「君に・・・貴様に何が判るというのだ?貴様が何を知っているというのだ?
あの時・・・私達が・・・魔界の全てがどれほど苦しみ傷ついたか・・・
貴様に判るか!」
「判んね−よ」あっさりと切り捨てる清麿。
「あいにくこっちはまだ二十年も生きちゃいないんだ。ガッシュもたいして育っちゃいない。
話してくれなきゃ全然さっぱりさ。『ザケル』!」
「確かにその通りだな」相変わらず微動だにせず電撃を弾くダロス。
「だが教えてはやらん。知りたくば聞き出してみたまえ」
「まったく判らんという訳でもない。アンタが自分の精神を改造せずにはいられないほど辛かったってことくらいはね」
ギョっとするダロス。
「どういうことなのだ、清麿」
「さっきから見てたがあいつの目の色、あるいは目付きがちょろちょろ変化してやがる。
一人称も一定していないし言動も慈悲深いいわゆる「王者」な時と残酷で外道な『覇者』な時とがある。
おそらくあいつは『人格付与』を自分に行っているんだろう。それも多分不完全なのを」
「ほへ?」疑問符浮かばせまくりなガッシュと、顔をしかめるダロス。
「ここからは予測だが、多分あいつは自分自身を『人格付与』の実験材料にしたのだろう」
「何故そのような事を」
「あいつは・・・多分本来ひどく優しいんだ。俺たちが目指す「優しい王様」の完成体みたいに。
しかしそんなあいつでも戦い、自分が強くなければならない、他人を戦わせてその成果を自分が摘み取るような
行いをせねばならないほどの状況だったんだろう、その時の魔界は。
しかし自分のせねばならない事が絶対にしたくない事だった・・・故に戦わせる魔物達の一部に施す『人格付与』術の実験を自分に行った。
しかしそれは失敗とはいわないまでも完全ではなかったんだ。
だからあいつは常に邪悪なクソ野郎と高潔な人格者の間で揺れ動き、ふらついている。
違うか?」
「ふふふふふふふふふ・・・・
くくくくくくくくく・・・・
ははははははははは・・・・
あっはっはっはっはっはっは!」
突如笑い出すダロス。
「まったくとは言わないがほぼその通りだよ、赤い本の持ち主よ。
だとしても、現状はさして変わりはしない。
私は・・・・・あなたたちと戦おう
おれは・・・・おまえ達を打ち破ろう
わたしは・・・貴公を魔界へと帰そう
自分は・・・・貴様らを叩き潰そう
ぼくは・・・・君らに平穏と祝福を与えよう
そして 君たちの思いと絆を打ち破ろう」
つづきます
この先ダロスに、どえりゃ−酷い事をさせる予定なのですが・・・
人格付与の話はもう少し先にするべきだったかな?
それはともかく作中でも言っているようにダロスは自分が行わねばならない悪行に
耐えられず、未完成の人格付与術の実験台になります。
その結果があれであり、ダロスの一人称が統一されてなかったのはこの為です。
決して自分のミスをこうしてフォロ−した訳ではありません。
ソコんとこヨロシク
しかし、状況説明というか解説を清麿君に全て任せてしまっていますね。
あまり良くない事と反省する今日この頃です。
それにしても・・・感想して下さる方が少ない!
一人でも居てくださるのは嬉しいのですが・・・やはりもう少し欲しいと思うのは
我侭なのでしょうか・・・