お口の恋人
第一話 白い恋人たち
「ん、んぐ。ん、ん、ん、ん」
チュプ、ジュブ、ジュブと唾液が肉棒を擦る音が部屋に響く。とある事務所の一室、そこに一人の男が椅子に縛り付けられていた。
「むぐー!」
「ん♪ ん〜 にゅむ ん ぷはぁ…… あむ、ん」
その男は下半身を露出した状態であり、曝け出されたペニスは力いっぱい膨張し、ビンとそそり起っている。それを美味しそうに口いっぱいに頬張る女性。男の股の間に入りこみ、微笑を浮かべながらペニスの味を堪能している。
「むぐ! むぐー!」
男は身体だけでなく口も封じられていた。男の顔はかなり青ざめており、それでも必至に何かを訴えている表情は真剣そのものであった。
「んむ? んぶ! ぐむ んぐ、んぐ♪」
ドクッドクッと男のペニスから精子が放出された。その勢いに最初、女性は咽かえりそうになる。なんどか鼻から逆流させてしまった経験から彼女はソレを上手く回避し、喉を打ちつける熱い精液の奔流を受けとめた。
「ごきゅ、ごきゅ、ん〜 んぐ」
ドクッと最後の精子が放出され、射精を続けたペニスがおさまった。口に残った精液を女性は口の中で丹念に堪能する。彼女は幸せそうな表情を浮べていたが、何かに気がついたのか少しだけ眉をひそめた。
「ん、ぷふぅ。ちょっと、もうダメなの横島クン? かなり霊気の量が下がってんだけど」
「……む〜」
男のペニスに残った精液をチュウッと吸出した後、女性、美神令子は残念そうに口元をハンカチで拭った。ソレにたいし、男、横島忠夫は力無く返答した。なに言ってるかわからないが。その事に令子は気がつき、口を塞いでいたギャグボールを解除してやった。
「ほら、これから除霊に行くッてのにそんな死んだ魚の目をしてないの」
「ろ、六回目はそっと出し……がく」
説明しよう。なんか色々あって横島忠夫の精液は高濃度の霊力増幅剤の効果があってしかもその能力は霊能力に敏感な異性がアッハンでウフフな状態になるのだ。その能力に気がついた令子が勢いで彼是と試した結果、彼女は横島の他の能力も発掘する事に成功していた。
「流石に連続六回はやばかったか。昨夜も絞ったばかりだしね〜」
「わかってんなら勘弁してくださいよ〜 へへ…… がく」
「若い男の子がなに情けない事言ってんの。ほら、霊力のチャージが続いてる間にチャチャッと仕事をかたずけましょ」
しろきはいがちになりてわろしってる横島の唇に、令子が自分の唇を重ねた。そのさい、自分の舌を差しこみ、唾液を混ぜ合わせる。
「うげー! 自分の味ぐぁあああああ!!」
「ほら、とっととズボン履け! さぁ、稼ぐわよぉ!」
横島の顔に多少赤みが戻る。粘膜接触による霊力の共有。ソレが横島のもう一つの能力であった。粘膜とは口とか乳首とか、ぶっちゃけアソコとか。粘膜を重ね合わせる事によって横島は女性から霊力を貰えるのだ。実はその効果は微量であり、その本来の効果は精神安定、幸福感付与である。もう、とって付けたような設定ですね。
「ちょっと待ってくださいよ! 鎖! 鎖とって! あと匂い消しくらい飲んでけ!」
「あらやだ」
「吸引!!」
『ぎゃひー』
吸魔符に悪霊を封じこめソレを浄炎で炙り除霊終了。
「楽勝ね。全然相手になんないわ。まだ力が有り余ってるしモノたんないかも」
「エネルギーの過剰摂取ッスよ。ホナかいさ〜ん」
ヨロヨロと自宅に帰ろうとする横島の首根っこを令子が捕らえた。ウゲっと奇声を発する横島を無視し、令子はスタスタと歩き出した。
「さ、次に行くわよ! 今日は後3件回るんだから」
「無茶だ! 無謀だ! もう荷物を運ぶ気力も無いッスよ」
やる気いっぱいの令子ともうダメポな横島。
「仕方ないわね〜 ほら、これでも飲んで」
「うぅ、何事も程々ってのをこの若さで学ぶとは」
令子に手渡された栄養剤を大量に口に入れ、それをゴリゴリ食べながらその身の幸福と不幸を嘆く。確かに令子から受ける愛撫は素晴らしい快感である。正直気持ちよすぎる。しかし、実は横島のフェロモン能力は以前から発動していたのだ。そう、小学生の頃に精通をすませてからずっと。
「んむ。よひょいまひゅん、ひっはふぃね」
何となく自分が東京に残り赤貧に喘ぐ羽目になった理由を思い出しながら遠い目をしていた横島。そんな彼のズボンのチャックを何時の間にか空け、ソコからポロッと取り出したブツをモヒョモヒョ咥える令子。馴れたものだ。
「って! なんでつい数分前までゴーストハウスだった洋館でエロ〜ンな事してんですか!」
「んむ……ぷはぁ、何よ、この私が大サービスしてやってんのに文句あんの!?」
横島の能力が解明してから数週間、もうすっかり二人はお盛んである。最初はこの能力が横島に原因があるか自分に原因があるか令子は悩んだのだ。つまり、自分は横島以外の男性の精でも同じような事になるのか? と言う事をだ。しかし令子はソレを試す事が出来なかった。ついうっかり雰囲気に呑まれ、大事にしていた純潔を横島にあげちゃたりしたりと、本来なら打ち首極門張り付けの後市中引き回しという猟奇的な順番の極刑を与えるのだ。が、やっちゃったものはしかたがない。別に今じゃ嫌じゃないし。ま、いいか。そういった感じでいるのだ。いまさら他の男と身体を重ねることなど出来ない。ようするに何故かぞっこんラブってなもんでさぁ。
「いや、美神さんも随分積極的になったもんだと思っただけッス」
勢い任せで令子を抱いた横島。彼は自慰を覚えた猿が如く令子を20cmオーバーの相棒(愛棒?)で突きまくった。気がついたら朝ですたってな勢いでした。横島の能力の効果で、言わば霊力の無限供給状態になっていたのだ。令子にはその快感は麻薬的なものだった。もう横島を足で挟んで離さなかったし。上乗りになって横島からどかなかった。一度痛みを乗り越えたらもうはっちゃけまくったって事さジョニー。
「そっかな? これでも我慢してんだけどね」
片足を上げ、するっとショーツを抜き取る。ソレは透明な粘状の糸を引いていたりするのがポイント。横島に軽く寄りかかる。ヘロヘロな彼はソレを支えきれず座りこんでしまう。その上、唾液出ぬらッと光るそそりたつペニスに愛液でぐっしょり濡れた陰部をあて、体重を乗せてズブズブとそれを受け入れていった。
「ん! んん〜 はぁ…… こんな太いの我ながらよく受け入れるわ」
「って! なんで合体成功なんですか!」
合体性交。ダメですね。彼女は自分の体に溢れた霊気を効率よく共有する為に横島のペニスを下の口で咥えこんだのだ。確かに横島の体に力強い霊気が溢れる。しかし。
「問題は体力じゃあ! 俺は霊力を生命力に変換なんて器用な真似できん!」
「え? そうだったの? 早く言ってよね〜 だから最近アンタ私の誘いを断るなんて愚挙に出てたのね。なによ! 心配して探偵雇ってアンタ探らせたの無駄じゃない。もう、バカなんだから……ん、ん、ん、んはぁ……ひゃぁ」
横島に色々話を聞いた結果、能力が横島に起因する事がわかった。つまり、横島はたの女性にもエロエロ〜ンな行為で霊力を供給できるのだ。別に霊能力者ではなくてもその素質がある女性に有効なのだ。
「なんスか! その探偵って! くっ、何度味わっても気持ちええ」
この自分すら陥落した横島。ほっといたら他の女性もその牙にかかるかもしれない。この辺には自分の同業者、女性GSもいるのだ。冗談じゃない。コイツには色々責任をとってもらうのだ。いや違う、こんな危険な男は自分が責任を持って管理しなくては行けないのだ。
「ああ!! そんな急に腰を動かさないで、うあ! はぁぁ」
ま、そんな精神武装で令子は現状を受け入れていたのだ。気持ち良いし、霊力増すし、なんか最近人生楽しいし、気持ち良いし、気持ち良いし。なんか自分に特殊な性癖が出来たような気がするがどうでもよい。苦いし、喉に絡むし、目に入ったら危険だし、髪にかかったら落ち難いけどなんか快感で横島の顔がゆがむのを見ると面白いし、最初ちっちゃいのが口の中で大きくなるのが面白いし、ビュクビュクと口の中で躍動するのも面白いし。気持ち良いし。
「そっちもそんな絞めんでください! うああ! なんか膣内がウニュウニュしてるしぃ!」
「やぁ…… 変な事言わないでよぉ、バカァ」
つまりは無意識の内に横島への独占欲とかが暴走。過剰なサービス(のつもり)がから回った結果、煩悩の塊のはずの横島がギブを宣言したのであった。で、朝の鎖でぐるぐる巻きコースに進み、原因がただの体力切れとわかり安心して嬉しさのあまり横島に跨り腰を振る令子だった まる
「今日も儲けたわぁ。10億よ10億〜♪ 前は辛かった仕事もらっく楽に解決できちゃうんだもん♪ さすが私ね」
「そりゃよござんした」
数億円レベルの仕事を何件もこなす令子の手腕は凄いといえよう。実際凄い。しかし、いくら令子が儲けても横島の時給は250円だ。
「なによ〜 もっと喜びなさいよ。そりゃあ、ちょっとこき使いすぎたかなぁとは思う可能性も無きにしもアラズとは感じちゃかな〜とは思考するけれどもさ。ね、もう遅いしウチに寄ってってご飯食べてきなさい。どうせ家に帰ってもろくなもんないんでしょ?」
「もっと時給が高けりゃ良いもん備蓄しとるわ! とは言えない小心者な俺」
「言ってるわい! ほら、行くわよ」
その時令子は、『そっか、時給上げたら食事に誘う口実が無くなるのか。よし、ずっと上げないぞぉ』って健気(?)な事を思ってたりする。まぁ、最近はずっと令子に食事の世話になってるし、出費の大半を占めていたエログッズの購入もストップしている。それどころかなんかずっと朝を令子とともに迎えてるし。つまり横島の生活レベルそのものは上がってたりする。
「まぁ、ええわ」
ちょっとしたきっかけで女性の自分への態度が急変する。横島の人生、ソレはよくある事であった。初めて体が射精を覚えた時が全ての始まりだろう。自分の脱いだ下着をもって挙動不審な態度をとる母親。自室にソレを持ち込んで自分の名を連呼しながらよがる妹。かなりやばいと思った。勇気を出して親父に相談した結果、それが横島家の男子に時々現れる得意体質の影響だと説明された。今なら令子の説明とあわせて色々理解できる。が、当時はただひたすら拙い事だとだけ理解していた。
「はぁ、なんだかな」
自分の腕枕ですやすやと眠る令子の寝顔。まさかそれが拝める日が来るとは夢にも思っていなかったのだが。あの日、一服盛られたあの日の朝、幸せそうに眠る妹を発見したあの日。なんか一歩越えちゃった証拠がシーツに発見されたあの日。母も妹も潜在的に霊能力を持っていたのだろう。で、ソレが俺の体質に反応したって事か。母はそれに理性で抵抗したが妹には無理だった。
「はは」
初めて令子と結ばれたあの日。妙に手際のよい横島に令子が怒りをぶつけた。まぁ、見知らぬ女性への嫉妬である。さて、変な所で真面目だった横島は家を出る事を決意。理解者である父の転勤という好機が訪れ、彼は一人暮しの身となった。勿論母と妹は大反対。母は単純に息子と離れたくない+色々。妹はもう一人の女として。それがまずいんじゃ。
「まぁ、ええか」
色々あって生まれ故郷の東京で横島は一人暮らしをはじめた。が、何故か犯罪レベルの薄給で働く羽目になる。しかし、気がついたら高級ベッドのうえで雇い主の美女に腕枕しながら頭を撫でている。人生って不思議!?
「人骨温泉ホテル?」
「ええ。ギャラは安いけど温泉でのんびり出来るわよ。せっかくだからしんこ……旅行気分でのんびりしようかなって」
次の日。二人で事務所に出所した令子と横島。令子がさり気なく選んだ仕事の内容がそれだった。
「安いっつーても俺の金銭感覚じゃついてけないもんなんでしょうけど。でもいいんスか? そんないい加減な選びかたして」
「いい加減じゃないわよ! ちゃんと色々考えてんだから! たまには違うシチュエーションとか一緒に旅行も良いとか! もう、とにかくここに決めた! ほら準備しなさい!」
余計な台詞をいった事を自覚し、顔を朱色に染めながら令子が横島の尻を蹴飛ばした。
「まぁ、ええか」
昨夜と同じ台詞を呟きながら、横島は大量の荷物をリュックサックに詰め始めた。なんだかんだで令子と一緒にいるのが彼も楽しいのである。
感染/予言に興味がある。明日観に行こう(挨拶)
時間差攻撃でどうもアマドです。やぁ、実はこの話、自サイト連載にしようと思って書き溜めてたものでして。でもそうなるとこの話が自サイトの看板って事になるのに気が付き、奥深くに封印されていたのでした。でもなんか勿体無いので世に送るという愚挙に出た! なに考えてんだアマド!? つづく