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「霧の城 第二話(GS+ICO)」LUNA (2004.09.12 17:56)


 目が覚めた横島は男の腕の中に居た。
「って!!?何処だココー!!!!!!!!!
男は嫌じゃー!!
「静かにせい」
「あ、横島さん。目が覚めましたか?」
「はう?おキヌちゃん?」
 男から顔を背けると、そこにはおキヌが笑顔を浮かべて浮いていた。
 気が動転していた横島は慌てて辺りを見回した。
 そこは少し薄暗く、沢山のカプセルが設置された部屋だった。
 カプセルには白い文様が描かれていた。
 少し離れた場所には祭壇のような物もある。
「この中に入ってるんだぞ」
「え?」
 緑色をしたカプセルが口を開け、横島が入ってくるのを待っていた。
「ちょっ!!まだ心の準備が!!」
「あのベッピンさんは『こいつに心の準備をさせたら日が暮れるから無視して良い』って言ってたぞ」
 強引にカプセルの中に入れられ、横島は思いっきり叫んだ。


「あの女ー!あの乳がシリコンってデマ流してやるー!!!」



 その頃、のんびり地酒を飲みながら温泉に入っていた美神は?
「…………今、何か無性に横島を殴りたくなったわねぇ」
 一人、むかついていた。


 -霧の城 第二話 鳥籠-




 カプセルの中で横島は体育座りをしていた。
 何故か妙な恐怖感を感じ取ったからである。
「……静かですねぇ〜」
 おキヌはカプセルの上に座ってノンビリしていた。
 その片手には横島に渡されたお札が。
「怖いよぉー生贄なんてやだーい」
 カプセルの中で暗黒を背負った横島は涙を流していた。

「・・・・・逃げよう」

 もうこの近くには横島を運んできた男は居ない、ならば逃げても分かるまい。
 横島は自分の考えに頷き。

「よし!それで行こう!!」
 カプセルを開けようと閉じている口へ手を当てた、が。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・開かない


 先程男が閉めた時に鍵でもつけられたのか、カプセルの口は全く開かなかった。
「おキヌちゃん。もしかして鍵とかついてる?」
「いいえ?何もついてません」
 その返事に反応するかの様に辺りは小さな揺れを起こし始めた。
 それは普通にしていれば大きいがそんなに気に生らない程度の揺れだった。

 だが、今の横島はある意味極限状態である。

「ぎゃー!!?何?!何だ!?何なんだー!」
「お、落ち着いてください!ただの地震です!」
 カプセルの壁をすり抜け、おキヌが顔を出す。
 落ち着かせようとするのだが、今の横島の耳には聞こえていない。
「ぎゃー!ぎゃー!ぎゃー!!」
 騒ぎ立てる横島、狭いカプセルの中で暴れた結果。




 がこっ



 元々古かったカプセルを支えていた根元が崩れた。
「あう?」
 カプセルは大きく傾き、中に入っていた横島を吐き出した。
 先程まで全く開かなかったのが嘘の様。
 横島は床に思いっきり首から叩きつけられた。
「いっててて…………」
 普通の人間ならばそのまま死ぬ位の勢いで落ちたのだが、横島は痛がるだけですぐに起き上がった。
 慣れていない者がここに居たら驚きの声を上げるだろう。
「大丈夫ですか?横島さん」
「うん……一応は」
 カプセルからどうに出れた横島は痛む首を押さえつつ、ゆっくりと立ち上がった。


「……出るには出れたけど……半分以上気絶してたからなぁ……道が全然わからねー……」
 痛めた首を摩りながらとりあえず近くにあるドアの方角へと歩き出す横島、そんな横島の耳に頼もしい声が。
「大丈夫です!私が道を確かめながら来ましたから、来た道は分かります!」
 その一言に横島は満面の笑顔を浮かべ。
「本当!?おキヌちゃん!」
「はいv」
 嬉しそうに頷くおキヌに対し、横島は本当に嬉しそうに手を握った。
「サンキュー!おキヌちゃん!!」
「い……いいえ」
 その笑顔と手を握り締められた事におキヌは真っ赤になりながら答えた。
 だが、横島は真っ赤なおキヌに全く気がついていなかった。

 鈍感だ。




「それで、ここのドアを開けて……」

『-----------』

「?」
 おキヌの言葉を聞きながら進んでいた横島だったが、ふと別の声を聞き足を止めた。
 突然立ち止まった横島におキヌは不思議そうに首を傾げている。
「どうしたんですか?横島さん」
「いや……なぁ、おキヌちゃん?今……何か声が聞こえなかったか?」
 右耳を押さえつつ、横島は辺りに視線を向けた。
「いいえ?特には何も……」
 おキヌの言葉に「気のせいかな?」と答えつつも横島は辺りを見回し続けた。

 現在居る所は螺旋階段がある部屋。
 かなり高い所まで階段は続いていた。
 だが、おキヌの話ではこの階段は使わずに目の前の不思議な石造のドアを使用したらしい。

「………多分気のせいだな、こんな城サッサと出よう?」
「はい」(けど……もう少しこのままでも私は……)
 小声で何か呟くおキヌ。
「?何か言った?」
「いいえ!?気のせいですよ!!きっと!!」
 顔を真っ赤にし、おキヌは答えた。
 軽く首を傾げつつも、横島は目の前の石造のドアに手をかけた。

「………ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ………………開かない」


「えぇ!?」
 力いっぱい押してみるが、ドアはうんともすんとも言わない。
「はぁ……駄目だ、押しても引いても無反応だ」
 もしや襖の様に横か?と思ってみたが、やはり結果は同じだった。
「おキヌちゃん、ここってどうやって開けてた?」
「えっと……男の人が不思議な剣を構えたらピカってなって開きました」
 つまり、その剣が鍵となり……このドアは開いていたのだ。
 そんなモノ持ってなどいない二人はドアの前で途方にくれていた。


「はうぅん……お外に出してー」
 少し涙目になりつつ、横島は石造にもたれかかった。
 勿論、石造から返事は無い。
「どうしましょうか……?」
 幽霊のおキヌはその気になれば表に出れるのであまり慌てては居なかった。(それ所か二人っきりなので少し喜んでも居た)
「そうだ!!トランシーバーがあったよな?それで美神さんに連絡を……」
 渡されたトランシーバーをいじり、横島は必死に声を張り上げた。
「美神さん!?美神さん!!?」


 その頃、美神は………


「すみませーん、おかわり下さーい」
 会席料理に舌鼓を打っていた。
 その近くにトランシーバーは………無い。



「……反応が無い…ですね」
「うわーん!!美神さんの馬鹿ー!!!!最低だー!!畜生ー!!!!!
金の亡者ー!!

 本気で泣きつつ、横島はトランシーバーを壊しそうな勢いで叫んだ。




 しばらくし、叫び疲れた横島は何気なく天井を見上げた。
「……そうだ!」
「?どうしたんですか?」
 突然声を出し、立ち上がった横島に軽く驚くおキヌ。
「このドアが開かないなら他の出口を探すんだ、もしかしたら他にも出入り口があるかもしれないし!!」
 そして……もしかしたら人もいるかもしれない。
 そう思い、横島は螺旋階段を登り始めた。




 螺旋階段は長く、半分の部分まで登った横島は息が上がっていた。
 まだいつもの荷物を持っていないので元気な方だが。
「ぜーはーぜーはー……」
 肩で息をしつつ、横島はその場に座り込んだ。
 おキヌは空中に浮きつつ横島を応援していた。
「頑張ってください!横島さん!」
「おうー」
 返事はするのだが……その声に元気は皆無だった。
 口からは半分魂も出ている。

『-------------』

 また横島の耳に声が聞こえてくる。
 今度は先程よりもしっかりと。
「っ!?」
 驚いて顔を上げると、天井近くに鳥篭がぶら下がっているのを見つけた。
 先程まで長い階段見ていなかったので気がつかなかったのだ。(おキヌは横島しか見ていなかったから)
「鳥篭………?」
 半分疲労でふらふらになっている足で立ち上がりつつ、横島はもう少しだけ階段を登ってみた。
 鳥篭の中が少しでも見える場所へと。





 それから三回転程した辺りで横島の目に鳥篭の中が見えるようになった。
 そこには……白い肌の女性が座っていた。
「………」
 顔は見えないが、黒髪の女性だった。
「あの……!!」
 どう声をかければ良いのか、一瞬考えてしまったが。とりあえず横島は声を上げた。
 その声に驚いたのか、女性は軽く肩を痙攣させた。
「………」
 そしてゆっくりと顔を上げた。

 黒髪は短く、肩よりも上で整えられてあった。
 白い肌に白いワンピースを着ており、この薄暗い城の中では物凄く目を惹いた。

「えっと……今、降ろして上げるよ」
 真っ直ぐ横島を見つめるその瞳は心の中まで見えている。
 そんな錯覚を覚えつつ、横島は笑顔を浮かべた。普段女性を前にした時に浮かべる笑顔では無い。
 相手を心配し、気遣う様な笑顔だ。
 隣でその笑顔を見て頬を膨らませているおキヌには気がつかず、横島は辺りを見回した。
 あの鳥篭を下へ下ろす仕掛けを探す為に。
「あっ……横島さん、あれ」
 頬を膨らませていたが、女性をこのままにしておく事も出来ず……おキヌも辺りを見回した。
 そして横島よりも先に仕掛けらしきレバーを見つけたのだ。
「これを引けば、下に降りるんでしょうか?」
「さぁ……他にそれらしきモノも無いし……動かしてみるか」
 少し錆付いているレバーを引くと、大きな音が聞こえた。
 その音と共に鳥篭はゆっくりと下へと降りていった。
 中で座っていた女性は突然の振動に驚きを隠せずにいた。
「よし、下へ降りよう」
「はい」
 簡単に言うが、一番下まで降りるのはかなり時間がかかる。
 もしもあの女性がこの城の出口を知っていてサッサと何処かに行ってしまったら……自分達はまたも振り出しに戻されてしまう。
「……そうだ、ショートカットだ!!」
「え?しょーとかっと???どうするんですか?」
 いつもは安全な場所しか渡らない主義の横島なのだが、女が絡むとその思考回路は一時的に違う回路へと繋がる。
 早く下へと戻る為に敢えて危険を冒す事にした。

「この城って結構古いから、壊そうと思えばすぐ壊れるだろう?
 だから……足元を崩して下へ下へってゆっくり行けば…………」

 下へと手を向け、霊力を放出する横島。
 そして思いっきり足元を叩いた。

「ゆっくりならそんなに怖くも無いし!いつもは美神さんの風呂覗く為に高い場所に居るんだ!へっちゃらだい!!」

 ぴしぴしぴし……

 床に広がるヒビ、それと同時に身体に伝わってくる振動。

 ばきっ!!!!


 予想では、一階づつ壊れていく筈だった……しかし……







 横島の考えはケーキよりも甘かった。


 べきべきべきべきべき!!!!!!!!!!


 階段は思ったよりも………脆かったのだ。

「ぎゃー!!!!!!!」
「あ〜!これなら確かにすぐに下に降りれますね」
 見事に落下していく横島、一緒に落ちながら横島の方法に感心するおキヌ。

 確かに……早く下には行けるが……かなり痛い方法である。









 がきーん!!!


「うがっ!!?」
 落下地点は鳥篭の上だった、突然落下してきた横島に女性は驚きの表情を浮かべている。
 顔面から鳥篭に落ちた横島は痛みで悶絶していた。
「だ、大丈夫ですか?横島さん!」
 心配そうにおキヌが声をかけるが、横島が声を出す前に……

 鳥篭を支えていた鎖が限界に来た。

 ぴしぴしぴしっ

 鳥篭は床の数センチ上でぶら下がっていた。そんな時に落下の衝撃が加わってしまった。
 鎖はゆっくりと外れ、床へと落下した。
 鳥篭の中の女性には少しの衝撃が。
 鳥篭の上の横島へは少しの衝撃+床へのダイブ。
 再び首から落下し、横島は全身を痙攣させていた。


続きです!
意外に早く続きが書けたので少しテンション上がってます。

武者丸様>始めまして!はい、あのICOです。少し前にゲットしたのでこんな話を思いついてみました。
主体はGSですが、ギャグになるかは……いや、ギャグですかね?今の所は。


シンペイ様>outさんに先に説明されてしまいました……はうぅん。

out様>ご説明有難うございます!!

アキ様>どうしても格好良い美神が自分はかけません!!なのでこんな最低美神になってしまいました……ファンの方すみません!!
けれどICOというゲームを絡めるには美神が居るとどうしてもあの世界が崩れてしまうので……この話ではたまに出てくる程度の脇役です。


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△記事頭
  1. ICOといえばビームサーベル!!!!
    クリアーすればするほど隠しアイテムとして出てくるアイテムの中ででてくるビームサーベルが一番印象的だ!!!!!
    D,(2004.09.12 18:32)】
  2.  やっぱ、GSが絡むだけに、コメディ色が強いです。でもこれはこれで面白いです。特に横島は原作らしさが出ていて良いです。次回はヨルダとごた〜め〜ん。でも、黒髪だそうですから、もしやルシオラかも。となると、母はやっぱりあのお方?
    武者丸(2004.09.14 13:54)】

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