「まあね。さて赤い本の持ち主よ。少々遊びに付き合ってくれ。
俺は・・・邪悪だぜ」
「それじゃあいくぞぉ 『リグロシア』」
両の手首から細い糸が伸び、片方が清麿に近づいてくる。
「何だ?くそっ」必死で避け、逃げるが到底逃げられるものではない。
鋭く、素早くせまった糸は清麿の後ろの首筋、いわゆる「ぼんのくぼ」に突き立つ。
わからない人は「延髄」と思って欲しい。
「ぐぐぐぐぐぅ・・・」その瞬間全身が動かなくなる。辛うじて目だけが動くので
横目で見ると、同じように動けない恵の姿があった。
「ほれ、こっちゃこい」その声と共に抱き締めたティオを放り出し、妙にギクシャクした動きで
清麿の傍に来る恵。表情はひどくつらそうだ。
「な・・・何をするつもりなの・・・」
「なぁに、ちいとばっか『お楽しみ』を見せてもらおうと思ってな。
えっちぃな事考えんでもなかったが、もっと面白いネタ考えた。ほれ」
二人の足元に三本の剣が突き刺さる。
恵がいかにも『操られてる』動きでブロ−ドソ−ドを、そして清麿は自分の意志によらず
自分の腕がショ−トソ−ドとソ−ドブレイカ−を拾い上げるのを感じていた。
「お前ら、戦え」「なにぃ!」「何てことを!」 かうかう−
「ま・当然嫌だろうが、お前らの体は完全に俺が乗っ取ってるんだ。
全力を振り絞ればちょびっと剣筋ズラすくらいは出来るようにしてある。
さっさと始めろ」
その言葉と共に剣を振り上げ、清麿の左肩めがけて振り下ろす恵。
二本の小剣でそれを受け止めると、懐に飛び込んで左手のソ−ドブレイカ−を恵の腹部に突きたてようとする清麿。
後方に飛んで避けた恵は、今度は横殴りに剣を振り回す。
「はっはっはっはっはっは、さあ戦え。心配はいらん。即死でなけりゃ直ぐ治してやるからよ」
(やめろ!これでは関わりの薄い人間を嬲り物にしているだけではないか)
「何をいまさら。関わりの濃い魔物なら嬲り者にした挙句魔力を奪い、記憶を消してもかまわんとでも?
それにお前が気持ちよく、『慈悲深い寛容な王様』でいられるなぁこのオレが穢れ仕事やってやってるからだろうが。
たまにゃあ鬱憤晴らしの一つもさせな」
(・・・・・・)
「ダンマリかい。まあいいさね。穢れ仕事も嫌いじゃねぇし魔界の平和と平穏の為にって目的も共通なんだ。
お互い心を合開いて協力し合おうぜ。
後悔はナンボでもやっといてくれ。 後で、独りでナ」
独り言らしきものを終えたダロスが見ると、女性とはいえ武術で鍛えたらしい恵の方がいささか押し気味だ。
ガキィン!
両者が鍔迫り合いで火花を散らす。 かうかう−
(恵さん)
(清麿君?)
(シッ静かに。考えがあります)鍔迫り合いな状況で、密かに恵に囁きかける清麿。
(考え?)
(ええ。少しづつですが、岩壁に近づいて行ってます)
見るとあと2メ−トル程清麿が下がれば岩壁、という状況だ。
(合図したら、思いっきり俺を岩壁目掛けて蹴り飛ばしてください)
(そしたらどうなるの?何をするつもりなの?)
(説明してる暇はありません。お願いです)
(・・・わかったわ)
「今だ!」
続きます。
もうちょっと外道な事させるつもりだったのですが・・・
今一インパクトが足りません。
おまけにダロス君てばどっかのゲ−ム漫画の敵役みたいなことしてるし・・・
もう少し盛り上げるテはないかしらん。
あと、感想については諦めました。
もう九尾さん!ご迷惑でなければアナタだけのためにこれ書きます!
そこんとこヨロシクゥ!