。どうやらこの学校の教師どもは自分の生徒を信用していないらしい。しかし、手を出すなということは転校生は女に違いない!(それも美人!!)そうならばお近づきになって、親密になってアンナことやコンナことも・・・。考えただけで期待に胸が膨らんできた。
話は変わるが、何故俺のクラスに転校生が多いのかというと、成績の良い生徒が授業の妨害をされて成績が落ちないように問題児の多いクラスを1つ作ったらしい。そのために人数が俺達のクラスだけが少なくなったようだ。
・・・とことん生徒を信用していない学校だ。
「では、入ってきたまえ。」
先生の声で扉が開く。そして教団の真中まで他校の制服を着た学生が入ってきた。
「初めまして、月野 沙夜(つきの さや)です。」
転校生の女性が喋るとクラスの男子が歓喜の声を出した。
それもそのはず、整った顔立ち・腰まで伸びた艶やかな黒髪・吸い込まれそうな瞳・大和撫子のような雰囲気。間違い無くこの学校の1・2を争う美女だろう。
しばらくするとチョークを構える教師・何かしら道具を持ってにらんでいた女子・しばらく見とれていた男子・半分吸血鬼のピートが変な顔をして俺を見た。
「・・・・・・飛びつかんのか?横島?」
クラス全員俺の反応に戸惑っているようだ。無理も無い!一番反応に戸惑っているのは他でもなく俺なのだ。普段なら絶対に飛びついて、教師と女子生徒に殴られていただろう。
クラスメートに攻撃されるのを恐れたわけではなく、彼女の姿を見た時に体が固まってしまったのだ。
この不安にも似た感情はなんだろう。
「えーと、とりあえず空いている席に座ってくれないか。」と状況のわからない転校生に教師が話す。
空いている席、それは窓側の一番後ろ・・・つまり俺の隣の席だった。
「初めまして、名前は何っていうの?」
転校生が着席した時に俺に聞いてきた。フレンドリーに微笑みながら聞いてくる。その刹那、クラス内が殺気だった。
「横島 忠夫っていいます。ヨロシク。」
「よろしく、横島君。私のことは沙夜でいいわよ。」
教室内が一瞬静まり返ったかと思うと突然騒ぎ出した。「何故だ横島!」とか「熱でもあるのー!」とか聞こえたよな気もするがそれどころではない。
本当にどうしてしまったのだろう。
・
・・
・・・
放課後、どうやら転校生はクラスの女子と仲良くなったようで打ち解けていた。
しかし、帰ろうとした俺に気がついて近づいてくるなりこう言った。
「ねぇ、ここに来てまだ間もないからこの辺りのこと良くわからないの。案内してくれないかな?」
放課後までにクラスの女子や男子から俺のことを聞かされたはずなのに避けるでもなく聞いてきた。
何故俺に頼むのだろう。この学校で最初に話した人だからか、クラスの生徒の話を信じていないからかもしれない。
「いや、今日はバイトがあって行かなきゃならないから無理なんだ。」
自然とそんな言葉が出てきた。まるで彼女を避けるかのように。
教室に残っていた生徒は目や口を大きく開けて驚いていた。
転校生は少しがっかりしたような表情を見せたが、すぐに笑顔を見せて、
「それじゃあ仕方ないわね。また明日。さよなら!」と言い、こっちを見ながら去って行った。
何故だかわからないが「さよなら」の一言を聞いた時
・
・・
・・・
一筋ノ涙ガ流レテ落チタ
続く
後書き(本音+説明+おまけ+気づいたこと)
本音言っていいですか?ダメだと言われても言います。すっごい文章で表現するのが難しいっす!文が全然長くならないっす!HPで文章書いている人は神ですか?どうやったらあんなに凄いのが書けるんですか?肉食ったら書けますか?・・・などど壊れたりもしますが、返信などが来ると本当に感動します。ちゃんと読んでくれているんだなんて思って半泣き状態です。飽きずに読んでくれている人のため(創作意欲が沸いている内に)頑張って書きます!
次に返信をくれた人に説明です。時給600円は深く考えた末なんですね。アシュタロス戦後に横島が学校でポテトを食べているシーンがあったのですが、それと未だに裕福ではない点を考えるとあの辺りが妥当ではないかと思います。そして「夢」のことなのですが、あれはこの物語の終わりのちょっと前に書く予定です。(一応この作品は1章です。書かないかもしれないけど・・・)
後、おまけに先のことをちょっと話すと、横島が○○○○を○○させます。今まで誰も書いたことのないやり方で!
最後に、今まで書いてきてやっと思ったんですけど・・・
この作品の系統って「ダーク」?ではでは。
BACK<
>NEXT