「そして、連鎖のラインは整った!これで決まりだ!
バオウ・ザケルガ!!!!」
迫る強大な雷光の竜に正直ビビるダロス。
(ザグルゼム4発分にコレか。これはよけれんし多分持たんな。ならば)
両手を揃えて前へ突き出す。ガッシュ達へ向けて。
「食らえ、我が最強呪文を!
ギガノ・ギガラド「『アイアン・グラビレイ』」
突き出した両腕が地面にメリ込む。
「これが」「私たちの」「「最後の力!」」
「ブラゴォ!」
「くううううううう」「ああああああああああああ」
「負けない!負けられない!」絶叫するダロス。
「魔界の王として他者を支配し、踏みつけ、偽ることがどれほど苦しいか。
あのような反吐を出さずにおれない汚らわしい、しかし誰かがやらねばならぬ事を
他の誰かに押し付けてたまるものか!
俺は・・・わたしは・・・私はああああああああああ!!!!」
その時、雷竜の輝きがダロスを直撃する!
地面に座り込み、岩に背中を預けるダロス。
ガッシュと清麿は、彼に向かって話し掛けた。
「もういいのだ。王となるのが苦しいなら、それを他者に任せられぬというなら私たちが手伝おう。
いうではないか。『重い荷物も二人で持てば重さは半分になる』と。
ましてわたしだけではない。ウォンレイやウマゴン、ティオも居るしパム−ン達だって手を貸してくれるに違いない。
おヌシはひとりではないのだ」
「ああ、そうだ。俺は孤独という苦しみからガッシュに救ってもらった。
だから・・・アンタを救わせて欲しい。アンタの背負う荷を、半分持たせてくれ」
「・・・その半分を押し付けたくなかったから・・・このようなシステムを作ったのだがな。
それに、どのみちもう終りだ。見たまえ」
かろうじて、といった具合に持ち上げた左腕。しかしその肘から先が崩れ落ち、光の粒子へと変わる。
「これは・・・」
「いかに魔物とはいえ、ある特殊な例を除いて四千年も生きれはしない。
あの戦いのとき、半ば永遠に王となり続ける為わたしは・・・体を改造した」
「思い出しますな、王よ」
唐突に現れた魔物にダロスを除く全員が驚く。
「こ、校長殿ではないか」
「ひさしいな、長老。いや校長先生か」
「校長殿は、ダロスの事を知っておるのか」
「知っているも何も、四千年前この戦いのシステムを構築したのはわしじゃ」
「「「「!!!!」」」」
「そして、『本を焼かせる』事で奪った魔力で王は・・・コモンはパワ−アップすると同時に自分の体を構成する」
「コモン?」
「王の本名じゃ。自ら外道に落ちるが故両親と、友人達に愛された自分と、名を捨て去った。
全ては半ば不老不死となり、永遠に王として魔界を守るため」
「そこまで・・・そこまでして魔界を守りたかったのか。そこまでして魔界を愛していたのか」
「ああ。他者から魔力を奪わなくなるというのはわたしが自分を保てなくなる、すなわち死ぬと同義なんだ。
そしてもう体を維持できなくなった今、生きているなら魔力は持ち主の元へと戻る。
・・・さすがにそろそろ疲れたよ。ひどく眠いんだパトラ「この後に及んでギャグやってんじゃない」・・・・・・残念だ。
それはともかく、あとは任せよう、長老よ。
新たな玉座を、次の王に。次の王をサポ−トしてあげて欲しい」
「御意」ダロスの体がどんどん消えていく。
そして、光を浴びてその場に居る者達は自分の傷と魔力が癒されるのを感じていた。
「だが・・・完全に消える前にせねばならない事がある」
己の体から離れていく光の、いくつかをまだ残っている右手で掴む。
「これは・・・ツァオロン、ベルギム、デモルトの魔力。
力に溺れた阿呆どもの力。これは持ち主に返すわけにはいかない。
魔界の天地へと還すとしよう。
ああ・・・見えるよ魔界が。
あの馬鹿らしい戦で荒れ果てる前の美しい故郷が。
ああ・・・久しぶりだねカ=クロス、デュ−クス=ケイドも元気そうだ・・・」
「?」「かつて王がコモンであった頃、無類の旅好きだった。その時の護衛兼旅仲間達の名じゃ」
「ウ−カリ・・・アロ−=セブンも・・・会いたかったよ・・・」
(会いたかったなんて、何いってるんです?)
(そうそう、俺達ゃずうっとコモンのそばに居ましたよ)
「そうか・・・ずっとそばに・・・居てくれたのか・・・」
(貴方がずっと自分を憎み、呪ってばかりいたから私達の声が聞こえなかったんですよ)
「ひさしぶりに・・・旅に出ようか・・・」ダロスの・・・いやコモンの体がどんどん消えていく。
(何か美味いもん食いたいっすねぇ)(ウ−カリはそればっかだな)
「それじゃあ・・・まずはあの旅籠に泊まろうか・・・そして・・・久しぶりに・・・
完全に姿を消したダロスに、その場の全員が敬意を表す。
多少過ちはしたものの、この上なく魔界とその地の民を深く愛した王に。
そして・・・
バッ
唐突に振り向いた清麿は、指をシェリ−へと突きつける。手に持つメイスを自分に突きつけるシェリ−に。
「清麿君?」「シェリ−嬢、今からやるのかね?」
「しかたないだろ」
「そうね。体力も魔力も完全に回復してるし、お互い怪しげな仕掛けも無いわ。
何より、これほどテンション上がってるんだもの。今を逃す手は無いわ」
「うぬ、その通りなのだ」「当然だな」
バッと離れる両者。ナゾナゾ博士らは慌てて安全地帯まで逃げ出す。
「いくぜ!『ザケル』!」「いくわよ!『ギガノ・レイス』!」
終り。
とりあえず終わりました。
これにて本編終了です。
あとエピロ−グを多分二回ほど。そして後書きで完全に終わります。
もうちこっとだけお付き合いください。
ところで、劇場版を見ていないので校長の描写がおかしいかもしれませんが
その辺りご容赦ください。