「君・・・なのか? ロップス・・・君が清麿達を・・・助けてくれたのかい?」
そんなアポロの目にはもうダロスなど映っておらず、ただ懐かしい、小さな友の姿が見えていました。
「かうかう−」
「があああああああ!」
全身から魔力を放出し、「力の糸」を引きちぎるダロス。
「おやおや」挑発的な笑顔をダロスに向けるアポロ。
いま少し、今しばらくあいつの注意を自分にひきつけねばならない。
「これは効いた。正直かなり効いたよ」額を押さえ、頭を振るダロス。
「自分の魔力で作り出した糸で締め付けられ、自分の魔力を浴びせ掛けられ、自分の魔力でそれらを相殺して
自分の魔力でその糸を引きちぎる。かなりこたえた。
だから人間よ、キミに構っている暇はない。いま私がやらねばならない事は」
清麿の腕に突き立つソ−ドブレイカ−を引き抜こうとする恵に目を向ける。
「彼らを倒しておく事だ」
「何故だ!」絶叫するアポロ。
「清麿達は戦いなど望んでいない!平穏に暮したいだけの彼らと何故戦う!
何故王になど成りたくない者達までこんな目にあわせるんだ!」
「全ては魔界の平和の為」重々しく告げるダロス。
「かつて、王の長男であった私に王足りえる力が無かった為に弟、そして叔父を王たらしめんとする者達と
私を支持してくれる者達との間で壮絶な戦いがあった。
そんな無意味ともいえる戦いで、ただ穏やかに暮していた市民もまた数多く死んでいったのだ。
その戦いの中私は悟った。王たる者は強くなければならないと。
力無き王など罪人でしかなく、王とならねばならぬ私は他者を圧倒しうる力を持たねばならないのだと」
「それで、自分の魔力を高めて、王となりつづける為こんな戦いを仕組んだのか」
「左様。私が王となって苦しみもがく事で魔界の民が平和に、平穏に暮せるのなら私は地獄を這いずり回ろうと決めた。
だから」右手が収束したエネルギ−で発光する。
「私は彼らを打ち倒す」その瞬間!
「『ディオガ・グラビトン!』」「ぐあっ?」
強大な重力球がダロスを押し潰そうとする。
「これは・・・」振り向いたアポロが見たのは、ブラゴとシェリ−の黒本コンビ。
ブラゴは術の放出を続けたまま清麿に近づき、ソ−ドブレイカ−を引き抜く。
「フン、骨と骨の隙間に、筋肉の筋に沿って突き立てたか。器用だな」
「あなた達はそこで寝ていなさい」
重力球の中、ゆっくりと立ち上がるダロスに向かうブラゴ達。
途中、ガッシュを封じ込めた氷柱を裏拳で砕いていく。
えぐえぐえぐと泣きながら清麿の手当てをする恵。
鞄に入っている包帯を腕に巻くが「駄目だ。到底包帯が足りない」
腹部の傷は大きく、到底手持ちの包帯では血止めし切れない。
最後の「月の石」もティオと共に治療に使っているのだがとても間に合わなさそうだ。
しかし、何かを決意した恵は脇に落ちていた小刀で、スカ−トを引き裂く。
「め、恵さん何を」赤くなって慌てるアポロを尻目に、膝上十センチほどの超ミニスカにしてしまうと、その生地を清麿の腹部に巻きつける。
「しっかりして清麿君。もうあいつに負けてもいいから、お願いだから・・・」
続きます
今回はスト−リ−の進展も何も無かったです。
少々清麿を痛めつけ過ぎたので、治療時間を稼ぐためブラゴに復活してもらいました。
まあインタ−バルという事で、次回からはまた清麿とガッシュに頑張ってもらいます。
ブラゴは・というかバトルは書くのが苦手なのでそれしか取り柄が無く、また正面からぶつかるしかしない
ブラゴは必然的に出番減ってしまうんです。
ごめんねブラゴ。