(合図したら、思いっきり俺を岩壁目掛けて蹴り飛ばしてください)
(そしたらどうなるの?何をするつもりなの?)
(説明してる暇はありません。お願いです)
(・・・わかったわ)
「今だ!」
その声を合図に、清麿の胸元に右足を当て、押し出すように蹴り飛ばす恵。
「ぐうっ」思わず呻き声をあげる清麿に、「スキ有り」とばかりに切りかかる恵。
「これでどうだぁ!」
一声叫んだ清麿は、岩壁に押し当てたままの右腕目掛けて左腕のソ−ドブレイカ−を突き立てる。
「!」「清麿君?!」
恵は勿論ダロスも驚いた隙を突いてソ−ドブレイカ−から左手を振り解き、振り上げられた恵の剣の柄頭を掴む清麿。
「・・・何のつもりだ?」勝ち誇った笑顔の清麿に問うダロス。
「こうなりゃこの手を離さない限り恵さんは俺に切りかかることは出来まい。
このまま力押しを仕掛けてくれば俺の体力とお前の魔力、どちらが先に尽きるかの力比べってことになる。
お前が術を解除して攻撃してくれば俺は彼女をかばうだけが、それはお前が俺に負けを認めたのと同じだぜ。
さあどうする?」 ぎりぎりぎり かうかう−
圧倒的不利でありながら、まるで自分が優位にあるかのごとき口調の清麿。
「やめて清麿君。力比べになったら本当にあなたの体力が」
「その際は、恵さんの安全は確保できるってことですよ」 ぎりぎりぎり
「よかろう。力比べをしたいようだからな。ご希望に沿ってやる」
ダロスの手首から伸びる「リグロシア」の糸が太くなり、二人の体に流れ込む力も増加する。
「くうううううう」「なかなか頑張るな、ではこれでどうだ? ほれほれ、あ・ほ−れほれ」
「お願いだからやめてよぉ・・・」 ぎりぎりぎり
「そろそろ飽きた。ンでちみっと違う展開を進めよう」
その言葉とともに恵の靴が大きく、ゴツく変わっていく。いわゆる「安全靴」に近いものになっていく。
「せ−の」とばかりに後ろへ振られた恵の右足が、清麿の腹部に突き刺さる。いわゆるトゥキックというやつだ。 ガスッ
「ぐはっ」「清麿君!」
「ほう・・・まだ頑張るかね」ガスッ ガスッ ガスッ
二発三発と突き刺さる鋭い蹴り。胃液を吐きながら、しかし清麿は決して左手を離そうとはしなかった。
「やめて・・・やめて・・・やめて・・・」
滝のように涙を流しながら叫ぶ恵。しかしそんな彼女の足は主の心を裏切って鋭い蹴りを放ち続ける。
「いやいや頑張るねぇ。では次いってみよう」 かうかう−
すると、恵の靴が鉄と化し、刃の如く鋭くなっていく。
「まさか・・・」「てめぇ・・・」「そ−れぃ」
一際大きく後方に振られた右足が横腹に突き刺さる。
「ぐあああああ!」「いやあああああ!」
絶叫する二人。吹き出す血潮。しかしその時「止めろ!」
ダロスに後方からしがみつく人影が。
「何だ貴様は!」「アポロ!」「アポロさん!」
「それは・・・その術はロップスの術だ!ロップスの力で人を傷付けるなんて僕が許さない!」 かうかう−
「離せ・・・離せぇ!」振りほどかれ、地面に叩き付けられるアポロ。しかしその瞬間
「何だ!?」
「力の糸」が二人から外れると、急激に太く、大きくなっていく。
「こ・・・これは・・・魔力が吸い取られる・・・何が・・・」
そして人の手首ほどの太さになった糸は、ダロスの体に巻きつき、締め上げて魔力を放出し始めた。
「ぐあああああああああああ!?」混乱し、絶叫するダロス。
「何が・・・起こったんだ・・・」呆然と呟くアポロの耳に懐かしい声が聞こえる。「かうかう−」
「君・・・なのか? ロップス・・・君が清麿達を・・・助けてくれたのかい?」
そんなアポロの目にはもうダロスなど映っておらず、ただ懐かしい、小さな友の姿が見えていました。
「かうかう−」
続きます。
ちいとばっか中途半端かな?
しかし、これで不利は脱したかもしれませんが有利には全くなっていません。
さて、ここから清麿君達ってばどう逆転するのかな?
いやホントにどう逆転させよう・・・
>九尾さま
読まれてましたか・・・
ダロスの不死身性の秘密も読まれてたようですし、九尾さまとは波長が合うのかもしれませんね。
上ではあんな事言ってますが、最後までの流れはもう考えてあります。
時々アドリブなんか入れて、そのせいで困った事になるのですがそれもまた楽しんで書いています。
きっちり最後まで書き切りますので、ご迷惑でなければお付き合いください。
>SSSさま
>原作の雰囲気がよく出ていて読みやすい
そう言って頂けて感謝感激雨あられです。
可能な限り楽しんで頂けるよう頑張りますので読んでってください。