▽レス始▼レス末
「業を背負いし男 第七話(GS+ガールズザウルス)」callman (2004.10.03 14:01)
 結局、蛍の雇用については芦コーポレーションの全ての霊的不良物件を一手に美神事務所に任せると言う交換条件で、折り合いがついた。否、つけさせられたと言うのが適切だろう。何せ、優太郎の
「私が一言、言ってあげても良いんだよ。」
の言葉。芦コーポレーションの総帥の一言。それは、政界の上層部でも反論出来ない者がいるとかいないとか。そんな一言が『誰に』『何と』言うつもりだろうか。流石の美神も頷くしかなかった。その悔しさを、横島を連れ回しての飲み屋のハシゴと言う行為で解消した美神。横島にとっては、いい迷惑であろう。そんなこんなで、GS資格取得試験の申込期間に入る。



「今年の試験には、横島君とおキヌちゃんに受けてもらうから。」
 美神の言葉に横島とおキヌが返事をする。そばにいる蛍(仕事中に横島に要らぬ接触をした場合には即解雇、と言う文言の明記された契約書に署名捺印させた。よって『仕事中』は蛍の電波攻撃を受ける事はない)も、入社してすぐに試験を受けさせろと文句を言うほどGSを舐めてはいない。そばで大人しく話を聞いている。タマモに至っては、我関せずといった態度。特に問題がある訳ではないので、誰も文句は言わない。
「それで、試験はどう言った物なんですか?」
横島の質問に美神は受験説明書を見せながら答えた。
「一次と二次に分かれていて、一次は霊波を測定するの。そこで規定の霊波に達しない人は不合格。ここは二人とも大丈夫だと思うわ。問題は次。二次は受験者同士の一対一の格闘戦によるトーナメントなの。そのトーナメントで二回戦までの勝者がGS試験の合格者。それ以降は、合格後のGSランクの選定のためにするの。トップ合格、つまり優勝者は大体今までの感じから、Cランクぐらいかしら。」
ちなみにランクとその特権としては


Sランク(Aランク以下の特権と、国家クラスの事件を拒否できる。現在、世界に5人といない。事実上の名誉職のような形で扱われている。)
Aランク(Bクラス以下の特権と、GS協会からの事件を拒否できる。いわゆる、一流GS。)
Bランク(Cクラス以下の特権と、単独での除霊作業が可能。このクラスが自分の名前で事務所を開く事が出来る。)
Cランク(二人以上の補佐をつける事で、自分の責任において除霊作業を行うことが出来る。しかし、事務所を開く事は不可。)
Dランク(いわゆる、新米GS。責任能力なし。Cランク以上のGSを最低一人入れたチームの除霊作業に参加可能。しかし、現在では除霊の手伝いに関しては無免許者も行っているのをGS協会も黙認している。よって免許持ってますよ、程度。)

※この下に一応、Eランクが存在する。このランクは罪を犯した免許取得者に与えられるランク。このランクを受けたものは如何なる除霊作業も行うことが出来ない上、表裏問わずにその業界では信用をなくした事を意味する、最悪のランク。


その説明に頷きながらも横島は
「いや、この業界入って間もない俺にそこまで説明する必要は……。」
と苦笑するが、美神とおキヌが噛み付く。
「そんな事ないわよ。横島君には徹底的に基本的なトレーニングを積んでもらったんだから、あなたの『言霊』があれば間違いなく主席を狙えるわ。」
「そうですよ。私は格闘戦ではなくて特別試験になりますけど、それが終わったら応援に行きますからがんばって下さい!」
おキヌのようなヒーリング等の特殊能力者については、格闘戦とは別の試験が用意されている。何でも昔、かなり実力を持っていながら格闘戦であるために試験合格できなかった、伝説の男がいるとか。その名前が、ライオン…?ピューマ…?トラ…?そんな感じの名前の男とか……。
詰め寄る二人に内心滅茶苦茶に焦りながらも顔には出さずに、苦笑程度で答えた。
「わ、解りましたよ。俺も、頑張りますよ。」(だからそれ以上近づかないで……。)
そんなやり取りを横で見る蛍。
「あ〜!私が近づくと文句言うくせに、美神さんたちはそんなに近づいてる〜!!」
その言葉に、ハッと気がついた二人。慌てて横島のそばから離れた。その顔がほのかに桜色に染められていたのはお約束。
 その時、その場に小竜姫と老師が現れた。
「私のいない所で、一体横島さんに何をされているんですか。」
「まるで、ヨコシマの彼女気取りね。厚かましいわよ。」
小竜姫の一言にタマモが突っ込む。睨みあう小竜姫とタマモの視線の交わった部分に心なしか、放電現象が見えるようだ。今にも飛び掛りそうな二人に割って入ったのが、老師だった。
「あ〜、話を進めてもよいか?」
その言葉に、小竜姫が冷静さを取り戻して老師に一礼する。その時、
「後で勝負です。」
「掛かって来なさいよ。」
と小竜姫とタマモの声が横島には聞えたような気がしたが、聞かなかったことにした。
「……実は、今回の試験になにやら不穏な動きがあると言う情報が入ったのじゃ。まぁ、不確かな情報なので何とも言えんのじゃが、何かあったときでは遅いので、お主らにも一緒に会場に行っていざと言う時の戦力となって欲しいのじゃ。」
その言葉に驚きながらも、美神が返した。
「不穏な動きって?」
「じゃから解らぬ、何もな。よってワシにも動けと上から指示があったのじゃ。既に隠居したポンコツに働かせるぐらいじゃ。上も大変なのじゃろうよ。」
老師の言葉に再び美神が返す。
「それなら、受験者の方にも何人かその状況を解っている人間が居た方がいいんじゃない?」
「その辺は、嬢ちゃんに任せるワイ。ああ、それと、一人ワシの知り合いを受験者に送り込ませるつもりじゃから、無理する事はないぞ。」
そう言うと、扉のほうに向かって声をかける。「失礼します。」と入ってきたのは黒の上下に身を包んだ横島より少し上ぐらいの印象を受ける男。
「初めまして、孫といいます。」
頭を下げ、自己紹介をする孫。見た感じ、かなりの力を内包している印象を受ける。
「この孫を受験者に送り込む。ワシの力の全てを持っていると言っても過言ではない程の男じゃ。特に問題は無いぞ。」
老師の言葉であるので、信用は置けるであろうと判断した美神は他のGSの知り合いにこの事を告げるため、小竜姫共々走りまわる事となる。



 そして試験当日。
「何で、アンタの言いなりにならなきゃ行けないワケ!」
「一々、煩いわね。黙って言う事聞いてりゃいいの!」
「二人とも〜、喧嘩しちゃ、いや〜。」
「ほっときなよ。あれは二人してじゃれてるだけさ。」
「「誰がじゃれてるって!!」」
上から小笠原エミ、美神令子、六道冥子、蛇神竜子、である。結局美神が選んだのはこの三人と、唐巣神父の全部で四人である。もちろん、それぞれに所属している受験者も話は聞いている。
「おい、横島。あの話って本当か?」
「ああ、マジだ。ま、何も起こらないって事も考えられるんだけどな。」
「そうじゃノー。平和に無事に終わって欲しいですケン。」
「そうですね。何事も無ければ。」
上から伊達雪之丞(蛇神事務所所属)、横島忠夫(美神事務所所属)、タイガー寅吉(小笠原事務所所属)、ピート(唐巣事務所所属)、となっている。
そんな中、遠くから声が響く。
「ヨコシマ君!!どこ〜!!」
「横島さ〜ん、どこですか〜!!」
「ヨコシマ〜!!」
女性の声が響いた。その瞬間横島は素早く目の前の三人の影に隠れた。
「なんだ?お前、まだ治ってなかったのかよ。」
雪之丞の呟きに横島が反論する。
「そうそう、治るもんじゃねぇんだよ!!」
口調は厳しいが声量は小さい。見つかりたくは無いのだろう。何せ、今日は事務所は休み。つまり『仕事中』ではないのだ。
「おのれ等は彼女なんぞ作りおってからに!裏切り者が!!」
横島の言葉にタイガーは苦笑交じりに答える。
「そんな事言われても困るノー。横島さんが女性を怖がるのとワシ等は関係ないですケン。」
この場にいる三人は高校時代の親友。横島の事情を知る人界唯一の男達だ。ちなみに雪之丞とタイガーは彼女持ち。
「そう言えば、先生に聞いたんですが横島さんは美神事務所に所属しているとか。」
ピートの言葉に雪之丞が爆笑する。
「お前、女怖いくせにあの女だらけの事務所に入ったのかよ!」
「やかましい!!好きで入ったんじゃねぇんだよ!!」
そう言ってピートを睨みながら横島は続ける。
「お前ん所の神父に半ば、騙されたようなもんだぞ!!」
その言葉にピートは笑いながら、
「ちょうどその時僕は、実家のほうに帰っていましたから。その場にいれば助ける事も出来たかもしれませんけど。」
と、答える。
「お前だけだよ、俺の気持ちを汲んでくれる奴は……。」
「女性関係については僕も、色々酷い目にあっていますし……」
その時、横島の背後で声がした。
「もしもし僕です、孫です。横島さんは入り口南口に居ますよ。」
その声に少し離れた所で声がする。
「解ったわ。ありがとう。」
携帯電話の話し声が聞える距離。つまりはかなり近い事を意味する。
「お前、なんて事言ってんだ!!」
横島は孫に噛み付く。しかし、孫は
「そんな事言われても……探してくれと頼まれたので、それに答えただけですよ。」
横島は孫に自分の事情を話してはいない。真に信用のおける相手にしか話してはいないのだ。
「ぐ……」
言いよどむ横島の背後から人間ロケットが飛んでくる。
「ヨコシマく〜ん♪」
人間ロケットの名前は蛍。
「―――――!!!!」
叫び声をあげたいのをギリギリで堪える横島。続いてタマモも横島の腕にしがみつく。
「ヨコシマ、頑張ってね。」
「…………」
既に声すらまともに出てこない。そんな横島を見て今度はおキヌがやってくる。
「横島さん?体の具合でも悪いんですか?」
そう言って、横島の額に自分の額をあわせている。
「おい、タイガー。あの姿見てさ、事情を知っているとはいえ非常に怒りを感じる俺は、間違ってるか?」
「奇遇ですジャ、雪之丞サン。ワッシも沸々と怒りを感じ取りますケン。」
そんな二人と四人の塊をピート一人が
「そ、そろそろ受け付けも始まりますし、行きましょう。」
と場を制しようとしている。しかし、その努力もあまり意味を成していない様子だった。



 そんなやり取りを少し離れたところから見る男、孫である。
(フフフ、やはり面白い。こうでなくては……。)




続く



後書き
ハイ!そう言うことで、GS試験編の始まりです。大まかなストーリーは出来上がっていますので後は肉付けだけ。しかし、その肉付けも中々捗らねぇ……頑張ります。
 ご意見ご感想、お待ちしております。



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△記事頭
  1. 孫って明らかに孫悟空から来てますよね。ってかあっちが本体ですか?いや〜、いろいろと動いて更に横島を弄りそうですね。
    メドーサの転生出てるってことは不穏な動きの方ではじめてのオリキャラ女性参戦でしょうか?個人的にGS試験と言うことで九能市もまた横島の女難の一人になって欲しい気がしますが。
    匿名希望(2004.10.03 14:40)】
  2. 横島が力がる状態で試験ってのはいつ見ても楽しみです。はてさて、どうなることやら。
    ところで横島ってもてるのが能力のひとつになってるから、当然メドさんもほれてるんでしょうね〜。うわあ、見たい。
    九尾(2004.10.03 16:57)】
  3.  歴史は繰り返すと・・・・・
     でもタイガー・・・・そんなに落ちたんだ・・・・(−−;;;
    D,(2004.10.03 17:35)】
  4. タイガーは何度も落ちたのか……、哀れだ。
    まあ能力がばれればどうしようもないからなあ。
    そして何気にメドーサの転生らしき女性がいますね。
    これでまた横島は大変な目に。
    ろろた(2004.10.03 18:56)】
  5. ただただ、タイガーが哀れでならない………

    ああ、救いの神はいないのかしらん?
    高沢誠一(2004.10.04 00:04)】
  6. …伝説にまでなっているのい…でも本名伝わってないんですね…
    哀れすぎるよ…タイガー…
    偽バルタン(2004.10.04 01:17)】
  7. タ、タイガー・・(遠い目)それにしても雪之丞、蛇神事務所にいるんだ・・。じゃあ陰念達もいるんですかね?
    しかし孫、タチ悪そうですなぁ。
    柳野雫(2004.10.04 04:29)】
  8. お返事で〜す

    匿名希望様
    九能市さんの出場は決定事項です。お楽しみに。

    九尾様
    第八話をご賞味ください。これでよろしければ……

    D,様
    伝説の男ですから。

    ろろた様
    GSザウルスの時も言いましたが、横島がウッハウハの話が多いので私の所ぐらい、酷い目にあってもらわんと……。

    高沢誠一様
    いません!……まぁ、現世のタイガーには多少良い目を、と考えております。

    偽バルタン様
    やはり影が薄いのは宿命なのでしょう。

    柳野雫様
    孫は滅茶苦茶、タチが悪いです!その事が解るのはもう少し先ですが、とにかく、滅茶苦茶悪いです。
    callman(2004.10.04 16:02)】

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